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(情報掲載日:2015年4月10日)

人材マネジメントライブラリ

組織をより強くする「フォロワーシップ」

VOL.39


フォロワーシップとは、部下(フォロワー)が自主的な判断や行動により、上司を支え、組織における成果の最大化に貢献することを意味しています。組織が出す結果に対して、リーダーが及ぼす影響は2割、フォロワーが及ぼす影響は8割とも言われます。上司のプレイングマネジャー化で部下に目が届かなくなっている現状において、いかに「組織としての力」を引き出すか。それを生み出すためのフォロワーシップについてご紹介します。

リーダーシップの限界

●部下を教える時間、機会がなくなっている

近年、企業では過去の人員削減や新卒採用の抑制の影響で、職場の人員構成も変わってきています。フォロワー層が減少したことで管理職ポストも減り、後輩を教えたことがない管理職も生まれています。2012年に行われた「上場企業の課長に関する実態調査」では上場企業の課長の9割はプレイングマネジャーであり、仕事の半分以上がプレイヤー業務である課長は48.2%と、2010年調査に比べ8.2ポイント増加しています(※1)。


学校法人産業能率大学 「第2回上場企業の課長に関する実態調査」(2012年)をもとに作成

また、同調査で課長に「現在の悩み」について聞いたところ、最も多い悩みは「部下がなかなか育たない」(41.8%)で、前回調査から12.1ポイントも上昇しています。プレイヤー業務を含めて業務量が多い中で、部下の育成に時間も手間もかけられずに苦心している姿がうかがえます。


●現場も「チームで動く必要性」を感じている

リーダーがプレイヤーとしても忙しく、部下と関わる時間が短い現状においては、これまでのように組織をリーダーシップだけでまとめて、引っ張っていくことは難しくなっています。そこで注目されているのがフォロワーシップです。

フォロワーシップとは、部下(フォロワー)が自主的な判断や行動により、上司を支え、組織における成果の最大化に貢献することであり、組織への自律的な支援、主体的な貢献を意味します。カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が、1992年に著書『The Power of Followership(指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ)』の中で、上司のリーダーシップを補完する概念として、初めてフォロワーシップという言葉を使いました。ケリー教授は「組織の8割はフォロワーシップで決まる」とも語っています。

2013年に、企業に勤める人に対して行われた「組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査」によれば、「組織の目標達成にどのようにすることが効果的か」という問いに対し、「組織の考えを理解しつつ自分なりに自律して行動する」(49.6%)、「組織の使命や職場の役割を的確に理解する」(43.8%)、「リーダーの考えや行動を踏まえて仕事を行う」(36.3%)が1位〜3位となっています(※2)。この結果からは、組織やチームの目標達成には、個々が組織のことを考えて行動すべきというフォロワーシップの意識が感じられます。


組織やチームの目標達成にどのようにすることが効果的か
一般社団法人日本経営協会「組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査」(2013年)をもとに作成

また、「チームワークをよりよい状態に保つために必要なもの」について聞いたところ、「組織・チーム内の人の間に相互信頼関係があること」(69.2%)、「安心して議論したり意見を出したりできること」(47.7%)が1位、2位となっており、リーダーと部下、部下同士の信頼関係が重視されていることがわかります。

※1 学校法人産業能率大学 「第2回上場企業の課長に関する実態調査」(2012年)
http://www.sanno.ac.jp/research/kachou2013.html

※2 一般社団法人日本経営協会「組織・チームにおけるメンバーのあり方と行動についての調査」(2013年)
http://www.noma.or.jp/shindan/result/result201304.pdf

フォロワーシップに必要なことは何か

●「支援×批判」で分かれるフォロワー4タイプ

フォロワーシップにおいて、フォロワーはリーダーを支援し、そしてリーダーが間違ったときにはそれを正す批判も行います。「ザ・フォロワーシップ」の著者で、エグゼクティブ・コーチング&コンサルティング・アソシエイツ代表であるアイラ・チャレフ氏は、支援と批判の2軸で考えるとフォロワーは4タイプに分かれると語っています。


フォロワーの4タイプ
アイラ・チャレフ著『ザ・フォロワーシップ』ダイヤモンド社をもとに作成

「パートナー」は、リーダーを精力的に支え、同時に必要と思えばリーダーの言動や方針に対しても積極的に批判する、もっとも理想的で勇敢なフォロワーです。部下が目指すべき理想像といえるでしょう。
「実行者」は、高い支援をしながら批判が少なく、多くのリーダーがフォロワーにこうあってほしいと望みがちなタイプといえます。リーダーが道を間違えても批判しないか、批判してもはねのけられるとすぐにあきらめてしまうタイプです。
「個人主義者」は、服従心が乏しく、リーダーや組織の他の人の行動や方針に対して自分の意見をずけずけ言うタイプです。周囲と足並みを揃えようとしません。
「従属者」は支援も批判もせず、仕事で成長することも、組織に貢献することも望めないタイプといえます。

フォロワーシップの基本は自己管理です。アイラ・チャレフ氏は、「実行者」「個人主義者」「従属者」は、自己管理の中で「パートナー」に近づく努力をしなければならないといいます。そして、フォロワーは、職場環境において情報や要求、意見がスムーズに伝わる状態をつくったり、仕事を果たすために必要な手段、データ、情報などがすぐに手に入るようにするなど、高いレベルで働きやすい環境づくりに取り組む必要があります。職場のフォロワーたちが一つになって、自らの職場環境を整えることも自己管理の一つです。


