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(情報掲載日:2013年9月20日)

人材マネジメントライブラリ

「本当に強いリーダー」として求められるサーバント・リーダーシップ

VOL.21


うつ病や統合失調症などを患う精神障がい者の増加に伴い、働く意欲と能力のある人の雇用を推進する国の方針が打ち出されています。精神障がい者を雇用するときのポイントや、職場への定着を促進するための留意点についてご紹介します。

精神障がい者の就職件数が大きく伸びている

●2018年から精神障がい者も雇用義務の対象に

2013年4月から障がい者の法定雇用率が引き上げられ、民間企業は1.8%から2.0%となりました。すべての事業主には法定雇用率以上の割合で障がい者を雇用する義務があり、ここでいう「障がい者」の中には身体障がい者、知的障がい者が含まれます。
厚生労働省のパンフレット (※1)によると、精神障がい者については現行法では雇用義務の対象ではありませんが、実際に企業などが雇用した場合は身体障がい者・知的障がい者と同様に雇用したものと見なされ、実雇用率としてカウントされます。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」によると、精神障がい者とは「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定義されています。
今回、2013年6月公布の改正障害者雇用促進法によって、精神障がい者も雇用義務の対象とされることになりました。雇用の義務化について述べた第37条は、下表のように改正され、2018年4月施行になります。

障害者雇用促進法第37条の改正前、改正後の新旧対照(※2)
障害者雇用促進法第37条の改正前、改正後の新旧対照(※2)

精神障がい者を雇用義務の対象とすることより、就労を望む精神障がい者の就労機会をさらに拡大していこうとする国の方針が伺えます。

●精神障害者保健手帳の交付数は約63万人にのぼる

厚生労働省の調査(※3)によると、精神疾患の患者数は2005年に300万人を突破し、2012年は約320万人となっています。精神疾患にかかる患者数は年々増加しており、その多くがうつ病、不安障害、統合失調症となっています。


精神疾患患者数 (単位:万人)

精神疾患患者数

厚生労働省「患者調査」より作成、2011年は宮城県の一部と福島県を除外

上の精神疾患患者数のグラフでは、2008年から2011年にかけて精神疾患者が減少していますが、一方で精神障害者保健福祉手帳の交付数は増加しています。手帳は障がいの度合いにより、1級から3級に分かれています。全てを合わせると交付数は2007年に約44万人であったのが、2011年には約63万人となり、1.5倍近い数値になっています。(※4)。精神疾患は完治が難しいケースや治療が長期化するケースも多いため、経済的支援を受ける手段として、手帳の交付を受ける人が年々増えているためかもしれません。


精神障害者保健福祉手帳の交付数 (単位:人)

精神障害者保健福祉手帳の交付数

厚生労働省「衛生行政報告例」(2011年)より作成

●精神障がい者の就職件数が増えてきている

厚生労働省の発表によると、ハローワークを通じた障がい者の就職件数はここ数年、大きく伸びています(※5)。2012年度は新規求職申込件数が約57,000件で前年比17.6%増であったのに対し、就職件数は約24,000件で前年比26.6%増となっています。求職者の中で就職が決まる割合も年々上昇しています。


精神障がい者の就職件数及び新規求職申込件数の推移 (単位:件)

精神障がい者の就職件数及び新規求職申込件数の推移

厚生労働省「衛生行政報告例」(2011年)より作成

※1 厚生労働省「平成25年4 月1 日から障害者の法定雇用率が引き上げになります」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/dl/120620_1.pdf

※2 厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/03.html

※3 厚生労働省「知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス」
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html

※4 厚生労働省「平成23年度衛生行政報告例の概況・精神保健福祉関係」(平成24年10月25日)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/11/dl/kekka1.pdf

※5 厚生労働省「平成24年度・障害者の職業紹介状況等」(平成25年5月15日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000031ock-att/2r98520000031oga.pdf

