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(情報掲載日:2013年3月21日)

どうする?どうなる!「ニッポンの人材」

2013年4月施行「改正高年齢者雇用安定法」の概要と企業の対応

VOL.15


急速な高齢化に対応し、高年齢者が意欲と能力に応じて働き続けることを目的とした「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正法(改正高齢法)が、2013年4月1日から施行されます。
その内容や変更点を整理するとともに、企業の対応策をご紹介します。

改正への経緯と改正の内容

少子高齢化が進む中で、高年齢者の就業意欲は非常に高くなっています。一方、厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられており、現行の雇用制度では60歳で定年に到達した場合、希望しても雇用が継続されず、無年金・無収入となる人が出てくる可能性があるため、雇用と年金の確実な接続を図る必要があります。こうしたことから、希望者全員について65歳までの雇用を確保する必要に迫られ、今回の改正が行われることになりました。

●現行法から変更となる内容

①継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

今回の改正における最も大きな事項は、継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みが廃止されたことです。
現行法第9条において、65歳未満の定年を定めている事業主に対しては、65歳までの雇用を確保するため、「定年の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)の導入が義務付けられていました。
その中で「継続雇用制度の導入」を選択した場合、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めれば、希望者全員を対象としないことも可能でした。今回の改正によりこの基準が廃止され、定年後も雇用されることを希望する者全員が継続雇用制度の対象となりました。

なお、法改正後も法定定年年齢の下限は原則60歳であり、高年齢者雇用確保措置の3つの選択肢から選べることに変更はありません。つまり、今回の改正は65歳への定年引き上げの義務化ということではないのです。

②継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大

継続雇用制度に関しては、継続雇用制度の対象となる「高年齢者が雇用される企業の範囲を拡大する仕組み」が設けられました。現行では継続雇用として雇用される会社は、定年を迎えた会社および子会社までと解されていましたが、改正後はグループ企業まで範囲が拡大されることになります。グループ企業は「特殊関係事業主」と言いますが、拡大後の範囲は「子会社」「親会社」「親会社の子会社(同一の親会社を持つ子会社間)」「関連会社」「親会社の関連会社」の5つです。
また、特殊関係事業主の中で継続雇用する際には、現在の事業主は新たな雇用先となる事業主に対して、対象となる高年齢者を引き続き雇用するという契約を結ぶことが求められています。

継続雇用制度の対象者を限定する基準を廃止すると、就労を希望する高年齢労働者が増加していく可能性があります。同一企業の中だけで雇用を確保するには限界があるため、継続雇用における雇用確保先の対象を拡大しなければなりません。そのため、事業主として責任を果たしているといえる範囲(特殊関係事業主)において、継続雇用制度の対象となる範囲を拡大する仕組みが設けられたのです。

●新たに追加となる内容

③義務違反の企業に対する公表規定の導入

高年齢者の雇用に関して、未だに雇用確保措置を実施していない企業も存在しています。今後、全ての企業で確実に措置が徹底されるよう、指導、勧告に従わない企業に対しては、企業名が公表されます。

④高年齢者雇用確保措置の実施および運用に関する指針の策定

対象者基準の廃止後の「継続雇用制度」の円滑な運用ができるよう、労使双方に分かりやすく示すため、事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施および運用に関する「独立した指針」を定めました。

⑤その他

現行法第9条2項に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準を設けている企業では、老齢厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢に到達した以降の者を対象に、その基準を引き続き利用できる12年間の経過措置を設けることになりました。
これまで継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みを利用していた企業においては、法改正に伴い、継続雇用制度の対象者を希望者全員にする必要があります。この経過措置は、企業内において混乱を起こさず円滑な運用を行えるよう、制度を整備する必要があることから設けられたものです。

改正高齢法に向けての状況

改正高齢法の施行に向けて、現在企業はどのような状況にあるのでしょうか。2012年12月に労務行政研究所が実施した「改正高年齢者雇用安定法への企業の対応アンケート」(※1)から、そのポイントをご紹介します。

●定年到達後の継続雇用制度の形態

定年を定めている企業に対して、継続雇用制度を有している企業がどのような制度を導入しているかを聞いてみると、「再雇用制度」と回答した企業が96.4%に上り、大多数を占めています。それに対して、「再雇用制度と勤務延長制度の両方を設けている」は2.9%にとどまっています。
継続雇用にあたっては、ほとんどの企業で定年でいったん退職させ、退職後に新たな雇用形態・労働条件で雇用契約を締結して「再雇用」する仕組みを採用していることが分かります。

●改正高齢法への対応〜継続雇用制度の対象者を限定する基準の有無

継続雇用制度の対象者を限定する基準の有無については、心身の故障、就業規則上の解雇または退職事由に当たるもの以外の「『労使協定により限定する基準』を設けている」が85.5%に達しています。一方、もともと設けていない」は10.9%と1割程度でした。今回の法改正に伴い、希望者全員を継続雇用制度の対象とする措置を講じる必要のある企業が多いことが分かります。

●制度改定の方向性

法改正により、企業ではさまざまな制度の改定が求められることになります。そこで、今後の制度改定の方向性について聞いたところ、「今後のコスト増を抑えるため、給与水準の見直しを図る」が50.0%で最も多くなっています。次いで、「再雇用者が担当する役割・職務の大きさの違いに合わせて納得感のある処遇を実現する」 が38.5%となっており、「定年到達前社員の処遇とのバランス・公平性に配慮して見直しを図る」「再雇用者のやる気を高めるため、よりメリハリある処遇を実現する」がそれぞれ34.6%と続いています。
今後、雇用確保措置として継続雇用制度を導入する場合には、希望者全員を対象としなければならないことから、再雇用後の人件費を下げたり、定年前の職務、働きぶりと給与とのバランスを見直したりする動きがあるようです。
その他さまざまな再雇用ニーズを受けて、短時間勤務を前提とする時給制の導入を検討する企業や再雇用後の処遇に働きぶりが反映されないことによる高年齢者のモチベーション低下に配慮して、評価制度を導入して賃金や賞与に反映していくといった企業もあるなど、さまざまな対応を模索しているようです。

※1労務行政研究所 改正高年齢者雇用安定法への企業の対応アンケート(2012年12月)
http://files.value-press.com/data/2076_1_rgxshUxiWV.pdf

改正高齢法への対応例

では法改正に向けて、企業はどのような課題を持ち、対応をしているのでしょうか。いくつかのケースをご紹介します。

【大手サービスA社】

【大手メーカーB社】

【大手メーカーC社】

【中堅メーカーD社】

少子高齢化の進展により、今後日本の労働力人口は先細っていきます。そのため、高年齢者の労働参加なしに、経済成長を維持していくのは難しい状況となっています。何より経験と能力を活かし、働き続けたいと思っている高年齢者は少なくありません。また、働く意思と能力のある人に長く現役にとどまってもらえれば、年金制度の安定的な運用にも大きく貢献していくことでしょう。
高年齢者を有効活用していくための対策を今後も検討していく必要があります。

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