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人材派遣の部署異動は禁止?人事が知っておくべきルールや注意点を解説
公開日:2026.01.30
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売上規模の拡大や事業の再編などで組織体制を見直す場合、自社の社員と同じように「派遣社員に別の部署に異動してはたらいてもらえるのか?」と疑問を持つケースはあるのではないでしょうか。
人材派遣では、異なる部署に就業先を変更することは原則禁止されています。
本記事では、どのような理由から禁止されているのか、例外はあるのかなど、具体的な事例を交えて分かりやすく解説します。
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目次
派遣社員の部署変更は原則禁止
他部署で人材が必要になった際、派遣先企業の判断で派遣社員の就業部署を変更することはできません。また、派遣元である人材派遣会社に相談した場合であっても、就業先の変更は原則禁止されています。その背景には、人材派遣の契約形態や法律に関わる3つの理由があります。
理由① 雇用主は人材派遣会社である
人材派遣の契約は、下記の図のように、派遣元である人材派遣会社と派遣社員が雇用契約を結ぶ形態です。派遣先企業と派遣社員は指揮命令関係となるため、雇用主ではない派遣先企業が、部署を含む派遣社員の就業条件を変更することはできません。
人材派遣のしくみについては、こちらで詳しく解説しています。
>>人材派遣とは?他サービスとの違いやメリット、選ぶ際のポイントを紹介
理由② 労働者派遣契約で定められている
派遣先企業は、派遣社員を守るために制定された労働者派遣法を遵守し、派遣社員を受け入れる必要があります。
労働者派遣法第39条では、派遣先企業と人材派遣会社が締結する労働者派遣契約に関しての記載があり、契約で定められた就業場所や業務内容、派遣期間などに反する対応は禁止されています。
派遣先は、労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければならない。(労働者派遣法第39条)
※出典:
厚生労働省 「第5 労働者派遣契約」
厚生労働省 「派遣先の講ずべき措置は・・・」
労働者派遣法については、こちらで詳しく解説しています。
>>知っておきたい労働者派遣法の違反例について分かりやすくご紹介
>>【最新版】労働者派遣法の概要や改正、違反例や企業の注意点を解説
理由③ 派遣社員の特定行為に該当する
派遣先企業が、特定の派遣社員を指定し、派遣社員を受け入れることは労働者派遣法で禁止されています。派遣社員の部署変更は、派遣社員を特定した上で部署変更を行うため、特定行為に該当することになります。
労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければならない。(労働者派遣法第26条)
※出典:厚生労働省 「特定目的行為の禁止について」
特定行為については、こちらで詳しく解説しています。
>>【企業向け】派遣の特定行為を解説 禁止の背景や注意点は?
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派遣先企業が部署変更を検討する背景
派遣先企業が派遣社員の部署変更を検討する際に、派遣社員が就業できる3年の期間制限が背景となっているケースが多くあります。
人材派遣の期間制限「3年ルール」とは
人材派遣の3年ルールとは、派遣先企業で派遣社員を受け入れられる期間が、原則として3年までに制限されるという労働者派遣法上の決まりです。労働力の供給を適正に調整し、派遣社員の雇用を安定させることを目的として制定されています。
期間制限には、「事業所単位」と「個人単位」がありそれぞれの期間制限について解説します。
事業所単位の期間制限
同一の事業所において派遣社員を受け入れることができるのは原則3年までと定められています。3年を超えて派遣社員を受け入れようとする場合は、事前に派遣先企業の過半数労働組合などに意見聴取を行う必要があります。
個人単位の期間制限
同一の派遣社員を派遣先企業の同じ組織単位で受け入れることができる期間は3年までと定められています。個人単位の期間制限には延長の概念はありません。派遣社員の従事する業務が変わったとしても、同一の派遣社員を、3年を超えて同一の組織単位で受け入れることはできません。
