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(情報掲載日:2012年12月20日)

いまを勝ち抜く人間力

「交渉力」を高める方法

VOL.12

「交渉」とは、双方がある合意点に達するために主張や要望を述べ合うことです。交渉力があれば、意見が対立した場合にも、互いの目的や本質的な利益を見定めながら、合意点を導き出すことができます。ところが、日本人にはこのような交渉が苦手という人が多いようです。そこで、交渉力を高めるための方法をご紹介します。

「交渉力」が求められている背景

事業を取り巻く環境が一段と厳しくなっている中、ビジネス相手との話し合いの場で、いかに「交渉事」へ対処していけるかが大きな課題となっています。そこでは、相手に対して自分(自社)の期待や要望を明確に伝えると同時に、そこでは相手を説得し、納得してもらうための交渉の「技術」が非常に重要となっています。今まさに、このような「交渉力」の有無がビジネスパーソンにとって今後の生き残りを大きく左右していると言えます。

ビジネスシーンから日常生活でのトラブルに至るまで、私たちは人間社会に生きている以上、交渉事を避けて通ることはできません。「交渉」の技術を身に付けていくことで、対立関係を協力関係へと変えていき、無駄な時間やコストの浪費を防ぐだけでなく、仕事や生活の上でも大きな成果を得ることができるようになるでしょう。

「交渉力」を高めるための技術・コツ

日本人には交渉が苦手という人が少なくありません。「性格がお人好しすぎる」「感情的になる」「頑なである」といった性格的な問題のほかに、「主張に説得力がない」「自分から先に本音を明かしてしまう」「安易な妥協策に飛びついてしまう」「相手の話を聴かない」「相手の視点で考えられない」といった交渉の前提となるスキルといった問題など、さまざまな理由が言われていますが、ここは一度、これまでの思い込みや考え方をリセットし、どのようにしたら交渉力を高めていくことができるのか、その技術・コツについて見ていくことにしましょう。

●交渉のための準備

(1)インフォーマルな「人間関係」について理解する

交渉を成功させるためには、まず、相手先の「人間関係」を把握することが重要です。特に、交渉に関して鍵を握っている人、いわゆる「キーパーソン」が誰かを知ることは、スムーズかつ効率の良い交渉のためには不可欠です。何より組織には、役職や立場といったフォーマルな人間関係の他に、実際の役割や立場とは別の実質的な力関係(インフォーマルな人間関係)が存在することを理解しましょう。
例えば、交渉相手のA氏とB氏の間には、「部長と課長」という公式な関係だけでなく、「改革支持者と反対派」という反目しあう関係があるかも知れません。それを知っているのと知らないとでは、交渉の戦略も大きく変わってくるはずです。そのためにも、交渉相手先の社内事情などに詳しい人物からヒアリングするなど、可能な限りインフォーマルな情報を入手することを心掛けましょう。

(2)交渉相手のインフォーマルな「役割」を見極める

インフォーマルな人間関係と、直接の担当者以外にキーパーソンがいるかもしれないということを理解したならば、次は、そのインフォーマルな人間関係における各々の「役割」を考えてみましょう。実際の肩書きや公式な組織上のポジションとは別に、それぞれがどのような役割を担っているかを見極めることが必要です。具体的には、
・交渉の決定の行き先を左右する(決裁権を持っている)のは誰か?
・交渉を進めるに当たって、ガイド役、窓口となるのは誰か?
・交渉の内容について、多くの情報や知識を持っているのは誰か?
・交渉に抵抗し、ストップをかけようとするのは誰か?
などを考え、各役割の人にどのように対応するかを検討します。

(3)「直接の交渉相手以外」とも関係を構築する

直接の担当者だけが「交渉相手」であるとの思い込みは捨てましょう。直接の担当者以外の動向にもウォッチし、関係構築をしておく必要があります。そして、直接の担当者を訪問した際には、周囲の人々にも挨拶をしたり、声をかけたりして、こちらの存在を知ってもらうようにしましょう。
というのも、交渉する相手は「個人」ではなく、「組織」だからです。そうした行動を取ることで、もし直接の担当者がキーパーソンではなかった場合や、異動になった場合などのリスクをある程度回避することが可能となります。

