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業務委託と業務請負の違いとは?特徴やメリット、注意すべき点を紹介
公開日:2026.01.30
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新規事業への挑戦や業務品質の向上に取り組もうとしても、専門知識や社内リソースの不足がボトルネックになっている企業も多いのではないでしょうか。業務委託や業務請負は、そうした課題を解決する手段として有効です。
委託や請負は同じ意味で使われがちですが、似ているようで異なる部分が多くあります。偽装請負などと行政から判断されると派遣法違反の指摘を受けるリスクもあるため、業務委託や請負の定義を踏まえて、目的や業務の内容に応じて使い分けることが大切です。
この記事では、業務委託と業務請負の違い、活用するメリットや注意点を詳しく解説します。
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目次
業務委託契約と業務請負契約の違い
業務委託契約という言葉そのものには法律上の定義がなく、自社の業務を外部の企業や個人に依頼すること全般を指します。民法に定義されている「請負契約」「委任契約」「準委任契約」は業務委託契約に含まれ、目的や内容によって使い分けられます。
まずは、業務委託契約と業務請負契約の違いについて詳しく解説します。
業務委託契約とは
業務委託契約は、事業規模の拡大や新規事業に参入する過程などにおいて、自社では対応しきれない業務やより専門的な知識が求められる業務が発生した場合に活用します。外部企業に任せることで、専門的な知識の活用による品質向上、社内の人材リソース確保などのメリットがあります。
業務委託契約という言葉は法律では定義されておらず、民法に規定のある「請負契約」「委任契約」「準委任契約」をまとめて業務委託と呼ぶのが一般的です。
請負と委任/準委任では、委託先が負う義務や報酬が発生する条件が異なります。そのため、委託をする目的や業務の内容に応じて、使い分ける必要があります。また、それぞれの定義を理解し正しく運用をしないと、法令に抵触する恐れがあります。
業務委託の契約ミスについては、以下の記事でより詳しく解説しています。
>>業務委託契約とは?契約形態の違いやメリット、締結の流れまで徹底解説
業務請負契約とは
請負契約は、仕事の完成を目的としているのが大きな特徴です。一般的にイメージをしやすいのは住宅の建設でしょう。
自宅を建てる際は、ハウスメーカーと工事請負契約を結びます。請け負ったメーカーは契約の期日までに住宅を完成させ引き渡す義務があります。工期の細かい設定や内装、水回り業者の選定はメーカーに裁量があり、施主が現場で細かな指示を出すことはありません。自宅が完成したら施主がチェックしてメーカーに代金を振り込みます。
このように、請負契約では受託者(請負人)が完成品を期限までに納品することに義務を負い、いつ・どこで・誰が・何人で・どのように行うのか、といった仕事の進め方を自由に決めることができます。委託者が仕事の進め方に指示を出すと、法令違反にあたる恐れがあるので注意が必要です。
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「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の違い
前述の通り、業務委託の中には、請負契約・委任契約・準委任契約が存在します。それぞれの違いについて解説します。
| 業務委託契約 | |||
|---|---|---|---|
| 請負契約 | 委任契約 | 準委任契約 | |
| 契約の目的・報酬 | 成果物を完成させること | 法律行為の遂行または遂行による成果 | 法律行為ではない業務の遂行または遂行による成果 |
| 受託者の義務 |
|
受託者として一般的に要求される程度の注意を払って業務を遂行する(善管注意義務) | 受託者として一般的に要求される程度の注意を払って業務を遂行する(善管注意義務) |
| 指揮命令権 | 受託会社 | 受託会社 | 受託会社 |
| 再委託の可否 | 原則自由 | 原則不可 | 原則不可 |
| 具体的な業務例 |
|
|
|
委任契約の目的は法律業務の遂行
法律行為の遂行を外部に委託することを委任契約と言います。具体的には、法律業務として以下のような内容が挙げられます。
- 各種税務申告書の作成など、税理士への税務代理
- 弁護士への訴訟代理や紛争解決手続きの支援
準委任契約の目的は法律行為ではない業務の遂行
法律行為に該当しないものを委託することを準委任契約と言います。具体的には、コンサルタントによる経営アドバイスや、専門業者による自社システムの運用保守などが該当します。民法上、委任契約の規定が準用されます。
業務請負契約のメリット
次に、業務請負契約のメリットを見ていきましょう。
成果物が明確なので管理しやすい
仕事の完成を目的とする請負契約では、契約の締結時点で、完成品の定義と、何に対していくら支払うのかが明確になっています。業務に関するコストが明確になれば、全体の予算管理がしやすくなります。
規模の大きいプロジェクトを自社で完結させようとすると、社内の業務を調整して人材リソースを確保したり、新たに人を雇用したりする必要があります。業務終了後も雇用関係は続くため、会社の人件費に長期間影響を与えます。しかし、業務の一部を切り離す請負であれば、人材リソースの調整が容易となります。
マネジメント工数の削減につながる
請負契約では、いつ・どこで・誰が・何人で・どのようにやるのか、という業務の手順や手法はすべて受託者(請負人)の裁量に委ねられています。発注者は、業務の進捗を管理監督したり指示したりといった業務を受託者に任せられるため、対象業務に関する工数を削減できます。
工数削減により社員の残業時間低減につながれば、会社に対する満足度が向上し、離職率低下や意欲向上が見込めます。また、浮いた工数や社員を利益に直結するコアな業務に集中させれば収益の拡大も期待できます。
