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(情報掲載日:2012年3月21日)

いまを勝ち抜く人間力

「人間力」をアップさせる「映画」活用法

VOL.3

人としての魅力である「人間力」を高めていくには、たくさんの経験を積み、いろいろな体験をすることが必要です。しかし、短期間でさまざまな経験をするのは現実的には難しいことでしょう。その限界を補ってくれるのが「映画」です。登場人物が味わう感情や人生を疑似体験することができ、それに要する時間も2時間程度です。問題意識を持って映画を見ることで、実に多くの学びを与えてくれます。名作洋画の中から、お勧めの5本を紹介します。

アポロ13 「危機管理能力」を養うために

【ストーリー】
1969年、NASAは3人の宇宙飛行士を乗せたアポロ13号を打ち上げますが、目的地である月への接近中、想定外の事故が発生します。急遽、月到達の計画を断念し、3人は損傷した主船から月着陸用のモジュールに移りますが、電力不足による低温の中、地球に帰還する確率は10%以下の状況に置かれることになります。しかし、冷静な地上スタッフの工夫と適切な指示により、船内の二酸化炭素濃度の上昇を抑え何とか主船を修理し、無事に3人は地球への生還を果たします。知力を尽くした救出活動と限られた時間との戦いをスリリングに描き、宇宙開発史におけるエポックメイキングなエピソードを映画化した作品です。
(1995年公開、アメリカ、140分、監督:ロン・ハワード、主演:トム・ハンクス)

【学ぶポイント】

①リーダーとしての臨機応変な対応
宇宙船の船長である主人公が、リーダーとして求められる行動とはどういうことであるのかを、見事に演じています。プロジェクトの存亡に関わる重大な局面では、リーダーは自らの判断で行動を開始しなければならないこともあります。また、その全責任を持つ覚悟が必要です。この映画で起きたような絶体絶命の危機に直面した時、何よりリーダーは臨機応変な行動で次に取るべき対応を示して、部下の信頼を得なくてはなりません。
例えば、ロケットを合体させないと地球には戻れないような状況下、コンピューターが故障しており時間も無い中で主人公はやむなく計算尺を使い、手計算を行います。地球の管制センターのスタッフたちはそれを検算し、正しい事を確認、みごとに回答が導き出されました。これで主人公に対する信頼が、揺るぎのないものになっていきます。緊急時において、リーダーには素早い決断と臨機応変な対応が求められてきます。このような状況下でのリーダーの振る舞い方から、現実のビジネスにも通じる場面を数多く学ぶことができます。

②問題発生時における、組織マネジメントのあり方
宇宙飛行は、地上のスタッフとの協力体制がとても重要です。問題が起きた時に、組織としてどう対応していけばいいのか、この映画ではそうした組織マネジメントのあり方を学ぶことができます。事故があった後、地球の官制センターにいるそれぞれの分野の専門家がシミュレーションを繰り返し、意見を戦わせます。その際、指揮を執る主席管制官が「飛行士を無事に帰還させるために、何が使えるのかを考えろ」という問題解決の際の拠り所をメッセージとして発し続けます。置かれている立場が異なっても、立場を超えて共感できる原点に立ち返ったメッセージを一貫して言い続けたことで皆の気持ちが一つになり、解決策を生み出していくことができたのです。
この映画では、いろいろなマネジメントのあり様を目の当たりにすることができます。実際、アメリカのIT関連企業などでは、「アポロ13から学ぶITサービスマネジメント」と題したセミナーが、大きな人気を呼んでいます。

ブラス 「信頼関係」の大切さを学ぶために

【ストーリー】
1990年代半ば、イギリス・ヨークシャーの炭鉱町グリムリーでは、炭鉱の閉鎖を巡って会社と組合が激しく対立していました。そんな状況にありながら、炭鉱労働者による伝統的なブラスバンドは、自分自身も元炭鉱労働者である年老いた指揮者のリーダーシップの下、ロンドンでの大会を目指して練習に励んでいきます。しかし、次第に組合側の敗色が濃くなっていくと、メンバーたちの士気は下がり、練習に身が入らなくなります。そして、ついに廃坑が決定し、仕事を失った彼らの心はバラバラとなり、バンドも解散状態となっていきます。そのような失意のどん底の中から、病気で倒れた老指揮者のためにも、最後の演奏に自分たちの希望を託そうと、残されたメンバーは家族の反対を振り切って練習に没頭していきます。そして、ついに全国大会の決勝、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでの演奏の時を迎えます。魂を込めた彼らの演奏は、聴衆に絶賛されます。
(1996年公開、イギリス、107分、監督:マーク・ハーマン、主演:ピート・ボスルスウェイト)

