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(情報掲載日:2018年9月10日)


医療技術などの進歩によって平均寿命が長くなり、100年という長い期間で人生を捉える新しい考え方が提唱されるようになりました。人生100年の時代を迎えるにあたり、私たちは働き方や余暇の過ごし方についてどんな意識を持ち、どのような準備をすると良いのでしょうか。そのためのヒントをご紹介します。

●平均寿命と健康寿命の延び

1950年に男性58.0歳、女性61.5歳だった日本人の平均寿命は、2010年には男性79.55歳、女性86.3歳となり、それぞれ20歳以上も延びました。その50年後の2060年には男性84.66歳、女性91.06歳になると予想されています(※1)。「平均寿命マイナス10歳前後」で推移している健康寿命(※2)も、医薬品・検査・治療法の進歩や健康づくりのための情報提供の増加によって、平均寿命に近づいていくと考えられます。

健康寿命の延びは、定年後に健康的に活動できる人生が長くなることを意味します。いっぽう、労働人口が減少傾向にあるため、今後は定年が延長されたり定年という考え方自体がなくなる可能性は否定できません。すると、従来の一般的な人生モデルである「学校で勉強する学習期間約20年→社会人として働く就業期間約40年→定年後の余生を過ごす老後期間約20年」という流れ・バランスも変化し、多様化していくことになります。


(内閣府「平成29年版高齢社会白書」内「平均寿命の推移と将来推計」をもとに作成)

●マルチな人生のステージ

従来の一般的な人生モデルでの働き方を「横軸=時間」「縦軸=仕事のスキル」としたグラフで単純にイメージ化すると、直線的な右肩上がりのラインで表すことができます。時間が経過すれば仕事のスキルも増えることを示す、比例のグラフです。

人生100年時代での働き方をイメージ化すると、曲線的な山カーブと谷カーブを繰り返しながら右肩上がりになるラインで表されます。時間と仕事のスキルの関係は比例するとは限りません。急に上昇したり緩く降下したりするカーブのラインが示すのは、時にたくさん吸収して成長する、時にアクセルを弱めて力を蓄える、時に次の目標を模索する、といった働き方の柔軟性です。年齢や家族や仕事のその時々の状況に応じて、前に進むだけではなく、振り返ってみる時期、立ち止まってみる時期、充電する時期などを自由に切り替えることができ、それぞれの時期の長さやスピードも自由です。
一つの仕事に専念するのではなく、生涯に複数のキャリアを持つ人生も、より実現しやすくなります。例えば、就業した後に学校で学び直してから新たな仕事に就く、期間を区切って仕事を変えていく、同時にいくつかの仕事を兼ねる、というものです。ある道でプロフェショナルになりそれを極めるだけではなく、別のプロフェッショナルの道に踏み出してみたり、異業種や異職種を経験してみるなど、キャリアの範囲を広げられます。

人生100年時代の人生モデルは多種多様になり、仕事・働き方のパターンは増えていきます。そのぶん、自分の能力を開花させたり促進させる機会も得やすくなります。

※1:内閣府「平成29年版高齢社会白書 “1 高齢化の現状と将来像”」
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_1_1.html
※2:内閣府男女共同参画局「平均寿命と健康寿命の推移(男女別)」
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-04-01.html

●仕事・働き方のポイント

人生100年時代の仕事・働き方には2つの大きな特徴があります。
ひとつは「チェンジしやすい」ことです。転職する、副業的に仕事を兼ねる、起業する、休職・復職する、など仕事・働き方を変えやすくなります。勤務時間や雇用形態、自宅勤務やサテライトオフィスなどの勤務場所が選べるといった、切り替えが可能になる制度を備えた企業も増えると考えられます。すると、方向転換や軌道修正、リセットがしやすくなり、初心に立ち返る、心機一転するなど、モチベーションの活性化が図りやすくなるといえます。
もうひとつは「チャレンジしやすい」ことです。夢を追いかける、別の分野に取り組むなど、新しい仕事・働き方に挑戦しやすくなります。もう一度挑む、諦めていた仕事に取り組む、といったチャンスも増えます。すると、自分のスキルや可能性を広げたり深めたり、潜在能力を掘り起こせるため、自己成長しやすくなるといえます。

これら2つの特徴により、「今さら」「もう遅い」という思考が減り、経歴や年齢を考えずに積極的になれると考えられます。さまざまな状況に向き合うために、決断力、適応力、応用力も養われていきます。

