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年金の2013年問題に関する疑問を解決

(情報掲載日:2011年9月20日)

Q1年金の2013年問題とはどのような問題ですか?
A1

年金の2013年問題とは、2013年度(※1)から老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が60歳から61歳に引き上げられるため、2013年度以降に60歳を迎える方は、60歳で定年退職しても厚生年金が全く支給されず無収入になってしまうという問題です。
2011年度に60歳になる方の老齢厚生年金の支給は、厚生年金の加入期間に応じて定額で支給される定額部分は支給が消滅しているため、現役時代の報酬に比例する報酬比例部分のみが60歳から支給されていますが、2013年度からは、この報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられることが決定しています。

Q2なぜ老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるのですか?
A2

老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げには、年金制度の在り方を「60歳引退社会」を前提としていたものから、「65歳現役社会」に見直しをしたことが背景にあります。それは、今後の急速な少子高齢化社会に向けて、年金財政の給付と負担のバランスを確保しつつ、将来世代の負担を過重なものとしないためであり、若年者労働人口の減少を補う目的もあります。
なお、支給開始年齢は、2013年度以降から2025年度にかけて、対象者の生年月日に応じて段階的に引き上げることが決まっています。2025年度以降については、老齢厚生年金の支給開始年齢は65歳からになります。

■老齢厚生年金の支給開始年齢と支給内容

老齢厚生年金の支給開始年齢と支給内容

日本年金機構 老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)(※2)より抜粋

Q3年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、60歳以降の労働者にはどのような影響がありますか?
A3

2011年現在では、60歳時点で退職をしないで定年延長をする場合や、60歳で一度退職をした後に同じ企業に継続雇用される場合は給与と年金を同時にもらうことができます。
ただし、その場合の60歳から支給される老齢厚生年金は「在職老齢年金」(※3)という仕組みにより支給調整がされます。なお、60歳で継続雇用を希望せずに退職した労働者は、給与は支給されませんが、60歳から老齢厚生年金は支給調整されずに支給されます。
一方、2013年度以降に60歳で退職した労働者は、継続雇用された場合、給与は支給されますが年金は支給されません。また、60歳で継続雇用を希望せずに退職した労働者は、給与も年金も全く支給されない状態になります。

◆2011年度現在
  給与 年金
60歳退職後に
継続雇用

在職老齢年金による
支給調整あり
60歳で退職 なし
在職老齢年金による
支給調整なし

◆2013年度以降
  給与 年金
60歳退職後に
継続雇用
なし
60歳で退職 なし なし

そのため、例えば2011年度現在60歳で退職もしくは継続雇用された労働者より2013年度以降に退職・継続雇用された労働者のほうが、それまでの給与等の条件が同じ状態だったとしても、収入は少なくなります。また、2013年度以降に60歳で退職した労働者は継続雇用をされないと、老齢厚生年金の支給開始期間まで原則無収入の状態になってしまいます。

Q4年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、企業にはどのような影響がありますか?
A4

老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、60歳で退職した労働者には60歳から支給開始年齢まで収入がなくなる期間ができてしまいます。そのため、その期間をなくすために継続雇用を推進する目的で、企業には高年齢者雇用安定法に基づき、高年齢者の雇用確保措置が義務付けられています。定年制度(65歳未満)がある企業は、雇用する高年齢者(55歳以上)の65歳までの安定した雇用を確保するために、「定年年齢の引き上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じなければいけません。

そのほかに、60歳以降の労働者の継続雇用の増加に伴い、新卒採用や中途採用などに影響が出てくるという見方があります。というのも、一般的に企業は人材の年齢構成バランスなどを考慮して特定の年代に労働者が偏らないように新卒採用や中途採用をしていますが、2013年度以降に60歳以降の労働者の継続雇用が増えていくと、総額人件費の観点から新卒採用や中途採用の抑制が行われる可能性があるからです。
これに対し、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の『「70歳まで働ける企業」の取組みの進展・拡大を目指して(2011年提言)』(※4)では、日本は若年者と高齢者で職業経験や即戦力としての対応能力などに差異があるため、一部の非熟練労働分野などを除き高齢者と若年者の雇用が競合する範囲は大きくないという見方がされています。
提言ではさらに、「若年者採用に関する企業調査(厚生労働省 平成17年企業における若年者雇用実態調査)」で、企業が「若年正社員の採用を減らす」または「採用しない」理由として、「人件費等を抑えるため」(40.7%)、「経営状況の悪化等で経済的余力がない」(25.2%)、の2つが大きな理由となっており、「高齢者の継続雇用を優先するため」(17.8%)は、「即戦力となる人材がほしいから」(16.7%)、「業務を非正社員で代替するために優先的に非正社員を採用するため」(16.0%)と同水準となっていることにもふれており、高齢者と若年者の雇用が競合する範囲は大きくないと強調しています。

