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(情報掲載日:2017年8月16日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

イキイキ社員をつくる「ワーク・エンゲイジメント」

vol.67


2015年12月に企業でのストレスチェックが義務化されて以降、メンタルヘルス対策に関する話題を目にする機会が増えています。なかでも職場でメンタル不調が起きることを予防し、社員をより主体的に仕事に取り組む心理状態へと導く「ワーク・エンゲイジメント」が注目されています。仕事に誇りとやりがいを感じ、イキイキと働ける職場をいかにつくるのか。その手法について解説します。

ワーク・エンゲイジメントとは何か

●ワーク・エンゲイジメントとは

ワーク・エンゲイジメント(Work Engagement)とは、社員が仕事に誇りややりがいを感じ、自ら熱心に取り組み、仕事から活力を得ている心理状態のことであり、同時にそのような環境をつくるための活動の意味もあります。バーンアウト(Burnout)=燃え尽き症候群の研究をしていたオランダ・ユトレヒト大学のウィルマー・シャウフェリ教授が、その対概念として提唱しました。

2015年12月に企業でのストレスチェックが義務化され、メンタル不調者の発見やサポートが行われていますが、メンタル不調者を出さない環境づくりの必要性も指摘されていました。そこで“攻めのメンタルヘルス”ともいわれるワーク・エンゲイジメントに注目が集まっています。


●「仕事の活動水準が高く、仕事への態度・認知が快」の状態をつくる

北里大学人間科学教育センター教授の島津 明人氏は、ワーク・エンゲイジメントは「仕事に誇りや、やりがいを感じている(熱意)」、「仕事に熱心に取り組んでいる(没頭)」、「仕事から活力を得てイキイキとしている(活力)」の3つが揃った状態であると述べています。

仕事の活動水準の高・低と態度・認知の快・不快から、人の仕事に関する状態は以下の図のように4つに分類されます。「低・不快」はバーンアウト(燃え尽き症候群)であり、その反対の「高・快」がワーク・エンゲイジメント状態です。「高・不快」は強迫的に働いているワーカホリズム(仕事依存症)の状態。そして「低・快」は仕事そのものに満足し、ゆったりとしているリラックスの状態といえます。ワーク・エンゲイジメントは心身の状態が良好なことを示すだけでなく、仕事に対して「前向きに取り組む」「自発的に行動する」「職務や職場への満足感が高い」といった状態にあります。



仕事の活動水準と、仕事のへの態度・認知による分類
仕事の活動水準と、仕事のへの態度・認知による分類
(島津明人編著『職場のポジティブメンタルヘルス』誠信書房を参考に作成)


職場でのワーク・エンゲイジメントの必要性

●段階別の職場のメンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策においてワーク・エンゲイジメントはどのようなポジションにあるのでしょうか。以下の表は段階別にみた職場のメンタルヘルス対策です。最初はメンタル不調者の治療である3次予防に始まり、ストレスチェックの義務化でメンタル不調者をいち早く発見する2次予防が広く行われるようになりました。これからはもう一歩踏み込んで、職場にメンタル不調者が出ない状態をつくり、より仕事に対して積極的な集団をつくる1次予防が求められています。これらの活動は組織活性化と重なる部分が多く、同時に進めることでより効果的に、より効率的にメンタルヘルス対策を行うことができます。

段階別にみる職場のメンタルヘルス対策
段階別にみる職場のメンタルヘルス対策


●ワーク・エンゲイジメントを支える2つの資源

では職場にどのような要素があれば、ワーク・エンゲイジメントを実現できるのか。これは「仕事の資源」と「個人の資源」という2つの資源が支えています。仕事の資源とは、仕事に関してストレスとなる部分を組織的に緩和してくれる資源であり、個人の資源とは、その人自身がストレスに立ち向かえる資源です。これらがあることで、ストレスに強くなり、仕事にも積極的に取り組めるようになります。


ワーク・エンゲイジメントを支える2つの資源
ワーク・エンゲイジメントを支える2つの資源


ワーク・エンゲイジメントを高める具体策

●ワーク・エンゲイジメントに向けた組織戦略

それでは具体的にどのようにワーク・エンゲイジメントを高めていくのか。CS(顧客満足)を中核としながらビジョンを定義し、それをひとりひとりが共感・理解し、そのような姿勢や活動を企業の文化としていくことが基本となります。この組織戦略に沿って育成や評価が行われ、業務も自然とその方向に改善されているという流れです。その推進を図るには、職場でのワーク・エンゲイジメントを率先して示すエンゲイジメント・マネジャーと呼ばれる人材を育成することが有効です。エンゲイジメント・マネジャーの行動特性には「ぶれない信念を持ち、それを部下に伝え実践する」「部下の話をよく聞き、よいことは褒め、悪いことは叱る」「現場でエンゲイジメントを発揮できるよう社内外の人と調整・交渉する」といったことがあげられます。


ワーク・エンゲイジメントに向けた組織戦略 ワーク・エンゲイジメントに向けた組織戦略
(稲垣公雄、伊東正行『エンゲージメント・マネジメント戦略』日本経済新聞出版社を参考に作成)

次にワーク・エンゲイジメントを高める3つの具体策についてご紹介します。

●ストレスチェックの有効活用

義務化されたストレスチェックもワーク・エンゲイジメントに活用できます。特に重要となるのは職場の集団における分析です。ストレスの高・低を職場ごとに集計し、偏りがあるような職場では、「なぜそのようなストレスがあるのか」について要因を探し、解決策を考えます。また、ストレスチェックで個々の自己効力感(自分ならできるといった自己に対する信頼感)が低いと感じられた場合、それを高めることも重要な対策となります。自己効力感では「仕事をいかにうまく進められるか」がポイントとなるため、仕事に役立つタイムマネジメントスキルやコミュニケーションスキルをきちんと伝えることが有効です。


●クルー(Crew)プログラムの活用

クルー(Crew)プログラムとは、米国で開発された職場で互いに尊重しあえる人間関係をつくる手法で、チームで仕事をする職場に効果があります。定期的にメンバーが集まり、組織をよくするための話し合いを行います。大学病院で行われた例では、週1回、30分の話し合いを6ヶ月間実施。自己紹介から始まって、最終的にはヒヤリ・ハット(重大な事故にはつながらないが、突発的な事象やミスにヒヤリとしたりハッとしたりする事象)などの事故を防ぐ話し合いが行われ、成果が出ています。職場のメンバーで職場をよくするための話し合いを行うことにより、ワーク・エンゲイジメントを育てることができます。


●ジョブ・クラフティングの活用

ジョブ・クラフティング(Job Crafting)とは、社員ひとりひとりが仕事に対する認知や行動を自ら主体的に修正し、やりがいのある仕事へと変えていく手法です。具体的には以下の表のような手法があります。仕事の内容が変わらないとしても、取り巻く環境や仕事の捉え方が変われば、仕事にやりがいが生まれ、当事者の気持ちは切り替えることができます。文字通り、自分の仕事をつくっていくことでワーク・エンゲイジメントを育てる手法です。

ジョブ・クラフティングの手法 ジョブ・クラフティングの手法

ワーク・エンゲイジメントは、仕事が主体でそれに振り回されていては決して生まれてきません。社員が主体となり、自分はどんな仕事がしたいのか、自分は仕事に何を求めているのかを考え、そこに向かって自分や仕事を変えていく作業があってこそ生まれるものです。これからの企業は社員に一方的に仕事を押し付けるのではなく、どのような仕事の形がベストなのかを社員と共に考えるパートナーになることが求められています。

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