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(情報掲載日:2013年12月20日)

いまを勝ち抜く人間力

VOL.24

1年間を代表するビジネス書を選ぶ「ビジネス書大賞」の2013年の受賞作は、未来の働き方を予言する『ワーク・シフト』でした。書店賞および新人賞を受賞した2冊とともに、読みどころをご紹介します。

『ワーク・シフト』が予言する「働く人の未来」とは

●働く人の気づきを促す

ビジネス書大賞とは、ビジネス書に詳しい書店員、書評家、メディア関係者の中から選ばれた約 100 名が審査員となり、過去1年間に刊行されたビジネス書の中から投票方式で選出する賞で、「日本のビジネスパーソンの成長、ひいては日本の産業界の発展に貢献する」ことを目的に創設されました(※1)。これまでの受賞作は、いずれも話題になったビジネス書のベストセラーです。ちなみにここでいうビジネス書とは、働く人の気づきを促し、自己啓発につながる良書が想定されています。

これまでのビジネス書大賞
これまでのビジネス書大賞

●未来の働き方を変える5つの要因とは

大賞を取ったビジネス書と聞けば、ふだんビジネス書を読むことが少ない人でも興味をそそられるでしょう。2013年の「ビジネス書大賞」に選ばれた『ワーク・シフト』(リンダ・グラットン著、池村千秋訳、プレジデント社)は、未来に向けて働き方の変革を提案する本です。何が働き方の未来を変えるのか、その要因について著者は「技術」「グローバル化」「人口動態」「社会」「エネルギー・環境」の5つの要因を挙げ、それぞれについて合計32の具体的な要素を提示しています。その概要は下表のとおりです。

未来の働き方を変える5つの要因と32の要素
未来の働き方を変える5つの要因と32の要素

●自分自身の「未来ストーリー」を描く方法とは

著者によると、私たちがすべきことは上記の32の要素を検討し、自分自身の未来ストーリーを描き出すことです。ざっと見渡して、これらの要素の中には自分には不要だとか、関係ないと思われるものもあるでしょう。そういった要素は無視して、自分に影響がありそうな要素を選び、「こういうことが起きたら、そのとき自分はどうする」ということをイメージしながらつなぎ合わせていけばいいのです。
そう言われても中々イメージが浮かばない読者のために、本の文中では、上記の5つの要因と32の要素を踏まえたストーリーが提示されます。それは、何の計画も準備もないまま「漠然と迎える未来」の暗い現実と、自己変革をして「主体的に築く未来」の明るい日々の対比を示しています。

漠然と迎える未来と主体的に築く未来のちがい
漠然と迎える未来と主体的に築く未来のちがい

●働き方・生き方をシフトする3つの方向性とは

反面教師として描かれる「漠然と迎える未来」の暗い現実は衝撃的です。そうならないために、未来の働き方・生き方に向けて準備する必要があります。明るい未来を切り拓くためには、これまでの知識、技能、行動パターン、習慣などを根本からシフトすること、それがこの『ワーク・シフト』の中味です。

働き方・生き方をシフトする3つの方向性
働き方・生き方をシフトする3つの方向性

この本に描かれている未来のシナリオや働き方・生き方をシフトする方向性を参考にしながら、共感できるものや自分と関係のありそうな筋書きを取捨選択し、肉付けし、自分自身の働き方を主体的に築いていくことにより、明るい未来を設計するワークブックとしてこの本を利用することができそうです。

※1 ビジネス書大賞2013 (主催:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)
http://biztai.jp/index.html

たった1%のコツで仕事を劇的に変えるには

●まじめすぎる方法は、非生産的である

ビジネス書大賞の部門賞で、多くの書店員が推薦する「書店賞」に選ばれたのは、大手外資系企業でコンサルタントとして働く河野英太郎氏の『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』です。この中には「いま、この瞬間からでも実践できる」というビジネスのコツが全部で70項目掲載されています。「たった1%」という部分がポイントで、いままで私たちが重視してきた「まじめさ」に対する考え方を少しだけ変えようというメッセージが込められた本です。
その「まじめさ」の最たるものとして紹介されているのが、延々と続く会議のシーンです。話しているのはたった1人で、他の大勢のメンバーは話し手である最上位者に遠慮して、何も発言しない…。これは、悪い意味でまじめすぎ、結果として時間のムダになってしまっています。多くの欧米人は、日本企業の会議の多さ、時間の長さを誰もが話題にします。
では、時間をムダにしない、生産的な会議を行うコツとは何かというと、「要点を先に言う」ことです。この方法を心理学では「アンチ・クライマックス法」と言うそうですが、会議に限らずビジネスは常に「アンチ・クライマックス法」にしたほうが効率的でしょう。

