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(情報掲載日:2019年10月10日)


パラレルキャリアとは、本業以外の仕事を持ったり、社会活動などに参加するなど、本業と第2のキャリアを両立させる生き方です。人生100年時代を迎え、個人が長く発展的に働く考え方の一つとして注目されています。パラレルキャリアの実践に向け個人はどんな準備をすべきか、企業はどのように支援すべきかを考えます。

●パラレルキャリアとは第2の生き方を持つということ

パラレルキャリアとは、経営学者のピーター・ドラッカーが著書『明日を支配するもの』などで提唱した考え方です。副業・兼業などの仕事を持ったり、社会活動などに参加し、本業と第2のキャリアを両立させる生き方を指します。ドラッカーは「寿命が延びた現代において、個人は一つの組織に依存して同じ仕事を続けるだけでなく、それとは別の“第2のキャリア”にも時間や労力の一部を費やすことで新しい世界を切り開くべき」と語っています。

複数の仕事を前提とした「人生100年時代」の働き方においては、いかに自立的にキャリアをつくっていけるかが重要であり、パラレルキャリアはその入り口となる考え方ともいえます。企業は将来、労働力人口の減少が見込まれる中で、必要な労働力を確保するためにも、個人のこうした生き方・働き方を支援していく必要があります。

●副業・兼業を考える人が増加

副業・兼業は一般に「収入を得るために携わる本業以外の仕事」を指します。法律では特に定義されていません。現状、副業・兼業を持つ人はどれくらいいるのでしょうか。「平成29年就業構造基本調査」(※1)によれば、副業者比率(有業者に占める副業がある人の割合)は2017年4.0%で2012年から0.4ポイント上昇。新たな就業に取り組みたいと考える追加就業希望者は2017年6.4%で2012年に比べ0.7ポイント上昇しています。全般に副業・兼業を考える人は増加傾向にあるといえます。

副業者及び追加就業希望者の比率

(総務省「平成29年就業構造基本調査」※1 より作成)

●副業・兼業の「メリットと留意点」は何か

副業・兼業は個人だけでなく、企業にもメリットがあります。仕事が広がることで社内では得られなかった知識・スキル・人脈を獲得でき、副業・兼業で得られたモチベーションが本業でのやる気へとつながります。また、社会全体としてみても副業・兼業はオープンイノベーションや起業の手段として有効であり、都市部の人材を地方で活かせば地方創生に役立つ面もあります。ただし、実践する上では留意点もあります。個人としては就業時間が長くなる可能性があり、就業時間や健康の管理が必要です。また、勤め先以外で新たに仕事をすることになるため、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識して働く必要があります。企業はこうした内容を個人にどう守らせるかといったルールづくり、仕組みづくりが求められます。

個人と企業における副業・兼業の「メリットと留意点」

(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」※2などを参考に作成)

●社会貢献活動・ボランティアというパラレルキャリア

パラレルキャリアには副業・兼業といった仕事としてのキャリアの他に、ボランティアなど社会貢献活動に参加するキャリアがあります。2019年5月に「生涯現役を見据えたパラレルキャリアと社会貢献活動―企業人の座談会(ヒアリング調査)から―」(※3)が発表され、当事者の声によりその実態が明らかになっています。

・なぜ活動に参加したのか

「環境」「誘い」「経験、共感、恩返し」がきっかけとなっています。「環境」では家庭や学校教育でボランティア活動を行った経験や、海外留学・在留経験がある場合にボランティア活動を行う可能性が高くなります。さらに、家族や友人、同僚の誘いがあったり、習い事や地域のつながりで参加したり、上司や顧客から誘われるといった身近な人からの「誘い」がきっかけという人も多くいました。

・活動から得られたものは何か

「心の充足」や「やりがい」、「仲間や地域、地元とのつながりの拡大」など、いわゆる一般的なボランティア活動から得られる効用も聞かれましたが、企業で働いている人の特徴としては「経験値の拡大」や「仕事やキャリアに役立つ」といった話も多く聞かれました。また、こうした活動によって、地域に活動基盤ができ、定年退職後に戻っていける場所ができる点も大きなメリットといえます。

※1:総務省「平成 29 年就業構造基本調査」
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/pdf/kgaiyou.pdf

※2:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192845.pdf

※3:労働政策研究・研修機構「生涯現役を見据えたパラレルキャリアと社会貢献活動 -企業人の座談会(ヒアリング調査)から-」
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2019/documents/215.pdf

●早期に副業・兼業を認め、それに則した就業規則を定める

現在、副業・兼業を禁止している企業もありますが、厚生労働省が2018年1月に作成した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」※2によれば「裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当」とされています。実際、副業・兼業を容認している企業の例をみると、働き方改革の促進など新たな働き方への順応性においてもメリットがあると思われます。企業は副業・兼業を前向きに捉えて早期に制度化し、就業時間や健康の管理、秘密保持といった内容を就業規則に定めることが求められています。

副業・兼業において企業に求められる対応

(厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」※2を参考に作成)

※4:厚生労働省「モデル就業規則」第14章 副業・兼業
https://www.mhlw.go.jp/content/000496443.pdf

●「参加が当たり前」の雰囲気をつくっていく

ボランティア・社会貢献活動への参加は、誰もがいつでも行動に移せるようになることで日常化し、当たり前となっていきます。企業として積極的に参加することを決め、休暇制度など参加しやすい環境を整備することが重要になります。

ボランティア・社会貢献活動において企業に求められる対応

(労働政策研究・研修機構「生涯現役を見据えたパラレルキャリアと社会貢献活動 -企業人の座談会(ヒアリング調査)から-」※3を参考に作成)

本業以外の新たな取組みを選択し両立させるパラレルキャリアは、よりダイバーシティに対応した働き方・生き方が実現できる施策といえます。その点では企業にとって、人材育成的にも有効な取組みといえるでしょう。これからの時代に活躍できる人材を育成するためにも、企業にはパラレルキャリアを活用した人材育成が求められています。

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