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(情報掲載日:2015年9月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

従業員満足度を上げて成長企業になる

VOL.44


安定企業から成長企業にステップアップするには、人の能力を最大限発揮させることが必要であり、それには「従業員満足度」の向上が欠かせません。従業員満足度は顧客から感謝されて得る充実感や自分の成長実感などを軸とした、仕事に関わる項目に対する満足度であり、それを欲する気持ちが企業の成長につながります。自社の従業員満足度をヒントに、いかにそれを高め、企業の活力とするのか。その手法について解説します。

従業員の満足を欲する気持ちを活かす

●従業員満足度とは何か

「従業員満足度」は従業員の企業に対する満足度です。顧客から感謝される充実感や自分の成長実感、仕事への誇りなどを軸として、仕事自体や評価、働く条件や環境、会社へのロイヤリティ、人間関係といった項目について満足度が測られます。従業員満足度が顧客満足度に強い影響を及ぼすことも分かっており、従業員満足度を重要な経営指標の一つと位置づける企業が増えています。

従業員満足度という言葉を最初に使ったのは、米国のリッツ・カールトン・ホテルと言われています。従業員をスタッフではなく「紳士淑女」と呼び、従業員は常に「クレド(信条)」(ニッポンの人材vol28を参照)を携帯。そこには「お客様にお約束したサービスを提供する上で、紳士淑女こそがもっとも大切な資源です」と綴られ、従業員を「資源」ととらえて、彼らの満足度をいかに高めるかを重視した企業運営を行っています。

●従業員満足度向上事例1:従業員を優先するビジョンを掲げ、増収増益の企業へ

従業員満足度向上とは従業員の心を変えることであり、企業を成長企業に変えることも可能にします。ある食品メーカーでは、2009年に社外から会長職を迎え、従業員満足度向上を実施し、6期連続増収増益、営業利益率は1%→11%という驚異的な数字を上げることに成功しました。彼は就任直後に、新グループビジョン「@顧客・取引先→A従業員とその家族→Bコミュニティ→C株主の順に、尊敬され、賞賛され、愛される会社になる」を掲げ、従業員の優先度を上げることを宣言しました。具体的には、以下の施策を実施して従業員満足度を向上、高業績を実現させています。

同社が実施した従業員満足度向上施策

●従業員満足度向上事例2:大手企業が従業員満足度向上施策を参考にする美容室運営会社

大手企業では従業員満足度向上への注目度が増しており、自動車メーカー、コンビニエンスチェーン、銀行などの大手企業がこぞって従業員満足度勉強会を開いています。そこに講師として呼ばれる美容室運営会社(従業員約150名)があります。この企業は、過去に成果主義を推し進めて従業員の半数を辞めさせてしまった経験があり、それを反省し、従業員を企業という家族の一員と考える大家族主義を掲げて従業員満足度向上を目指しました。その結果、16年連続増収、業界では珍しい離職率5%以下を実現させています。

同社が実施した従業員満足度向上施策


従業員満足度はすべての企業要素に影響する重要指標

●サービス・プロフィット・チェーンの存在

1990年代にハーバードビジネススクールのヘスケット氏らが示した考えに、サービス・プロフィット・チェーンがあります。これは従業員満足度が高いほどサービス水準が高まり、それが顧客満足度を高めることにつながり、その結果、企業の業績も向上するというものです。その意味では、従業員満足度は企業の改善点を見つける指標となるものであり、その数値は仕事や職場、経営とすべての企業要素に影響します。

サービス・プロフィット・チェーンの流れ
(志田貴史『顧客と会社を幸せにするES経営の鉄則』(中央経済社)より抜粋)

●従業員満足度を示す「15の活力要素」

従業員満足度は従業員へのアンケートによって調査されます。労務行政研究所の2013年調査では、従業員数1000人以上の企業で4割弱が従業員満足度調査を実施しているとのデータがあり、すでに多くの企業が導入しています。調査項目は企業ごとに必要と思う項目を選んでいます。例えば、みずほ情報総研では項目を3カテゴリー、15の活力要素に分類し、実施しています(※1)。

従業員満足度の15活力要素
※適職感:今の仕事が自分に合っているか、興味が持てるか、自分のやりたいことか、仕事をしていて楽しいかということ。仕事に意識か価値を認めているかも含む
※自分力発揮:自分の持ち味、長所を発揮すること。情熱を傾け夢中になっている状態。自由裁量があり、仕事は自分でコントロールできている状態。仕事を進めるための権限と責任を持っている状態。
(みずほ情報総研レポート「従業員満足度調査の活用」:2014年12月より抜粋 ※1)

●活力要素の相関を分析する

みずほ情報総研において、これまで実施された従業員満足度調査サービスのうち、従業員数が300人以上の15機関で活力要素の相関係数について調査しています(※1)。相関係数とは2つのデータの関連性を数値で表したものであり、一般的に0.7以上の場合は関連性が強く、0.2以上0.4以下の場合は関連性が弱く、0.2以下の場合は関連性がないことを示します。ピンク色は相関指数が0.9以上で強い相関がある項目、水色は0.5以下で相関が弱い項目です。従業員満足度調査後には結果のフィードバックと改善策が実施されますが、その際は相関関係を考慮した上で施策を講じる必要があります。

活力要素間の相関係数
(みずほ情報総研レポート「従業員満足度調査の活用」:2014年12月より抜粋 ※1)

データ分析からわかること

※1:みずほ情報総研レポート「従業員満足度調査の活用」(2014年12月)
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2014/pdf/mhir08_jyugyoin.pdf

従業員満足度調査の流れと施策反映のポイント

●従業員満足度調査の流れ

従業員満足度調査は一般的に1年〜2年に1度行われ、期間は準備に1〜2ヵ月、実施に2〜3週間、分析に2週間〜1ヵ月といった流れになります。社内ディスカッションやインタビューから何を明らかにすべきかを考えて質問項目を決定し、アンケート回収後の分析から、課題を特定し施策に反映させます。

従業員満足度調査の流れ
(吉田寿『社員満足の経営』(日本経団連出版)より抜粋)

●従業員満足度調査で事前に決めておくべきこと

従業員満足度調査は、対象となる従業員に協力をお願いするものですから、当人が納得して協力できる内容であり、また、効果が期待できるものでなければなりません。そのため、調査実施までに決めておくべきことが多くあります。主な項目は以下の通りです。

事前に決めるべき項目
(吉田寿『社員満足の経営』(日本経団連出版)を参考に作成)

●調査結果を施策に反映させる

従業員満足度調査を行った後は、明らかになった問題点を解決に導く施策を考え、実施し、改善する必要があります。その場合、以下をポイントとしながら、課題に優先順位を付けて実施していきます。

施策反映のためのポイント
(吉田寿『社員満足の経営』(日本経団連出版)を参考に作成)

従業員満足度が下がれば、仕事への意欲が低下し、生産性も低下します。顧客満足度においても気持ちのこもった対応は難しくなるでしょう。従業員満足度を犠牲にするような顧客満足度は長続きしません。従業員満足度を活かした経営を行うには、「企業における強みはすべてが従業員によって実現されている」と考え、その姿や相関を明らかにする必要があります。その中で従業員満足度をヒントに、企業に合った従業員の活かし方を探っていくことが求められます。

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