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声かけでメンバーのモチベーションをあげる!効果的な言い換えや声かけのポイントを解説

公開日:2025.02.17

企業の課題

ビジネスの場面でコミュニケーションを円滑に進めるためには、適切な声かけが重要です。同じ内容を伝える場合でも、よりポジティブな表現に言い換えて声かけをすると、信頼関係を築きやすくなります。

本記事では、ビジネスにおいて声かけが重要な理由や、ポジティブな声かけに言い換える方法、声かけの効果を高めるためのポイントについて解説します。声かけにより社内のやり取りをスムーズにしたい方はぜひ参考にしてください。

声かけがビジネスの現場で重要な理由

まずは声かけの重要性について理解を深めましょう。ビジネスの現場で声かけが重要な理由は次の通りです。

コミュニケーション不足によるトラブルを防ぐため

社内のコミュニケーションが不足すると、仕事の内容を間違えて余計な手戻りが発生したり、スケジュールの勘違いでプロジェクトの進行に支障が出たりする可能性があります。これらのトラブルを防ぐために、積極的な声かけが重要です。

企業を対象とした「近年の管理職に不足する能力・資質」に関する調査では、「部下や後継者の指導・育成力(傾聴・対話力)」という回答が最も多くなっていました。

近年の管理職に不足している能力・資質(複数回答)

  • (労働政策研究・研修機構「人材マネジメントのあり方に関する調査」2014年を参考に作成)

上記のデータから、企業もマネジャーも、部下との間で傾聴や対話といった言葉によるコミュニケーションが重要であるという認識がありながらも、その能力・資質が不足していると自覚していることがわかります。

この課題を解決し、コミュニケーションを円滑化するための方法として、声かけが重要です。

組織内でよりよい関係性を築くため

積極的な声かけを行うと、組織内でよりよい関係性を築く効果が期待できます。

組織学習を研究する北海道大学大学院教授の松尾睦氏が監修した『OJT完全マニュアル部下を成長させる指導術』の中で、「挨拶や日常会話、雑談など会話量を増やして、対象者を気にかけていることを示す」「言葉で褒めたり、励ましたりすることで対象者への好意を示す」といった声かけの行動が、よりよい関係性の構築につながることが説明されています。
書籍で紹介されている具体的な内容は次の通りです。

OJTで指導者が対人魅力を高める行動のコツ

コツ 行動の例
普段から自分が対象者の近くにいて、常に気にかけていることを示す 会話の総量を増やす(挨拶、日常会話、雑談)、目を合わせる、席を隣同士にするなど
会話の中で対象者との共通項をし、親近感を高める 価値観や考え方で共通点を見つける、行動や経験で共有できる部分を見つけるなど
積極的に対象者への好意を示す
  • 言葉によるはたらきかけ(修める、認める、励ます、感謝するなど)
  • 態度や表情によるはたらきかけ(微笑む、うなずく、傾聴する、喜ぶ、拍手するなど)
  • 積極的に自己開示をする(自分の失敗博験を話すなど)、会話で話題になったことをすぐに行動に移すなど
  • (松尾睦 監修/ダイヤモンド社人材開発編集部 編『OJT完全マニュアル 部下を成長させる指導術』ダイヤモンド社を参考に作成)

上記のようなOJTの場面だけでなく、上司と部下、同じプロジェクトに関わる関係者同士などの関係性をよりよくするために、積極的な声かけが重要です。

社員のモチベーションを上げることにつながる

ビジネスの現場での声かけは、社員のモチベーションを上げることにつながります。特に、ポジティブな内容の声かけを行うことは、前向きな姿勢で仕事に取り組むために効果的です。

例えば、よい成果を出した社員に対して高く評価するような声かけがあれば、今後も頑張ろうという気持ちを引き出せます。また、仕事量が多く忙しいときにも、お互いに励まし合うような声かけによってモチベーションを保つことが可能です。

ビジネスにおける声かけの種類

ビジネスの現場で有効な声かけの種類には、次のようなものがあります。

声かけの主な種類

種類 内容
挨拶 「おはよう」「こんにちは」「さようなら」など、人が会ったとき別れ際に交わす日々の挨拶は、声かけの基本となる
心づかい 「大丈夫ですか」「トラブルはないですか」など、相手を思いやる気持ちを言葉にする。それによってコミュニケーションが円滑になる
感謝・ねぎらい 「いつもありがとう」「お疲れ様」「ご苦労さま」「助かるよ」など、相手に対して謝意を表す
報連相 仕事を進めるうえで必要な「報告・連絡・相談」に関する言葉
自分で気付いたこと 「知りませんでした」「なるほど、そうだったんですね」など、自分が気付いたことや思ったことを伝える
褒める 「仕事が速いね」「長っているね」「~に感心したよ」など、具神的に良かった点を言葉にする。褒めは人の気持ちをプラスにする

上記を参考に、自分は普段どのような声かけをしているかを振り返ってみましょう。例えば「挨拶・報連相・自分の気付き」は声かけしていても「心づかい・感謝・ねぎらい」は言葉にしていないといった気付きを得られる可能性があります。