【学ぶポイント】

①苦楽をともにした絆の大切さ
「現実は厳しいけれども、絶望的にはならずユーモアを持ちながら相手を思いやる心の大切さ」を、実話をベースにリアリティをもって描いています。1990年代、イギリスでは首相が経済再生のために大ナタを振るっていました。彼らの働く炭鉱も閉山に追い込まれ、生活は苦しくなっていき、将来への不安の中で皆の心は揺れ動いていきます。
そんな中で人々の取る行動はそれぞれ異なっていきます。自分の生活を最優先する者やあくまで組合活動を続けようとする者がいる一方、音楽活動に逃避する者や自堕落な生活に陥っていく者など、さまざまな人間模様が繰り広げられます。しかし、お互いの本音を言い合った後、最後は各自の選択した行動に対して、皆が笑顔で理解を示します。たとえ将来の道は違っても、同じ職場で働いた仲間の決定は尊重して助け合いをしていく。この一点については、全員が同じ思いを持っているのです。困難な状況に置かれながらも、ここでは苦楽をともにした絆の大切さを知ることができます。

②個性豊かなメンバーをまとめる一つのリーダー像
リーダーがチームをまとめ上げていく際に、参考となる映画です。バンドに全情熱を傾ける老齢のリーダー兼指揮者は、それぞれが事情を抱え、個性豊かなメンバーをなかなかまとめ切れていません。全英選手権で優勝することを夢見てメンバーに檄を飛ばしますが、「炭鉱があるうちはバンドをやるが、閉鎖になり次第辞める」と、メンバーから通告される始末です。さらに、長年炭鉱で働いていたために肺を患っており、ついには血を吐いて入院する羽目になってしまいます。
ところが、ここから皆が急速にまとまっていきます。その時々の状況で、自分の主義主張や行動を変容せざるを得ない人たちが多い中にあって、頑固一徹でどんな状況でも自分の信念を曲げない老指揮者のことを、最も信頼に足る人間であると、皆は父親のような存在として慕っていたのです。何よりも音楽に対して常に真摯な態度であり続け、実力があれば誰でもメンバーに加える懐の深さも持っています。この老指揮者のために決勝の舞台に進もうと、メンバー全員が心を一つにして、一気に音楽がまとまっていきます。そして、見事に優勝を果たすわけですが、表彰式の舞台に立った老指揮者は、国益のために犠牲となっている炭鉱夫に冷淡な世間に対し炭鉱閉山の問題への関心を向けさせるため、あえて受賞拒否の発言をします。その毅然たる口調と態度に、皆が驚きを隠さずにいられません。職人肌で、個性豊かなメンバーをまとめ上げていくのは難しいことですが、その際のリーダーの一つのあり方として参考となるキャラクターです。

善き人のためのソナタ 「自分の感情に従う」ことの大切さを知るために

【ストーリー】
ベルリンの壁の崩壊前の1984年、徹底した監視体制によって強固な共産主義を実現していた東ドイツ。国家保安省の大尉は、危険分子とされる作家の部屋の様子を盗聴する任務に当たることになりますが、盗聴器を通して知る自由や愛、音楽、文学に影響を受け、今まで知らなかった本当の自由と人間性に目覚めていきます。一方で、出世や世俗的な欲望に奔走する東ドイツの党幹部たち。今回の任務を通して、大尉は自分が拠り所としていた国家の醜い実態を思い知り、監視対象である作家をかばうために報告書に嘘を書きます。それが発覚し、大尉は左遷させられます。数年後、ベルリンの壁が崩壊し東ドイツの監視体制は公の下にさらされます。そこで盗聴した大尉の「善」による行動を知った作家は、彼のために「善き人のためのソナタ」という本を上梓しました。
(2006年公開、ドイツ、137分、監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク、主演:ウルリッヒ・ミューエ)