人材派遣の期間制限については、こちらで詳しく解説しています。
>>派遣の3年ルールとは?例外や3年を超える場合の手続きを解説
>>派遣の抵触日のルールや派遣先企業が行うべき手続きは?図解で分かりやすく解説
期間制限を背景にしたNG事例
どのような場面で、期間制限を背景にした部署変更が発生しやすいか、具体的な事例をご紹介します。いずれも労働者派遣法に反し、認められない事例です。
事例① 同一プロジェクト継続のための名目上の部署変更
マーケティングの新規プロジェクトが長期化。画像などのクリエイティブ作成を行っている派遣社員を、業務内容や指揮命令系統などの変更がないまま、「マーケティング部」から「クリエイティブデザイン部」に部署変更し業務を継続してもらいたい。
プロジェクトの期間が延長し、3年を超える場合の事例です。プロジェクトの継続に伴い、即戦力として活躍していた特定の派遣社員の就業先を変更し業務の継続を行うことはできません。
事例② 期間制限の回避のための部署ローテーション
期間制限を回避するためだけに、営業サポートを行う営業事務の派遣社員Aを「営業支援1課」から「営業支援2課」に部署変更したい。また、同じタイミングで期間制限を迎える「営業支援2課」の派遣社員Bを「営業支援1課」に部署変更し、部署ローテーションを行いたい。
派遣社員の期間制限を回避するために他の派遣社員と部署変更をする場合の事例です。特定行為を伴った派遣社員の部署変更を行うことはできません。また、期間制限が設定された「派遣社員の雇用の安定」という目的にも反することになります。
部署変更が認められる例外事例
ここまで、派遣社員の部署変更の禁止について解説をしてきましたが、部署変更が認められる例外もあります。どのような例外があるのか解説します。
派遣元である人材派遣会社には、雇用の安定を図るために、個人単位の期間制限を迎える見込みのある派遣社員に対し、新たな就業機会(派遣先)の提供を行う義務があります。
そのため、以下のような場合には、人材派遣会社の判断で別の部署で就業している派遣社員に仕事の紹介を行い、部署の変更を行ったうえで新たな労働者派遣契約を締結することが可能です。
「人事企画部」の繁忙期が終わる3月末で、派遣社員Aの契約が終了することが決まっている。4月から、同じ派遣先企業内の別部署である「広報部」での派遣社員の募集があったため、人材派遣会社が派遣社員Aに4月からの新たな就業先として仕事紹介を行い、就業が決定した。
派遣社員の契約終了に伴い、新たな就業機会を提供するために人材派遣会社から仕事紹介を行っており、派遣先企業の特定行為にはあたりません。
※出典:厚生労働省 「第6 派遣元事業主の講ずべき措置等」
例外的に部署変更を行う際の注意点
上記のような例外的な部署変更の場合でも、派遣先企業が気を付けるべき注意点があります。
人材派遣会社を通して相談する
冒頭でも解説しましたが、人材派遣契約では、派遣先企業と派遣社員は指揮命令関係となり、派遣社員冒の雇用元は人材派遣会社です。
派遣先企業から派遣社員に対し「新たな部署で派遣社員を募集しているから就業してほしい」などの話を直接行ってはいけません。まずは、人材派遣会社に相談しましょう。
三者間の合意が不可欠
部署変更の際には、業務内容だけではなく、就業場所や派遣社員が受け取る給与など、派遣社員がはたらく条件の変更が伴うことが考えられます。
人材派遣会社は、新たな条件について派遣社員にきちんと説明し、合意を得る必要があります。そのため、派遣先企業は、人材派遣会社に契約内容の提示を明確に行ったうえで条件を定め、三者間の合意の上で労働者派遣契約の締結を進めましょう。
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法律に則って正しく人材派遣を活用しましょう
派遣社員の部署変更が禁止されている背景には、派遣社員の雇用を守る労働者派遣法があります。
企業において、法令遵守や倫理的な基準を守るコンプライアンス遵守が不可欠となっている今、禁止されている理由を理解した上で、適切な人材派遣活用を行いましょう。
人材派遣に関する法律は、パーソルテンプスタッフにご相談ください。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
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