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(情報掲載日:2021年4月12日)


テクノロジーの活用によって実現される、より豊かで幸せな社会「Society5.0」(超スマート社会)に向けた国や企業の取り組みが進められています。このような時代においては、世の中に見られる問題や現象に対しての創造的な課題発見・解決能力が求められるとして、「チェンジ・メイカー」という人材像を経済産業省は挙げています。世界的にも注目されている「チェンジ・メイカー」について解説し、必要なスキルや姿勢を紹介します。

●どのような人を意味するのか

チェンジ・メイカーとは、「社会に見られる問題・課題を様々な手法を用いながら独特なアイデアによって解決し、世の中に変化を起こす人」のことを指します。社会から求められる解決テーマは時代につれて変わっていくものですが、昨今では、自然破壊、教育格差、貧困など、道徳的なものが重要視されています。

これらのテーマは壮大に感じられるため、チェンジ・メイカーと言うと社会起業家や社会活動家をイメージされがちですが、経済産業省が開催している『「未来の教室」とEdTech研究会』によると、チェンジ・メイカーは「どんなに小さくとも(50cm革命)、自ら“問い”を立て、解決に乗り出し、変化を生む人」と記しています(※1)。
「50cm革命」とは、自分の身の回りから個々の感覚を大切にして問題・課題を捉え、少しずつ改善に取り組む大切さを指しています。小さな最初の一歩やきっかけが、うねりを呼び込み、やがて大きな変化をも生み出すのです。

さらに同研究会は、「世界の潮流を踏まえると、我が国の産業や地方創生の現場においても、誰もが“チェンジ・メイカー”の資質を手にすべき時代が到来している」と述べています。チェンジ・メイカーとは遠い存在ではなく、一人ひとりがなれる可能性を秘めている姿であり、これからの時代に向けて重要なキーワードになると言えます。

※1:経済産業省『「未来の教室」とEdTech研究会 事務局説明資料』 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/pdf/001_03_01.pdf新しいウィンドウが開きます

●今、求められている理由

テクノロジーの台頭、人生100年時代、グローバル化など、常に環境が変化しつつあるのが現代社会です。従来の常識や方法、価値観、ビジネスモデルといったものが通用しなくなり、抜本的な変革が次々と求められています。
変化のスピードも増すために、「対応しきれない」「適応が難しい」といった状況も生じてしまい、様々な課題が指摘されています。同時に、「Society5.0」も視野に入れた、全く新たな視点・手法によるチャレンジやイノベーションを起こす必要性が叫ばれています。チェンジ・メイカーの資質を持つ人材が必要とされている所以です。

世界的に目指すべき目標として広く認知されているSDGs(持続可能な開発目標)も、チェンジ・メイカーが求められる背景にあります(※2)。SDGsには、貧困・飢餓・衛生・ジェンダーなどの格差是正に関わる目標、働きがい・技術革新など経済に関わる目標、エネルギー・気候変動・海洋資源・生物多様性など環境に関わる目標などが掲げられており、いずれにも現状を打破する画期的なアイデアと行動が待ち望まれているためです。

※2:テンプナレッジマガジンvol.77「世界的な目標『SDGs』について考えよう」 https://www.tempstaff.co.jp/magazine/ningenryoku/vol77.html新しいウィンドウが開きます


●国内外のトピック

チェンジ・メイカーの代表とも言えるのが、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏です。バングラディシュで同氏が創設したグラミン銀行にて実施された、マイクロファイナンスが高く評価されました。一般的には融資の対象外とされていた貧困状態にある人に低金利・無担保で少額融資を行うといった、従来の銀行の発想からは考えられない新たなシステムです。貧困からの脱却とその先にある自立を支援する仕組みとして機能し、世界へと広がっています。

他にも、次のような事例があります。



身近なところでは、スマートフォンのアプリケーションを利用した保険申し込みサービスが挙げられます。営業担当者との面会時間の煩わしさや他商品との比較検討の分かりにくさ、といった消費者視点の課題解決のために構築されました。保険が身近になり加入へのハードルが低くなったと評されています。
これらは、チェンジ・メイカーによる大きな変革として知られている例ですが、世界各地、さまざまなフィールドで、小さな芽は生まれつつあります。