【学ぶポイント】

①周囲の環境に惑わされず、自分の良心に従う
心変わりした主人公の大尉が、自分の良心に従おうと決意する場面があります。毎日監視を続けていくうちに、冷徹なはずの監視官である大尉の内面に変化が生じてきます。ある時、盗聴器から流れてきた美しいピアノの音色に、強く心を動かされます。その曲が「善き人のためのソナタ」です。
愛し合っているはずの恋人同士、信じ合っているはずの家族や友人を相互不信に陥れ、絆を引き裂いてしまう監視国家の理不尽さ、そして非情さに気づいた主人公の心に、美しいソナタの音色が響いていきます。これにより本来人間が持っている「善」に目覚め、少しずつ変化していくのです。そしてベルリンの壁が崩壊した後、盗聴された側の作家が主人公の良心に感謝の気持ちを込めて、本を出版します。書店でその本を手にした主人公は作家の自分への謝辞を見て、「これは私のために書かれた本です」と店員に向かって誇らしげに語るシーンでこの映画は終わります。自分の良心に従って行動すれば、最後は報われるということを感じさせてくれます。

②人間的な感情が人を動かす
主人公が盗聴するさまざまな出来事を通して、自分の持っていた価値観とは全く違った世界があることを知り、行動が大きく変わっていきます。例えば、盗聴相手の作家に、恋人の裏切りを気づかせようと仕向ける場面があります。当然、嫉妬に苦しむかと主人公は思っていましたが、作家は恋人を責めることもなく、問い詰めもせず、ただ彼女のそばに寄り添うだけなのです。主人公は衝撃を受けました。
また、主人公が作家の部屋に忍び込むと、そこには本やペンが書斎机に雑然と置かれ、寝室のベッドは2人が朝起きたそのままになっています。無機質で何もない主人公の部屋とは、対照的な散らかった部屋です。「この部屋には人間がいて、人間の感情がある暮らしの匂いがする」。東ドイツでの生活とは全く違う世界に直に触れ、主人公は今まで知ることのなかった「人間が人間らしく自由に生きている現実」を目の当たりにします。
そして最後には、これらの出来事を通し、主人公は出世の道が途絶えるリスクを知りながらも、危険分子である作家を救い、その結果自ら窮地に追い込まれてしまいます。人を動かすのは「管理」や「強制」することではなく、もっと人間らしい部分であることをまざまざと示してくれる場面です。

コンタクト 「継続学習」の重要性を知るために

【ストーリー】
地球外知的生命体を探査するプロジェクトの研究者である女性主人公は、宇宙からの「声」をキャッチするために、数年に渡って地道な研究を続けていましたが、政府管轄での天文台での研究が打ち切られてしまいます。それでも何とか民間企業からの資金を得て、宇宙からの声を聞き取る毎日を送っていました。成果がないまま時間は経ち、資金も底を尽きかけたある日、信号をキャッチします。その信号は、こと座の恒星ヴェガからのメッセージでした。それを解析すると、乗員を宇宙へ運ぶことのできる宇宙間移動装置(ポッド)の設計図が含まれていたのです。彼女はポッドに乗り込み、遂に知的生命体との遭遇を果たします。ところが、そのことを調査会議が納得する合理的な説明をすることができません。しかし、全身全霊をもって「事実だった」としか言えないことを訴え続けます。科学者である自分の主義主張とは異なる発言ですが、それによって宗教家や障害者など多くの人々から支持されるようになっていきます。
(1997年公開、アメリカ、153分、監督:ロバート・ゼメキス、主演:ジョディ・フォスター)

【学ぶポイント】

①継続することの大切さ
辛い状況にあっても投げ出さず、信念を貫いて努力を続ければ、いつかは報われるということが描かれています。女性主人公を中心とした小規模の研究活動は、やがて全世界を巻き込む地球規模へのプロジェクトへと発展していきます。ところがその過程で、研究の立役者である彼女の努力が報われず、上司に手柄を持っていかれます。憤りを感じながらも、彼女はチームに対して献身的なサポートを続けました。それは、宇宙とのコンタクトを絶対に諦めないという、彼女のゆるぎない信念があったからです。
その信念の下、地道に研究を続けていく主人公に対して、経済的な支援を申し出る人たちが出てきます。さらには、科学を否定する立場を取る宗教学者も彼女に協力的になってきました。その粘り強い行動により、立場や見解の違う人からも共感されるようになります。何事も諦めずに継続していけば報われることがあるということを、確信できる場面です。

