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(情報掲載日:2014年12月10日)

いまを勝ち抜く人間力

薬膳や民間療法を活用した冬の健康法

VOL.35

寒くなると、風邪やインフルエンザで会社を休む人が増えてきます。また、冷え性の女性には辛い季節でもあります。体調を崩す前の予防策として、薬膳や伝統的な民間療法を活用した冬の健康法についてご紹介します。

薬膳で寒さに負けない体をつくる

●医食同源の考え方に基づく薬膳を採り入れる

忙しい年末に病気にかかって会社を休むことになると、スケジュールがずれ込むなどで周囲に影響が及ぶだけでなく、何より自分が辛いでしょう。この時期は病気にかからないように、とくに意識して予防に努めたいものです。
「医食同源」という言葉があるように、食物の中には薬と同じような医学的効果を発揮するものもあり、その働きを活用した健康法が薬膳です。薬膳とは中国古来の中医学理論に基づいた調理法による料理で、病気の予防や回復を目的にしています。季節に合った効用をもつ食物を選ぶことが特徴であり、春夏には体の熱を冷まして体力と気力を補う食物をとり、秋冬には体を温め気血の流れを良くして栄養を補う食物をとり、四季を通じてバランスのとれた体の状態を維持しようとする考え方です。「生き物は自然界の変化に沿った生き方をするのが良い」という中医学の思想が反映されています。
また、その人の体質に合わせて漢方薬の生薬が加えられるレシピもあります。百合の根、白キクラゲ、クコの実、松の実などは「食薬」とされ、薬膳では主にそのままの状態で用いられますが、乾燥などの加工を施したものは生薬の原料になります。生薬を加えるといっても少量で、「良薬は口に苦し」ではなく、おいしさと食べやすさを重視しています。


●冬季は熱性・温性食品をとる

中国の古代思想では、万物は木・火・土・金・水の5つの元素から成り、バランスをとりながら万事を動かしていると考えられています。これを五行思想といい、あらゆるものを5つの基本的な元素に分類する思想です。食と健康に関するものについては、下表のように五味、五臓、五性があり、五行と五時(5つの季節)と関連し合います。食物の働きを表す五性とは、摂取した際に体を温める性質の熱性および温性、体を冷やす性質の涼性と寒性、どちらにも該当しない平性の5つで、全ての食物はこの五性のどれかに分類されます。春と夏には寒性および涼性の食物を、秋と冬には温性または熱性の食物を中心にとれば、健康が増進されるという考え方です。平性の食物は穏やかな性質をもつので、顕著な作用はないとされます。

五行思想における季節、味、内臓、食物の機能の関連性
五行思想における季節、味、内臓、食物の機能の関連性

寒い冬には、熱性または温性の食品をとってからだを温めることにより体調を整え、味は「鹹(かん)」つまり塩辛いものを適度に食べることにより、腎臓の働きを高め、病気を防ぐことができると薬膳では考えられています。

冬季にとるとよい熱性・温性食品の例
冬季にとるとよい熱性・温性食品の例
東京栄養士薬膳研究会「薬膳の基礎知識」(※1)をもとに作成

●冷え性を改善する薬膳レシピ

冷え性に悩む人は、冬季はもちろん、夏季も熱性または温性の食品を取り入れると良さそうです。
冷え性の改善に良いとされる薬膳の代表的な料理は「栗子鶏」です。鶏肉は体力が弱ったときにエネルギーを補ってくれる食材であり、同じ温性食品の栗と相性が良いので、中華風の味付けの炒め煮にします。食薬の大棗(たいそう:干ナツメ)を水で戻して加えると、さらに健康効果が高まります。
また、熱性食品であるラム肉を上手に食卓にとり入れ、薬味に熱性・温性食品の唐辛子、ニンニク、ネギなどを添えれば、さらに効果がありそうです。


●風邪を引きにくくする薬膳レシピ

風邪の予防やのどの痛みなどの症状の改善には、ショウガがよく使われます。血行を良くし、お腹を温め、食欲増進の作用があるショウガは皮を剥かずに使うのがポイントです。千切りにして炊き込みご飯にすると、つんとくる辛みが緩和されて食べやすくなります。とくに新ショウガを使えば香りが高く、豊かな味わいになります。


※1 東京栄養士薬膳研究会「薬膳の基礎知識」
http://www.tokyoyakuzen.jp/kiso.html

民間療法に学ぶ冬の健康づくり

●日本古来の民間療法の特徴

日本に漢方や西洋医学が普及する前の病気の治療法は、僧侶や巫女などによる祈祷やまじない、さらに「お百度参り」のような信仰で病気平癒を祈る方法のほかに、薬と同じような効果のある食物を使う民間療法が代々受け継がれて来ました。民間療法は伝統的な民間伝承による治療法であり、さまざまな地域差があります。複数の生薬を組み合わせて使う漢方とは異なり、民間療法では野草、野菜、果物などの身近な食材から1種類を選んで薬のように使うことが一般的です。
食材を煎じて飲む、黒焼きにして熱湯を注いで飲む、すりおろしてしぼり汁にする、乾燥させてお茶にする、酒に漬け込んで薬酒にするといった服用のほか、湿布、貼り薬、薬湯にするなどの使い方もあります。