Q5今後、年金制度はどのように変わっていくのでしょうか?
A5

日本では、2030年には国民の3人に1人が65歳以上になることが予測されるほどの急速な少子高齢化が進んでおり、それに伴い20歳以上65歳未満人口の減少も始まっています。(※5

  65歳以上人口/全人口 65歳以上人口/20歳以上65歳未満人口
昭和35(1960)年 5.7% 10.6% (9.5人で1人)
昭和45(1970)年 7.1% 11.7% (8.5人で1人)
昭和55(1980)年 9.1% 15.1% (6.6人で1人)
平成2(1990)年 12.0% 19.6% (5.1人で1人)
平成7(1995)年 14.5% 23.2% (4.3人で1人)
平成12(2000)年 17.3% 27.9% (3.6人で1人)
平成17(2005)年 20.2% 33.1% (3.0人で1人)
平成21(2009)年 22.8% 38.5% (2.6人で1人)
平成42(2030)年 31.8% 58.2% (1.7人で1人)
平成67(2055)年 40.5% 85.0% (1.2人で1人)

(資料)総務省統計局「国勢調査」、「人口推計」
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」

厚生労働省 平成23年度年金制度のポイント第1章より抜粋

独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の『「70歳まで働ける企業」の取組みの進展・拡大を目指して(2011年提言)』(※5)でも取りまとめられているように、年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられ、団塊の世代が75歳以上になる2025年度以降を見据えて70歳までの雇用環境を整える必要性の議論が進められています。
なお、活力ある社会の維持や長期的に年金制度の持続可能性を維持するために、ドイツ・デンマーク・アメリカでは年金の支給開始年齢を67歳、イギリスでは68歳に段階的に引き上げることが法制化されています。
このように、先進各国では年金の支給開始年齢を引き上げる動きが相次いでおり、日本でも将来的にはさらなる支給開始年齢の引き上げの可能性もありえます。そのため、企業は2013年問題を契機に70歳まで働ける社会を目指すことを視野に入れながら、前向きに高年齢者の雇用確保に取り組んでいき、企業の人材と社会の活性化を担っていく必要があるといえます。

<参考>

◆65歳までの雇用延長義務化と企業の取り組み◆

1.改正高年齢者雇用安定法について
2006年4月に改正された高年齢者雇用安定法(以下、改正高年法 ※6)の中心となるのは、「65歳までの段階的な雇用確保措置の義務化」です。定年制度(65歳未満)がある企業に対し、2006年4月1日からは、その雇用する高年齢者(55歳以上)の65歳までの安定した雇用を確保するために、下記3つのうちいずれかの措置(以下、雇用確保措置)を講ずることを義務付けたものです。

(ア) 定年年齢の引き上げ
(イ) 継続雇用制度の導入
(ウ) 定年の定めの廃止

(ア)と(イ)について、法が定める引き上げスケジュールは下記のとおりです。

経過措置期間 義務化年齢
2006年4月1日〜2007年3月31日 62歳
2007年4月1日〜2010年3月31日 63歳
2010年4月1日〜2013年3月31日 64歳
2013年4月1日〜 65歳

(イ)には、大きく分けて下記2つの制度があります。
●勤務延長制度
定年年齢を迎えても退職せず引き続き勤務する。「定年の定めの廃止」と異なり、定年があり、定年後について処遇を変えたり、最高雇用年齢を定めたりすることができる。
●再雇用制度
定年で一度退職する。新たに雇用契約を結び雇用条件を刷新する。

3つの雇用確保措置には、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがありますので、これから取り組む場合には参考にしましょう。

