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(情報掲載日:2016年7月11日)

いまを勝ち抜く人間力

アフォーダンスを活用する

vol.54

モノの形や色や感触といったさまざまな要素が、人の言動や感情に無意識のうちに影響を与えているというアフォーダンス理論をご存知でしょうか。30年程前から広く知られるようになり、モノのデザインや操作性、企業の販促活動やコミュニケーションにも活用されています。アフォーダンスの考え方、活用法をご紹介します。

モノが人に自然に働きかけてくる力

●アフォーダンスとは何か

アフォーダンスとは、アメリカの心理学者が提唱した概念で、「afford」(生ずる、与える)と「ance」(行動・状態などを示す語尾)の造語です。身の回りにある全てのモノにある形や色や感触などの要素が、人の言動や感情に影響し自然に働きかけるという考えで、「モノはアフォーダンスを持っている」と言い換えることができます。

例えば、広場の真ん中に、背もたれの付いた長椅子と付いていない長椅子が置いてある時、人はどのように座るでしょうか。背もたれ付きには全員が同じ方向を向いて座りますが、背もたれなしにはさまざまな方向に向かって座ります。この現象が示しているのは、背もたれは座る方向を導くアフォーダンスを持っている、ということです。このように、アフォーダンスを持つモノによって、人は無意識的にある行動に誘われています。

経済産業省がまとめた「分野横断型科学技術アカデミック・ロードマップ報告書」(平成20年度)の中にも、アフォーダンスを利用した操作性の高い人工物の研究を今後も進めていくべきことが言及されており、ますます活用が進むと考えられます。既に、人工知能、ロボット、介護などの分野での開発にアフォーダンスは活かされています。

捨てるポイント

生活空間・仕事空間に見られる活用例


●フタや食器類のデザインに注目

飲料のボトルや食品の容器のフタには、細かなギザギザが刻まれたもの、つまみの付いたものがあります。これらは、説明なしに簡単に開けられるようにするためのアフォーダンスをフタの形状が持っている、と言えます。淵に切れ込みやギザギザがある袋も同様で、そこから破ると開封しやすいことを誘導しています。また、指の膨らみに合わせたなだらかな凹凸の形がついている食器類や乗り物のハンドルも、アフォーダンスを持ったデザインです。手を添える時に自然に凹凸に合わせようとする動きから、適した握り方を導かれていることが分かります。

店の空間作りにもアフォーダンスが見られます。赤札の付いた商品を入口付近に置いて立ち寄らせる、レジ近くに手に取りやすい比較的安価なものを置いてついでの購入を促す、という効果を狙った商品配置にも活用されています。最近は、見た目がユニークな料理や場づくりが重視されている傾向が見られます。これは、思わず写真に撮りたくなるというアフォーダンスを利用して、SNS投稿による宣伝効果を考えた現象だと言われています。

●パソコンやスマートフォンに注目

パソコンやスマートフォンなどのユーザインターフェース(操作性)にもアフォーダンスが採用されています。例えば、サイトの画面上では、カーソルが乗ると色が変わったりポップアップが出る箇所があります。これは、その先に隠れている情報にアクセスさせやすくするための、クリックを喚起するデザインです。インターネットの画面上の広告に動画が使われているとその部分に目がいくことも、写真の横に虫眼鏡マークがあるとそこをクリックして拡大して見たくなることも、アフォーダンスによるものです。

オフィスでの活かし方

●アフォーダンスの活用法

アフォーダンスは、やる気や行動力を引き出す働きかけとして仕事に活用できます。例えば、タスクは頭の中に入れておくのではなく視覚化した方が行動力が促されるために、スケジュール帳やTO DOリストを使います。一日の予定やタスクを記入するだけではなく、それらを一つ一つ終えるごとに線で消したりチェックを入れて、今の状況が見えるようにします。終えたタスクの達成感が味わえると同時に、まだ視覚の中に残っている手付かずのタスクを早く減らしたくなる気持ちが促されます。視覚化によるアフォーダンスがポイントになるため、手帳はすぐに手の届く範囲に置き、リストは目に留まりやすい場所に貼っておくと良いでしょう。

集中してプレゼンを聞いてもらうためにもアフォーダンスは活かせます。配布するレポートや資料の注目してもらいたい部分だけを、赤字にしたり書体を変えたり文字を大きくすると良いことは知られていますが、さらに、文章の間に四角い囲み線や、矢印の先にカッコで囲まれたスペースを設けておきます。空欄には、そこに何か書き込まなくてはいけない、話を聞いて記入すべき重要事項がある、という注意を喚起する効果があります。

会議やミーティングの場では、距離感によるアフォーダンスを効かせることができます。お互いの座る距離を離せば緊張感が高まり、近くに座る配置にすれば意見が出しやすくなるため、席の位置を工夫すれば、目的に合った話し合いがしやすくなります。また、ソファーのように椅子のクッション性が高ければ、リラックスできるため、本音を引き出しやすくなるアフォーダンスが働きます。

アフォーダンスに似た理論

●モノ以外が人に働きかけてくる力

モノが人に影響するアフォーダンスに対して、モノ以外が人に影響するという類似した理論があります。覚えておいて、仕事の場面に応じてうまく活用したいものです。

モノや人や思い込みなど自分以外の力を上手に取り込めば、まるでテコのように、自分の力をさらに発揮させたり高めることも可能です。アフォーダンスの理論を知って、仕事にも賢く活かしてみませんか。

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