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(情報掲載日:2020年6月15日)


新人の教育シーズンである春から夏の季節。「教え方」について改めて考える機会が多いのではないでしょうか。人は最初に基本を学ぶことで気付きが生まれ、成長できます。職場で基本を重視した「教え方」を確立しておくことは、確実な人材育成につながります。皆さんも基本から始める「教え方」をマスターしましょう。

●最初に基本を教えることが、スピード感のある人材育成につながる

転職も当たり前となり、育児・介護などでの休職・離職などで人の入れ替わりも激しい現代。業務が多様化する中で、職場に新たに配属された人を早期に戦力化し一人前に育てることは、企業の人材力を高めるうえで大きな意味を持ちます。ダイバーシティが進み、さまざまな立場の人が職場に入るようになり、人への教えはより重要になってきました。また、人への教育の経験を積み、仕事の言語化、理論化が進めば、生産性向上の面でも効果が期待できます。今の時代は「見て学べ」と放っておいても、人はなかなか育ちません。始めに仕事の目的ややり方を説明し、結果を見せてあげる。そうした基本を知って実務に入ると、気付きが生まれ、幅広く物事に対処できるようになります。最初にしっかり基本を教えることが、結果としてスピード感のある人材育成につながるのです。

●仕事における「教え」とは「先輩たちと同じ視野」を持たせること

「教える」とは「知識・学問・技能などを相手に身につけさせるよう導く(大辞泉)」ことですが、仕事における「教え」とは、相手に仕事の現場で望ましい行動や判断をさせるために行う作業といえます。その行動の基本となるのは、職場の先輩たちと同様の判断ができる仕事における視野を持たせることです。そうしたレベルまで早期に引き上げるには、教える側が、相手が今どんな状態か、どんな考え方をしているかを常に観察する必要があります。そのため、人への教えでは、教える側に傾聴力、共感力、忍耐力が身につき、自らを育てることにもつながっていきます。

●教え上手な人と下手な人はどこが違うのか

人に教えるのがうまい人と下手な人がいますが、どこに違いがあるのでしょうか。教え上手になるポイントは主に3つあります。1つ目は、相手が物事をどこまで理解しているか、また、理解していないかについてよく把握できているということです。そのため、相手の理解に合わせた教え方ができます。2つ目は、物事の全体像についての解説とその具体例の解説のバランスが取れているということです。大枠の考え方を理解させたうえで、わかりやすい具体例を示せれば理解が深まります。3つ目は相手のアタマに入りやすいリズムやペースを察知し、それに合わせた話ができているということです。自分ではなく、相手のリズムやペースに合わせることで気持ちよく話を聞いてもらえます。つまり、相手のことをどれだけ把握できているかが、教えがうまくいくかどうかの分かれ目になるといえるでしょう。

●仕事の「教え」は相手の実力を把握することから始まる

物事を教える際には相手がどの程度の実力を持つのかを把握しておく必要があります。多くの人材育成に関する著書があり、教え方に詳しい古川裕倫氏は、教える相手の実力を把握するポイントとして次の5点をあげています。これらを把握するためには相手の話をよく聞き、行動をよく観察することが大事です。そのうえで相手の実力に合わせた教え方を考えていきます。

教える相手の実力を把握する5つのポイント

・長所と短所は何か
・褒めて伸びるタイプか、叱って伸びるタイプか
・行動力はどの程度あるか
・物事への理解力はどのレベルにあるか
・考え方はプラス思考かマイナス思考か。基本的にどのような考え方を持っているか

(古川裕倫『コーチング以前の上司の常識「教え方」の教科書』すばる舎を参考に作成)

実際に教えていくときも、相手の状態を考えながら、相手に合わせた教えを行う必要があります。特別なことをするのではなく、一つひとつ着実に理解させていくことが肝心です。また、教える内容は「知識・情報」部分と「技術・ノウハウ」部分に分けると、相手が理解しやすくなります。仕事における「知識・情報」とは、仕事をするうえで知らないと困る内容であり、「技術・ノウハウ」とは仕事が上達していくうえで知っておくべき内容です。中身を分けることで学びが進まないときに、どこに問題があるのかを把握しやすくなります。

教えるときのポイント

(古川裕倫『コーチング以前の上司の常識「教え方」の教科書』すばる舎を参考に作成)

●相手をよく観察し、支援を示すように言葉をかける

物事を教えるときには、その過程で必要に応じて叱り、褒め、応援することが求められます。そこで大事になるのは、教える側がどのような視野を持っているかを相手に言葉で伝えながら、相手を支援する姿勢を見せることです。教える側が自分の気持ちを言葉で表現し伝えることは信頼関係の構築につながり、学びの大きな推進力となります。


叱るときのコツ

・気付いたときに、そのことだけを短く叱る(人物を否定しない)
・マイナス面はプラスの言い方に変換して叱る(「ここがダメ」「ここができていない」→「ここを直せばよくなる」「この部分を改善すれば完璧」)
・過去を見るのではなく、未来を向いて叱る(次にミスをしないように伝える)
・相手を自分だと思いながら叱る
・説得するのではなく、納得させる叱り方を心掛ける



褒めるときのコツ

・褒めたい点を具体的に褒める
・自分がどう思ったか、職場にどんなメリットを与えたかを伝えながら褒める(例「私はありがたく思った」「おかげで職場が助かる」)
・本人が意外に思うような目立たない点を褒める(インパクトのある褒め)
・顧客など第三者に紹介しながら褒める
・相手のいないところで褒める
・相手がコンプレックスに思うことを強みに変換して褒める(例「気が小さい」→「慎重である」)
・褒めることが苦手な人は質問形式で褒める(例「どうしてそんなに英語ができるの?」)



応援するときのコツ

・ポジティブな言葉で叱咤激励する(例「もっと笑顔で接しなさい」→「いい笑顔だね。その調子で頑張ろう」)
・相手のことを認め、相手の背中を言葉で押してあげる
・相手へのフィードバックを交えながら、自ら目標を設定できるように声をかける
・部下の変化に気付いたときに声をかける
・言葉で期待感を伝え、相手が失敗したときには言葉でフォローする
・常に話を聞いてもらっていると部下が思えるように言葉でフォローする


教えることが上手な人は、相手をよく観察し、相手の気持ちを考えながら教えています。こうした人への教えは一つのスキルであり、教え方を学び、実践することでうまくなっていきます。また、人への教え方のノウハウは職場においても大きな財産となります。人を大切に考え、人と関わっていくことが、人材を育て、職場を育てることにつながるのです。

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