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リファラル採用とは?メリット・デメリット、導入ステップを徹底解説
公開日:2025.10.14
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リファラル採用とは、自社の従業員が友人や知人を推薦し、採用を進める手法です。本記事では、リファラル採用の基本的な仕組みやメリット・デメリット、導入ステップ、さらに成功のためのポイントなどを解説します。
人材獲得戦略を検討する上で、既存の採用手法だけで補えない場合にもリファラル採用は有効な選択肢となります。
本記事を通じて、リファラル採用を導入・活用するためのヒントをつかみ、貴社の採用活動に役立てていただければ幸いです。
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目次
リファラル採用とは?注目される背景
リファラル採用とは、自社の従業員が友人や知人など、自社の求める人物像に合う人材を紹介し、採用につなげる手法です。
人材不足や採用コスト増大が課題となる中、リファラル採用は効率的に人材を獲得できる方法として注目を集めています。
加えて、企業文化にマッチした人材を比較的見つけやすい点も特徴です。
リファラル採用と縁故採用の違い
リファラル採用は、社員が知人や友人を紹介し、候補者として推薦する仕組みです。一方、縁故採用は血縁などの特別な関係から優先的に採用されるケースを指します。
リファラル採用はあくまで候補者のスキルや企業文化への適合度を見極めたうえで選考されるため、従来の縁故採用とは大きく異なりポジティブなイメージを持たれやすいのも特徴です。
リファラル採用が注目される理由
リファラル採用が注目される最大の理由は、費用対効果の高さです。
リファラル採用は求人サイトへの掲載や採用イベントへ参加をする必要がないため、採用コストを抑えて効率的に採用活動を進めることができます。
また採用コストの削減だけでなく、より精度の高いマッチングが期待できることも理由の一つです。
社員がよく知っている知人や友人を紹介するため、企業との相性や業務への適性が高い人材を獲得しやすくなります。
リファラル採用の導入に向いている企業の特徴
リファラル採用が効果を発揮しやすい企業として、まず社内コミュニケーションが活発であり、社員同士のつながりが強いことが挙げられます。
紹介しやすい雰囲気や仕組みが整っていると、社員が候補者に声をかける心理的ハードルが下がります。さらに企業がより魅力的に映る企業文化があり、従業員のエンゲージメントが高い企業は、紹介活動がより活発になります。
採用費用を抑えつつこれから成長していきたいスタートアップ・ベンチャー企業には、特におすすめの採用手法と言えるでしょう。
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リファラル採用のメリット
リファラル採用にはコストや工数の削減など、多くのメリットがあります。
ここではリファラル採用の具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
採用コストと工数の削減
リファラル採用では、求人広告や人材エージェントに支払う費用が大幅に削減できます。
求人サイトに掲載する広告の準備や転職イベントの出展準備など、手間や時間もかかりません。
また、紹介経路が明確であるため、スクリーニングや面接回数を適切に省略しやすい点も魅力的です。結果として採用活動のスピードが上がり、生産性の向上にもつながります。
他の採用手法との比較については、以下をご参照下さい。
採用手法 | 概要 | 費用感 | 特徴・留意点 |
---|---|---|---|
広告媒体 | 求人広告を掲載して応募者を募る手法。求人サイト、新聞広告、WEB広告など。 | 数万円~数十万円(求人サイト掲載期間や広告規模による) | 費用対効果が広告内容や掲載期間に依存。応募者の質が不安定な場合も。 |
人材紹介 | 人材紹介会社を通じて候補者を紹介してもらい採用する手法。 | 採用者の年収の35%前後(成功報酬型が一般的) | ハイクラス人材や専門職の採用に適するが、大量採用の場合は成功報酬が高額になるケースもある。 |
リファラル採用 | 社員からの推薦(紹介)により採用する手法。 | 紹介インセンティブ:数万円~数十万円(推薦成功時) | 採用成功率が高く、社風とのマッチングが良いが、候補者の母数が限られる可能性有り。 |
