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(情報掲載日:2019年10月10日)


「損益計算書」や「貸借対照表」といった言葉を目にする機会はあっても、会計の専門用語だから難しそう…と敬遠してしまう人は少なくありません。ところが、簡単な基本だけでも知っておくと、資料やレポートの見方が広がり、理解も深まります。会社や組織の活動の一つの表現形である会計について、初心者向きの基礎知識をご紹介します。

●なぜ会計が必要なのか

会計とは、企業や各種組織が行っている営業・宣伝・製造などのさまざまな経済活動の際に生じる金銭や物品の出入りを、貨幣単位の数字で記録・管理して、決算書などを作成すること、またはそのプロセスのことです。企業のありのままの姿が数字で表現されるため、「儲かっているかどうか」を示す収益性や、「お金のやりくりが楽かどうか」を示す健全性を、客観的・総合的に判断することができます。
一年間の記録を毎年まとめることを「決算」と言い、その際に作成するのが「財務諸表(決算書)」です。これは、会社の活動をまとめた年間レポートのようなもので、会社の通信簿とも言われています。

財務諸表は、今のままの戦略や方針で良いかを見極めたり、適切な経営判断をするために必要な情報です。社外的には、取引先、金融機関、株主などのステークホルダー(利害関係者)に対して、企業の経営状態を知らせる重要な情報になります。その企業に投資した資本がどのように運用され、どれだけの利益を生んだか、今後も取引するにふさわしいか、といったことを判断する材料になるためです。
財務諸表の基本だけでも知っておくとビジネスの大まかな仕組みが把握できるようになるため、仕事に役立ちます。例えば、「どんな規模のビジネスをしているのか」「どこが強みなのか」と企業を見ることができたり、「どれぐらい貢献をしているのか」「どこに影響しているのか」と自分の仕事との関連を捉えることができます。また、「どんな予算で臨めばいいのか」「経費のバランスをどう取れば良いのか」というマネジメント力も磨けます。

上場企業には金融商品取引法により財務諸表を公表する義務 があるため、HPやアニュアルレポート(年次報告書)に掲載されています。

●財務三表とは

企業の活動は、お金を集める「財務活動」、集めたお金で投資をする「投資活動」、投資によって利益を生み出す「営業活動」の3つに大きく分類できます。財務諸表とは、これら3つの活動をまとめたものです。中でも重要なものが「財務三表」と呼ばれる、「損益計算書(PL:Profit and Loss Statement)」「貸借対照表(BS:Balance sheet)」「キャッシュフロー計算書(CF:cash flow statement)」の3つになります。

主に「営業活動」を説明するものが損益計算書(PL)で、売上や費用などの数字によって収益性を表します。主に「財務活動」を説明するものが貸借対照表(BS)で、保有している金銭や物品などの数字によって健全性を表します。3つの活動を説明するものがキャッシュ・フロー計算書(CF)で、現金の出入りの数字によって細かな実態を表します。
キャッシュ・フロー計算書は、小遣い帳や家計簿のようなものですが、損益計算書と貸借対照表は、読み解きが難しいと一般的には言われています。

●損益計算書の簡単解説

損益計算書とは、企業はどれだけお金を稼いで(収益)、どれだけお金を使って(費用)、いくら残っているのか(利益)、がわかるものです。つまり、企業が営業活動を行なった結果、いくら儲けたのかをまとめたものです。「利益」=「収益」−「費用」という関係がありますが、費用をどこまで差し引くかによって、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」という4種類の利益が算出されます。

「売上総利益」とは、商品やサービスそのものが生んだ利益のことで、粗利とも言われます。営業活動から得られる収益(売上高)から、商品やサービスを生み出すために必要な仕入原価、製造原価、材料費などの費用(売上原価)を差し引いたもので、次の式で表されます。

「売上総利益」=「売上高」−「売上原価」


「営業利益」とは、企業の営業活動の利益のことです。「売上総利益」から、販売活動や人件費、広告宣伝費、交通費などの管理活動において発生する費用(販管費)を差し引いたもので、次の式で表されます。

「営業利益」=「売上総利益」−「販管費」


「経常利益」とは、営業活動以外も含めた企業の総合的な利益のことです。「営業利益」に、受取利息、支払利息、為替差益など、本業以外で発生する利益と費用(営業外損益)を加算したもので、次の式で表されます。

「経常利益」=「営業利益」+「営業外損益(営業外収益−営業外費用)」


「当期純利益」とは、企業の最終的な利益のことで、これが株主配当や内部留保に充てられます。「経常利益」に、土地や建物などの売却、災害による修繕など、一時的に発生した利益と損失(特別損益)を加算し、法人税や事業税などの社会的なコスト(税金)を差し引いたもので、次の式で表されます。

