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(情報掲載日:2015年6月10日)

人材マネジメントライブラリ

逆境に負けないレジリエンス

VOL.41


レジリエンスとは、逆境や困難、強いストレスに直面したときに、それに適応できる心の力であり、「心のしなやかさ」を意味します。現代は、仕事において個々に任せられる領域が増えており、一人ひとりにレジリエンスが求められています。同時に、企業におけるレジリエンスも求められており、いかに逆境に立ち向かう組織を育てるのかが課題となっています。

レジリエンスとは何か

●レジリエンスとは「心のしなやかさ」

レジリエンスとは、「回復力」「復元力」などと訳される心理学用語です。逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセスであり、「心のしなやかさ」を表します。逆境を吸収できれば成長につなげることができます。その概念が最初に注目されたのは、1970年代、第二次世界大戦でホロコーストを経験した孤児の心の違いからと言われます。最近では、東日本大震災における被災者への支援や、気候変動などの世界共通の脅威を議論したダボス会議でも、このワードが注目されました。企業では成果主義の導入が増え、社員は短期の目標で競わされ、精神的に辛くなり孤立化する傾向も見えます。また、企業にとっても環境の不確実性が増す中で、レジリエンスのある組織をつくることは大きな命題です。

レジリエンスの専門家である久世浩司氏は、レジリエンスにつながる不安感情の発生原因として「失敗」「未知」「喪失」の不安をあげています。ただし、不安感情にはポジティブな役割もあり、「アラーム機能」「モチベーション機能」「プッシュ機能」が働くことで、次なる困難に立ち向かう意欲が湧き、準備もできるようになります。このポジティブな効果を活用することが、レジリエンスの育成につながります。


不安感情の主な発生要因


不安感情のポジティブな役割
久世浩司『仕事で成長する人は、なぜ「不安」を「転機」に変えられるのか?』朝日新聞出版をもとに作成


個人のレジリエンスを高める

●「自己効力感」を生む行動を知る

では心の折れやすい人と折れない人の違いとは何か。埼玉学園大の小玉正博教授は、制限時間60分でけん玉の大技に挑戦してもらう実験を行っています。ここで長く頑張れた人の特徴として「状況に一喜一憂しないこと」があげられています。逆に挑戦時間が短かった人には「課題に最初から無理と決めつけている」「自分の力を過小評価する」という傾向がありました。
レジリエンスには、「感情をコントロールする力」や、自分の力を過小評価しない「自尊感情」が大きく関係します。また、心が折れない人は、自分ならきっとうまくできると自分を信頼できる「自己効力感」や、いつかはできるだろうと思える「楽観性」といった「しなやかさ」を持つ傾向があります。この「自己効力感」を生む行動には、以下のようなものがあります。


「自己効力感」を生む行動
小玉正博『ヘコんでも折れないレジリエンス思考』河出書房新社をもとに作成

●感情コントロールをマスターする

レジリエンスを高めるためにもっとも知るべきことは、「感情をコントロールするコツ」です。感情にジャマされず効率的に仕事をするには、感情をコントロールする技術が必要になります。自分のネガティブな感情に気付くことから始めて、そこにどんな感情があるのかを「見える化」し、感情の気晴らしを行います。


感情コントロールの3つの基本
久世浩司『仕事で成長する人は、なぜ「不安」を「転機」に変えられるのか?』朝日新聞出版をもとに作成

●レジリエンスを発揮する基本手順

久世氏は著書『仕事で成長する人は、なぜ「不安」を「転機」に変えられるのか?』で、レジリエンスには主な技術が3つあると述べています。その活用は以下のような流れになります。

レジリエンスを発揮する基本手順

ストレスで意欲が急降下する
          ↓
まず感情のきっかけとなる「思い込み」をコントロールして、気持ちの落ち込みを「①底打ち」させる。
          ↓
次に、自己効力感、社会的支援、感謝といったポジティブな感情を意識することで「②立ち直り」を図る。
          ↓
最後に「③振り返り」を行うことで、立ち直りの体験を教訓化させる。


個人のレジリエンスを高めるには、「自己効力感を生む行動」+「感情コントロール」+「実践でさらに高める」ことが必要です。久世氏は同著で、レジリエンスを発揮させる過程において、不安を和らげるために休息してしまうと、それが逆効果になることがあると述べています。それは心の緊張がなかなか治まらないことが原因であり、そのようなときは不安を強みとして活用する手法も可能です。そこでは「不安モード」にある気持ちを、「不安は強みである」と認識することで「やる気モード」に変え、そこから目の前の仕事に没頭しながら、気持ちを「没頭モード」に変えていきます。この手法をマスターすることは不安の解消および活用につながります。



企業のレジリエンスを高める

●「逆境企業」に見るレジリエンス実例

レジリエンスは、さまざまな逆境に遭遇する企業にも求められます。レジリエンスが高い企業には失敗を恐れない文化があり、それが新たな成長を生み出しています。また、失敗も学びと考え、互いに積極的なトライアルを促す文化もあります。逆境をバネに成長できた企業事例からはレジリエンスがうかがえます。


逆境をバネに飛躍した企業事例

「危機」は裏を返せば「変革のチャンス」であり、その現場には積極的な行動への意欲、人を動かすパワーが生まれます。それらを利用して前向きな雰囲気を醸成し、「皆で成功させたい」という気持ちが共有できれば、企業のレジリエンスは大きく成長します。また、過去の社員の成功体験を皆で共有することも、「自分たちにできるかもしれない」と思えるため、レジリエンスの育成には有効です。


●「超回復」に導くレジリエント・リーダー

経営学者で神戸大学大学院教授の金井壽宏氏は、企業におけるリーダーは逆境をくぐり抜けることで、以前の状態への回復だけでなく、前よりも高い境地に導けると述べています。この「超回復力」を引き出すレジリエント・リーダーの一例が明治維新のリーダーです。岩倉具視らは視察の旅で先進国を見て「日本は遅れている」と悲観せず、「日本はこういうふうに変われる」と考えました。米国ではケネディ大統領が「月に人が降り立つ姿を見たくないか」と国民に語りかけ、アポロ計画を推進させています。

また、金井教授はレジリエント・リーダー育成に有効な方法として「修羅場経験」を上げています。厳しい局面をくぐり抜けた経験を持つ人には、そこから打たれ強さやしなやかさが加わる例が少なくありません。そのような修羅場を乗り越えるには、リーダーに以下のような要素が必要とされます。厳しい局面でリーダー自身がレジリエントな姿勢を示すことで、より粘り強い回復力を持つリーダーシップが形成されます。


レジリエント・リーダーに必要な4要素

レジリエンスは誰にでも備わっている力ですが、その「存在と価値」を意識することでより効率的に育成ができるようになります。逆境や困難、強いストレスに直面したときは、そこに必ずレジリエンスの萌芽があり、事前にレジリエンスの「存在と価値」を認めておくことは、逆境に立ち向うことを「前向きに考えられる力」となります。逆境は「レジリエンス成長のチャンス」と捉え吸収し、成長につなげたいものです。

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