メリット デメリット
(ア)定年年齢の引き上げ ・新規雇用が難しい企業の場合、定年で辞めてしまう人材を少なくとも数年は引きとめることができるので、人材の確保につながる ・勤務期間が長くなるため退職金・賃金のほか法定福利費等の人件費負担が増える
・人件費増を抑制するためには退職金規定・賃金規定の見直しが必要となる。
・加齢による生産性の低下等には個人差があるが、それを理由に対象者を選別することはできない
・別途役職定年制等を設けないと若い人材に役職を与えられなくなるなど、ポスト不足で人事が停滞する可能性がある
・60歳定年でライフプランを立ててきた従業員から不満が出る可能性が大きい
(イ)継続雇用制度の導入 ・労使協定で定年後の継続雇用の基準を設定することにより、対象者を絞ることができる
・定年で一度退職し、新しい雇用契約になるため、改めて個人の状況に応じた仕事を与えることができる
・賃金、労働時間など雇用条件を見直すことができる
・定年で契約を結びなおすので、新たなルールや選定基準を定める必要がある
・仕事の内容や賃金などの変更により、モチベーションや生産性が下がるリスクがある
(ウ)定年の定めの廃止 ・いつまでも働きたい労働者にとっては安心感を与えることができる
・新規雇用が難しい企業の場合、定年で辞めてしまう人材を少なくとも数年は引きとめることができるので、人材の確保につながる
・勤務期間が長くなるため退職金と賃金のほか法定福利費等の人件費負担が増える
・人件費増を抑制するためには退職金規定・賃金規定の見直しが必要となる
・加齢による生産性の低下等には個人差があるが、それを理由に対象者を選別することはできない
・本人の申し出がない限り、会社側の都合(解雇)で退職させなければならない
・別途役職定年制等を設けないと若い人材に役職を与えられなくなるなど、ポスト不足で人事が停滞する可能性がある
・60歳定年でライフプランを立ててきた従業員から不満が出る可能性が大きい

「定年年齢の引き上げ」や「定年の定めの廃止」は人事制度や給与制度等の規定を根本から見直す必要があり、制度設計や合意形成には時間がかかります。また、従来の定年年齢を基準にライフプランを描いていた従業員の理解が得られなければ制度の改定が進まないのも難点です。
初めて雇用確保措置を導入する場合には、「継続雇用制度の導入」から始め、運用しながら定年の引き上げや廃止が可能かを検討していくのも1つの方法です。

◆「継続雇用制度」を導入・運用するに当たってのポイント◆

1.継続雇用の対象者

(1)対象者の絞り込み
改正高年法では、原則「希望者全員」を対象とすることを求めています。ただし、各企業の実情に応じ、労使協定により基準を定めることによって「基準に適合する社員」のみを対象とすることが認められています。(労使協定は企業単位ではなく事業所ごとに締結する。労働基準監督署への提出は不要。)

(2)基準の設け方
では、基準の中身はどのように決めればよいのでしょうか?
厚生労働省の通達(※7)によると、下記2つの点に留意して定めるのが望ましいとされています。

[1]意欲・能力などをできる限り具体的に測るものであること
[2]必要とされる能力などが客観的に示されており、該当可能性を予見することができるものであること

近年、「基準」が不適切であるとする労働者からの訴訟が相次いでいます。こうしたリスクを避けるためにも、合理的・客観的な基準を定めて対象者を選別しましょう。

以下の5点は、上記の通達を「基準」に落とし込むためのポイントです。60歳以降は個人差の出る健康面についても、労働能力の一つとして具体的・客観的に測れるよう、適切な基準を定めましょう。なお、能力や技術に対する評価は、日頃から本人にフィードバックしておくことが重要です。
・働く意思・意欲
・勤務態度
・健康
・能力・経験
・技術伝承等

2.高年齢者の継続雇用後の処遇

(1)仕事内容
これまで継続雇用制度を導入してこなかった企業にとっては、その分労働力が増加するわけですから、定年後にどのような仕事を担当してもらうのかは重要なポイントといえます。仕事の担当を決めるにあたり、定型的な業務、経験と知識を必要とする業務、人手不足の部署での業務など、どのような分野で高年齢者の能力を発揮してもらえば最も大きな価値を生み出すのかを、各企業が検討しなければなりません。

