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(情報掲載日:2013年4月22日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

後継者育成のための「サクセッションプラン」構築

VOL.16


「サクセッションプラン」(後継者確保・育成計画)の導入を考えている企業が多くなっています。ただその取り組みに当たっては、求める能力・スキルのあり方や研修方法、実践を通じて育成するための配置・登用など、検討しなくてはならない課題が数多く存在しています。そこで、後継者育成のあり方やサクセッションプランを構築する際のポイントについて、ご紹介します。

サクセッションプランとは何か?

サクセッションプラン(Succession Plan)とは、主要な役職者の後継者(次世代リーダー)を確保・育成する計画のことです。近年、経営を取り巻く環境が目まぐるしく変わる中にあって、スピード感をもって対応していくには、事前に主要ポジションの後任としてリーダーとなる人材を確保、育成しておく必要があります。
労務行政研究所が行った「企業の人事戦略に関するアンケート」(2011年)の結果を見ると、サクセッションプランの現状と今後について、「現状は行っていないが、今後は行いたい」との回答が61.3%を占めています。また、「現在行っているが、今後はさらに強化・拡充したい」は20.2%となっており、「今後、実現または強化したい」とサクセッションプランを前向きに考えている企業が合わせて8割以上に達しています。

■サクセッションプランについての意識(%)

労務行政研究所「企業の人事戦略に関するアンケート」(2011年)

サクセッションプランが注目されている背景・理由

現職者が抜けた際に、後任を補充することは人事異動・配置という形で日常的に行われています。しかしその時に、必ずしも次世代リーダーに相応しい人材が登用できるとは限りません。そこで、下記のような背景・理由により予め後任に適した人材を選抜し、確保・育成していくといったサクセッションプランの視点が欠かせないものとなっています。

サクセッションプランの導入方法

サクセッションプランを導入するための一般的なステップをご紹介します。
まず、自社が目標とする次世代リーダーの要件を定義することから始まります。そして、要件を満たす人材をどのように確保し、育成していくのかを明確にする必要があります。

●要件定義とギャップの可視化

要件定義の方法としては、以下のような3つが考えられます。

①現行の人事制度で定義されている要件

現行の人事制度で定義されている管理職階層の要件を使うという方法があります。人事制度上の要件定義は、本来経営戦略を実現するために必要な人材像を表したものであり、また、階層別教育体系のベースとなっているものです。そのため、課長の教育には部長相当の要件を加えて教育するなど、次世代リーダーに対する先行育成のゴールとして、妥当なものだと考えられます。
ただ、それには各役職の要件が具体的なもの(○○の行動が常にできている、など)になっていることが必要です。しかし、制度設計時から時間が経過し、必ずしもそうなっていない場合には、要件を取捨選択、あるいは具体的な行動や知識・能力の要件となるよう再検討することが必要となります。

②現状の高業績者の要件

現状の高業績者の要因(コンピテンシー)を分析し、そこから要件設定していくという方法です。高業績者の要因のうち、次世代リーダーとして「必要不可欠な要件」から「あると望ましい要件」まで優先順位を付けていくことによって、次世代リーダーとして相応しいコンピテンシーをどの程度保有しているのかの「目安」としていくことができます。
なお、事業を取り巻く環境の変化、あるいは事業内容そのものが変化していくことにより、特定の高業績者が将来に渡ってずっと高業績者である保証はありません。そのため、高業績者のコンピテンシーの分析についても一定期間ごとに見直していくことが必要です。

③経営視点からの仮説

中長期的に経営を見据える視点から、経営層や人事部門が中心となってプロジェクトを組み、将来的に次世代リーダーにとって必要となる要件を抽出する方法です。

上記のような方法で設定した次世代リーダーに必要とされる要件について、現在の管理職層の人たちにどの程度備わっているのかサーベイを行い、現状を明らかにしていきます。これらの要件については、「能力」「資質」「行動」の3つを主な着眼点とすることが多くなっています。具体的な手法として、「能力」を見るには職務への適性を評価する「ヒューマンアセスメント」、「資質」を見るには本人の持つ資質や性格をタイプ別に診断する「パーソナリティ診断」、「行動」を見るには日常的に接することの多い他者による複数の視点からの評価を行う「360度診断」などを用いることが多いようです。
このようなサーベイを行って求められる要件との差異(ギャップ)を明らかにし、適性のある候補者が特定されてきます。さらには、各個人ごとにもギャップが明らかになっていきます。そして、それらギャップを埋めていくために、次世代リーダー育成プログラムを組む必要があります。