人生100年時代を見据えた社会の実現を目指し、政府は2017年9月に有識者を集めて「人生100年時代構想会議」を開催しました。会議は引き続き行われており、キャリア形成や教育への投資に関する議論が交わされています。また、個々の人生の再設計が可能な社会の実現に向けた仕組みづくりが進められており、長いスパンを想定した働きやすい環境が整備されていくと考えられます。

●生活・過ごし方のポイント

人生に占める余暇の時間が増えるため、人生100年時代の生活・過ごし方には、2つの大きな特徴があります。
ひとつは「長期的に考えられる」ことです。じっくり趣味に打ち込める、家族といくつもの計画が立てられるなど、何かに深く取り組んだたり、好奇心の赴くままにさまざまな生活・過ごし方を楽しめます。
もうひとつは「つながりが増やせる」ことです。遠くに住む知人や親戚など、疎遠になりがちな人たちとの時間を取りやすくなります。また、趣味サークル、子供の学校などのコミュニティとの関わりも持ちやすくなります。
これら2つの特徴により、「忙しいから」「また今度」という思考が減り、余暇の時間に対して意欲的になれると考えられます。仕事とは異なる人たちと接する場に身を置く機会が多くなると、今まで気づかなかったような自分の個性や資質が引き出されたり、自分を客観視できるメタ認知能力(※3)やコミュニケーション力も磨かれます。

「仕事・働き方」と「生活・過ごし方」のバランスもより多様化していきます。例えば、パートタイムや在宅勤務で働いて余暇をより充実させる、仕事量をセーブして地域活動やボランティア活動を通じ社会に貢献する、フルタイム勤務でキャリア磨きに集中する、休職して大学や専門学校に通い知識を吸収するなど、その時々の自分の状況に応じてバランスを選び、複数のパターンを経験することができます。

※3:「メタ認知能力を高めよう」
https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol57.html

●変化や多様性を楽しむ

イノベーションやグローバル化により変化が激しい時代の流れを考えると、人生100年という長い期間に変化はつきものです。

そこで大切にしたいことが「新しさへの寛容」です。自分の経験や培ったスキルに満足せずに、新しいものへの興味を持ち続け、必要に応じて自ら変わることを厭わない姿勢を指します。すると、自分が求めていることに役立つ情報や意外な発見が得られる可能性が高まります。
「成功体験の封印」も大切です。既存の成功モデルだけでは通用しなくなり、斬新な創出力やシステムがより重視されるようになるためです。異なる方法・手段など、よりよい何かがまだあると、いつでも頭に思い描けるようなしなやかさを持つことは、未来の成功を手繰り寄せる力になります。
協働や連携など、多様な人々とのチームワークが求められる場が増えていくため、「非日常的な出会い」も大切です。普段の仕事では関わりのない人や異なるキャリアを持つ人など、自分の日常的環境の外にいる人とのコミュニケーションによって、違う人生、働き方を知ることは刺激となり、自分自身を突き動かす原動力になります。

●いつでも学んでみる

「人生100年時代構想会議」では、リカレント教育の拡充やそれによる人材採用の多元化についても言及されています。リカレント教育とは、教育と就労を交互に行うこと、学び直しを意味します。AI、IoTなどの進化によって新たに創り出される仕事・変化する仕事を担うためにも、リカレント教育は重要です。

学び直しにあたっては、「目的を意識する」ことがポイントになります。仕事の周辺や世の中に見られる課題、これからニーズが生じると予想されるテーマを意識すると、学びたいことが絞り込みやすく、強いモチベーションにもなります。充実した人生をデザインするためという、自分に重心を置いた目的も自分らしさを発揮するためには重要です。
もうひとつのポイントは、「学び(動)と休息(静)のバランスを取る」ことです。人生100年という長距離走の中で学び続けていると、学びがストレスに感じられてしまう時もあるかもしれません。ある程度走った後には休息も必要です。休息を取ってエネルギー回復を待ち、そこまでを振り返って走法や別ルートを考えてみる、といった自分を客観視する時間を待つことは、学び直しの効率を高めます。

人生100年時代は、まだ誰も経験していない未知の世界ですが、働き方をより自由に変えていくことができ、人生をより豊かに送るためのチャンスが広がっている時代になると考えられます。そんな中でどんな自分の未来図を描いていくのか、想像しながら新しい一歩を踏み出してみませんか。

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