(4)話す内容の「構成」を考える

交渉は決して「ぶっつけ本番」で臨むのではなく、必ず入念な準備をして行いましょう。まずは聞き手に何を伝えるか、その内容の「構成」を考えます。その際に気をつけるポイントとしては、
・主張するポイントをまとめる
・要点は先に言う
・起承転結を考える
などです。その上で、プレゼンテーションの資料やメモを作成します。そして、最初から最後まで時間を計りながら練習を行い、時間内に話し終えられるボリュームに調整するといった作業を行います。

●交渉時の心がまえ

(1)相手と「対等」であることを前提とする

交渉というと、相手を敵対的な人であると考えたり、クレームをつける人などといった想定をしてしまうことが少なくありません。このように、最初から相手が敵であるとか、変な人だという前提に立ってしまうと、まともな交渉ができません。交渉に当たって大切なことは、相手は常識を持った「対等」な人間であることを前提として対応していくことです。交渉する以上、どんな交渉相手であっても、話せば理解してもらえる常識を持った人間だということを心に留めておくことが必要です。
そして、対等な交渉相手として敬意を払うことを忘れないようにしましょう。また、当然のことですが、交渉の場で横柄な態度を取るようなことは避けましょう。

(2)相手の「主張」を聴く姿勢を持つ

敵対するような関係であっても、まずは相手の「主張」にはそれなりの意味があることを認識し、しっかりと耳を傾ける姿勢を忘れないようにしましょう。仮に、その主張がとてものめないような内容であっても、交渉している以上、相手の言い分にはそれなりの意味があるわけです。決してすぐに拒絶したりせず、相手が主張する内容をまずは聴いていくことが大切です。実際問題として、のむことができない主張であっても、耳を傾けるだけで幾つかの効果が期待できます。
1つ目は「ガス抜き効果」です。言いたいことを聴いてあげることで、相手はそれだけで案外すっきりとするものです。2つ目は「聴く姿勢のアピール効果」です。自分が話を聴く姿勢を持っていることを、相手に示すことになります。相手の話をしっかりと聴くということは、その内容についての判断はともかくとして、相手を受け入れていることを相手に示すことになります。このことが、お互いのコミュニケーションを成り立たせる前提となっていきます。3つ目は「後出しを禁じる効果」です。相手の主張を全部聴いていくことにより、相手の主張が全部出たという「既成事実」を作ることになります。これで言いたいことのすべてと相手に自覚させることで、相手はその後の修正・変更がしにくくなり、交渉がしやすくなります。そして、4つ目が「事前の情報収集効果」です。相手からの情報を、事前に多く得ることができるということです。交渉においては、相手に関する情報をいかにたくさん持っているかが大きなカギを握ることになります。

(3)相手との「共通点」を探す

交渉相手との「共通点」を見つけることで、交渉の場が和らぐ効果を生み出します。また、交渉途中で険悪な雰囲気になった時には、雰囲気を変える手段とすることもできます。よく、最初の挨拶で天候のことを話題にすることがありますが、これは相手も分かる共通の話題から話を始め、場を和ませるためにやっていることにほかなりません。その他に、出身地や出身高校・大学、居住地、年齢などが一緒であることが分かったりすると、交渉の場が和やかになることが少なくありません。
ただし、相手との共通点はあくまで交渉を円滑に進めるためのきっかけとして使うことに止めることが大切です。例えば、いくら高校や大学の先輩・後輩の関係にあっても、会社同士のことで交渉している以上、お互いの会社の利益を代表して話し合っていることを第一に置き、話をするようにしましょう。

●「説得」のスキル

(1)傾聴し、相手の「ニーズ」を見極める

交渉の場では、相手の話を傾聴し、相手が望んでいる真のニーズを引き出すよう努めましょう。その際には、以下に示したような原則を実践することがポイントです。
【傾聴の基本原則】

・話を遮らずに、最後まで聴く。相手が話しやすいよう、途中で相槌を打つなどの工夫をする
・質問では、相手が深く考えられる「オープン質問」を使う。「Yse-No」で答えられる質問はしないで、できるだけ相手に多くのことを話してもらうようにする
・「ノンバーバル(言葉を使用しないコミュニケーション)」に注意する。五感や直感を使って、相手の語っていることやメッセージだけではなく、話す時の態度や表情、さらには場の雰囲気などにも注意を向ける

そしてここでは、ある要求が出された時、その要求を受け入れたら相手はどのようなニーズを満たすことができるのか、という視点で考えましょう。そうすることによって、相手が出した要求とは異なるけれども、相手の本来のニーズは満たす「代替案」を見つけられる可能性が出てきます。