●勇敢なフォロワーに求められる5つの勇気

リーダーシップの研究家であるウォーレン・ベニス氏によれば、フォロワーの70%はリーダーが過ちを犯しそうだと気づいても、それに異を唱えることはしないといいます。その意味ではリーダーは現場が見えにくい立場であり、だからこそ「勇敢なフォロワー(パートナー)」が必要になります。アイラ・チャレフ氏は「勇敢なフォロワー」には、5つの勇気が求められると語っています。勇敢なフォロワーは支援も批判も積極的に行うという存在であり、その位置に近づくには今以上の行動を起こす起点となる勇気が必要です。


勇敢なフォロワーに求められる5つの勇気
アイラ・チャレフ著『ザ・フォロワーシップ』ダイヤモンド社をもとに作成

●リーダーにも必要なフォロワーシップ

リーダーはリーダーシップだけを発揮すればよいのではなく、フォロワーシップも含めた両面から組織を支えることが求められます。仕事においては、リーダーより部下のほうが、経験値が高かったり得意であることも少なくありません。そのときには、フォロワーがリーダーの立場になり、リーダーがフォロワーの立場になって仕事を遂行することもあります。また、リーダーもその上の上司に仕えるポジションであり、そこでのフォロワーシップが求められます。フォロワーシップは下から上を支える力であると同時に、組織における関係性を強める力でもあるのです。


●リーダーに接するとき、フォロワーが持つべき意識

『リーダーシップからフォロワーシップへ』の著書である中竹竜二氏は、フォロワーにはリーダーを批判する役目に加え、リーダーを育成する役目もあると語ります。特にリーダーが交代した際は新リーダーを導く役割があります。フォロワーがリーダーに接するときに注意すべきことは、リーダーの立場に敬意を払うことです。例えば、正論は刃物ともなるため、あくまでも話すときのツールと考えるべきです。正論を一番わかっているのはリーダーであり、それを真っ向から持ち出して議論すれば、互いを傷つけることにもなります。そして、リーダーに要望するときも、要望ばかりを押し付けずに、要望を問題提起と考え質問に変換して、互いに解決策を探るようにすべきです。

フォロワーシップのある組織をつくるには

●個人面談がフォロワー育成のポイント

リーダー視点だけで組織をつくってしまうと、メンバーが自力で判断し、責任をとる場面はどんどん少なくなっていきます。それでは組織は成長できません。中竹氏は、リーダーがやるべきフォロワーへの命題は、フォロワーが個々に強みを発揮できるスタイル構築だと語っています。そのためには部下の目標を設定し、自走できる環境づくりを行うことがポイントになります。そのすり合わせの場として最適なのが個人面談です。1対1で話すことにより、素の自分になれて、組織にどんな貢献ができるのかを考えることができるでしょう。

中竹氏は早稲田大学ラグビー蹴球部の元監督という経歴の持ち主ですが、その現役監督時代に、メンバー全員に「今後1年間の成果」「来シーズンで克服したいこと・極めたいこと」「自分のスタイル」の課題を出し、年に1回の個人面談の際にプレゼンテーションを行わせていました。この面談は評価の場ではなく、あくまでも本人が今後どう努力し、成長していくかのビジョンとストーリーを確認する場です。中竹氏は面談で以下のポイントをチェックし、個々がもっとも強みを発揮できるスタイルを定めて、それを軸にフォロワーシップの意識を植え付けていました。個人の強みを判断するときに大事なことは、その強みが現在の組織で発揮される強みとなっているかどうかです。以下のチェックポイントは個々の強みを正しく導き、成長のためのビジョンとストーリーを明らかにするために考えられました。この手法は企業においても十分に活用できる内容となっています。


個人面談での5つのチェックポイントとその目的
中竹竜二著『リーダーシップからフォロワーシップへ』CCCメディアハウスをもとに作成

●職場での自主プロジェクトの活用

中竹氏は、フォロワーが連帯して成長する手法として、リーダーが関わらず、フォロワーだけで自主プロジェクトを立ち上げ、業務目標の達成や職場課題の解決につながる取り組みを行うことを推奨しています。部下全員で何に取り組むのかを考え、期限と検証ルールを決めた上でスタートします。内容は営業の場合、新規顧客が最近少ないのであれば、企業への挨拶周りに注力する「名刺獲得プロジェクト」、契約がなかなか決まらないのであれば先輩が後輩に同行する「営業同行プロジェクト」。間接部門であれば「ミス撲滅プロジェクト」などもあるかもしれません。

この手法のメリットは、始めることで組織に責任感を生み、期限を決めることでやりがいを生み、やりきることで一体感を持てることにあります。自主的に行動し達成することで、組織に新たな絆が生まれます。フォロワーシップのある組織をつくるポイントは、あくまでも自主性を重んじることにあります。

現代においては、いくら優秀なリーダーがいても、その人一人だけで激変するビジネスに対応できるものではありません。その周辺に自律したフォロワーが複数いてこそ、今何が足りないのか、何が必要なのかと気付くことができます。そのようなフォロワーを育てるには、メンバーに自分で考える機会、課題に挑戦できる機会を与えることが必要です。企業は今、自律人材を生む環境をつくれるかが問われています。

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