ポジティブな声かけに言い換える方法

声かけで相手との信頼関係を構築したり、モチベーションを高めたりするためには、適切な表現への言い換えが重要です。

以下では、日本実業出版社の『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』を参考に、ポジティブな声かけに言い換える主な方法をご紹介します

事実を受け入れる

プロジェクトの進捗や成果についての声かけでは、事実を受け入れた上で言い換えを考えることが効果的です。

例えば、プロジェクトの成果が思わしくない場面では、「なぜ成果が出ていないのか」ではなく「今の状況でどうしたらベストを尽くせるか考えよう」などに言い換えると、ポジティブな印象になります。

解釈を変える

同じ状況や事実であっても、解釈を変えるとポジティブに言い換えられる場合があります。

例えば、営業担当者の受注数が目標に達していないときに「このままじゃ受注できないぞ」と声かけするよりも、「もう少し頑張れば受注できるぞ」と伝えた方が、モチベーションアップに効果的です。

肯定的に表現する

相手を否定するような言い方は避け、どのようにしてほしいかを考えた上で肯定的な表現に言い換えましょう。

例えば、「計算ミスをするな」は「落ち着いて計算して、最後は見直そう」などに言い換えられます。

背中を押す言葉を添える

相手への応援の気持ちが伝わるよう、背中を押す言葉を添えることも、ポジティブに言い換える方法の一つです。

例えば、あたらしいプロジェクトのスケジュールを部下から共有された場合、単に「スケジュールについて把握しました」と伝えるよりも、「何かあればフォローするよ」などの一言を添えた方が効果的です。

理由を明確にする

仕事を頼むときには、理由を明確に説明するようにすると、より丁寧な印象になります。

例えば、「資料の作成を今日中にお願いします」と依頼するよりも、「明日のクライアントとのミーティングに間に合わせたいので、資料の作成を今日中にお願いします」と理由を添えた方が丁寧です。

ダメ出しではなくアドバイスを行う

部下や同僚からコメントを求められたときは、ダメ出しではなくアドバイスを行うという意識で声かけをすると、ポジティブに言い換えられます。

例えば、「グラフの文字が小さくて読みにくいよ」という声かけよりも、「グラフの文字をもっと大きくすると読みやすくなるよ」と言い換えた方がポジティブな印象になります。

声かけの効果を高めるためのポイント

声かけの効果を高めるためには、言い換え以外にもいくつかのポイントがあります。言い換えの方法と共に押さえておきたいポイントは次の通りです。

声かけの量を増やす

コミュニケーションのきっかけを増やすために、声かけの量を増やすことを意識しましょう。

例えば、始業時と終業時に欠かさず挨拶をしたり、業績や仕事の内容について毎日ひと言でも話をしたりすることが重要です。また、細かな点であっても褒める、小さな変化についてフィードバックすることを意識すると、声かけの量を増やすことができます。

言い換えのバリエーションを増やす

単に同じ内容の声かけを繰り返すだけでは、量が増えても機械的な印象になってしまう場合があります。そのため、さまざまなバリエーションに言い換えることがおすすめです。

例えば、相手を褒めるための声かけは、「You」と「I」という2つのスタンスで言い換えができます。

「You」のスタンスとは相手を主体にした表現で、「よくやったね」や「やればできるじゃないか」などが該当します。

一方、「I」のスタンスは自分がどう思ったかを伝えるもので、「あなたが頑張っている姿を見ていると、自分もやる気が出る」や「先日の粘り強い交渉には、自分も驚かされたよ」などの表現です。

一般的には「You」のスタンスでの声かけが多いため、適度に「I」のスタンスで言い換えると声かけのバリエーションが増やせます。

また、相手を認める内容の声かけでは、次の3種類を使い分けることが効果的です。

相手のモチベーションを上げる3つの承認

種類 内容
結果承認 「頑張ったね」など、過去に行ったことに対して、その価値を認める。
行動承認 「よくやっているね」など、現在行っていることに対して、その価値を認める。
存在承認 「いつもありがとう」など、存在そのものを認める。
  • ※参考:占部正尚著/日本実業出版社|『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』

適切なタイミングで声かけをする

声かけをするタイミングも、コミュニケーションを円滑化するために重要なポイントです。

例えば、目標達成の直前でもうひと頑張りが必要なときや、部下や同僚が助けを必要としている場面などが、声かけをするべきタイミングです。

また、他の人から表立って評価されていないような陰の努力に気付いたときにも、声かけをすることによって相手のモチベーションを高められます。

声かけの質と量を高めてビジネスのコミュニケーションを円滑にしましょう

声かけのメリットは、ごく短いやり取りの中で互いの気持ちが感じられることにあります。仕事が忙しくて時間がないから言葉を交わさないのではなく、時間がないからこそ声かけを積極的に行うことが重要です。

日々の状況の変化を職場のメンバーが感じ、仕事への意識を共有していくためにも、声かけが欠かせません。今回ご紹介した言い換えの方法や、声かけの質と量を高めるポイントを参考に、コミュニケーションの円滑化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

ビジネスのやり取りの中でも、特に部下育成におけるコミュニケーションのコツについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。ぜひご参照ください。
>>なぜ伝わらない?タイプ別に攻略!「部下とのコミュニケーション」

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