ダイレクトリクルーティング | 企業が直接候補者にアプローチして採用する手法。SNSや採用プラットフォームを活用。 | プラットフォーム利用料:数万円~数十万円 | ターゲット層に直接アプローチ可能だが、労力と時間がかかる。 |
派遣社員活用 | 必要な期間だけ派遣社員を受け入れ。派遣会社を通じて行うことが一般的。 | 派遣料金:時給×就業時間 | 即戦力の確保が可能だが、長期的な人材育成には不向き。 |
インターンシップ | 学生を対象にしたインターンシップからの採用 | プログラム設計費用:数万円~数十万 | 早期の人材発掘が可能だが、効果的なプログラム設計が求められる。 |
採用イベント | 合同企業説明会や自社イベントを開催して直接接触する手法。 | イベント参加費:数万円~数百万円(規模や内容による) | 企業ブランド向上に寄与するが、イベントの運営負担が大きい場合がある。 |
AI・データ活用型採用 | AIツールやデータ分析を活用し、効率的に候補者を選定・採用する手法。 | ツール導入費用:数十万円~(ツールやサービス内容による) | 採用プロセスの効率化が可能だが、導入コストが高くなる場合がある。 |
転職潜在層へのアプローチ
転職市場には常にアクティブに求人を探している人材だけでなく、環境が整えば転職を検討する潜在層も多く存在します。
リファラル採用では、社員の個人的なつながりを通じて従来接点のなかった優秀な人材を呼び込める可能性があります。
これにより企業は、一般的な採用チャネルではリーチしにくい人材層と接点を持つことができるでしょう。
早期戦力化と離職率の低減
リファラル採用では、社員と同じような志向や価値観、能力を持つ人材を採用できる可能性が高いです。
紹介されて入社した人材は企業カルチャーや業務内容を事前にある程度理解しているため、早期に戦力となりやすい傾向があります。
紹介者と被紹介者の間に信頼関係がある場合、仕事に対する理解やモチベーションが高くなる点も特徴です。その結果、ミスマッチが少なく、離職率を低く抑えられる効果が期待できます。
従業員のモチベーションとエンゲージメント向上
社員自身が自分の会社に信頼と愛着を持っているからこそ、友人や知人を紹介しようという意欲が生まれます。
これは企業への愛着や社内での協力関係を深める好循環を生む要素となります。
報酬制度や成功事例の共有などを通じて社員のモチベーションを高めることで、全体的なエンゲージメントを向上させることが可能です。
モチベーション向上については、以下の記事も参考にしてください。
>>声かけでメンバーのモチベーションをあげる!効果的な言い換えや声かけのポイントを解説
リファラル採用のデメリットと注意点
リファラル採用には、メリットだけでなく、配慮が必要なデメリットも存在します。
制度の設計や運用を誤ると、人間関係のトラブルや企業文化の偏りにつながる可能性があります。誰を紹介して、どのように選考を進めるのか、公平性や納得感を担保する仕組みづくりが不可欠です。
ここでは主なデメリットと注意点をまとめます。
人材の同質化リスク
リファラル採用は社員の近しいネットワークに限定されるため、同じような価値観やバックグラウンドを持つ人材が集まりがちです。
結果として多様性が損なわれ、革新性や柔軟なアイデアが出にくくなる恐れがあります。
そのため、他の採用チャネルとの併用や、企業としてのダイバーシティ推進に取り組むことなどの対策が重要です。
不採用時の紹介者・被紹介者への配慮
紹介者としては、自ら声をかけた友人が不採用になることで、気まずさを感じる可能性があります。
また、被紹介者に対しても丁寧なフィードバックや配慮が必要です。透明性のあるプロセスと、誠実なコミュニケーションを重ねることで、信頼関係や人間関係への悪影響を最小限に抑えることができます。
採用に長期間を要する可能性
リファラル採用には社員が候補者を探して声をかける期間が必要となり、必ずしもすぐに人材が集まるとは限りません。
特に急募のポジションでは、適切な紹介を得られないまま採用決定までに時間がかかるケースもあります。
複数の採用手法を並行して行いながら、リファラル採用が機能するまでの時間を見込んでおくことが重要です。
報酬制度が違法にならないようにする
紹介者への報酬設定が極端に高額になると、職業安定法などに抵触する可能性があります。
報酬を金銭だけに頼らない設計を行うことや、金額の相場を確認して法的リスクを回避する配慮が求められます。
企業が自ら責任を持って制度設計し、法令を遵守する姿勢が大切です。
リファラル採用を導入するステップ
リファラル採用の導入には、事前準備から運用開始まで段階的なステップが必要です。
何から手をつければよいか分からないと感じる方もいるかもしれませんが、基本的には採用目標や制度設計、周知の流れを順に押さえていくことが大切です。
