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(情報掲載日:2019年6月10日)

いまを勝ち抜く人間力

テクノロジーの急速な進歩やグローバル化によって社会環境が大きく変化する中、答えのない問題を考えたり課題自体を見つけ出すといった姿勢がいっそう求められています。そこで、批判的・懐疑的に物事や事象を見つめるというクリティカル・シンキングが重視されています。2016年のダボス会議でも「2020年に必要なビジネススキル」の第2位にランキングされました。世界的に注目されているこの思考法を紹介します。

●鵜呑みにせずに疑問を持つ

クリティカル・シンキングは「批判的思考」と直訳されます。単に否定したり反対したりするという考え方ではなく、見聞きしたことを鵜呑みせずに客観的な視点に立って、物事や事象が「本当に正しいのか」と疑問を持って検証していく思考法です。批判的・懐疑的に問うことで十分な考察ができるため、より納得のいく結論に到達できます。

例えば、「缶コーヒーの売り上げが昨年より伸びているため、新しいコーヒーを発売しよう」という話に対して批判的・懐疑的に問うと、「コーヒーよりも紅茶の売り上げの伸びの方が大きいのではないか?」「キャンペーンの実施によって売り上げの伸びが大きくなったのではないか?」「他社に比べてコーヒーの売り上げの伸びが大きいと言えるのか?」といった疑問が湧いてきます。
この疑問を起点にすると、「新しく発売するのは紅茶としてはどうか?」「新たなキャンペーンを考えた方がいいのではないか?」「他社の売り上げの伸びの要因をふまえてから検討してはどうか?」と考えが展開されていき、より納得性の高い最適な結論にたどり着けます。

クリティカル・シンキングは、相手の意見だけではなく自分自身の考えに対しても効果的といえます。頭の中をきっちりと整頓したうえで自信を持って提案・判断できるようになるためです。

●ロジカル・シンキングとの違い

ビジネスパーソンに必要不可欠な思考法として、ロジカル・シンキングがよく知られています(※)。クリティカル・シンキングとの違いは次のようになります。

ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングの比較



イメージ図(左:ロジカル・シンキング、右:クリティカル・シンキング)


ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングは、相反するものではありません。例えば、まずはロジカル・シンキングによって道筋を立てて答えを導き、その答えに対してクリティカル・シンキングによって疑問を持ち検証を進める、というように両者をうまく使いこなせば、より精度の高い結論や解決策を導き出せます。

※いまを勝ち抜く人間力 Vol.5「ロジカルシンキングで仕事の効率化を図る」
https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol5.html

●目的は何かを常に意識する

クリティカル・シンキングを取り入れるにあたっては、3つの基本的な姿勢を頭に入れておくと実践しやすくなります。

1つめは「本来の目的を忘れないこと」です。目的を見失うと、課題の一部だけに注目したり、課題から外れたところを検討するなどして、全体的な解決に結びつきにくくなります。議論が行ったり来たりしてしまう可能性もあります。
大事なのは表面的な解決ではなく、根本的な解決です。「そもそも何のために考えるのか」「本当の目的は違うところにあるのでは」と、考えを進める時に常に目的という原点に立ち戻ってみる、課題のゴールは何かをしっかり定めてみるようにします。

例えば、次のように考えます。



●思考の癖を前提にする

2つめは「自他の思考や前提にある偏りを頭に入れること」です。思考の偏りを認識しておかなければ、議論がかみ合わなかったり、狭い範囲にだけ通用する解決策にとどまってしまいかねません。
思考のベースに据えたいものは推論よりも、根拠となる確かな事実です。人にはそれぞれ思い込みや偏見、大事にしている価値観、暗黙のルールなどがあるものだと認識したうえで、それに囚われずに「この考え方でいいのか」「別の視点はないか」と客観的に把握するようにします。
また、相手の批判や自己の正当化にならないように、相手との対話を通じて自分にはない視点を取り入れたり、お互いの違いを受け止めながら建設的に考えを高めていくことが大切です。

例えば、次のように考えます。



●問い続ける

3つめは「疑問を持ち続けること」です。何らかの結論に達したと思って、そこで思考を止めてしまうと、思わぬ問題を見落としたり、最適なアイデアを見過ごしてしまいます。
心がけたいのは、疑問が出なくなるまで問いを続けて思考を停止させないことです。本質を探り出すことにつながる「So what?」(だから何なのか?)、因果関係の確認につながる「Why?」(なぜ?)、誤解や誤認の解消につながる「True?」(本当に?)という、3つの角度からのクエスチョンを常に持つようにします。

例えば、次のように考えます。



●3つの姿勢から得られる力

クリティカル・シンキングの基本となる3つの姿勢を持ち続けると、ビジネスで役立つ力も同時に磨かれていきます。

1つめの「本来の目的を忘れないこと」によって、間違った道に進みかけたとしても、その間違いに早めに気づいて方向転換ができます。目的に適した道をその都度選び抜いて軌道修正していくうちに、課題や状況の本質を見抜く力が鍛えられていきます。遠回りや寄り道が減るため、時間や労力のロスも改善でき生産性が向上します。

2つめの「自他の思考や前提にある偏りを頭に入れること」によって、物事や事象に見られる矛盾点や隔たりなど、認識の調整が必要な部分や未然に防げるリスクに気づくことができます。そこを意識していくうちに、新たな方法や別の課題を見つけ出す力が伸びていきます。相手の考えや価値観の理解に努めるため、コミュニケーション力も上達します。

3つめの「疑問を持ち続けること」によって、意外な発見を見つけたり、いままで見えていなかったテーマや思わぬイノベーションが見つかる可能性が高まります。多面的に問うことが習慣化されていくにつれ、物事を深く掘り下げて考える力が培われていきます。議論の際にも、適切な質問や手がかりを投げかけることができます。

●今の時代に必要なビジネススキル

2016年に開かれた世界経済フォーラムのダボス会議で「2020年に必要なビジネススキル」の第2位にランキングされたように、クリティカル・シンキングは特に今の時代に求められ、世界的に注目されていることが分かります。イノベーションや改革につながる発想、仕事の能率や生産性向上にプラスに作用するスキルといえます。
例えば、変化の激しいビジネス環境下では、前提となる条件、過去の経験や手法が通用するとは限りません。従来のやり方や考え方に固執せずに、新たな解決策やテーマを見つけ出していくことが重要となり、「本当にこの論理は正しいか」「そもそも考えるべき課題は何か」という視点に立つ思考法が求められています。
また、情報過多の社会環境の中では、情報の量が多くスピードが速いため、一つひとつの物事を深く考察できる時間が不足して、表面的な情報の受け止めに終止しかねないと考えられます。そのため、「この情報は何を意味しているのか」「データの捉え方はこれでいいのか」という視点に立つ思考法が求められています。

クリティカル・シンキングの基本となる3つの姿勢を意識して、批判的・懐疑的に問いかける視点を日頃から持つように意識すると、自分の考えや情報が整理されて深みや広がりが出てくるようになります。より充実した仕事につながる思考法を取り入れてみませんか。

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