業務請負を適切に活用すれば、さまざまな付加価値の向上にもつなげられる可能性があるでしょう。
成果物の品質を担保しやすい
請負契約では、より専門的な業務を依頼でき、質の高い成果を期待できます。また、請負契約では、業務の進め方について発注者から受託者(請負人)に指示を出すことができないため、万が一成果物に不具合があった場合、民法で発注者が受託者に責任を追及できる契約不適合責任が定められています。
納品された成果物の種類や品質、数量が契約内容と異なっていることが確認された場合、発注者には、仕様どおりの成果物にするための修正や代替品の納入(追完請求)、代金減額、損害賠償請求などができる権利が法律で認められています。
しかし、法的な権利があるとはいえ、まずはトラブルが発生しないよう、実績や専門性などを総合的に判断して委託先を選定することが重要です。
業務委託(委任/準委任)のメリット
続いて、業務委託(委任/準委任)のメリットを解説します。
柔軟な業務依頼が可能
請負と大きく異なるのは、仕事の完成を目的とするかどうかです。請負の場合、外注先と契約を結ぶ時点で完成品の仕様を厳格に定める必要があります。契約の基準に満たない仕様の成果物が納品された場合は損害賠償責任を追及することもできます。
一方、委任/準委任の場合は、業務の遂行を目的としているのが大きな特徴です。自社を取り巻く環境に変化が発生し、契約した内容では自社のプロジェクト遂行には不十分になった場合でも、契約期間の途中で業務の内容や範囲を変更できます。
専門家の知識やスキルを継続的に確保できる
高度な専門性が求められる知識やスキルを自社で継続的に活用したい場合は、委任/準委任の活用がおすすめです。委任契約の場合、会社の顧問弁護士をイメージすると分かりやすいでしょう。企業の規模にもよりますが、自社で弁護士を採用するのは人件費の面で現実的ではありません。弁護士が対応しなくてはいけないトラブルが毎日発生することもまずないでしょう。
その点、外部の弁護士事務所と月額固定報酬などの形で契約を結べば、採用するよりも低いコストで専門家のアドバイスを受けられます。相談中のトラブルが訴訟に発展した場合は、別途委任の契約を結んで手続きの代理を委託します。
定義しにくい業務にも対応できる
新規プロジェクトに取り組む際、一部でも自社にノウハウがない作業があると、プロジェクト全体が進まなくなってしまいます。そのようなケースにおいて自社で完成品が定義できず、専門家の意見を取り入れたい場合は、委任/準委任の活用が適しています。自社で専門人材を採用、教育するよりも費用と時間が抑えられ、専門のスキルを活用した迅速な事業展開が可能となります。
業務委託契約や業務請負契約の注意点
業務委託契約や業務請負契約に関する注意点もまとめておきましょう。
偽装請負のリスク
偽装請負とは、請負や委任/準委任契約を結んでいる外注先の社員や個人事業主に対して、仕事の進め方を細かく指示をしたり、業務時間を決めたりすることです。業務の遂行は受託者に一任されているため、外注先の社員への指揮命令は受託会社の管理者からしか行えません。契約の名目が請負でも、実態に基づいて違法な労働者派遣だと行政から判断されれば、指導や罰則の対象となる恐れがあります。
業務の繁閑に応じた労働力の確保が目的であれば、派遣労働者を受け入れることでリスクを回避できます。
偽装請負については、以下の記事でもご紹介しています。
>>偽装請負の代表的なケースと問題点 企業の罰則・法的リスクや注意点を解説
契約内容を明確にしておく
業務委託契約を結ぶ際、業務の内容や完成品の仕様に曖昧な部分があると、受託者とのトラブルが生じる恐れがあります。契約の文言や完成品の定義を巡って解釈に食い違いがある場合、裁判に発展して長期間争うことになる恐れもあります。
こうしたトラブルを回避するためにも、契約の時点で業務の内容や成果物の定義を明確化し、曖昧な部分を残さないことが必須です。加えて、契約期間中にトラブルが発生した場合の責任の範囲や知的財産権の帰属先なども明記しておきましょう。
契約書を作成する際のチェックポイント
契約内容を明確化したら、それを契約書に落とし込み、両者で合意するステップを必ず踏みましょう。契約は口頭でも成立するのが原則ですが、のちのちのトラブルを避けるためにも、必ず文書に残して両者で合意をしましょう。
以下は、契約書に最低限盛り込むべき内容です。
- 業務内容の明確化
【請負】
・成果物の仕様、納品物の数量や品質、納期、検収方法
【委任/準委任】
・委託する業務の範囲、遂行方法、報告義務(訪問やレポート提出などの形式、頻度) - 報酬
【請負】
・成果物に対する対価、支払いサイト
【委任/準委任】
・時間単価(稼働時間数×時間単価)か、月額固定か、支払いサイト(取引の締め日から支払いまでの期間)
・契約不適合責任(請負)と善管注意義務(委任/準委任)の明記 - 知的財産権の帰属(制作物の著作権を含む知的財産権をどちらに帰属させるか)
- 秘密保持義務(機密保持契約、NDA)
- 再委託の可否と条件(請負の場合は原則自由であるため不可の場合は明記すること)
契約締結が継続的に発生する場合は自社の事業特性に応じてひな形を作成し、過去の経験を踏まえて改善させていきましょう。
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業務委託と業務請負は目的によって使い分けることが重要
業務委託や業務請負を活用すれば、外部の専門知識の活用による業務品質の向上や、人材リソース確保によるコア業務の拡充など、さまざまなメリットがあります。
ただし、運用を誤ると行政から法令違反の指摘を受けたり、外注先とのトラブルに発展したりする恐れがあります。業務委託を活用する際は、自社の課題と業務委託をする目的を整理し、リスクを把握しましょう。そのうえで、目的に応じてどの業務委託を活用するかを決め、専門性や実績、コストなどを参考に最適な外注先を選定して、業務委託の効果を最大化させましょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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