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紹介予定派遣の手数料は高い?費用構造や相場、活用方法について解説

公開日:2025.06.12

人事ナレッジ

紹介予定派遣とは、一定の派遣期間を設け、企業と派遣社員の双方が合意した場合に直接雇用へ切り替える契約形態のことです。その際に発生する紹介手数料の算出方法は、通常の派遣契約や人材紹介の場合とは異なります。

紹介予定派遣とは

本記事では、紹介予定派遣における手数料の具体的な算出方法を解説するとともに、この制度を活用するメリットや注意すべきポイントについて詳しくご紹介します。

さらに、一般的な人材派遣や人材紹介との違い、紹介予定派遣を導入する際に押さえておきたいポイントについてもご紹介します。

紹介予定派遣の手数料とは

紹介予定派遣の手数料は、派遣社員の直接雇用が決定した際に、派遣先の企業から派遣元である人材派遣会社に支払われる成功報酬型の費用のことです。

なお、派遣期間中には、別途、派遣料金が人材派遣会社に対して発生します。

そもそも紹介予定派遣は、直接雇用を見据えて一定期間(最長6ヶ月)派遣社員として受け入れ、派遣期間終了後に直接雇用に切り替えることができる派遣形態です。

企業は派遣期間中に書類選考や面接だけでは判断しきれない候補者の実際のはたらきぶりや適性を見極めることができ、採用後のミスマッチや早期退職のリスクを低減できるというメリットがあります。

紹介予定派遣の仕組みやメリット、通常の派遣との違いなど、より詳しい情報については、以下の記事をご参照ください。
>>紹介予定派遣とは?仕組みやメリット、通常の派遣との違いまで解説

紹介予定派遣の手数料はどれくらいかかる?

紹介予定派遣の手数料は、「理論年収×手数料率」という計算式で算出されます。

この手数料率の上限は職業安定法で50%と定められていますが、実際の相場は職種や業界によって異なります。目安としては35%程度となることが多いようです。

また、手数料率は、IT業界や専門性の高い技術職、事務職や営業職といった職種、特定の業種や業界、あるいはニッチな分野など、さまざまな要因によって変動します。

※理論年収…給与12ヶ月分と賞与・手当などを合計した1年間の収入相当の金額を指し、想定年収とも呼ばれる。月給制の理論年収は、残業代や諸手当を含めた月給の12ヶ月分に賞与を加えた金額である。年俸制の理論年収は、年俸として提示される金額である。

職業安定法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
>>職業安定法の概要や定められた背景について分かりやすく解説

紹介予定派遣と人材紹介(有料職業紹介)・人材派遣の違い

紹介予定派遣・人材紹介・人材派遣はそれぞれ異なるサービス形態で、手数料の発生方法や雇用関係にも違いがあります。

まずは、それぞれの主な違いを以下の表で確認しましょう。

項目 紹介予定派遣 人材紹介 人材派遣
派遣期間 最大6ヶ月間 なし 契約に基づく
指揮命令権 派遣先企業
(雇用主は派遣元である人材派遣会社)
企業 派遣先企業
(雇用主は派遣元である人材派遣会社)
コスト 派遣料金+直接雇用確定時に紹介手数料が発生 採用決定時に紹介手数料(35%)が発生 基本的に派遣料金のみ
直接雇用への移行 派遣期間後、双方合意で直接雇用 最初から直接雇用 直接雇用を前提としない場合が多い
特徴 試用期間を経て直接雇用を目指す場合に適する 企業のニーズに合致する人材を直接雇用したい場合に適する 柔軟な労働力を活用したい場合に適する

紹介予定派遣は、派遣料金と紹介手数料の両方が発生するため、一見コストが高く見えるかもしれません。

しかし、人材紹介で採用した人材が早期に離職してしまった場合、再び採用活動が必要となり、結果的にコストがかさんでしまうリスクもあります。

その点、紹介予定派遣は、派遣期間中に候補者のスキルや人柄、職場との相性などをじっくり見極められるため、採用後のミスマッチのリスクを大幅に軽減できます。

これらの違いを理解し、自社の状況や採用したいポジションの要件に合わせて最適な方法を選択しましょう。

有期雇用派遣や無期雇用派遣など、人材派遣の形態については以下の記事で詳しく説明しています。
>>有期雇用派遣とは?無期雇用派遣との違いを分かりやすく解説
>>無期雇用派遣とは?活用するメリットや留意点についてご紹介

紹介予定派遣のメリット

紹介予定派遣の最大のメリットは、派遣期間中に実際の業務を通じて、候補者のスキルや人柄、社風との相性を事前に確認できる点です。

この評価期間中、候補者は実務を担当するため、企業はそのはたらきぶりや適性をじっくりと見極めた上で採用を判断できます。これにより、採用後のミスマッチが起こりにくく、人材の定着促進が期待できます。

コスト面においては、採用に至った場合、派遣料金に加えて紹介手数料が発生するため、一見すると割高に感じられるかもしれません。

しかし、ミスマッチを防ぎ採用の確度を高めることは、長期的に見れば採用やその後の育成にかかるトータルコストの効率化につながると考えられます。

紹介予定派遣の活用事例を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>【紹介予定派遣】 派遣期間を通して業務適性を見極め、社員採用を実現

紹介予定派遣の留意点

紹介予定派遣は、最長6ヶ月の派遣期間を経て直接雇用へ移行することを前提とした制度です。そのため、企業側には明確な評価基準の設定と定期的なフィードバック体制の確立が欠かせません。

派遣社員側も「合わない」と判断すれば契約途中で辞退する可能性がありますので、双方にとって有益な評価期間となるよう配慮する必要があります。企業の受け入れ態勢としては、教育・研修体制の整備と、可能な範囲で正社員と同等の環境を提供することが重要です。

また、直接雇用へ移行する際の給与、待遇などの条件を事前にできるだけ詳しく共有することで、認識のずれやミスマッチを防ぐことができます。

コスト面においては、派遣期間中の「派遣料金」と、直接雇用決定時に発生する「紹介手数料」の二重構造を理解しておく必要があります。例えば、理論年収400万円の事務職を採用する場合、手数料率が35%であれば140万円の紹介手数料が発生します。

紹介予定派遣を活用して自社に最適な人材を受け入れよう

紹介予定派遣は、実際に業務を通じて候補者との相性を判断できるため、採用後の定着率向上や早期離職防止につながるという大きなメリットがあります。

採用のミスマッチを最小限に抑えたいと考える企業にとって、紹介予定派遣は有力な選択肢の一つとなるでしょう。

導入を検討する際は、手数料の計算方法や返金規定などの契約詳細をしっかり確認し、コストとリスクを理解した上で、自社にマッチする人材の受け入れを目指しましょう。

紹介予定派遣に関するご質問や、具体的な導入のご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の現状やニーズを踏まえ、最適な採用および受け入れのプランをご提案します。

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