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(情報掲載日:2012年8月20日)

人材マネジメントライブラリ

企業に求められる「労務コンプライアンス」(3)

〜「時間外労働」編

VOL.8

サービス残業などのトラブルが社会的な問題となっています。労務コンプライアンスの観点から、時間外労働・休日労働を行う場合に必要な「36協定」、そして「時間外手当」の支給について、注意すべき点をご紹介します。



「時間外労働」における労務コンプライアンス

●36協定とは

労働基準法第32条では、労働時間について1日8時間、週40時間を「法定労働時間」としており、それを超える時間の労働をさせることを禁止しています。また休日についても、労働基準法第35条において1週間に1回又は4週間に4回の休日を「法定休日」として保証し、法定休日の労働を禁止しています。
しかし、労働基準法第36条では、労使が書面で協定を締結して、事前に所轄の労働基準監督署に届け出た場合には、使用者はその協定に従って、法定労働時間を超えて時間外労働をさせたり、休日労働をさせることができるとしています。
こうした労使の協定を、労働基準法第36条にならって「36協定(さぶろくきょうてい)」と呼んでいます。


●36協定の内容

①時間外(休日)労働させる必要のある具体的な理由、業務の種類、労働者の数
理由の箇所には、「臨時の業務」などと記載せず、業務の区分を細分化して、時間外労働の範囲が明確になるようにすることが必要です。

②1日及び1日を超える一定の期間について、延長することができる時間
延長の限度については、以下の表のようになります。

1日及び1日を超える一定の期間について、延長することができる時間

③労働させることのできる休日

④労働者の過半数を代表する者を選出する方法

⑤協定の有効期間
有効期間に制限はありませんが、協定の中では1年間の延長時間について定める必要があるため、短くても1年間の有効期間は定めなければなりません。起算日の決まりもありませんが、自社の事業年度に合わせて起算日を設け、有効期間は1年とするケースが多いようです。


●36協定を締結する際、最低限押さえておくべきポイント

①書面による合意、労働基準監督署への提出
36協定は、まず36協定の当事者である労働組合、または労働者の過半数を代表する者との間で必要事項について書面(労使協定書)による合意を行い、それを所轄の労働基準監督署長宛てに提出しなければ、その効力は発生しません。
協定を締結しても、届出をしていなければ36協定としては無効となるため、時間外(休日)労働をさせた場合は違法となります。
なお、36協定の届出については、本社等で一括して届け出ることが可能です。しかし、上記①〜⑤にある36協定の内容が同じであっても、事業所等において協定の当事者である労働組合の名称や労働者の過半数を代表する者が異なる場合においては、各事業所等ごとに届け出る必要があります。

近年、サービス残業の摘発が強化されている中で、労働基準監督署は36協定の作成・届出を重要視しています。例えば、36協定には労働時間を「延長することができる時間」を記入する欄がありますが、これには前述した限度時間が決められています。この限度時間の記載が一定の抑止力となって、長時間労働が抑制されることが期待されています。

②限度時間を超えた場合の特別条項付き36協定の締結
緊急で、限度時間を超えて時間外労働をしなくてはならないような事情が予め予想される場合には、特別条項付きの協定を締結することによって、限度時間を超える時間外労働ができることになります。ただし、特別条項付きの36協定を締結する場合、特別条項を適用する回数を定めなくてはなりません。その回数は、適用した状態が、全体として1年の半分を超えないように設定しなければなりません。例えば、限度時間を越えて時間外労働が発生する対象期間を1週間とするなら1年は52週なので26回、1カ月とするなら1年は12カ月なので6回が限度となります。


●36協定締結についてトラブルを回避するためのチェックリスト

労務コンプライアンスの観点から36協定を締結する際、トラブルを回避するための主なポイントとなる事項を挙げてみました。自社において、以下の事項が欠落していないかどうかをチェックしてみてください。

□適用対象者が明確に定められているか
□時間外・休日労働が必要な場合の、具体的な理由が定められているか
□残業や休日労働をさせる時、36協定を締結し、届出をしているか
□時間外・休日労働時間は法定の限度時間内に収まっているか
□限度時間を超える場合は特別条項を定めているか
□改正に際して、従業員に対して十分な説明を行い、理解してもらっているか

