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【人事担当者向け】学校事務における人材派遣の活用法|現場の課題を解決するポイントとは?
公開日:2025.04.11
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近年、学校事務の現場では、慢性的な人材不足や業務の多様化による、教職員の負担の増加が深刻な課題となっています。
教職員が本来の業務に専念できる環境づくりのためにも、早急な改善が求められている中で、そのような状況を打開する一手として注目を集めているのが、人材派遣の活用です。
本記事では、学校事務における人材派遣の仕組みやメリット、導入時の注意点を具体的に解説します。さらに、導入事例や信頼できる人材派遣会社の選び方のポイントについてもご紹介します。
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目次
学校事務で人材派遣が注目されている背景
近年、学校事務の現場において人材派遣への注目度が高まっています。その背景には、学校を取り巻く環境の変化と、それに伴う学校事務職員の業務内容やはたらき方の変化があります。
業務量に応じた柔軟な配置基準の必要性
学校事務職員の配置基準は、学校規模に応じた画一的な基準に基づいて設定されていますが、実際の業務量に対応しきれていないケースもあります。
特に小規模校では、少人数体制で膨大な業務を行う必要があり、職員一人ひとりへの負担が非常に大きくなっています。このような状況を改善するためには、業務量に応じた柔軟な配置基準の見直しが必要です。
教員業務の専念環境と事務職員の負荷増大
文部科学省が推進する「学校における働き方改革」の一環として、教員が授業や生徒指導といった本来の業務に専念できる環境整備が進められています。
その一方で、これまで教員が担っていた一部の事務業務が事務職員に移行され、事務職員の業務負荷が増加するケースが見られるようになりました。このような状況下では、事務職員の負担軽減と効率的な業務分担が重要な課題となっています。
繁忙期と閑散期の差による業務量の偏り
学校事務の業務量は、年度初めや年度末・入学試験・オリエンテーション・卒業準備といった特定の時期に集中する傾向があります。
しかし、それ以外の時期は比較的業務量が落ち着くため、年間を通じた業務量の平準化が難しいという課題があります。業務量の波に対応するため、柔軟な人員の調整が求められています。
DX化と専門業務の増加
近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、学校現場でもICT活用が進んでいます。これにより、ICT関連業務・補助金申請・法的手続きなど、より専門性の高い業務が増加しています。
学校事務では、通常業務と並行してこれらの専門業務をこなす必要が生じており、特定のスキルを持つ人材の需要が高まっています。
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学校事務の人材派遣とは?
学校事務の人材派遣とは、学校が人材派遣会社と労働者派遣契約を締結し、必要なスキルや経験を持つ派遣社員を受け入れることです。
学校事務の分類
学校事務では、教育機関の種類や規模に応じて求められる業務内容や専門スキルが異なります。
高校事務・大学事務・専門学校事務の3つに分類し、それぞれの特徴をご紹介します。
高校事務
高校の事務は、生徒や保護者に対する窓口対応や、成績管理・出欠確認などの教務サポートが主な業務です。年度の切り替えや卒業式など繁忙期が明確なため、そのタイミングに合わせて人材派遣を活用するケースも少なくありません。
【主な業務例】
- 入退学手続き、成績データの更新・管理
- 生徒の出欠状況の把握・報告
- 行事準備・運営サポート
- 問い合わせ対応や連絡事項の伝達
大学事務
大学の事務は学部数や研究領域が多岐にわたるため、学校事務に求められる業務範囲が広くなります。業務領域によっては、奨学金対応や研究費の管理、留学生サポートなど、専門知識や語学力が必要になるケースもあります。
【主な業務例】
- 学生の履修登録や時間割の調整
