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(情報掲載日:2017年5月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

AI、IoTで仕事が変わる

VOL.64


AI=人工知能、IoT=モノのインターネットという言葉がよく聞かれるようになりました。AI やIoTの発展は、今後のビジネスや仕事に大きな影響を与えるといわれています。AI、IoTとはどんなものなのか。それがビジネスや仕事にどのように関わるのか。 AIおよびIoTの進化の現状とそれらが及ぼす影響について解説します。

AIとは何か、どんな影響をもたらすのか

●AIとは何か

AI(Artificial Intelligence=人工知能)とは、学習・推論・認識・判断などの人の知能をコンピューターシステムによって人工的につくる技術です。私たちが初めて接したAIは、エアコンや冷蔵庫などの家電に搭載された温度制御装置でした。そこからAIは段階を経て進化しており、東京大学特任准教授の松尾 豊氏はAIを以下の4つのレベルにわけています。


AIの4つのレベル
AIの4つのレベル
(大内伸哉著『AI時代の働き方と法』弘文堂を参考に作成)

レベル1、2はコンピュータが自ら学習する機能はなく、人が決めたことを行います。レベル3、4ではコンピュータが自ら学習します。レベル3では機械学習、レベル4ではディープラーニング(深層学習)といった機能を持ち、より高度な作業ができるようになります。

ここでコンピュータが自ら学習する仕組みについて解説します。AIが自ら学習するためには、対象となるデータの中にどのような特徴があるかを知らなければなりません。このデータにどのような特徴があるのかについて、それを数値化したものを「特徴量」と呼びます。レベル3の機械学習では人がコンピュータに特徴を数値化した特徴量を教え、そのうえで調べたいデータを指定してコンピュータがそこから特徴を学びます。このような機械学習が活用されている例にはビッグデータの解析があります。

レベル4のディープラーニングも機械学習の一つですが、人が特徴を数値化した特徴量を教えるのではなく、コンピュータが自ら特徴量について学びます。その学習方法とは、情報の入力と出力の間に、簡単な特徴量を示す中間層を複数つくって、その一つの層が示す特徴と他の特徴を組み合わせることで、より高いレベルでの特徴を学びます。例えば、猫の画像を判別する場合なら、「顔のパーツ」「表情」「模様」「物体の線」といった複数の特徴量の中間層をつくり、その特徴を組み合わせてデータを判別していきます。

近年はAIがレベル3以上に達し、AIの高度化が進んでいます。今後のAIの進化は、人と同じレベルで「どこまで自らで考えられるようになれるか」が焦点となっていきます。

●AIの実用化でどんなことが可能になるのか

ではAIによって、どのようなことができるようになるのか。具体的な機能をご紹介します。実用化において中心となる機能領域は、対象が何であるかを判断する「識別」、これからどうなるかを考える「予測」、実作業を支援する「実行」の3つです。その中には以下の図のような個別の機能があります。実用化するときには、製品やサービスごとに必要な機能を選び、それを組み合わせて使うことになります。例えば、車両の自動運転の場合では、現場から得られた情報を「識別」し、そこに運行に関連する情報を加えてこれから起こることを「予測」し、それに対して最適な経路を考えて「実行」する流れになります。


AIの実用化における機能領域
AIの実用化における機能領域
(総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」平成28年※1より)


AIの活用事例:「車両の自動運転」
AIの活用事例:「車両の自動運転」
(総務省「平成28年版情報通信白書」※2を参考に作成)


では具体的なAIの実用化について、世の中ではどのように期待されているのでしょうか。総務省は「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」(※1)で、有識者(AI、雇用、人材育成の専門家)に「AIの活用が望ましい分野」について聞いています。回答の上位は「生体情報や生活習慣、病歴、遺伝等と連動した、健康状態や病気発症の予兆の高度な診断」(81.5%)、「路線バスやタクシー等の高度な自動運転」(81.5%)、「渋滞情報や患者受入可能な診療科情報等と連動した、緊急車両の最適搬送ルートの高度な設定」(77.8%)、「道路や鉄道などの混雑状況等と連動した、交通手段間での高度な利用者融通や増発対応」(74.1)%となっており、医療や交通分野におけるAI活用への期待が大きくなっています。


AIはどのような分野への活用が望ましいと思うか(有識者回答)
AIはどのような分野への活用が望ましいと思うか(有識者回答)
(総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」平成28年※1より)


※1:総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」平成28年
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h28_03_houkoku.pdf

※2:総務省「平成28年版情報通信白書」
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n4200000.pdf

