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(情報掲載日:2014年6月10日)

いまを勝ち抜く人間力

敬語の使い方を見直す

VOL.29

日本固有のおもてなしの精神は、言葉に表れるものです。敬語を使えば、相手に対する尊重の念や敬意を伝えることができます。誰もが100%完ぺきにできるわけではない敬語について見直し、正しく使えるようになるコツをご紹介します。

よくある敬語の間違いとは

●敬語の間違いをチェックする

敬語は、ビジネスの常識と言っても過言ではないでしょう。正しい敬語の知識がないと、本人に悪意がなくても周囲の人に不快な思いをさせてしまう場合があります。顧客の印象を悪くし、会社の信用に傷をつけることもあるので注意が必要です。以下によくある敬語の間違いをいくつか挙げてみます。

下記の表現はいずれも間違っています。それぞれ、どこが間違っているでしょうか。

第1問) 部長はお酒をお召し上がりになられますか。
第2問) 明日、弊社の秋葉原支店へ伺っていただけますか。
第3問) 明日、御社の名古屋支社へ弊社の田中社長がいらっしゃいます。
第4問) 先ほど部長が申された件について、お尋ねいたします。
第5問) 御注文の品はおそろいになりましたでしょうか。
第6問) 昨年、私は大学を卒業させていただきました。

適切な敬語の使い方については、文化庁が「敬語の指針」(※1)を公表しており、これにもとづいて以下にご説明します。


●二重敬語に注意

第1問の解答

×部長はお酒をお召し上がりになられますか。
◯部長はお酒を召し上がりますか。

「×」は正しくは「召し上がりますか」と言うべきところを、「お」+「召し上がる」+「なられる」というように敬語を三重に重ねてしまっています。このように1つの語について敬語を重複して使ったものを「二重敬語」といい、一般的には間違った表現であるとされます。ただし、語によっては多くの人が当たり前に使っていて習慣として定着しているものもあります。

習慣として定着している二重敬語の例

尊敬語の二重敬語の例 お召し上がりになる、お見えになる
謙譲語の二重敬語の例 お伺いする、お伺いいたす、お伺い申し上げる


●尊敬語と謙譲語を混同しない

第2問、第3問の解答

×明日、弊社の秋葉原支店へ伺っていただけますか。
◯明日、弊社の秋葉原支店へお越しいただけますか。

×明日、貴社の名古屋支社へ弊社の田中社長がいらっしゃいます。
◯明日、貴社の名古屋支社へ弊社社長の田中が伺います。

第2問の「伺っていただけますか」は、「伺う」が謙譲語、「いただく」が尊敬語であり、2つ同時には使いません。正しくは、「おいでいただけますか」「おこしいただけますか」とすべきところです。
同じく第3問は、「弊社の田中社長」は自分側の人間ですから、話をしている相手に対してへりくだる表現である謙譲語を使い、「弊社社長の田中が伺います」とします。ちなみに社長、部長といった肩書きは名前の後につけると尊敬語になるので、謙譲語として使うときは「田中社長」ではなく「社長の田中」とします。


●「申される」は現代では不適切

第4問の解答

×先ほど部長が申された件について、お尋ねいたします。
◯先ほど部長がおっしゃった件について、お尋ねいたします。

第4問も、謙譲語の「申す」と、尊敬語の「される」が混在していて、現代では正しくない表現とされます。「おっしゃる」が正しい表現ですが、状況によっては「部長が発表なさった件」、「部長からご説明いただいた件」、「部長のご発言の内容について」などと表現することもできます。
ちなみに「申される」は、狂言のような古典芸能やテレビの時代劇のセリフにはよく使われています。相手に敬意を表して「される」を使い、相手が第三者に「言った」ことについてその第三者に対する敬意を表して「申す」を使うという三者関係の間での表現になっています。しかし現代では一般的に自分(または自分側の人間)と相手という二者関係で敬語が使われるため、「申される」という言い方は正しくないとされます。
ただし、現代でも「お申し出ください」のように相手に対して謙譲語を使う場合があります。文化庁の「敬語の指針」では、このような「申す」の使われ方は謙譲語の働きをもっていないので、相手に対して使っても問題はないという見解が示されています。気になる場合は、「おっしゃってください」などと言い換えればいいでしょう。


●よく使われる接客用語にも間違いが含まれている

第5問の解答

×御注文の品は、おそろいになりましたでしょうか。
◯御注文の品は、そろいましたでしょうか。

第5問の「御注文の品はおそろいになりましたでしょうか」は、飲食店などでよく使われる表現でつい、聞き流してしまいがちですが、実は正しくない言い方です。その理由は「おそろいになる」という尊敬語を人間以外の品物などに使うことはできないからです。「御注文の品は、そろいましたでしょうか」あるいは「御注文の品は、以上でよろしいでしょうか」と言い換えたほうがいいでしょう。