●選抜と育成の考え方

次世代リーダーを選抜し、育成していくには、以下のようなプロセスがあります。

①対象者の選抜

育成対象を選抜する際には、「自薦方式」「他薦方式」「アセスメント方式」の3つの方法があります。選抜に際して、一定レベルの人材を確保するためには選抜試験を行う必要がありますが、最初は過度に人数を絞り込まないほうがいいでしょう。それよりも将来に向けて、可能性のある人材を対象者として確保することに重点を置くことが大切です。

②育成の形式

育成形式としては、off-JTによる研修が中心となります。プログラムは長い期間をかけて行われることが多く、短いものでも半年、長期では3〜5年に及ぶケースもあります。育成プログラムの位置づけとして、リーダー登用の絞り込みのための条件とし成績優秀者をリーダーとするのか、またはあくまでリーダー選出の前段階としての候補者群の底上げなのか、によって内容も評価ポイントも異なってきますが、いずれにせよこの期間内に一貫性のある育成方針の下、定期的な集合研修とさまざまな課題を与えるのが一般的です。

プログラム作成のポイントとして、1つ目は成果を重視したプログラムにすることです。自社の経営や現場における現実の問題・課題を扱うと同時に、研修で学んだスキルを実務で使い、成果に結び付けていく工夫が求められます。例えば、研修の後で課題を与え、実務の中で行った作業と成果をレポートとして提出させることなどが有効です。
2つ目は、個別指導・個別育成を徹底することです。そうすることで教育効果がより高まります。事前に選抜試験の結果や360度診断・資質診断などを行い、育成対象者個別の特性や資質的な課題などを把握した上で、以降の育成課題の履歴を蓄積することにより、人材の見際めも可能になります。
また、経営層がメンターとして参画し、課題のフィードバックでコメントを付記することにより、本人の動機づけにつながり、より効果が大きなものとなっていきます。

育成プログラム終了後は、リーダー候補者に実践させるために、仮に適当なポジションがなくても現行のリーダーの下に置いて、リーダー経験を積ませていくという方法があります。

各社の育成後の登用についての対応はさまざまで、試行段階というケースが多いようです。本格的な次世代リーダーへの育成はまだ始まったばかりであり、効果的な登用を仕組みとして定着させるには、もう少し時間を要する状況にあると言えましょう。

育成プログラムの紹介

サクセッションプランの事例として、3年という長い期間をかけて取り組みを行っているケースをご紹介します。
長期間に渡る研修で次世代リーダーとなる人達の底上げと、能力向上を図っていくことを目的に置き、課長職相当の人達を対象にしている事例です。サクセッションプランを既存教育体系とは別に位置付け、長期的で一貫性のあるプログラムを組んでいるのが特徴です。

ポイントは、「事前課題→研修→事後課題」といったプロセスを通じた個別評価とフィードバックを徹底していることです。研修の中で行う演習での取り組み姿勢を評価する一方、個別にフィードバックを行います。研修ごとに事後課題を出し、さらに年次の総合課題も出していくことで、次世代リーダーとしての能力向上を図っていきます。
場合によっては研修期間中に個別のスキル課題に対して手を打つために、各人の弱点補強を別途行うことも実施しています。長期間に渡る研修だからこそ、こうした対応が可能となります。
このようにして、個別の評価や指導の履歴は蓄積され、3年間を通じて成長の記録、そして終了時点での課題の成果として、まとめてフィードバックされます。成長のプロセスや課題への対応が具体的に記されているので、これは本人はもちろんのこと、経営層や人事部門にとっても、今後のリーダーとしての育成や配置を考えるための貴重な情報となります。

サクセッションプランを成功させるカギ

サクセッションプランを成功させるためには、以下のような点がポイントとなります。

サクセッションプランは単独で行うというよりも、他の制度・施策と連動して異動・配置や育成策に反映されることでシナジー効果が生まれます。
社内にオープンにされることなく一部の人たちのみが知る中で運用したり、誰もが候補者に選ばれる可能性があると謳いながら実際には特定のポジションの人が選抜の対象となるといった近視眼的な視点から導入したりすると、選抜されなかった人たちのモチベーションが低下することになります。また、人材の選抜にあたって、社内の力関係や人間関係に左右されるようなことがあると、サクセッションプランそのものに対する信頼性を欠くことになってしまいます。

ビジネスを取り巻く環境が大きく変化する中で、将来のことを予測することは難しいものです。サクセッションプランを成功させていくためには、育成と実践の双方の視点が重要となってきます。

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