●上司が「部下に読ませたい」

「会議のコツ」を含め、この本の中には全部で8つのジャンルに整理された「1%のコツ」が並んでいます。他には「報連相のコツ」「メールのコツ」「文書作成のコツ」「コミュニケーションのコツ」「時間のコツ」「チームワークのコツ」「目標達成のコツ」について記載されています。考えてみれば、そうしたほうが生産的なのに、礼儀や遠慮、前例踏襲といった「まじめさ」が邪魔をして中々実践できない、そんな内容のオンパレードです。
具体的な「コツ」の中味は、「失敗はリーダーの責任と考える」「パニックにならない」「ピンチのときこそ教科書に立ち返る」など、上司が部下に教えようと思っても、言葉ではうまく説明できないような内容が、平易な言葉で分かりやすく書かれています。上司が部下に読ませたい、そんな本かもしれません。

グローバル人材の「採用基準」とは

●リーダーシップが「地頭の良さ」よりも重視される

ビジネス書の新しい書き手に贈られる「新人賞」を獲得したのは、マッキンゼーの採用マネージャーを12年間勤めた伊賀泰代氏の『採用基準』です。マッキンゼーのようなコンサルタント会社では「地頭」すなわち、生まれつきの頭の良さや論理的思考能力が採用基準とされるように誤解されていますが、実際には違うそうです。
では、何が一番重視されるかというと、それは「リーダーシップ」です。コンサルタントは、机の上でさまざまなプランを練り上げるだけでなく、そのプランが最良の解決法であることをクライアントに説明し、周囲を巻き込んで実現させていきます。そのような「巻き込み力」がリーダーシップの核心であり、どんなに「地頭」が良くても、物事を深く考える力があっても、周囲を巻き込む力がなければ、コンサルタントとしては評価されないそうです。

●全員がリーダーシップをもつ組織は圧倒的に生産性が高い

日本企業では多くの人が「リーダーは組織に1人か2人いればいい」と考えるかもしれませんが、リーダーのポジションはともかく、リーダーシップは新入社員も含めた組織の全員が持つべきであるということがこの本には書かれています。なぜなら、1人だけがリーダーというチームでは、それ以外の人はフォロワーとなり、「チームをまとめ上げるのはリーダーの仕事である」と、指示待ちになるでしょう。一方、全員がリーダーのチームでは、それぞれが個別メンバーとして成果を出すことはもちろん、「チーム全体の意見をまとめ上げるのも自分の責務である」と考え、あるいは「協力して意見をまとめていこう」と考えます。後者のチームのほうが、圧倒的に生産性が高いわけです。

●リーダーシップを身につければ人生のコントロールができる

『採用基準』というタイトルを見ると、会社で人を採用する側と採用される側だけに向けられた本のように思われるかもしれませんが、リーダーシップを身につければ、「自身が人生のコントロールを握ることができる」というのが、この本の結論です。リーダーシップは、周囲を巻き込んで問題解決をしていく能力ですから、それを発揮することにより、いま、日本企業や日本の社会が抱える問題の多くが解決できるかもしれません。しかし、最も重要なことは、「個々人が与えられた枠の中で生きるのではなく、自分自身の力で人生を設計できるようになることです」と、この本の終章で著者は書いています。自分のキャリアを前向きに考え、自分の人生の舵とりは自分でしたいと考えている人にとって指針となり、リーダーシップを身につけ、それを発揮する方法について学べる1冊と言えそうです。

以上に紹介した『ビジネス書大賞』の3冊は、どれも「働き方」に焦点を当てた内容になっています。読み進めるうちに、自分の日常の仕事の進め方について見つめ直してみることができるでしょう。ふだんは忙しさのあまり、日々のミッションを達成するだけで精一杯という人も、今後の自分のキャリアについて考える機会になるかもしれません。目の前の仕事の進め方はもちろん、5年、10年先を考えたときの働き方も、その気になればいくらでも変えることができます。逆に、自分で自分の人生を設計しようとする強い意志を持たなければ、流されたり、振り回されたりして一生が終わってしまうかもしれない…そんな危機感と同時に、難局を乗り越える勇気が湧いて来るような、充実した読書の時間を持ちたいものです。

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