「当期純利益」=「経常利益」+「特別損益(特別利益−特別損失)」−「税金」


例えば、次のような費用が発生したコーヒー店があるとします。
コーヒー店の売上高は500万円。
コーヒー豆やミルクなどの材料費は100万円。
コーヒー店で働くスタッフの人件費は200万円。
コーヒー店の開業にあたっての銀行への支払利息は10万円。
コーヒー店の利益に応じた税金は20万円。
この場合の4種類の利益を計算すると、次のようになります。
「売上総利益」=売上高(500万円)−売上原価(100万円)=400万円。
「営業利益」=売上総利益(400万円)−販管費(200万円)=200万円。
「経常利益」=営業利益(200万)+営業外損益(−10万円)=190万円。
「当期純利益」=経常利益190万円+特別損益(0円)−税金(20万円)=170万円。

●損益計算書のイメージ図(「利益」=「収益」−「費用」)


●損益計算書の読み方

損益計算書からは、「企業がどのようなお金の生み出し方をしているか」が分かります。例えば、売上総利益が企業Aは1000万円、企業B は500万円だとすると、企業Aの方が規模が大きく見えます。ところが、営業利益は企業Aは100万円、企業B は200万円だとすると、利益の多さが逆になります。企業B は企業Aよりも少ない販管費を使って、多い営業利益を生み出していると言えます。
さらに経常利益が、企業Aは50万円、企業B は10万円だとすると、再び利益の多さが逆転します。企業A は企業Bよりも、営業外損益が少ないため、多い経常利益を生み出していると言えます。

損益計算書から収益性を判断するときに、重視される一つが売上高経常利益率で、企業の経営効率や儲ける力が分かります。これは次の式で算出され、数値が高いほど収益性に優れていると判断できます。一般的には4%以上であれば優良企業だと考えられています。

「売上高経常利益率(%)」=「経常利益」÷「売上高」×100


●貸借対照表に見られる用語

貸借対照表とは、企業がどんな財産(資産)を持っていて、その財産の元になるお金(負債・純資産)はどうやって集めてきたか、がわかるものです。つまり、企業が持っている資産がどれだけあり、第三者の物と企業自身の物がそれぞれいくらあるかをまとめたものです。「資産」=「負債」+「純資産」という関係があります。

「資産」とは、企業が事業を行うために持っている財産のことです。1年以内に資金化が予定されている流動資産(現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券、商品や原材料など)と、1年以内に資金化が予定されていない固定資産(土地建物や機械・車両、特許権や商標権などの知的所有権、有価証券など)に大きくは分類されます。

「負債」とは、第三者に対して将来の返済義務がある債務のことで、他人資本とも呼びます。1年以内に支払期限がある流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金、未払金など)と、1年を超えた将来に支払う義務のある固定負債(社債、長期借入金など)に分類されます。

「純資産」とは、企業が持っている現金 や物品などの資産のことで、自己資本とも呼びます。株主資本(株主から集めた資本金、次期以降の事業資本に繰り越す利益剰余金)と、株主資本以外(有価証券評価差額金・新株予約権など)に分類されます。

例えば、次のようなオフィスがあるとします。
オフィス内には、パソコン、エアコン、デスク、金庫内に現金があります。パソコンは金庫内のお金を使って購入、エアコンやデスクは銀行から借り入れをして購入しました。パソコン、エアコン、デスク、金庫内の現金は全て「資産」ですが、次のように分類できます。
パソコン、金庫内の現金は「純資産」。
エアコンやデスクは「負債」。

●貸借対照表のイメージ図(「資産」=「負債」+「純資産」)


●貸借対照表の読み方

貸借対照表からは、「企業がどうやってお金を集め、それを何に使ったか」が分かります。例えば、資産が、企業Aは10億円(流動資産の現金が3億円、固定資産の土地建物が7億円)、企業B は5億円(流動資産の現金が3億円、固定資産の土地建物が2億円)だとすると、企業A の方が規模が大きく見えます。ところが、純資産が、企業Aは0億円、企業B は5億円だとすると、負債が、企業Aは10億円、企業B は0円ということになります。企業Aは他人から集めたお金(借金)で、現金と土地建物を保有していることが分かり、企業Bの方が安定した経営基盤にあることが分かります。

貸借対照表から健全性を見るときに、重視される一つが自己資本比率で、事業拡大に欠かせない資金力が分かります。これは次の式で算出され、数値が高いほど健全性に優れた経営をしていると判断できます。一般的には、50%以上であれば優良企業だと考えられています。

「自己資本比率(%)」= 「純資産(自己資本)」 ÷ 「資産」 × 100

お金はどこから集められて、それがどのように使われて、何を生み出すのか、といった視点から眺めてみると、自分の仕事や世の中のいろんなビジネスへの新たな関心や興味が生まれます。身近なデータを見るところから、会計の世界をのぞいてみませんか。

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