また、映画の初めと終盤に出てくるセリフで「slow move」があります。「一歩ずつ」とか「少しずつ」という意味ですが、焦って結果を求める幼い主人公を、彼女の父親がこう言って諭していきます。この時の教訓が、その後の彼女の生き方に大きく影響を与えていきます。仕事の中には、今日行ったことがすぐに結果として出ないものがたくさんあります。目的を成し遂げるためにも、焦らないことが大切です。そのことを思い出させてくれる言葉です。

②信念を言い続けることの意味
恒星ヴェガでの知的生命体との遭遇について、主人公には科学的な証拠がなく立証することができません。しかし、自分の体験を信じている主人公は調査会議でこう答弁します。「私は確かに経験しました。証明もできませんし、説明もできません。でも、私の全てが、全存在がこう告げているのです。あれは事実だった」と。そして、証明はできないものの、事実を信じて必死に訴えかけます。これはそれまで科学者で無神論者であった主人公の「立ち位置」が変わったことを示す場面です。
調査会議の後、神学者である大統領顧問は「彼女の言うことを信じますか」との記者からの問いに、「彼女とは科学と宗教の違いこそありますが、目指すものは同じです。真理の追究です。私は彼女を信じます」と答えます。たとえ証明が難しいことであっても、信念を言い続けることの重要性と、それにより立場・見解の異なる人同士でも理解し合えるということを強く感じる場面です。

モーターサイクル・ダイアリーズ 「気づき」を得るために

【ストーリー】
1952年、後に革命家、キューバのゲリラ指導者となったチェ・ゲバラは、この当時はまだアルゼンチン・ブエノスアイレスに住む医大生です。友人とともに1台のバイク(ポデローサ号)にまたがり、1万2000キロの南米旅行へ出かけていきます。わずかな所持金と貧弱な装備だけの彼らにとって、それはあまりにも無鉄砲な計画でした。しかし、2人はこの旅行で数多くの貴重な経験をしていきます。チリの最下層の鉱山労働者やペルーのハンセン病患者らとの出会いなど、途中巻き起こるさまざまな出来事を通して、南米社会の現実を思い知らされていきます。若き日のチェ・ゲバラの生涯に大きく影響を及ぼした南米旅行を描いた青春ロードムービーです。
(2004年公開、イギリス・アメリカ他、127分、監督:ウォルター・サレス、主演:ガエル・ガルシア・ベルナル)

【学ぶポイント】

①いろいろな人と出会い、いろいろなものを見聞きする
気づきを得るには、いろいろな人と出会い、いろいろなものを見聞きすることが必要です。そのためには、まず自分から動いていくことです。若き主人公2人は、貧乏ながらも旅の中で最下層の労働者や病人らと出会い、弱者の現実を生まれて初めて目の当たりにします。アメリカなどの帝国主義により分断された南米諸国の国境を旅しながら、主人公が見て聞いて触れた真実の姿は、やがて彼の心の中に社会にある理不尽さ、不合理性をいつか変えてみせるという強い思いを育てていきます。

②信頼する友を持つことの大切さ
若き日々の信頼する友との心に残る旅。この親友の存在が、主人公に少なからぬ影響を与えます。タイプは全く違いますが、冒険心、情熱的な魂、旅を愛する心でつながれた2人のゆるぎない友情が、さまざまなエピソードを通して語られていきます。
国境を越えてチリに入ると、金のない2人は寝場所と食料の確保に奔走することになります。口のうまい親友の手ほどきでうまくいったものの、酔った主人公が修理工の妻を口説いたことが人々に知れ、2人は町から追われるハメになります。そんな主人公の定まらない行動にも、親友は暖かく見守り続けます。その後、牛の群れに突っ込んでバイクが壊れてしまい、灼熱の砂漠を歩くことになります。
その後、肉体的・精神的に過酷な状況が続き、疲れ果てた親友は旅を断念することを提案します。しかし、主人公は新しい出会いと発見を見つけようする当初の旅の目的を訴え、折れそうになる親友の気持ちを翻意させ、再び旅を続けることになります。タイプの違う2人がお互いを思いやり、助け助けられることができたからこそ、最後まで旅を続けることができたのです。そもそも主人公を兄弟のように思う親友の存在がなければ、このような破天荒な旅は成立しなかったことでしょう。信頼する友を持つことの大切さを教えてくれる映画です。

このように、世代・立場・男女の違いを超えて映画を語ることによって、ものの感じ方や考え方を共感・共有することができます。良質な映画は、最高の「人間力」を向上させてくれる「テキスト」です。

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