(2)勤務形態
継続雇用制度を導入した場合、定年後にどのような形で雇用するかは各企業の自由です。 再雇用の場合、定年前は正社員だった者であっても、下記の労働条件を見直して新しい雇用契約を結ぶことになります。勤務延長の場合も再雇用と同様に労働条件を見直すことがあります。
・労働時間と日数
・賃金と賃金形態(時給・日給・月給等)
・契約期間の定めの有無
・就業規則など各種規程の適用の有無
高年齢者に担ってもらいたい役割を明確にした上で、どのような勤務形態が自社に合っているのか、仕事内容の洗い出しと自社の高年齢者の状況とを併せて検討する必要があります。

(3)賃金
定年後は現役時代より賃金が下がる傾向にあるようです。住友生命が行った「高年齢者の継続雇用・パートタイム労働者に関するアンケート」(※8)によると、定年後の賃金は定年到達時の「4割以上6割未満」と回答した企業が38.3%と最も多くなっています。

一方、日本労働組合総連合会の「主要組合の定年制および再雇用制度に関する調査」(2007年6月)では、継続雇用者が最低限希望する水準は、「6〜7割程度」が31.6%、「8〜9割程度」が26.5%となっており、実際の賃金額との大きなギャップが見られます。企業にとって再雇用の一つのメリットが人件費負担の軽減である一方、賃金決定に当たっては、再雇用者・定年前従業員のモチベーションダウンにつながらないように配慮することも重要です。

3.人事担当者が知っておくべき諸手続き

(1)労働条件通知書の交付
定年退職後の継続雇用の場合、定年前とは異なる新しい雇用契約になります。そのため、通常雇用契約を締結する際に必要な、法に定められている対応をする必要があります。

・仕事内容、労働時間、賃金などの一定の労働条件については契約締結時に明示、特に重要な事項は書面で交付
・パートタイム労働者の場合は「昇給」「退職金」「賞与」に関して書面による労働条件の明示など

(2)60歳到達時賃金の登録と高年齢雇用継続給付の支給申請
高年齢雇用継続給付とは、雇用保険の被保険者の60歳以降の賃金月額が60歳到達時の75%未満に下がった場合、該当者がハローワークから受けられる給付金です。給付を受けるためには次の手続きが必要です(※9)。

1.高年齢雇用継続給付受給資格確認
→60歳に達した被保険者を雇用している事業主が必要書類を提出します(75%未満に低下していない場合は初回の支給申請の時に同時に提出してもよい)。

2.高年齢雇用継続給付支給申請
→賃金が登録された金額の75%未満に低下した場合に必要書類を提出します。本人・会社いずれも申請できるが、会社が支給申請する場合は労使協定が必要です。

(3)健康保険・厚生年金の喪失と取得
定年退職後1日の空白もなく継続雇用された場合、健康保険・厚生年金の被保険者の資格は継続されます。賃金が大幅に低下した時は、通常の手続きである「月額変更届」と特例である「同日得喪」(喪失届けを出し同時に新しい賃金額で取得届を出すこと。これにより保険料がすぐに変更される ※10)の手続きがあります。

また、一般社員の勤務日数または勤務時間の4分の3以上働く場合は、健康保険・厚生年金の被保険者にならなければなりません(雇用保険は週20時間以上勤務する場合、加入しなければならない)。

(4)助成金制度
65歳以上への定年の引き上げや定年の定めの廃止、希望者全員が65歳以上まで働けるよう職域の拡大や雇用管理制度の構築に取り組み等を行う企業を支援するための制度があります。65歳を超えて雇用する制度を取り入れる場合は下記のような助成制度もぜひ活用してみましょう。

中小企業定年引き上げ等奨励金 高年齢者職域拡大等助成金
雇用保険の常用被保険者300人以下の事業主が、就業規則等により定年の引き上げ、希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入(いずれも65歳以上が対象)または定年廃止を実施した場合に、導入した制度に応じ奨励金を支給するもの 高年齢者の意欲と能力を活かすため、希望者全員が65歳以上まで働くことができる制度の導入又は70歳以上まで働くことができる制度の導入にあわせて、高年齢者の職域の拡大や高年齢者の雇用管理制度の構築に取り組み、高年齢者がいきいきと働ける職場の整備を行う事業主に対し、当該取組に係る経費の3分の1に相当する額を、500万円を限度として支給するもの