●チェンジ・メイカーの育成支援

チェンジ・メイカーの資質を備えた人材の育成支援に向けて、国も動き出しています。
前述の『「未来の教室」とEdTech研究会』は、未来を見通しにくい時代に生きる子ども達が未来を創る当事者に育っていく学習環境づくりを目指し、2018年に編成されました。誰もがチェンジ・メイカーの資質を手にすることができる「学びの社会システム」構築のために、EdTechを活用し、効率的な知識習得と創造的な課題発見・解決能力育成を両立した数々の学習プログラムの開発・実証を進めています。
ここでは、ビジネスパーソンを対象とした、新しい企業研修やリカレント教育プログラムも創出・実証されています。社会課題に触れて、問題を発見しその解決に挑むという経験を通じて、チェンジ・メイカーに成長する機会提供を意図した人材育成法です。ポータルサイトでは、企業での導入事例や人材育成に関するオンラインセミナーのアーカイブも掲載されています(※3)。

資金面からのチェンジ・メイカー支援として、世界的に注目されているのがインパクト投資です。社会・環境面での課題を、強い影響(インパクト)を与えながら解決し貢献するという目的を持った投資を意味します。SDGsやパリ協定(温暖化対策のための国際的な協定)をきっかけに広がり始め、世界では投資の主流になりつつあります。
日本ではまだ認知度が低いものの、企業や財団などから着目されており成長が予測されている分野です。環境省も、ヘルスケアをはじめ社会的な課題解決への活用を掲げて普及を促進しています。

※3:経済産業省「未来の教室 Learning Innovation」
https://www.learning-innovation.go.jp新しいウィンドウが開きます

●大切になる資質とは何か

チェンジ・メイカーに求められる「行動スタイル」は、「①問題・課題を見つけ(気づき・把握)、②テクノロジーなど技術を活かして(思考・リテラシー)、③解決法をデザインし(発想・構築)、④実現化する(信念・情熱)」というものです。
その際に重要となる「姿勢」は、「⑤しっかりとした理想を掲げ(未来思考)、⑥自分にできることから(自分ごと化)、⑦周りの人と協力を取りながら(協働・連携)、⑧粘り強く向き合う(継続・挑戦)」というものです。
中でも注力したいのは、「行動スタイル」「姿勢」の発端となる部分です。①の、問題・課題を見つけるという「気づき」の力、⑤の、しっかりとした理想を掲げるという「未来思考」の力、この二つを高め、発揮させることが大切です。

経済産業省は、チェンジ・メイカーの資質として、次のようなキーワードを挙げています(※4)。これら全てを伸ばそうとするのではなく、「自分は得意だと思うものは何か」「不足していると思うものは何か」と何となく意識することから始めると、次第に言動にも好影響が出てきます。



※4:経済産業省『第3回「未来の教室」とEdTech研究会 事務局説明資料』
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/mirainokyositu/pdf/003_05_00.pdf新しいウィンドウが開きます

●日々の仕事の中で始めたいこと

毎日の仕事の中でも、チェンジ・メイカーとしての第一歩を踏み出すことができます。
まずは、日々の自分の感情に目を向けてください。「これはいつも面倒だと思っている」「常々これが不便だと感じる」「他にいい進め方があるような気がする」といった、不満や壁に注目してみるのです。それがなければ、同僚や先輩・後輩、取引先やお客さまの声の中から探し出します。

次に、不満や壁がない理想的な状況をイメージし、それを実現するためには何をすればいいか考えます。「使える技術やアイデアはないか」「自分にできることは何か」「相談に乗ってくれる人、協力してくれそうな人は誰か」といった、すぐに着手できることを探し出し、行動に移していきます。
ポイントとなるのは、できるだけ、周囲に伝えて意見やアドバイスをもらい、新しさや意外性を取り入れることです。ITやAIなどの新技術、別の組織やチーム・全く関係のない業界の取り組みもヒントになります。

コロナウイルスによって今までとは違う仕事の進め方やコミュニケーションの取り方を余儀なくされている今、難しさを感じる・違和感を覚える場面というのは、多々あるのではないでしょうか。ふと湧いてくるそんな感情こそ、チェンジ・メイカーへの出発点です。

今後も続くと考えられる変化する時代においては、新たな課題に対し、テクノロジーや知識・情報を活用し解決できるような人材がいっそう求められると考えられています。「何とかしたい」「もっと良くなる」「このままでは物足りない」といった思いを胸に行動を起こして、社会をよりよく変えていくチェンジメ・メイカーの一人になりませんか。

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