- 各種証明書の申請受付や手続きのサポート
- 会計知識やシステム操作を活用した研究費管理や施設運営
- 語学力が求められる生活相談や書類対応
専門学校事務
専門学校の事務では、実践的な授業や実習を円滑に運営するための調整業務が中心となります。企業との連絡や学費管理といった会計面の知識が求められる場合も多く、人材派遣を活用して即戦力となる人材を受け入れるケースが増えています。
【主な業務例】
- 高校生に対する入学手続きのサポート
- 授業のスケジュール作成や教室割り振り
- 講師や関連企業との調整や連絡事項の管理
- 学費の入金確認や分納手続き対応
学校事務の人材派遣で対応できる主な業務内容
次に、学校事務の人材派遣で対応できる主な業務をカテゴリごとにご紹介します。
一般事務・OA事務
文書作成やデータ入力・ファイリング・電話対応・窓口対応・郵便物や備品管理など、事務全般をサポートします。学内イベントや会議の運営サポート・各種申請書や証明書の発行といった業務が含まれる場合もあります。
経理・財務業務
会計ソフトの操作・予算管理・経費精算・補助金申請などの経理・財務関連業務を担当します。小規模校ではこれらの業務を一人で兼任するケースも多く、人材派遣を活用することで業務負担を軽減できます。
ICT関連業務
学校関連のWEBサイトやSNSの更新、データベース管理、学内システムの運用サポートを行います。ICTの活用が進む教育現場では、専門知識を持つ派遣社員の需要は高まっています。
入試・学生支援
入学試験やオリエンテーションなどの学校行事の運営をサポートします。留学生の対応など、語学力が必要な場面については、必要なスキルを持つ派遣社員の活用事例もあります。
学校事務に人材派遣を活用するメリット
学校事務において人材派遣を活用することには、多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つに絞って解説します。
即戦力となる派遣社員に業務を依頼
人材派遣会社を活用すると、学校のニーズに合致したスキルや経験を持つ派遣社員を迅速に紹介してもらえます。例えば、経理経験者やOfficeソフトに精通した人材、さらにはWEBサイトの運用経験者などが挙げられます。
学校側が求める条件に合致する人材を早ければ、迅速に就業を開始できる体制を整えています。そのため、急な欠員補充や業務の遅延リスクを最小限に抑えられるでしょう。
採用・労務管理の負担軽減
派遣社員の採用活動や労務管理は、人材派遣会社が担当します。そのため、学校側は採用にかかるコストの削減や労務管理負担の軽減を実現できます。
具体的には、求人広告の掲載・応募者対応・面接・選考といった一連の採用業務、さらに給与計算・社会保険手続きなどの労務管理業務が人材派遣会社の担当範囲です。これにより、学校事務職員は、本来の業務に集中できる環境が整います。
柔軟な人員配置が可能
人材派遣の契約期間は数カ月単位で設定・更新できるため、学校の状況に合わせて柔軟に人員の調整が可能です。
例えば、入学試験や年度末などの繁忙期に限定して人員を増やしたり、特定のプロジェクト期間中だけ業務を依頼したりできます。
また、派遣社員のはたらきぶりや適性を確認した上で、直接雇用に切り替える「紹介予定派遣」という選択肢もあります。
紹介派遣については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>紹介予定派遣とは?仕組みやメリット、通常の派遣との違いまで解説
学校事務における人材派遣と他の雇用形態との比較
学校事務で人材を受け入れる方法には、人材派遣以外にもさまざまな方法があります。ここでは、それぞれの雇用形態の特徴を比較します。
項目 | 人材派遣 | 直接雇用(正社員/契約社員) | アルバイト/パート | 業務委託 |
---|---|---|---|---|
契約期間の柔軟性 | 短期から長期まで柔軟に対応可能 | 長期雇用が基本だが、契約期間で調整可能 | 短期や特定期間の雇用に対応 | 案件ごとに契約内容を調整可能 |
指揮命令系統 | 学校側が直接指揮命令(労働者派遣法に基づく) | 学校側が直接指揮命令 | 学校側が直接指揮命令 | 委託先が指揮命令権を持つ |
