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(情報掲載日:2013年11月20日)

人材マネジメントライブラリ

非管理職ミドル層のモチベーションを上げるには

VOL.23


人件費の抑制や組織のスリム化で管理職を厳選する企業が増加する中、管理職に就いていないミドル層のモチベーションを上げることが多くの企業で課題となっています。専門職的なポジションに就かせる、組織横断的に活躍できる場を与える等、非管理職ミドル層の活性化について企業事例をご紹介します。

管理職に就いていない中高年が過半数を超えている

●50代の大卒男性で課長以上の役職に就いていない人は55.7%

「会社員になったからには、社長や役員は無理としても、せめて課長になりたい」という志向がかつてはありましたが、最近では年々、課長以上のポストに就く人の割合が下がり、むしろ「課長にならない人」のほうが過半数を超えています。
日本労働組合総連合の調査(※1)によると、大卒の男性50〜54歳で課長級以上の役職に就いていない人の割合は、1985年では46.1%だったのが2002年には54.1%になり、2010年には55.7%まで増加しています(対象は従業員100人以上の企業)。

役職別人員比率の推移(大卒男性、50〜54歳) (単位:%)

役職別人員比率の推移(大卒男性、50〜54歳)

日本労働組合総連合「役職別の人員構成と賃金」

●出世だけではない、多様化する価値観

一般に企業の従業員は「係長→課長→部長」というコースをたどって昇進していく仕組みになっています。このような「出世コース」は、長期安定雇用を前提とした日本企業の慣行では、①入社3〜5年のうちは同期入社者の間での一律の昇進・昇格、②キャリアを積んで役職がつく時期になると昇進が早いか遅いかの競争、③課長級になると少数のポストをめぐる勝ち抜き型の競争(昇進できるかできないかの競争)というように、キャリアを重ねるに従って変化する3段階の出世競争になっていました。
働く人の立場からすると、①のうちはあまり不満がありませんが、②から③の段階では勝敗の格差が明らかになり、心穏やかではいられなくなってくる人も少なくないでしょう。
米国のような競争の厳しい社会では、競争に負けた人たちは組織を去らねばなりませんが、解雇ルールが厳格な日本では事情が異なり、出世競争に勝たなくても組織に残ることができます。途中で出世を諦め、働き続けるうちにモチベーションが下がってしまうこともあるでしょう。これは、働く人にとっても会社にとっても、好ましくない結果といえます。
一方で、仕事に対する価値観が多様化し、管理職にはならず自身の専門的なスキルの向上を目指す人や、ワークライフバランスの観点から、プライベートを重視して働く人が増えてきました。

多くの企業では、このように管理職にならない人がそれぞれの経験を生かし、能力を発揮できるような仕組みをつくり、非管理職ミドルのモチベーションを維持・向上させることが課題となっています。

※1 日本労働組合総連合「役職別の人員構成と賃金」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/shuntou/2011/shuukei_bunseki/data/bunseki12.pdf

非管理職ミドルのモチベーションを維持・向上するには

●「複線型人事制度」を推進する

非管理職ミドル層を処遇するうえで多くの大企業が導入しているのが、複線型人事制度です。従来の「係長→課長→部長」とは別のコースを設けるものです。部下をもたずに自分の担当の仕事に専念する役割であり、実務のエキスパート、あるいは特定の分野の専門家として能力を発揮しています。
複線型人事制度というと、ともすると出世コースからはずれた人がたどるキャリアパスという見方をされがちでしたが、価値観が多様化する中で、「自分は管理職には向かない」とか「自分は管理職になりたくない」という考え方をする人も増えてきています。そこで、管理職か専門職かの選択を自律的にできるような仕組みがあれば、働く人と組織の双方にとってメリットのあるものとなるでしょう。専門職コースを選ぶ人たちは、地位よりも仕事の内容を重視するため、得意な分野や好きな仕事を任されれば、それだけでモチベーションの維持・向上をすることができるはずです。

●組織横断的な活躍の場でベテランの能力を生かす

非管理職ミドル層に対してある程度の緊張感を与え、モチベーションを維持させるために、「籍」は元の部署に残しながらも、組織横断的に動ける役割を与えるケースがあります。例えば組織横断的なプロジェクトチームに非管理職のミドル層をリーダーとして配置する企業があります。テーマは各部署に共通するような効率化、IT活用などの改革・改善系のものや、これまでの専門性を寄り集めた新規事業の企画などですが、その業務に精通していなければ出来ないことや、その人以外にわかる人がいないため、責任もあるポジションと言えます。そのため、モチベーションの維持向上に繋がるでしょう。
こうしたプロジェクトチームでリーダーの役割を経験することにより、それまでに発揮できなかったリーダーシップを身につけるという人材育成上の効果も得られるようです。
会社によっては、このようなプロジェクトリーダーに一定の人事権を与え、メンバーの育成や評価にあたらせることにより、マネジメント能力の醸成を図る例もあります。また、社内公募制でプロジェクトリーダーを募ることにより、非管理職ミドル層にチャンスを与え、チャレンジ精神を刺激する例もあります。

