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【紹介予定派遣】 企業から直接雇用を断れる?理由や派遣元への伝え方を解説

公開日:2026.01.30

人事ナレッジ

紹介予定派遣では、一定期間の派遣就業の後、企業と求職者の双方が合意すれば直接雇用に切り替えることができます。しかし、派遣期間を終えたら必ず直接雇用に切り替わるとは限りません。企業側が直接雇用を見送るケースもあり、その際にはルールに沿って人材派遣会社へ伝える必要があります。

この記事では、企業側が直接雇用を断ることができるケースや、その際に注意すべきポイントを分かりやすく解説します。紹介予定派遣を活用して人材の採用を進める際の参考にしてください。

紹介予定派遣の直接雇用を企業側から断ることが可能なケース

紹介予定派遣では、派遣期間を通じて能力や勤務態度を確認し、適性を見極めたうえで直接雇用するかどうかを判断できます。したがって企業側は、派遣期間の仕事ぶりを根拠に採用を見送ることも可能です。

ただし、断る場合は客観的な理由が求められる他、企業として適切な対応を取らなければなりません。まずは、企業が直接雇用を見送ることができる主なケースについて解説します。

スキルや能力が基準に達していない

紹介予定派遣では、求めるスキルや知識の水準をあらかじめ設定している企業が多くあります。派遣期間中に実務を通して確認した結果、事前に提示していた水準に実際の業務遂行能力が満たないと客観的に判断できる場合、直接雇用を見送る一つの要因となります。

例えば、業務上必要な専門知識や操作スキルを十分に習得できていない、指示を受けても正確に業務を遂行できないといったケースが該当します。

勤務成績や勤務態度に問題がある

派遣期間中の勤務成績や勤務態度が著しく悪い場合も、企業側は直接雇用を見送ることができます。

例えば、遅刻や欠勤が多い、報連相が不十分で業務に支障をきたす、指揮命令者の指示に従わないといったケースが挙げられます。

紹介予定派遣は派遣期間中の勤務評価が判断材料の一つとなります。

労働時間と条件が合わない

直接雇用時に企業が提示する条件が本人の希望と合わない場合も、直接雇用を見送る理由となり得ます。

例えば、派遣社員が時短勤務を希望しているのに対し、企業側はフルタイム勤務を必須としているなど、労働時間や勤務形態にズレがあるケースです。

また、給与や休日、勤務地などの条件に大きな相違がある場合も、直接雇用を進めることは難しくなります。

会社の文化や価値観と合わない

派遣期間中の勤務を通して、派遣社員の考え方やはたらき方が会社の文化や価値観と合わないと判断される場合も、直接雇用の見送りを検討する要因となるでしょう。

例えば、チームワークを重視する職場で個人プレーを優先する傾向がある、社風に適応できず協調性を欠いているなど、組織との相性に課題があるケースが挙げられます。

企業にとって、社内の人間関係や職場の雰囲気に調和できるかどうかは、長期的な雇用の継続につながる重要なポイントです。文化的な適合性が低いと感じられる場合は採用を見送らざるを得ないケースもあるでしょう。

企業側から直接雇用を断る際の留意点

紹介予定派遣では、企業側から直接雇用を断ること自体は認められていますが、断る際の対応を誤ると、派遣社員や派遣元とのトラブルにつながる恐れがあります。ここでは、企業が直接雇用を見送る際に押さえておくべき留意点をご紹介します。

派遣社員ではなく派遣元に連絡をする

直接雇用を見送る場合は、派遣社員本人に直接伝えるのではなく、派遣元である人材派遣会社の担当者を通じて連絡するのが原則です。

企業から本人に直接伝えてしまうと、感情的なトラブルに発展したり、契約上の問題を招いたりする恐れがあります。派遣元に正式な理由を伝え、派遣元から派遣社員へ説明してもらうことが、誤解やトラブルの防止につながります。

また、採用を見送る判断をした時点で、できるだけ早く派遣元へ連絡することも大切です。早めに伝えることで、派遣元が次の就業先の提案やサポートを行いやすくなり、双方がスムーズに手続きを進められるようになります。

理由を具体的に伝える

企業が直接雇用を見送る場合は、派遣元に対して理由を明示しなければなりません。「なんとなく合わない」「愛想がよくない」などといった主観的・抽象的な理由では不十分です。派遣元が派遣社員へ正確に説明できるよう、客観的かつ合理的な理由を伝えることが求められます。「業務に必要なスキルレベルに達していなかった」「報告・連絡・相談が十分でなく業務に支障が出た」など、具体的な事実に基づいて説明をしましょう。

明確な根拠をしっかりと伝えることが、派遣元・派遣社員にとっても納得感のある受け止めにつながります。

派遣期間中の評価に基づく理由であること

企業が直接雇用を見送る際の理由は、派遣期間中の勤務態度や成果など、客観的に確認できた事実に基づいていなければなりません。

例えば、募集時の条件では経験2年としていたが5年の経験を持つ人を採用したくなった、といったような、事前に分かっていた条件を理由に断ることは適切ではありません。

紹介予定派遣は、派遣期間中の仕事ぶりを通して適性を見極められることが最大の特徴です。判断材料となるのは、あくまで派遣期間中に得た情報に限られます。採用可否の理由を合理的に説明できるよう、日々の勤務評価や業務実績を記録しておくとよいでしょう。