(2)正しい「根拠」で主張する

交渉においては、自分の主張を分かりやすく説明することが求められます。しかし、それだけでは不十分です。自分の主張を聞いた相手が納得し、賛成してくれるよう説得する必要があります。相手を説得し、納得させることは、交渉力において極めて重要となる要素です。その際、最も大切となってくるのは、「論理的」であることです。
例えば、「A=B、B=Cであるならば、A=Cである」といったように、最初に根拠(A=B、B=C)を示し、その次に根拠から導ける主張(A=C)を示すといったように、正しい根拠に基づいて、主張することができれば、相手はなかなか反論することができません。交渉においては、このような自分の主張を支える説得力のある根拠を持つことが必要となります。

(3)相手によって「交渉方法」を柔軟に変える

どのような相手に対しても、いつも同じ方法で説得することは避けましょう。交渉相手の立場、意思決定の方法、交渉における行動特性などに応じて、自分自身の交渉方法も柔軟に変える必要があります。例えば、以下のような方法です。

また同時に、今まで実践してきた方法についても、見直すことが必要です。ポイントは、相手や状況に応じて、複数の効果的な方法を持ち、実行できるかどうかです。そのためにも、「成功事例のパターン」のバリエーションを数多く作成し、それを意識して実践の場に臨むとよいでしょう。

(4)「具体的・物語的な話」で相手をひきつける

具体的な話、あるいは物語性のある話は、感情移入というプロセスを経て、理屈ではなく、心情や感情に直接訴えかけてきます。理屈抜きに心情や感情を大きく揺さぶるような表現ができれば、それだけで交渉を有利に進めることができます。交渉時には、自分の主張したい内容や条件について、その裏付けとなる具体的な話を付け加えることで、より説得力を増します。
ポイントは、相手の心情・感情を揺さぶるような具体例を作り出すことができるかどうかです。そして、その際に提示する具体例とは、できるだけ交渉相手にとって身近なものが好ましいでしょう。いくら具体的な事実を並べても、交渉相手がイメージできないような事項であっては、心情や感情に訴えることができません。

(5)説得するための「テクニック」を学ぶ

交渉の際に用いる話法として、幾つかの「テクニック」を理解することは必要です。もちろん、交渉においてはテクニックが全てではありませんが、科学的な根拠のない方法や、独自のやり方に固執することで、損をしている可能性もあります。以下にあげたテクニックについて理解を深め、状況に応じて上手に使えるように練習するとよいでしょう。

(6)「話し方」の工夫をする

交渉を円滑に進めていくためには、話し方にも工夫が求められます。以下のような点に着目し、事前に練習をしておくとよいでしょう。

・聞き手が聞きやすい話し方を心がける(話す速度、間の取り方、アクセント・イントネーション、声の大きさ・明瞭さ)
・くどくど話さず、はっきりと手短に話す
・ボキャブラリーを豊富に持つ(一つのことをいろいろな言葉で表現する)
・上手な言い回しを考える(比喩や数字を用いて表現する)
・実例やケーススタディを交えて話す

その際、必要に応じて誰かに見てもらい、客観的に「スキル」を評価・判断できるようにすれば、多少の手間はかかりますが、上達の度合いは向上するはずです。

●「クロージング」の方法

(1)「Win-Win」を目指す

交渉において、相手と長期に渡って関係を続けていくためには、ある部分ではこちらの要求を通し、他の部分では相手の要求をのむといったことが必要となってきます。そうすることで、交渉の全体においては両者が「Win-Win」の関係を築くことができます。
交渉とは、勝つことが目的ではないのです。交渉の全体において、両者が「Win-Win」の関係を築くことが理想であり、目指すところなのです。顧客とは、末永く良好な関係を築きたいものです。そのためにも、顧客の利益を損なうような対応や結果は、努めて避けるべきです。

(2)「性急な合意や解決」を目指さない

交渉に使うことのできる時間にもよりますが、あまり性急に合意や解決を目指すのは避けた方がよいでしょう。必要であれば、双方がそれぞれ考える時間を取ることです。特に、議論が白熱し互いに感情的になりそうだと感じた時には、休憩を取ったり、日を改めるなどの工夫をします。時間を少し置くことで、また新しい代替案が見つかることも期待できます。

(3)「譲るべき点」を用意しておく

交渉の目的は、お互いに合意に至ることです。そのためには、譲るべき点を予め用意しておくことも必要です。譲るべき点を言い出すに当たっては、他の条件との優先順位を考えながら、常に「合意点」を意識しておくことが必要です。

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