また、36協定の詳細については、以下のURLも参照してみてください。

厚生労働省 時間外労働の限度に関する基準
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040324-4.pdf


【参考】
「36協定」に関する疑問を解決
36協定についてQ&Aを紹介しています。
http://www.tempstaff.co.jp/magazine/jhqa/vol05_2.html


●時間外手当とは

労働基準法で定められた労働時間を超えたり、法定休日に働かせる場合、36協定の締結・届出とともに、時間外手当として「割増賃金」を支払う必要があります。割増賃金の支払いが必要となるのは、以下のような労働です。

①時間外労働
労働基準法で定められた1日8時間、週40時間を超えて労働者を働かせる場合には、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
残業を行っても1日8時間、週40時間以内に収まるような場合には、別途、割増賃金を支払う必要はありません。
平成22年4月より、長時間労働を抑制するため、月60時間以上の時間外労働に対しては、通常の賃金の50%以上の割増賃金を支払わなくてはならなくなりました。なお、中小企業に対しては3年間適用が猶予されており、平成25年以降改めて、適用等を含め検討されることになっています。

②深夜労働
深夜10時から翌朝5時までの間に働かせた場合も、25%以上の割増賃金を支払う必要があります。また、同時間帯が時間外労働時間の場合、25%以上の時間外の割増賃金25%が加わることになります。

③休日労働
法定休日に働かせた場合、休日労働に関する割増賃金を支払う必要があります。この場合、35%以上の割増賃金を支払うことになります。
なお、35%以上増しになるのは、法律で定められている1週1日、4週4日の休日のことです。例えば、土曜日・日曜日が休日の会社が土曜日に出勤させて日曜日に休んだ場合は、日曜日が1週1日の休日となるため35%以上の割増賃金を支払う必要はありません。ただし、土曜日に出勤させたことにより週40時間を超えた場合には、25%以上の割増賃金を支払うことになります。

③休日労働

時間外割増賃金と休日労働は加算されませんが、時間外割増賃金と深夜割増賃金、休日労働と深夜割増賃金は加算されます。

③休日労働


●時間外手当を支給する際、最低限押さえておくべきポイント

①割増賃金の算出のためのベース単価
時間外手当としての割増賃金を算出する際、原則、手当を含めた「時給」を求めるところから始めます。
給与が時給制であればその金額がそのまま、日給の場合はその金額を所定労働時間で割った金額、月給であればその月の所定労働時間数で割った金額がベース単価となり、これに割増率をかけたものが割増賃金となります。

②端数処理について
「働いた分を支払う」のが賃金の基本的な考え方であり、これを守らなければ、法律違反となります。例えば、残業時間を1日単位で集計して、15分単位で切り捨てるようなことは違法となります。しかし、事務処理の簡略化の例外として1カ月単位での端数処理については、次のような方法が認められています。

・1カ月の時間外労働時間の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
(昭和63年3月14日 労働基準局長名通達第150号)

③手当の扱い方
手当については、計算に入れる手当と入れない手当があります。計算に入れない手当としては、以下のような手当があります。

・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与)

これらはその手当の実際の内容によって判断されるので、名称を付けただけで一概に除外できるものではありません。また、一律に支給される手当は除外できません。


●時間外手当についてトラブルを回避するためのチェックリスト

労務コンプライアンスの観点から時間外手当を支給する際、トラブルを回避するための主なポイントとなる事項を挙げてみました。自社において、以下の事項が欠落していないかどうかをチェックしてみてください。

□時間外労働、深夜労働、休日労働で必要な割増賃金を支払っているか
□加算される場合の割増賃金(時間外労働+深夜労働、休日労働+深夜労働)を支払っているか
□1日の時間外労働時間の把握は、切り捨てを行わず、正確に集計しているか

また、時間外手当の詳細については、前述した厚生労働省のURLも参照してみてください。

従業員に時間外労働をさせる場合は、36協定の届出や時間外手当の支払いを行うことが、労務コンプライアンス上必要です。労働基準監督署による調査等が行われた場合、これらの法令上必要な措置が行なわれていないと、行政指導を受けたり、労働基準法の罰則が適用され、大きなトラブルに繋がる可能性も大きいため、法令を順守し、対応することが求められます。

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