紹介予定派遣を利用する際の注意点

紹介予定派遣の利用時には、いくつか注意すべき点があります。制度の仕組みや契約上のルールを理解していないと、思わぬトラブルにつながる恐れがあります。

ここでは、紹介予定派遣を導入・活用する際に企業が押さえておきたい主な注意点についてご紹介します。

紹介予定派遣の基本を押さえておく

紹介予定派遣をうまく活用するためには、まず制度の基本情報を正しく理解しておくことが大切です。

紹介予定派遣とは、一定期間の派遣就業を経た後、企業と派遣社員の双方が合意することで直接雇用へと切り替えられる制度です。派遣期間中は派遣元が雇用主となり、給与や社会保険などを管理します。企業はその間に社員の業務適性や人柄を確認し、最終的に採用するかどうかを判断します。

こうした制度の目的や契約上の流れを把握していないと、後々トラブルにつながる可能性もあるため、基本情報は正しく理解しておきましょう。

制度の詳細については、以下の記事でより詳しくご紹介しています。
>>紹介予定派遣とは?メリットや通常の派遣との違い、留意点を解説

派遣元に伝えずに直接雇用はできない

紹介予定派遣では、派遣社員を採用する際に派遣元を介さず直接雇用へ切り替えることはできません。

派遣契約における雇用主は、あくまで派遣元である人材派遣会社であり、派遣元を通さずに契約を変更すると、労働者派遣法に違反する恐れがあります。直接雇用を検討する際は必ず派遣元に意向を伝え、正式な手続きを経て採用を進めてください。

企業・派遣元・派遣社員の三者が適切な手順を踏むことで、違反のない、法令に沿った契約関係が維持できます。

直接雇用をする前に労働条件を明確にしておく

直接雇用に切り替える前には、労働条件を明確に定め、派遣社員にしっかり説明して合意を得る必要があります。

給与や勤務時間、休日、雇用形態、福利厚生など、就業に関わる条件を曖昧なままにしておくと、入社後トラブルの原因になる恐れがあります。

特に、派遣期間中と直接雇用後で待遇が変わる場合は、内容と理由を丁寧に説明し、本人の合意を得ることが大切です。あらかじめ労働条件を文書で確認するなどして採用後のミスマッチや誤解を防ぎましょう。

入社した後に試用期間を設けることはできない

紹介予定派遣では、派遣期間自体が試用期間としての役割を果たします。そのため、直接雇用に切り替えた後に改めて試用期間を設けることはできません。仮に入社後に試用期間を設定してしまうと、労働契約上のトラブルや誤解を招く恐れがあります。

直接雇用の可否を判断する際は、派遣期間中の勤務評価をもとに最終的な判断を行い、採用後は本採用として雇用契約を締結するのが正しい流れです。

紹介予定派遣を利用するメリット

続いて、紹介予定派遣を利用することで得られる主なメリットをご紹介します。

入社後のミスマッチを防止できる

紹介予定派遣では、最長6ヶ月の派遣期間を通して、候補者の実務スキルや人柄、チームへの適性などを丁寧に見極めることができます。実際の業務環境ではたらく姿を確認できるため、書類選考や面接だけでは判断しづらい部分まで把握することが可能です。

こうしたプロセスを経ることで、採用のミスマッチを防止できます。ミスマッチの防止は定着率の向上や早期離職の防止にもつながり、企業・求職者の双方にとって納得のいく雇用関係を築きやすくなります。

採用コストと工数を削減できる

紹介予定派遣を利用すると、採用にかかるコストや工数を大幅に削減できる可能性があります。

派遣社員の一次選定や面接などのスケジュールの調整、合否連絡といった手間のかかる作業は、人材派遣会社が行います。企業側は応募者の精査や最終判断に集中でき、採用担当者の負担が軽減されます。

即戦力となる人材を確保できる

紹介予定派遣では派遣会社が企業のニーズに合わせて人材を選定するため、即戦力として活躍できる人材を見つけやすいのが特徴です。業務に必要なスキルをはじめから身につけていたり、豊富な実務経験を積んだ人材と出会えたりする機会が多く、採用後すぐに業務を任せられるケースも少なくありません。

紹介予定派遣は企業と求職者のミスマッチを防ぐための有効なサービス

紹介予定派遣は、企業と求職者の双方にとって納得のいく採用を実現しやすいサービスです。派遣期間に実際の業務スキルや人柄を見極められるため、入社後のミスマッチを回避でき、安定した雇用関係を築きやすくなります。

一方、企業側から直接雇用を断る際には、派遣社員本人ではなく派遣元に連絡することや、客観的な理由を提示することなど、適切な手続きを踏むことが欠かせません。メリットだけでなく留意点も理解し、トラブルを防ぎながら自社に合う人材を確保しましょう。

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監修者

HRナレッジライン編集部

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