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(情報掲載日:2015年3月10日)

人材マネジメントライブラリ

「フリーアドレス」で社内活性化

VOL.38


職場で個別の机を持たないフリーアドレス。その狙いは当初コスト削減でしたが、その後は、組織におけるコミュニケーションの活性化、創造性の育成へと展開しています。IT環境の進化により、導入もより容易になっています。その仕組みと狙い、導入事例、今後の方向性についてご紹介します。

フリーアドレスの歴史と広がり

●スペース確保のため、日本で考えられた制度

フリーアドレスとは、社員が固定の席を持たずに、オフィスの空いているデスクを使う方式のことで、1980年代に日本の建設会社のオフィスで採用されたことが始まりと言われています。米国などと比べてオフィスの広さに限りがある日本で、外回りの営業や出張などで日中に不在となる席を、在席者が使うようにすればオフィススペースの利用効率が高められると考案されました。しかし、当時は個人に固定デスクがないという状況が受け入れられず、紙による仕事情報の整理・共有も困難で普及しませんでした。

しかし、最近になって企業のIT環境の整備が進んだことにより、フリーアドレス導入の準備にかかる手間は以前に比べ容易になりました。社員はノートパソコン、無線LAN、携帯電話があれば、どこでもほぼ同じ条件で仕事ができるようになっています。また、クラウドコンピューティングの普及で、データをパソコン側で管理する必要がなくなり、データ面でのセキュリティの不安も解消されています。場所を問わない仕事環境が生まれることで、帰社を必要としない勤務や、ノマド(英語で“遊牧民”の意味)のように、場所を問わずに仕事をする「ノマドワーキング」も可能になってきました。


●導入目的は「社内活性化」「創造性の育成」へ

近年はフリーアドレスの効果として、社員の働き方やコミュニケーションに変革をもたらす点が注目を集めています。席が変動することで、職位や部署を超えたコミュニケーションが生まれ、その日の業務に関係する人でデスクを囲むなど、仕事に応じたコラボレーションも可能です。また、席が変わるリフレッシュ効果や、日々変わる周囲のメンバーとのやり取りで刺激を受けることによるモチベーション向上などのメリットもあります。そして、固定されたメンバー以外との交流が生まれることで、これまで得られなかった気付きや発見といった創造性の育成につながることも期待されています。


●経済産業省による「クリエイティブ・オフィス」の推進

フリーアドレスは、2007年から経産省が推進する「クリエイティブ・オフィス」でも、その機能に注目が集まっています。「クリエイティブ・オフィス」とは下図(※1)にあるような「12の知識創造行動」を誘発する場づくりであり、このうち、「刺激しあう」(「01ふらふら歩く。」「02接する。」「03見る。見られる。感じあう。」)、「アイデアを表に出す」(「04軽く話してみる。」「05ワイガヤ・ブレストする。」といった行動にフリーアドレスの効果が見込めます。


12の知識創造行動
12の知識創造行動

※1:クリエイティブ・オフィスづくり「見える化」委員会(社団法人ニューオフィス推進協議会が作成)「12の知識創造行動」 http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/consumergoods/downloadfiles/co0310.pdf

先進事例にみるフリーアドレス導入

●社内コミュニケーションが劇的に変化

最近のフリーアドレス導入事例をご紹介します。


これからのフリーアドレスの方向性

●失敗にみるフリーアドレスの課題

このように企業ごとにさまざまな形で導入が進むフリーアドレスですが、中には導入後に問題が起きているケースもあります。

  • フリーと言いながら、席やグループが固定化してしまう
  • 毎日、自分の荷物を持ち回ることが面倒になる
  • 周囲の環境が常に変わることから、疎外感やストレスを感じてしまう
  • 上司がメンバーを管理することが困難になる
  • 大規模オフィスでは、部外者が紛れていても気付きにくいことがある

これらは、社員の毎日の「仕事のしやすさ」や「セキュリティ不備によるトラブル」に直結する問題であり、問題が確認できた時点で急ぎ対策を講じる必要があります。グループの固定化には席決めルールを変更したり、毎週のミーティングで不満点をヒアリングするなど、制度が根付くまでのサポートは欠かせません。今後フリーアドレスを導入する企業では、無理なく進めるために、どの部門・部署の範囲で導入するかを検討し、導入に向けたミーティングやサポートを慎重に行うことも求められます。特に、疎外感やストレスを感じる社員は、これまでのオフィス環境や組織形態に慣れ親しんだ中高年層に多く見られ、その点ではストレスケアなどについても考慮すべきです。


●今後の組織の方向性を探る

これから本格化する介護での離職問題や、ワークライフバランスの実現、育児支援といった社員同士の助け合いの場面でもフリーアドレスは有効です。あるITサービス会社では、介護離職を防ぐために、休職制度を充実させるだけでなく、さまざまな社員の要望に応えるために柔軟な仕事環境を整えています。オフィスをフリーアドレス化した上で、働く時間の自由化やサテライトオフィスの開設を進めています。フリーアドレス導入は社内のIT化推進につながり、仕事の自由度を確保することに直結します。それによって、介護や育児、メンタル不調からの復帰時など、場所を選ばない柔軟な働き方の提供につながります。

企業にとってフリーアドレスは、組織マーケティングの場にもなる点で大変有効です。職場でのリアルな仕事の連携を見つけると組織改編のヒントになり、部署を超えた意見交換からは新たな事業の芽が見つかることもあります。自社の組織にどのような可能性が隠されているか、その金脈を探す手立てとしても活用できます。自由であることをいかに活かし、そこからの情報をどう使うのかが、企業におけるフリーアドレスの活用のポイントといえるでしょう。

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