コスト | 採用・労務管理コスト軽減、派遣料金に集約 | 採用・労務管理コストの負担 | 採用・労務管理コストの負担 | 委託料(成果物単位で計算)、契約内容に応じたコスト |
適した場面 | 繁忙期対応や特定業務の専門スキルを必要とする場面 | 長期的な業務継続、学校運営全般に関与する場面 | 繁忙期やルーティン業務の補助 | ICT対応、経理処理などの専門業務 |
どの雇用形態にも一長一短があり、学校が抱える業務の内容・期間・求める人材のスキルレベルなどを総合的に考慮して、最適な選択をすることが重要です。
学校事務における人材派遣の活用は、繁忙期や急な欠員への柔軟な対応や、採用・労務管理コストの軽減など、多くのメリットをもたらします。
ただし、学校運営のコア業務や長期的な人材育成が必要な業務については、直接雇用が向いているケースもあります。また、業務の成果物を切り出して依頼したい場合は、業務委託という選択肢も有効です。
人材派遣と他の雇用形態との違いについて、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
>>人材派遣と業務委託の違いとは?それぞれの特徴とメリット、活用方法を紹介
>>人材派遣と人材紹介の違い|特徴とメリット、利用シーンを分かりやすく解説
学校事務の人材派遣を活用する際の留意点
学校事務で人材派遣を活用する際には、契約内容や法令遵守など、事前に把握しておくべき重要な事項があります。ここでは、学校事務で人材派遣を活用する際に知っておきたい留意点を解説します。
詳細な業務内容と必要スキルを明確化する
派遣社員は契約で定められた業務範囲内でのみ就業可能であり、契約外の業務を依頼することは労働者派遣法で禁止されています。そのため、人材派遣の活用を検討する際には、まず依頼したい業務をすべて洗い出し、業務の棚卸しをしておくことが重要です。
業務の棚卸しを行うことで、それぞれの業務に必要なスキルセットも明確になります。この情報を基に、人材派遣会社との契約締結前に、依頼する業務内容を詳細まで詰めておく必要があります。
例えば「成績管理システムの操作経験があり、Excelで関数やマクロを組める方を希望」といったように、具体的な業務内容と必要なスキルを人材派遣会社へ伝えることで、ミスマッチのリスクを軽減できるでしょう。
学校特有の慣習やルールを依頼する際に伝える
学校には一般企業にはない特有のルールや慣習があります。そのため、学校事務の人材派遣を活用する際は、これらに順応しつつ、生徒・保護者へ適切に対応できる人材に業務を依頼する必要があります。
具体的には、学校事務の派遣実績が豊富な会社を選び、派遣開始後すぐに学校独自のシステムや業務フローを学ぶ研修を実施するなどが考えられます。
人材派遣会社と連携しながら、学校独自の業務や管理体制、保護者との連絡方法などを周知することで、より円滑な学校運営が期待できます。
契約期間や更新のタイミングに注意する
学校事務の繁忙期は、入学・進級時期や入試、学期末など、特定の時期に集中します。人材派遣を利用する際には、これらの繁忙期を考慮した契約期間の締結が重要です。
学校の予算や人員計画に応じて短期・長期契約を使い分けることで、効率的な人員配置が可能です。長期的な人材確保が必要な場合は、紹介予定派遣を活用して、直接雇用も検討してみましょう。
派遣契約の締結や派遣社員の受け入れに関して、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
>>派遣先に求められることとは?派遣先が知っておくべきことを解説
学校事務における人材派遣会社の選び方
学校事務の人材派遣会社を選ぶ際には、学校のニーズに適切に応えられる事業者を選ぶことが重要です。ここでは、適切な人材派遣会社を選ぶためのポイントを解説します。
総合型の人材派遣会社である
学校事務の派遣においては、多様な人材が登録されている総合型の人材派遣会社がおすすめです。総合型の人材派遣会社には、一般事務・経理・受付・総務など、学校事務に求められる幅広い業務に対応可能な派遣社員が多数登録されています。
これに対し、特定の職種に特化した人材派遣会社では、学校事務のように多岐にわたる業務をカバーできる人材を見つけることが難しい場合があります。
派遣社員のスキルアップを支援する体制がある