●次世代育成の教育職として後進の指導にあたらせる

組織のフラット化に踏み切り、管理職のポストを減らした企業の中からは、フラット化の弊害として、かつて小さな集団の中できめ細かく行われていた指導・育成の質が保てなくなっているという声が挙がっています。また、成果主義のプレッシャーの中で、個々の社員が自らの成績を上げることに専心するあまり、組織が「個人商店の集合体」のようになってしまい、報告・相談・連絡が滞った結果、情報の共有や専門的な知識・技術の伝承ができなくなっているという声もあります。
こうした弊害を是正するために、組織の中で経験を積んできた非管理職ミドル層の能力が生かされています。ライン上の役職ではありませんが、OJTリーダーあるいはoff-JTの組織内研修の講師役として人材育成に携わっています。
ベテランがつかんでいる仕事の「カン」や「コツ」といったものは目に見えくいため、記録に残したり伝えたりすることがなければ消えてしまいます。そういったことをベテランが自ら指導すれば、それまでの経験が生かされてやりがいを感じることができるでしょう。また、若手の不安や疑問にきめ細かく応える中で、師弟関係のようなものが形成されるかもしれません。師弟関係は、部下と上司の関係とは別の次元で、組織の一体感を醸成する効果がありそうです。

節目の研修で働き方の再構築を図る

●「キャリア・プラトー」に対応する

このように、非管理職ミドルの能力発揮の場としては、さまざまな可能性があります。将来の選択肢が増えることによって、出世競争に勝ち残る以外の目的が生まれ、働く人が各自の判断で取捨選択する自律的キャリア形成が可能になります。ただ、いきなり選択の自由を与えられても、多くの人は戸惑うでしょう。
とくに中高年の場合は、「キャリア・プラトー」の問題があります。気力・体力が衰えてくるにしたがい、若かったころと違ってキャリアが上昇しているイメージをもてなくなり、行き詰まり、停滞しているように感じられる状態のことを「キャリア・プラトー」と言います。「プラトー」とは平原・台地の意味であり、どこまで進んでも山のような高みに到達できない様子を表しています。
そのまま平原を歩み続けるにしても進路のガイドになる地図や磁石に相当するものが必要です。また、さらなる高みを目指すには、具体的な目標を設定し、そこに向かってモチベーションを上げる仕掛けが必要になってきます。そのような仕掛けとして最近、大手企業で実施されているのが、40歳、50歳といった節目の時期に全従業員に対して行うキャリア研修です。

●キャリアをデザインする研修を実施する

管理職か、それ以外かという目の前の目標を定め、目標と自分の間にギャップがあるならば、そこを埋めて自己成長するために何が必要かを考え、方策を立てることが求められます。例えば40歳の節目研修には、下表のようなプログラム例があります。進め方としては、専門の講師による講義を中心に、5、6人のグループで話し合うワーク、キャリアプラン作成などの個人作業、さらにキャリア・コンサルタントのような専門家と1対1で話し合う時間を設ける例もあります。

40歳節目研修のプログラムの例

①自分の強みの確認
②モチベーションが湧き起こってくる源泉の確認
③自己啓発の方向性の設定
④企業と自分を取り巻く環境変化の確認
⑤キャリアビジョンの設定
⑥行動計画すなわちキャリアプランの作成

40歳ではまだ「のびしろ」が大きいのに比べ、50歳になると人々は企業内キャリアの終結を強く意識するようになり、「残り時間」をどう生かすかが重要なポイントになってきます。したがって、40歳節目研修が「ビジョン」「方向性」といった大づかみな内容であるのに対し、50歳節目研修は「今後3年の行動計画」「定年まで働くかどうか」といった具体的な内容になります。また、多くの企業では全員が定年まで賃金が上がり続けるわけではなく、役職定年制や雇用契約の変更などにより50〜55歳をピークにして賃金が下がる仕組みにしているため、マネープランや退職後のセカンドキャリアの準備が、研修受講者の関心の的になるようです。

企業で働く多くの中高年が「キャリア・プラトー」に直面しているといえます。複線型人事制度などの新しい仕組みづくりと、「自分のキャリアは自分で切り拓く」という自覚を持ってモチベーションを高める研修、そして人生観・キャリア観にマッチした意思決定を支援するカウンセリングを整備することが、ひいては非管理職ミドルの活性化に繋がるといえるでしょう。

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