●「させていただく」は使い方に注意が必要

第6問の解答

×昨年、私は大学を卒業させていただきました。
◯昨年、私は大学を卒業いたしました。

第6問の「させていただく」は、使い方に注意が必要です。「敬語の指針」によると「させていただく」という敬語の形式は、下記の条件をどの程度満たすかによって、適切な場合と、そうではない場合に分けられます。「敬語の指針」で「させていただく」を使うのに適しているとされる場合は次のとおりです。

「させていただく」を使うのに適している場合

ア)相手側または第三者の許可を求めるとき(疑問形)
例)「コピーを取らせていただけますか」
イ)そのことで自分が恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合
例)「それでは、発表させていただきます」

適していない例としては、次のような場合があります。店の休業を張り紙などで告知するときに、「本日、休業させていただきます」という書き方がされますが、許可を求めているわけではない一方的な宣言であるため、人によっては押しつけがましさや無遠慮さを感じるかもしれません。ここは、「本日、休業いたします」という謙譲語の表現のほうが適しています。
ちなみに「卒業させていただきました」という表現は、背景に「私は、卒業するのが困難だったところ、先生方の格別なご配慮によって何とか卒業させていただきました」という事情があれば適切かもしれません。

※1 文化庁「敬語の指針」(平成19年2月2日 文化審議会答申)
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/bunkasingi/pdf/keigo_tousin.pdf

正しい敬語表現を知る

●敬語は「相互尊重」のために使う

言葉の使われ方は、時代とともに変化します。かつて社会的な上下関係がはっきりしていた時代には、敬語は上下関係を表す言葉として使われてきましたが、現代ではすべての人は基本的に平等ですから、一方が必要以上に尊大になったり卑下したりすることなく、お互いを尊重し合う気持ちを大事にしなければなりません。このような「相互尊重」の気持ちを基本として敬語を使うことが、現在も、また将来においても重要であると、前述の「敬語の指針」には書かれています。
「こういう相手にはいつでも、だれでも、この敬語でなくてはならない」というようにルール化して敬語を固定的に考えるのは適切ではなく、敬語の使用はあくまでも自由な自己表現のひとつであると考えたほうがいいでしょう。年上であっても敬語を使うとよそよそしくなるので、相手によってはあえて使わないという考え方があってもいいかもしれません。しかし、そのような自己表現として敬語を使用する際にも、敬語の明らかな誤用は誤解を招いたり、相手に嫌な印象を与えてしまうかもしれないので、正しい敬語の知識を踏まえておく必要はあるでしょう。

●現代の敬語は5種類に分類される

従来の敬語は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3種類に分類されていましたが、「敬語の指針」では5種類に分けて説明しています。

敬語の種類
敬語の種類

従来の考え方とのちがいは2点あり、①謙譲語を2つに分け、②「美化語」という分類を新たに設けています。謙譲語Ⅱは「丁重語」として、謙譲語Ⅰよりも改まった丁重な表現が分類されています。また、「お+名詞」は使う場面によって謙譲語Ⅰか美化語かに分けられています。

敬語を正しく使うコツ

●Eメールで使いたい敬語

Eメールなどの「書き言葉」では、相手の反応が目に見えないため、相手の気分を害さないように慎重に言葉を選ぶ必要があります。とくに「いたす」、「おる」、「申す」、「存ずる」といった「丁重語」を使いたいものです。

Eメールで使いたい敬語
Eメールで使いたい敬語

●クッション言葉を使いこなす

敬語表現の多くは語末に使われますが、語頭にもクッション言葉を使うと、相手を尊重する気持ちが伝わりやすく、難しいことを依頼するときや、お詫びをするときのようにきめ細かい配慮が求められる場合に適しています。

クッション言葉の例
クッション言葉の例

敬語は、日本独特の文化の中で育まれてきたものであるだけに、奥深く、多様な表現があります。「習うより慣れよ」と言うように、苦手意識をもたずに、まずは使ってみることが大切です。ビジネスの場面では、挨拶、お詫び、依頼、お断りなどのTPOに応じた常套句があるので、基本的な使い方を知っておく必要があります。ただ、型どおりの言葉を使っても、心がこもっていなければ、相手に伝わらないかもしれません。相手を尊重する心が、敬語の根底にあることを忘れたくないものです。

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