IoTとは何か、どんな影響をもたらすのか

●IoTとは何か

IoT(Internet of Things)とは「モノのインターネット」の意味であり、モノがインターネットでつながり、データのやり取りを行うことで互いに制御を行う仕組みを指します。モノがインターネットで、メーカーやサービス会社とつながると、以下のようにセンサーによりモノから最新の情報を取得し、モノに搭載されたソフトウェアは常に最新の状態を保ち、他のサービスとクラウドによって連携するといったことが可能になります。

IoTによる変化

IoTによって、人は「モノを買って所有して終わり」ではなくなり、「モノを買った後もインターネットでメーカーやサービス会社とつながり、モノを利用し続ける」時代になっていきます。IoTの実用化の例をあげると以下のようなものがあります。リアルタイムで情報を得て状況を把握することが、大きな可能性を持っていることがわかります。


IoTが実用化された例
IoTが実用化された例

●IoTの活用が広がっている理由

なぜ今IoTが普及しつつあるのでしょうか。その理由には以下のようなものがあります。IoTを使える環境とそれを支える技術が共に進化したことで、普及が加速しています。

IoTの活用が広がっている理由

・モノに搭載するセンサーの価格が下がり、種類が増えた
・スマートフォンなどモノとつながる端末が手ごろな価格で使えるようになった
・通信環境がよくなり、モノがどこでもインターネットにつながるようになった
・モノからのデータを蓄積するインフラが充実し、高速でデータ分析が行えるようになった


●IoTで日常にどんな変化が起こるのか

IoTが広がることで、モノから届く情報を活用したさまざまな変革が起こると期待されています。例えば、ビジネスやオフィスで予測される変化としては以下の表のようなものがあります。IoTで得られるデータで、モノそのものやその周辺の状況が把握でき、そこから新たな製品やビジネスチャンスが生まれます。集まったビッグデータの分析にはAIが活用され、そこから得られるデータは「業務フローの最適化」「売り上げの最大化・未来予測」「事業の問題点の特定」「事業における仮説の検証や可能性の発見」といった価値を生み出すこともできるでしょう。


IoTによる変化予測
IoTによる変化予測

*1:M2M(Machine to Machine)……モノ(機械)とモノ(機械)が通信(ネットワーク)によってつながり、データのやり取りを行う仕組み。

*2:O2O (Online to Offline)……インターネット(オンライン)での情報の接触により実世界(オフライン)の行動に影響を与えるような施策。例:インターネットで配布される割引クーポン、GPS(位置情報システム)と連動したチェックインクーポン(ユーザーの位置を感知して配布されるオンラインクーポン)の配信など。


AIやIoTによって、仕事や働き方は変わるのか

●それでもAIやIoTは人に成り代われない

AI やIoTは万能に思えますが、現状ではデータを集め、そこから読み取れる特徴を探し出してモノや事象を判別し、そこから人が決めた指示に沿って処理を行う機能がほとんどを占めます。人のように、データから「どうすればよりよくなるか、効率的になるか」などと考えて解決策を考え出したり、データの変化などからビジネスの可能性を読んで方向性を決めるといった、人の思考レベルに達するにはまだ時間が必要です。現状でのAIやIoTは「これまで人がしていたことを代替えし、人ができることを増やすツール」ですが、今後はAIやIoTによって既存の職種の仕事内容が変わったり、AIやIoTで得られるデータを分析・活用するといった新たな仕事の工程が加わることも考えられます。


●新たに生まれる職種

今後、仕事面で起こる変化として、AIやIoTにまつわる新たな職種が生まれることが予想されます。考えられる新たな職種には、データサイエンティスト、AI・IoTコンサルタント、AI・IoTアナリスト、ロボット・アドバイザー、ロボット整備士、センサーシステムインテグレータ、3Dプリントスペシャリストなどがあります。


●人が身に付けるべきスキルとは

AI、IoTの普及により、人に求められる仕事のなかで2つのスキルの需要が高まると予想されます。一つ目はAIやIoTから得られるデータを扱うスキルです。いかに仕事に対してAIやIoTから得られるデータを活用できるかが問われていきます。データを積極的に業務改善や新規事業に活かすといったスタンスが求められるでしょう。二つ目はAIやIoTが不得意とする分野の仕事スキルです。例えば、経営力やリーダーシップ、人材マネジメント、クリエイティブ、ホスピタリティ、問題解決力など、データだけで把握できないようなスキルが今後求められていくと考えられます。

AIやIoTによって、これまで見えなかった人の行動や物事の動きがデータ化され、詳細に分析できるようになっています。そこでは初めてわかるような事実も多くあるはずです。そのようなデータを仕事の実践で活かすには、データに興味を持ち、データを扱いながら柔軟に考えることが求められます。そして今後は、AIやIoTを身近な仕事のツールと捉えて積極的に業務に取り込む姿勢と、AIやIoTを十分に使いこなせるだけの教養を身に付けることが求められるでしょう。

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