学校事務の業務には、PC操作スキル、文書作成能力、コミュニケーション能力など、多岐にわたるスキルが求められます。そのため、派遣社員のスキルアップを支援する体制が整備されている人材派遣会社を選ぶことが重要です。
具体的には、OAスキル(Word・Excel・PowerPoint)の研修、ビジネスマナー研修、電話対応研修、簿記やMOSなどの資格取得支援制度、さらにはICTツールの操作研修や学校事務に関連するシステム対応研修などが実施されているかを確認しましょう。
人材派遣会社によるフォロー体制が整っている
派遣社員のモチベーション維持と職場定着率向上には、人材派遣会社によるフォローアップ体制が不可欠です。
派遣先である学校への適切な報告と提案、派遣社員のキャリアプランに合わせた教育・研修制度、トラブル発生時に迅速かつ適切に対応できる窓口などが整備されているかを確認することが重要です。
これらのフォローアップ体制が充実している人材派遣会社を選ぶことで、派遣社員は安心して業務に取り組むことができ、結果として学校運営の効率化にも寄与します。
学校事務の人材派遣導入の流れ
人材派遣導入の流れは、以下の3ステップで進みます。
1.人材派遣会社へ依頼
まず、学校は人材派遣会社に対して、業務内容・派遣期間・就業開始希望日・求める人材のスキル・必要な人数などの詳細な情報を伝えます。この際、学校特有の環境や職場の雰囲気なども共有することが大切です。
2.派遣契約の締結と派遣社員の決定
次に、人材派遣会社から紹介された人材を確認し、派遣社員の希望があれば職場見学を実施します。その後、学校と人材派遣会社間で派遣契約を締結します。
職場見学については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>人材派遣の職場見学とは?流れや留意点についてご紹介
3.派遣社員の就業開始
契約締結後、派遣社員の受け入れ準備を整えて就業を開始します。派遣社員への指揮命令系統を明確にし、円滑な業務開始ができるよう環境を整えます。
人材派遣会社に依頼する方法や契約の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>人材派遣を依頼する方法とは?流れやポイントをご紹介
学校事務の人材派遣の導入事例
学校事務の人材派遣により、大学入試課の繁忙期を乗り切った事例を紹介します。
導入前の課題
ある大学では、新学部設立に伴う広報事務作業の増加と、入試関連問い合わせの増加という課題がありました。加えて、役職定年間近の社員の後任として、経理スキルとリーダーシップを持つ人材の受け入れも急務でした。
具体的な施策
この状況を打開するため、人材派遣会社に依頼。紹介されたのは、大学事務は未経験ながら、市役所での給付金手続きや問い合わせ対応で実績を上げた派遣社員でした。正確な事務処理能力と高いコミュニケーション能力により、細やかな業務対応が期待できる人材でした。
導入した成果
派遣社員は、広報物の校閲を正確かつ迅速にこなし、質の高い広報物を納期内に完成させることに貢献しました。また、入試関連の問い合わせにも初日からスムーズに対応し、入試課職員が本来の業務に専念できる環境整備をサポートしました。
詳しくは以下の記事を参照ください。
>>【学校事務】入試時期に向けた繁忙期。即戦力となる近しい経験の派遣スタッフを紹介
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学校事務の人材派遣の活用で業務効率化を実現
学校事務を取り巻く環境は、教員の働き方改革の推進、業務の多様化・専門化、そして慢性的な人材不足など、多くの課題に直面しています。これらの課題に対応し、効率的な学校運営を実現するためには、人材派遣の活用が有効な手段となります。
特に、年度初めや入試シーズンなどの繁忙期における一時的な人員補強や、ICT関連業務などの専門スキルを持つ人材の確保において、人材派遣は効果を発揮します。
学校事務の業務負担を軽減し、より効率的な運営を実現するために、人材派遣の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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