ここでは3つの要点を押さえながら導入の流れを見ていきましょう。
ステップ1:採用目標の設定
まずはリファラル採用を通じてどのポジションを何名採用したいのか、具体的な数値目標を定めます。
あわせて採用期間や必要なスキルセットを明確にすることで、社員も紹介を行う際にイメージがしやすくなります。
目標を設定する段階で、さまざまな部門の意見を取り入れておくと社内の協力体制を構築しやすくなります。
採用KPIの設定についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
>>採用KPI設定の5ステップ|人事担当者が知っておくべき指標と活用法
ステップ2:制度設計
紹介フローや応募方法、報酬制度を含む詳細なルールを決める段階です。
紹介があった場合の面接フローや、報酬の支給タイミングを明確化し、リファラル採用を円滑に進める仕組みを構築しましょう。
特に、報酬制度は社員のモチベーションに直結するため、社内の公平性や法令遵守を考慮しながら注意深く設計することが重要です。
ステップ3:社内周知と紹介しやすい仕組みづくり
制度内容が整ったら、社内に向けて積極的に情報を発信し、紹介を活性化させる施策を実行します。
例えば全社メールや社内SNS、定期ミーティングなどで周知し、不明点をフォローしていくことが大切です。
さらに紹介したいと思うような企業文化の醸成や、リファラル採用での成功事例などを共有することも効果的です。紹介人数が多い部署を表彰する制度を設けるなど、活動を形骸化させないようにすることが必要です。
リファラル採用における報酬制度の設計ポイント
紹介に対する報酬制度をうまく設計することで、従業員の積極的な協力を得やすくなります。
報酬制度はリファラル採用を促進する大きな要素ですが、金額や形式を誤ると逆効果になり得ます。適正な報酬金額の設定とともに、社内で納得感を得るための工夫も欠かせません。ここでは具体例を踏まえた設計ポイントを解説します。
報酬金額の相場と支給タイミング
紹介に対する報酬は、数万円から数十万円程度が多く、支給タイミングは入社後や試用期間終了後が一般的です。
支給までのプロセスを明確にすることで、紹介者と被紹介者の安心感を高めることができます。ただし、市場相場を大きく逸脱すると法的リスクや社内不公平感につながるため、バランスが重要です。
金銭以外のインセンティブ例
社員旅行や特別表彰、追加の有給休暇など、金銭報酬以外のインセンティブを設定する方法もあります。
こうした取り組みは金額以上に社員が喜びを感じる場合もあり、職場の一体感を高める効果も期待できます。
自社の文化や社員の希望を踏まえて、多様なインセンティブの導入を検討しましょう。
報酬制度設計における注意点
報酬制度による従業員間のトラブルを招かないようにするためには、公平性と透明性が非常に重要です。
紹介者と被紹介者の双方が納得できるルールを定め、社内に丁寧に周知しましょう。
法令上の報酬規定を踏まえ、監督官庁への確認や専門家のアドバイスを受けることも検討すべきポイントです。
また、許可を得ずにリファラル採用の報酬を職業紹介のインセンティブとして支払うことは、法律違反となります。具体的には、「職業安定法第三十条」において、次のように定められています。
職業安定法第三十条(有料職業紹介事業の許可)
有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
また職業安定法第40条では、「労働者の募集に従事する者に対して、賃金や給料などの形で報酬を支払うことは認められているが、それ以外の場合に報酬を与えることは禁止されている」と定められています。
これに基づき、リファラル採用の報酬を「賃金や給料」として支払う場合は、報酬の詳細を就業規則や雇用契約で明文化する必要があります。
※参考:職業安定法|e-Gov 法令検索
法令を違反した形で報酬を支払うことは違法行為となるため、十分に注意が必要です。
リファラル採用を成功させるためのポイント
リファラル採用を効果的に活用するためには、社内環境づくりや企業文化の共有が欠かせません。
どれだけ制度を整えても、社員が紹介を積極的に行うだけの動機や魅力を感じなければ、成果を上げることは難しいでしょう。
制度だけでなく環境や文化を整え、継続的に改善することが重要です。
ここではリファラル採用成功のための具体的なポイントを確認します。
従業員が紹介しやすい環境づくり
知り合いに「この会社ではたらいてほしい」と自信を持って紹介できる組織風土が大前提となります。