詳細は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(※11)へお問い合わせください。

◆これからの高年齢者雇用のありかたと秘訣◆
定年後の高年齢者雇用において、担当業務や各種処遇など制度運営の方法は各社に委ねられています。自社に合った制度を積極的に導入し、時流に沿った改訂を加えながら自社の成長につなげていくことが重要となります。

<65歳雇用時代の人事・賃金制度構築の秘訣>

●定年後だけを切り離さずトータルな制度設計を考える
・企業理念等を踏まえ、入社時から定年後までの年齢ステージに応じた「求める人材像」を常に明らかにし、従業員がその担うべき役割を認識できるようにする
・各年齢ステージに応じた「役割」「スキル」等を段階的に身に付けられるようサポートする
・入社から定年後までの長期的視点に立って、各種規程や教育制度等を見直す

●企業側から積極的に教育機会の提供やサポートを行う
・長期的雇用によって会社内でのキャリアが長くなるため、会社でのキャリアプランと自らのライフプランを早期から意識してもらうためのライフプランセミナー等の機会を提供する
・自社の人事制度・定年後のシステム等について周知させる
・高年齢者に対しては、かつての部下が上司になることや定年後の職務や処遇等に対して、意識改革を学ぶ機会を提供する
・高年齢者の上司となる者に対しては、先輩を使う側になることについての意識改革、高年齢者に能力を発揮してもらうための人事管理等の教育機会を提供す

●定年後も教育・人事評価を行い、能力低下を防ぎやる気を持続させる
・能力や生産性の低下を防ぐため、パソコンソフト等の新しい技術に対応できるための教育機会を提供する
・定年後も表彰制度など、ある程度の人事評価を行うことにより、モチベーションの維持・向上を図る。その際の評価基準は、担ってもらう業務内容に応じ、現役世代と同じでよいのか、または定年後独自のものにするかを検討する

●効果的なインセンティブ(昇給や賞与、報奨金等)を利用する
・モチベーションを下げるような給与ダウンは人件費を下げる一方で生産性も下げる可能性があるため、高年齢者が担当する職務内容を勘案しコストと生産性のバランスに留意する
・人事評価と連動した定年後独自の賃金規定の策定、報奨金システム、賞与支給などを効果的に使うことによって、モチベーションの維持・向上を図る

◆先進企業の事例◆

A社 2010年4月に制度改定、ベテラン社員のスキルを有効活用

業種 自動車工業 従業員数 約25,000人
定年 60歳 制度 定年後65歳まで再雇用
2010年4月から再雇用制度を改定、従来は会社が人選していたが原則希望者全員を65歳まで再雇用。
従来再雇用後は人材不足の部署に配置していたが、畑違いの部署で能力を発揮できないことが多かったため、定年前と同じ業務に配置することとした。賃金は従来定年前の50%ほどだったのを75%程度とし、ベテラン社員の専門性とスキルの有効活用を図っている。

B社 制度を常に見直し複数のコースを用意。意欲と向上心に基づく成果の発揮を期待する制度に

業種 百貨店 従業員数 約15,000人
定年 60歳 制度 定年後65歳まで再雇用
初めての再雇用制度の導入から9年間で2度改訂。ワークシェアの発想を取り入れた職種別・時間別のさまざまなコースを設け高年者のニーズに合った選択を可能とした。再雇用後も所定の基準を満たせばほかのコースへ転換できる仕組みを導入。一部の業務においては高い成果発揮と経験・ノウハウの継承を主目的とするフルタイムコースを設ける。人材の質の維持・向上を重視し、再雇用者の意欲と向上心に基づく成果発揮を期待している。

C社 若者が敬遠する人手不足の部署で高年齢者の能力を発揮

業種 ホテル・旅館業 従業員数 約130人
定年 60歳 制度 定年後65歳まで希望者全員、その後一定条件のもと70歳まで再雇用
2008年より、70歳雇用を制度化。65歳までは嘱託社員としてフルタイム・パートタイムの選択制。ただし役職者はそのまま部門長や部門幹部として勤務。賃金は60歳でリセットし60歳初任給制の給与となる。65歳以降は原則としてパートタイム勤務となり時給制。65歳以上の再雇用者は、主に所要時間が短く若年者が敬遠しがちな客室清掃や調理場の食器洗い等の裏方を務めている。従業員の約6割がパートタイマー。また、70歳以上が約14%、60代が約33%と高齢者が半数近くを占めている。

※12参考

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