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(情報掲載日:2015年11月10日)

人材マネジメントライブラリ

スーパープレゼンテーション「TED」に説明力・説得力を学ぶ

VOL.46


スピードが求められるビジネスの現場においては、短時間で相手に説明、説得する力が求められます。世界の著名人も登壇するスーパープレゼンテーション「TED」は、プレゼンテーションのレベルが高いことで有名で、そのノウハウが注目されています。今回はそこで発揮されている説明力、説得力について解説します。

TEDが注目を集める理由

●TEDとは何か

TEDは、毎年大規模な世界的講演会を主催している非営利団体です。TEDはTechnology Entertainment Designの略称であり、テクノロジー、エンターティメント、デザインを中心にさまざまな活動を行う人にプレゼンテーションの場を提供しています。スピーカーのリストには、amazonの経営者ジェフ・ベゾス氏、マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、Wikipediaの創設者ジミー・ウェールズ氏といった著名人もずらりと並んでいます。TEDのプレゼンテーションはスピーカーのレベルもさることながら、その質が非常に高いことで有名です。1400本以上のプレゼンテーションを収録した「TEDトークス」(※1)は無料で公開され、世界中で見られています。日本では毎週水曜夜にNHK教育「スーパープレゼンテーション」(※2)という番組でも紹介されています。
TEDでは「伝えるための演出」が重視されており、プレゼンテーションのビデオからは、「ビジネスで使える説明力や説得力が学べる」と近年注目を集めています。

●スピーカーに提示される「TEDの十戒」

TEDの運営者はスピーカーに「TEDの十戒」を提示し、講演に期待する内容およびマナーについて伝えるようにしています。プレゼンテーションは一人最大18分までと決して長い時間ではなく、その中でいかに印象強く、エネルギッシュに飽きさせずに人々に伝えられるかが注目されています。

TEDの十戒

1. 決まりきった内容の披露にとどまらないようにせよ
2. 大きな夢、または驚くべき新しいモノか、初めて明かすことを語れ
3. 好奇心と情熱を示せ
4. 物語を語れ
5. よき関係づくりと最高の論争のために、他の話し手の発言に自由に意見を述べよ
6. 自慢に終わるな。弱みを隠すな。成功とともに失敗を語れ
7. ステージでの売り込みは止めよ
8. 「笑いはよいこと」と心得よ
9. 原稿をただ読まないようにせよ
10. 次の話し手の時間を盗んではいけない

※1:TED Talks
https://www.ted.com/talks?language=ja

※2:NHK教育「スーパープレゼンテーション」
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/

TEDに見るプレゼンテーションノウハウ

●TEDトークに見るノウハウ

TEDトークを見ていると、内容が伝わってきて心が動かされるプレゼンテーションには共通点があることがわかります。TEDイベントのオーガナイザーであるジェレミー・ドノバン氏は、著書『TEDトーク世界最高のプレゼン術』(新潮社)で、TEDトークを分析したプレゼンテーションテクニックをまとめています。その中から、ビジネスにも通じるものをいくつか紹介します。

・「何のために」を最初に、「何をするか」は最後に語れ

TEDトークにも登壇している作家のサイモン・シネック氏は、成功するリーダーや企業にはプレゼンテーションに共通の特徴があると語っています。「普通の人は『何をするか』から話を始め、次に『どうやって実行するか』をほんの少し語る。しかし、成功するリーダーや企業は『何のためにそれをするのか』から話を始め、次に『どうやって実行するか』を語る。『何をするか』は最後に取っておく」。これはゴールデン・サークルと呼ばれ、その有名な例としてはアップルの新製品発表のプレゼンテーションが上げられます。ビジネスでも営業場面ではつい商品やサービスのことから話しがちになりますが、その前に「何のためか」を語ることが重要です。また、プレゼンには「焦らしのテクニック」も用いられており、プレゼンテーションで聴衆にもっと情報がほしいと思わせるコメントや質問を挟むことで、その効果が生まれます。

・リアルなパーソナル・ストーリーを語れ

聴衆が最も集中して聴いているのは、プレゼンテーションが始まって最初の10秒から20秒のオープニングです。そこですばやく心をつかむことが大切です。着実に成功をもたらすオープニングは、個人にまつわるパーソナル・ストーリーを語ることと言われています。その内容は、スピーカー自身に関するもので、コアメッセージに直接関連していること、そして五感に訴え、会話を盛り込んだものであること。つまり追体験できるほど具体的であることが求められます。ビジネス場面でも、会話に自身が体験したエピソードを盛り込むと説得力が増します。