社内コミュニケーションの充実やはたらきやすい制度、やりがいのある業務内容など、社員が誇りに感じられる要素を増やすことが鍵です。
まずは、社内のエンゲージメントを高めることから意識する必要があります。
さらに紹介実績の共有や成功事例の発信といった社内施策を通じ、紹介活動を促進しましょう。
企業文化の共有とブランド力向上
社外に向けて企業のビジョンやカルチャーを分かりやすく発信することで、紹介を依頼しやすくなります。
社員自身も自社の強みを理解し、魅力を語れる状態にあることが望ましいでしょう。
SNSや社内報などを活用しながら、企業ブランドを高める努力を続けることが大切です。
採用ブランディングについて知りたい方は、以下の記事を参考にして下さい。
>>採用ブランディングで応募者を増やす!企業の魅力を最大化する戦略
継続的なフィードバックと改善
リファラル採用は導入して終わりではなく、常に改善が求められる取り組みです。採用状況や社員の意見を定期的にフィードバックし、制度設計や運用を見直していきましょう。
社内アンケートや面接後の振り返りなどを適切に活用し、より質の高いリファラル採用を実現するためのPDCAサイクルを回すことが重要です。
リファラル採用についてよくある質問
リファラル採用の導入時によく寄せられる質問について整理します。
Q1.リファラル採用とは?縁故採用との違いは?
リファラル採用は社員が実際に勤務する企業の情報を知った上で人材を紹介するもので、縁故採用のように血縁や親族関連で採用が決まるわけではありません。
あくまで選考基準は候補者の能力や適性、企業文化へのフィット感など客観的な要素が重視されます。
公平なプロセスを通じて、企業と候補者の双方が納得した上で採用が成立します。
Q2.リファラル採用のメリットは?
第一に採用コストの削減が挙げられますが、早期戦力化や離職率低減など、採用後の定着面でもメリットは大きいです。
また、社内外での企業イメージ向上にもつながり、結果として従業員のエンゲージメントが高まる効果も期待できます。それにより、新たな優秀人材の獲得というより戦略的な成果を得られることもあります。
Q3.リファラル採用のインセンティブ代替案は?
インセンティブには現金報酬を用いる企業が多いですが、近年では表彰制度や追加休暇、社内ポイントプログラムなど多様な施策があります。
現金以外の特典を組み合わせることで、社内の文化を活性化させながら長期的なモチベーションを維持することが可能です。
従業員が喜ぶ施策を取り入れることで、リファラル採用がより一層根付く可能性が高まります。
人材獲得の活用例|リファラル採用
パーソルテンプスタッフ株式会社は、2018年からリファラル採用を本格導入し、わずか6年で応募者数を9倍に拡大。平均内定承諾率も80%超(2023年度は100%)を達成しました。
2024年度からはリファラル採用が人事制度となり、新卒採用でも導入が始まりました。
また自社の採用に関する情報イントラサイトでは、実際に友人を紹介した社員のインタビューが掲載され、
「リファラル活動って、いつ、どんなことをしたらいいの?」
「どんな人に声をかけたらいいの?」
「リファラル活動って大変では?」
といった社員の疑問にも回答しています。
同社のリファラル採用について、詳しくは以下の記事をご覧下さい。
>>採用成功につなげる人材獲得戦略|戦略設計の5ステップ
なお、リファラル採用に関するツールについては、パーソルビジネスプロセスデザインの「リファ楽」もぜひご確認下さい。
まとめ:リファラル採用で優秀な人材を獲得しよう
リファラル採用は、社員のネットワークを活用した効率的な採用手法です。
企業文化と社員との相性が高い人材を得やすく、採用コストを抑えながら早期に戦力化できる魅力があります。
ただし、人材の多様性確保や不採用時の配慮など、デメリットへの対策を怠ると制度の効果を十分に発揮できません。長期的な視点で導入・運用し、企業文化の向上や従業員エンゲージメントとあわせて取り組むことで、リファラル採用の真価を感じられるでしょう。
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監修者
HRナレッジライン編集部
HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。
編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。
法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。
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