企業が精神障がい者を採用するときの留意点

●法定雇用率に到達すれば障害者雇用調整金等の支援を受けられる

2012年の障がい者実雇用率は1.69%(※5)で、史上最高の数値になりました。しかし、当時定められていた法定雇用率1.8%には到達していません。つまり、雇用義務を果たしている事業所とそうではない事業所の間にギャップが生じています。
法定雇用率を達成した企業には、「障害者雇用調整金」等、各種の助成金が支給されます。障がい者を雇用するには、作業施設や設備の改善、特別の雇用管理等が必要となるなど、障がいのない人の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うこともあり、雇用義務を誠実に守っている企業とそうでない企業とでは、経済的負担のアンバランスが生じる可能性があります。この経済的負担を調整するとともに、障がい者雇用の促進を図るため、法定雇用率が未達の事業主から拠出された納付金を既達の事業主へ支給して経済的負担をカバーする仕組みになっています。
独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構が事業主から障害者雇用納付金を徴収するとともに、その納付金を財源として「障害者雇用調整金」、「報奨金」、「在宅就業障害者特例調整金」、「在宅就業障害者特例報奨金」及び各種助成金の支給を行っています。
一例を挙げると、「障害者雇用調整金」は、常時雇用している労働者数が200人を超える事業主で障害者雇用率(2.0%)を上回って障がい者を雇用している場合に、その上回って雇用している障がい者数1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金を支給するものです。

●バリアフリー等のハード面よりもソフト面での対応が重要

今回公布された改正法における最大のポイントは、「雇用の分野における障がいを理由とする差別的取扱いの禁止」です。
たとえば、障がい者枠ではなく一般公募の求人に応募してきた人に対して、障がいがあることを理由に採用を拒否することができなくなります。
また、障がい者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることが義務づけられます。
精神障がい者を採用する場合は、バリアフリー等のハード面の対応が不要ですが、コミュニケーション上の障がいがある人もいるため、その場合はソフト面でのきめ細かい対応が必要になります。たとえば、親身になって相談に乗り、不安や緊張を和らげ、仕事の進め方を丁寧に説明することのできるサポーター役が職場にいれば、トラブルを未然に防ぎ、定着を促進することができるでしょう。

●採用時にきめ細かいヒヤリングが必要

精神障がい者の採用面接で必要な配慮としては、入社後の定着を促進する見地から、きめ細かいヒヤリングをするといいでしょう。その際に、プレッシャーを与えずに話しやすい雰囲気を作り、就業能力等の実態を引き出すことが大切です。できないことについて把握しておくことで、受け入れ前に準備することができます。入社前に確認しておきたいこととしては、次のような項目が挙げられます。

・精神疾患の発症の経緯
・どのような状況のときに症状が悪化したり、ストレスを強く受けるか
・服薬状況など、自身で健康管理ができているか
・コミュニケーションをとるときに特別な配慮が必要かどうか
・チームワークができるか、マイペースでできる個人作業のほうが向いているか
・発作を起こしたときなど、緊急時の連絡先

●勤務時間や日数、仕事の割り当てのしかたも個別対応で

採用後の勤務条件については、人によって1日4時間程度の短時間勤務から始めたほうがうまくいく場合もあります。1週間程度の「お試し出勤」をしてもらったうえで、与える仕事の内容や勤務条件を決める方法もあります。
業務が回り出したら、アフターフォローとして人事担当者が定期的に見回りをして面談をすることにより、本人の不安を和らげ、トラブルを未然に防ぐことができます。中には毎月1回、定期的に面談を行っている企業もあります。
聞く内容としては、業務量は適当か、上司による指示命令の出し方は的確か、業務のレベルは高すぎたり低すぎたりしないかといった当面の仕事に関することのほか、慣れてきたら今後のキャリアアップについても確認するなど、何でも話せるような信頼関係が築けるといいでしょう。キャリアアップのためには、単純作業ばかりを与えないといった配慮が必要です。
逆に、精神障がい者の定着がうまくいかなかった企業の失敗例としては、「何の仕事を任せればいいか、分からなかった」とか、「コミュニケーションをとれずに終わった」など、信頼関係を構築する場や機会がないことが原因になっているケースがよくあります。
しかし、職場は福祉施設のように常にケアをすることはできません。都道府県や主要都市にある就労支援センターとも連携して、何かあったら、本人が気軽に言えて、相談できるような関係づくりをすることが、定着促進の鍵といえるでしょう。

※6 厚生労働省「平成24年 障害者雇用状況の集計結果」(平成24年11月14日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002o0qm.html

テンプスタッフフロンティア株式会社では、障がい者紹介サービスをご提供しています。
テンプスタッフフロンティア株式会社ホームページ
http://www.tempfrontier.co.jp/

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