●からだを温める民間療法

食材を使わない民間療法もあり、からだを温め、風邪の予防になる乾布摩擦がその代表例です。乾いたタオルで全身をこするだけで、Tシャツなどを着た上からでも効果があります。こすっているうちに皮膚の表面が刺激されて血行が良くなり、脳の延髄から体のすみずみに行き渡っている迷走神経に適度な刺激を与えます。迷走神経には副交感神経、咽頭・喉頭・食道上部の運動神経、腺の分泌神経などがあります。このうち副交感神経は心身をリラックスさせる働きをもち、心身が緊張状態にあるときに働いている交感神経とともに自律神経と呼ばれます。冬の寒い日など気温と室内温に差がある時には、自律神経が働いて体温調節をしていますが、この機能がうまく働かなくなると、体に様々な障害をもたらすことになります。乾布摩擦による刺激は、自律神経の働きを高め、病気への抵抗力すなわち免疫力が高まると考えられます。


●日本古来の入浴法には意味がある

冬至の日の行事として知られる「ゆず湯」のように、果物の皮や薬草などを風呂に入れる薬湯が日本では古くから親しまれています。「ゆず湯に入れば風邪を引かない」と言われますが、これはゆずなどの柑橘類の皮に含まれるリモネンという成分が肌の表面に膜をつくり、水分の蒸発を抑え、湯冷めを防ぎ体温を保つ効果があるためです。また、柑橘系の香りには、精神を安定させるテルペノイドという成分が含まれており、ゆっくりと薬湯に浸かることによって、リラックス効果が得られ、体が芯まで温まります。さらに、ビタミンCの機能により、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が促進されることが期待できます。
ゆずは丸ごと湯舟に浮かべる方法が一般的ですが、ミカンは食べた後の皮を捨てないで干してから、布製の袋などに入れて浮かべます。


●快眠をもたらす民間療法

快眠をもたらし、疲労回復効果を高める民間療法としてよく使われるのが、タマネギです。刻んで皿に並べて枕元に置くと、タマネギに含まれる硫化アリルとグルコキニンの働きで、神経の高ぶりが鎮められ、眠気を誘います。寝る前にオニオンスープを飲むのも良いようです。
他にスープにして安眠効果が得られる素材としては、百合根、ニンニクがあります。お茶ではクルミをすりつぶして湯を注ぎ、砂糖を少量加えて作るクルミ茶が良いとされ、薬草酒では青ジソを干してホワイト・リカーに漬けた青ジソ酒が良いようです。

体調に異変を感じたときの早めの対処法

●喉の痛みを緩和するには

体調に異変を感じたら、早めに民間療法を採り入れることで、症状の緩和が期待できます。たとえば喉の痛みを緩和するには、大根、蓮根、ネギの白い部分をすりおろした汁に梅干しの実をつぶしたものと塩水を加え、一気に飲むと効果があるそうです。
咳を止め、たんを切るには、ネギの白い部分をすり下ろしたものにハチミツと水を加えて、とろ火で飴状になるまで煮詰めた「ネギ飴」や、梅干しを黒焼きにして黒砂糖を入れ、熱湯を注いでその上澄みを飲む「梅干しの黒焼き」などが代表的な民間療法として知られています。


●不快な鼻の症状を解消するには

鼻風邪には、蒸気浴が効果的と言われています。鼻水が出たり、鼻をかみすぎて鼻が痛むのは、鼻の粘膜が炎症を起こして過敏になっているからですが、鼻の中を温かい蒸気で潤すことで、症状が和らぎます。タオルを濡らし、ラップで包んで電子レンジで1分程度温めると手軽です。また、洗面器に熱湯を張り、顔を近づけて、湯気を吸っても良いようです。このとき、香りが好きな人は、ペパーミント、ユーカリ、ローズマリーなどのアロマオイルを数滴垂らして使うと、気分が良くなるでしょう。


●しつこい頭痛を和らげるには

頭痛の中には重大な病気の危険信号となるものもあるため、軽視はできませんが、風邪や疲労、二日酔い、精神的なストレスなどによる頭痛であれば、民間療法で症状の緩和を期待できる場合もあります。
昔から伝わる頭痛止めの代表例は、梅干しの湿布です。種を取った梅干しの果肉をこめかみに貼ると、効果が高いと言われています。
熱で頭痛を伴う場合は、ミントの清涼感と発汗作用が効果を発揮します。ミントティーを作って飲む、ミントの葉をもんでこめかみに貼る、市販のハッカ油をこめかみに塗るなどの方法があります。
薬膳にも使われるクコの実と乾燥させた菊の花、紹興酒を湯飲みに入れて20分間、鍋に張った湯の中で加熱して燗酒にする菊酒は、慢性的な頭痛の人にも効果があるそうです。

身近な食材などを使う薬膳と民間療法は、人間が本来もっている自然治癒力や免疫力を高める効果が期待でき、病気の予防や早期回復につながります。どちらも千年以上前から暮らしに採り入れられているもので、医薬品とちがって副作用がなく、安心して使えます。体調に異変を感じたときに対症療法的に使うだけでなく、健康な体をつくるために、日ごろから食生活の中にとり入れてみるのもいいでしょう。

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