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(情報掲載日:2015年8月10日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

「離職防止策」で人材を確保

VOL.43


人材流出は、企業にとって大きな悩みのひとつです。優秀な社員が離職することで企業は生産性の低下や顧客・企業機密の流出の不安にさらされるなど、さまざまなダメージを受けます。人材の離職防止に向けて、いかに情報を集め、離職要因を見つけ、有効な対策を打つのか。人事として対応する手法について解説します。

「離職」と「人材引き止め」の現状

●理由から見る離職の現状

離職を防止するには、離職を決断させている理由を知らなければなりません。そのうえで離職を決断させている意志を打ち消す、または離職を思いとどまらせることのできる条件を考え、引き止め策を講じる必要があります。転職サービスDODA(デューダ)では、2014年10月〜2015年3月に転職活動を行った約3万人のデータを元に、2015年上半期の「転職理由ランキング」(※1)を発表しています。1位は「ほかにやりたい仕事がある」と2位は「会社の将来性が不安」。3位は「給与に不満がある」となっています。


転職理由ランキング
転職サービス「DODA(デューダ)」「転職ランキング 2015年上半期」より抜粋

転職を考える理由としては、大きく「金銭的報酬」「金銭的報酬以外」に分かれます。転職理由ランキングで「給与に不満がある」は3位ですが値は7.4%しかなく、報酬以外の理由とトータルで比較すれば圧倒的に報酬以外の要素で転職を決断していることがわかります。また、今回のDODA調査では、過去の調査と比較した特徴として「働く環境や待遇の改善を理由とした転職の割合が伸びている」と分析しており、仕事に関わる環境がより重視されつつあります。

●企業における退職引き止めの現状

もちろん企業も流れのままに退職させているわけではありません。引き止めたい人材には、企業も退職引き止め交渉を行っています。2014年に30歳以上の転職サイト利用者を対象に、退職引き止め交渉について聞いたアンケート(※2、エン・ジャパン調査)によれば、今までに引き止め交渉を受けたことのある人は32%という結果が出ています。受けた条件提示は昇給31%、他部署への異動23%、昇進17%、新たな事業を任せること16%となっています。

そのうち、引き止め交渉を受けて、転職をやめたことがある人は24%で、考え直した理由は「新たな事業に関われる」36%、「提示された昇給額が良い」33%、「提示された昇進内容が良い」15%、「職場の仲間の引き止め」15%となっています。給与アップ以外にも仕事内容や企業でのポジションといった要素も、離職防止策として有効であることがわかります。

転職理由を考えれば、満足のいく給与を考慮した上で、それ以外の部分である仕事環境や将来性といった条件を用意する必要があります。転職理由ランキングを見ても、「モチベーション」「納得した上での仕事ができる環境」「仕事を通じて成長できる環境」「プライベートの充実」に関わる項目は順位が高くなっており、これらを整えることが離職防止においても有効と考えられます。


エン転職コンサルタント ユーザーアンケート集計結果より抜粋

※1:「転職理由ランキング 2015年上半期」(転職サービス「DODA(デューダ)」調べ)
https://doda.jp/guide/reason/2015first/

※2:「エン転職コンサルタント ユーザーアンケート集計結果」(エン・ジャパン調べ)
http://corp.en-japan.com/newsrelease/2014/2847.html

人材流出による損失と「防止策」の基本

●人材が流出することによる損失

人が離職することで企業に与える損失としては、直接・間接を含めて、以下のような損失が考えられます。顧客や企業機密の流出など金額換算できないものもありますが、長期的に考えればコスト面においても、そうでない面においても大きな損失を企業にもたらします。これだけの価値を持つ人材だからこそ、企業は防止策を打たなければならないのです。


人材流出が企業に与える損失

●離職防止策の基本

前述の転職理由ランキングからも、高い報酬だけで人材を引き止めることは困難になりつつあり、「金銭的報酬以外」の条件を整える必要があることがわかります。その基本は転職理由ランキングにあるような個々の要因について、企業としての回答を用意することです。社員にいかに働くモチベーションを与え、納得した上で仕事ができる環境をつくるか、それが離職防止につながります。


主な離職防止策

人事がこれらを実践する中で重要な点は、退職者や社員の声に耳を傾けることにあります。冷静に話を聞き、本音を引き出せてこそ、有効な手段を講じることができます。そこで得られる貴重な情報は、次の離職予備軍に活かされることになります。

人事データから離職リスクを予測する

●離職リスクをデータから分析

これまで離職防止の手段は、人事としての過去の経験に頼ることが多かったですが、最近では複数の人事データを使って離職の可能性を予測する手法に注目が集まっています。その基本的な考え方は、過去の転職者の転職要因に関わるデータを収集、分析する方法です。流れは以下のようになります。


離職リスク分析の流れ

①転職者本人に転職に至った理由や経緯を聞き、同時に転職者の周辺にもヒアリングを行う
       ↓
②過去引き止めたかった転職者に関わるデータ(プロフィール、業績、異動歴、志向など)を収集する
       ↓
③収集した情報から、転職へと決断させた要因や背景を割り出し、各々をデータ化する
       ↓
④データごとにその影響度の違いを分析し、転職につながりやすい要因を見きわめる


過去の転職者の転職要因に関わるデータを中心に、できる限り多くのデータを収集することで、社員が離職に至った要因についての検証も可能になります。その中でデータの重みや、データ間のつながりを考えて「仮説」を立て、転職を生み出す要因について「検証」し、自社内にどのような離職の法則があるのかを探っていきます。


離職につながる可能性のあるデータ

離職リスク分析のイメージ例

例)Aさんが離職した
①Aさんに退職理由を聞いたところ、自分が正当な評価を受けていないと言う。より詳しくヒアリングすると、同期のBさんとの評価・給与の差が不満のきっかけとなっていた。
   ↓
②AさんとBさんの、入社からこれまでの行動や実績、評価、給与などの情報を収集。
   ↓
③AさんとBさんのこれまでの評価が、配属部署ごとのルールに則ったものか、上司の属人的な評価だったのか、他に評価に影響を与えたものがなかったかなどを確認してデータ化。
   ↓
④結果、部署によって評価基準にばらつきがあり、また上司の属人的な判断も影響していたことが判明。AさんとBさんの評価にも、評価制度の不備が影響していたことがわかった。
   ↓
⑤誤解のない評価基準に整備し直し、評価の最終段階で他部署の上司も加わるように制度を変更。社内向けに制度改変について経緯を説明し、広報を行った。


●離職防止策をより有効にするポイント

離職防止策を有効に行うには、柔軟で多面的な分析を行い、その上で自社の特性を見出すことがカギとなります。



人事が離職希望者に離職理由を聞いて行うべきは、「それは本当に自社で実現できないか」と考えてみることです。離職希望者が、その企業を嫌いになって離職するのでなければ、なおさら考えてみる必要があります。「企業は人なり」と言いますが、その人を真に活かしたいと企業が思うのであれば、企業側も柔軟に変わっていくべきです。社員の離職に備えることは、その企業がいかに社員に望まれる企業になれるか、その点を試されているといえるでしょう。

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