・キャッチフレーズとユーモアを使いこなせ

よいアイデアは、相手の記憶に残るリズムや韻を意識した短いキャッチフレーズにして、プレゼンテーションで最低3回繰り返すと効果的です。米国のオバマ大統領も演説では「We can change(私たちは変えられる)」「Hope and Change(希望と変化)」といった言葉を繰り返しました。ビジネス場面では自己紹介をキャッチフレーズ化しておくことも有効です。また、話にユーモアを交えるとスムーズなコミュニケーションが生まれます。特に自虐的なユーモアは簡単でありながら効果は絶大です。

・聞き手にインパクトのある質問をせよ

聴衆に考えてもらいたい問題を明確にするには、インパクトのある質問が有効です。中でも「なぜ(WHY)」「どうして(HOW)」からの質問は効果的です。また、答えが同じになる質問を連続して行うことも効果があります。ビジネスにおいても、「なぜ」「どうして」からの質問を相手にすることで、互いに問題意識を共有することは意味があります。

・ショッキング・ステートメントを使え

ショッキング・ステートメントとは衝撃的な事実の提示のことで、よく統計値について語られます。例えば、シェフとして有名なジェイミー・オリバー氏は、子どもの栄養についての主張の冒頭で、「私がここで話をしている18分のあいだに、アメリカ人の4人が、食が原因で亡くなっている」と伝えました。
また、一般的な社会通念に異議を唱えるような、力強い主張を述べるケースもあります。キャリアアナリストのダニエル・ピンク氏は「やる気に関する驚きの科学」のプレゼンテーションで、「伝統的な報奨は、私たちが考えているほど有効な方法ではない」という事実を語り、新たなモチベーションのあり方を示しています。ここで大切なことは、聴衆の感情を誘発するものでなければならないということです。ビジネス場面でも、提案の中にインパクトのある事実や意見を添えることで、聞く人に驚きや刺激を与えることができます。

他にも、話すときの動作において下のようなノウハウが紹介されています。プレゼンテーションでスピーカーの緊張が伝わってくるようでは、聴衆も話に集中できません。スピーカーは下のような動作を意識することで、聴衆に落ち着いた印象を与えることができます。

話すときの動作のノウハウ

・話しかけるときは、両腕を楽にして身体の脇に下ろしておく
・腰から上、首から下の部分で自然なジェスチャーをする
・笑顔よりも、まっすぐに立ち身体のバランスを保つことが重要
・講演中は3秒から5秒ほど一人ひとりと視線を合わせる
・ほんのわずかの間、目を閉じてみるのも効果的

いかに説明力・説得力を身につけるか

●自分を客観視することがトレーニングになる

ノウハウが聞けたからと言って、すぐにプレゼンテーションが上手くなるというものではありません。やはりトレーニングが必要です。ニュース解説で知られる池上彰さんは、スピーチトレーニングでもっとも簡単な方法は、気心の知れた友人や同期社員の中にスピーチを聞かせ、忌憚ない意見を言ってもらうことだと語っています。自分に対して率直に正直な意見を言ってくれる人は貴重な存在です。

しかし、周囲にそのような人がいなくても、自分でスピーチを録音して聞くだけでも弱点は見えてきます。早口だったり、間が取れていなかったり、説明不足だったり。また、周囲や知り合いの中でプレゼンテーションがうまい人の、どこが上手いのかと考えてみることも大事です。上手い人の話を聞くと、そこで「話すトーン」を変えていることに気付きます。間をためたり、人真似したり、語気を強めたりと飽きさせません。

●社内に「話し方を学び合う風土」をつくる

プレゼンテーションの上手い社員が多い企業には、互いの主張や意見を尊重し、相手の意見をきちんと聞く風土があります。そのような風土を育てるには、社員同士で話をし、互いに話を聞く機会を増やす必要があります。人事には、会議や研修など社員が人前で発言できる場において、社員が自由に発言し、またその発言を互いに尊重する雰囲気づくりを行うことが求められます。

社内で話し方を学ぶ方法

・話し方やプレゼンテーションが上手い人に学ぶ機会をつくる(トップ営業に同行、上手い人のプレゼンテーションをビデオ化など)
・互いに話し方をチェックするプレゼンテーション練習を行う(ディベート、ロールプレイングなど)
・社員同士で本気のプレゼンテーションが行える場を設ける(新規事業・アイデアコンテスト、プレゼンテーション大会など)
・周囲や顧客を説得し、新たな活動や行いをした人や組織を表彰(または広報)する制度をつくる。そこでどのような説得が行われたのかを詳しく広報する(新規事業や大型受注の紹介など)

人は本気で言葉を伝えようとすると、その表情、話し方、行動に違いが生まれます。ただ、自分の意図する意見やアイデアに対し、短時間でできるだけ多くの人に賛同してもらおうとすれば、そこにはプレゼンテーションノウハウの活用も必要です。TEDスピーカーも、プレゼンテーションを何度も経験する中で、ノウハウの重要性に気付いてきました。だからこそ、ここには使えるノウハウが詰まっています。

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