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声かけでメンバーのモチベーションをあげる!効果的な言い換えや声かけのポイントを解説
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声かけとは、相手の行動や感情にポジティブな影響を与える短いフィードバックのことです。
声かけのタイミングと表現を工夫することが、信頼関係の構築やモチベーション向上のきっかけになります。
本記事では、ビジネスの現場ですぐに試せる声かけの種類や言い換えフレーズ、活用ポイントを解説します。声かけにより社内のやり取りをスムーズにしたい方は、ぜひ参考にしてください。
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声かけがビジネスの現場で重要な理由
まずは声かけの重要性について理解を深めましょう。ビジネスの現場で声かけが重要な理由は次の通りです。
コミュニケーション不足によるトラブルを防ぐ
社内のコミュニケーションが不足すると、仕事の内容を間違えて余計な手戻りが発生したり、スケジュールの勘違いでプロジェクトの進行に支障が出たりする可能性があります。これらのトラブルを防ぐために、積極的な声かけが重要です。
企業を対象とした「近年の管理職に不足する能力・資質」に関する調査では、「部下や後継者の指導・育成力(傾聴・対話力)」という回答が最も多くなっていました。
近年の管理職に不足している能力・資質(複数回答)

- (労働政策研究・研修機構「人材マネジメントのあり方に関する調査」2014年を参考に作成)
上記のデータから、企業もマネジャーも、部下との間で傾聴や対話といった言葉によるコミュニケーションが重要であるという認識がありながらも、その能力・資質が不足していると自覚していることが分かります。
この課題を解決し、コミュニケーションを円滑化するための方法として、声かけが重要です。
組織内でよりよい関係性を築く
積極的な声かけを行うと、組織内でよりよい関係性を築く効果が期待できます。
組織学習を研究する北海道大学大学院教授の松尾睦氏が監修した『OJT完全マニュアル部下を成長させる指導術』の中で、「挨拶や日常会話、雑談など会話量を増やして、対象者を気にかけていることを示す」「言葉で褒めたり、励ましたりすることで対象者への好意を示す」といった声かけの行動が、よりよい関係性の構築につながることが説明されています。
書籍で紹介されている具体的な内容は次の通りです。
OJTで指導者が対人魅力を高める行動のコツ
コツ | 行動の例 |
---|---|
普段から自分が対象者の近くにいて、常に気にかけていることを示す | 会話の総量を増やす(挨拶、日常会話、雑談)、目を合わせる、席を隣同士にするなど |
会話の中で対象者との共通項をし、親近感を高める | 価値観や考え方で共通点を見つける、行動や経験で共有できる部分を見つけるなど |
積極的に対象者への好意を示す |
|
- (松尾睦 監修/ダイヤモンド社人材開発編集部 編『OJT完全マニュアル 部下を成長させる指導術』ダイヤモンド社を参考に作成)
上記のようなOJTの場面だけでなく、上司と部下、同じプロジェクトに関わる関係者同士などの関係性をよりよくするために、積極的な声かけが重要です。
社員のモチベーションを上げることにつながる
ビジネスの現場での声かけは、社員のモチベーションを上げることにつながります。特に、ポジティブな内容の声かけを行うことは、前向きな姿勢で仕事に取り組むために効果的です。
例えば、よい成果を出した社員に対して高く評価するような声かけがあれば、今後も頑張ろうという気持ちを引き出せます。また、仕事量が多く忙しいときにも、お互いに励まし合うような声かけによってモチベーションを保つことが可能です。
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声かけが注目される背景|心理的安全性とリモートワーク
近年、心理的安全性や1on1ミーティングといったマネジメント手法が広く認知されるようになりました。これらは、質の高いフィードバックがチーム全体のパフォーマンス向上に大きく影響する重要な要素として捉えられています。
特にリモートワークやハイブリッドワークが普及したことで、偶発的な雑談が減少し、意図的な声かけが従業員のエンゲージメントを維持するための生命線となっています。
米ギャラップ社の「State of the Global Workplace 2024」調査では、従業員が職場で適切な認識(recognition)やフィードバックを受け取ると、エンゲージメントや定着率(retention)が高まることが最新のデータで示されています。
このことからも、職場における声かけの重要性が裏付けられていると言えるでしょう。
ビジネスにおける声かけの種類
ビジネスの現場で有効な声かけの種類には、次のようなものがあります。
声かけの主な種類
種類 | 内容 |
---|---|
挨拶 | 「おはよう」「こんにちは」「さようなら」など、人が会ったとき別れ際に交わす日々の挨拶は、声かけの基本となる |
心づかい | 「大丈夫ですか」「トラブルはないですか」など、相手を思いやる気持ちを言葉にする。それによってコミュニケーションが円滑になる |
感謝・ねぎらい | 「いつもありがとう」「お疲れ様」「ご苦労さま」「助かるよ」など、相手に対して謝意を表す |
報連相 | 仕事を進めるうえで必要な「報告・連絡・相談」に関する言葉 |
自分で気付いたこと | 「知りませんでした」「なるほど、そうだったんですね」など、自分が気付いたことや思ったことを伝える |
褒める | 「仕事が速いね」「長っているね」「~に感心したよ」など、具神的に良かった点を言葉にする。褒めは人の気持ちをプラスにする |
上記を参考に、自分は普段どのような声かけをしているかを振り返ってみましょう。例えば「挨拶」「報・連・相」「自分の気付き」は声かけしていても「心づかい」「感謝・ねぎらい」は言葉にしていないといった気付きを得られる可能性があります。
ポジティブな声かけに言い換える6つのコツ
声かけで相手との信頼関係を構築したり、モチベーションを高めたりするためには、適切な表現への言い換えが重要です。
以下では、日本実業出版社の『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』を参考に、ポジティブな声かけに言い換える主な方法をご紹介します。
1.事実を受け入れる
プロジェクトの進捗や成果についての声かけでは、事実を受け入れた上で言い換えを考えることが効果的です。
例えば、プロジェクトの成果が思わしくない場面では、「なぜ成果が出ていないのか」ではなく「今の状況でどうしたらベストを尽くせるか考えよう」などに言い換えると、ポジティブな印象になります。
2.解釈を変える
同じ状況や事実であっても、解釈を変えるとポジティブに言い換えられる場合があります。
例えば、営業担当者の受注数が目標に達していないときに「このままじゃ受注できないぞ」と声かけするよりも、「もう少し頑張れば受注できるぞ」と伝えた方が、モチベーションアップに効果的です。
3.肯定的に表現する
相手を否定するような言い方は避け、どのようにしてほしいかを考えた上で肯定的な表現に言い換えましょう。
例えば、「計算ミスをするな」は「落ち着いて計算して、最後は見直そう」などに言い換えられます。
4.背中を押す言葉を添える
相手への応援の気持ちが伝わるよう、背中を押す言葉を添えることも、ポジティブに言い換える方法の一つです。
例えば、新しいプロジェクトのスケジュールを部下から共有された場合、単に「スケジュールについて把握しました」と伝えるよりも、「何かあればフォローするよ」などの一言を添えた方が効果的です。
5.理由を明確にする
仕事を頼むときには、理由を明確に説明するようにすると、より丁寧な印象になります。
例えば、「資料の作成を今日中にお願いします」と依頼するよりも、「明日のクライアントとのミーティングに間に合わせたいので、資料の作成を今日中にお願いします」と理由を添えた方が丁寧です。
6.ダメ出しではなくアドバイスを行う
部下や同僚からコメントを求められたときは、ダメ出しではなくアドバイスを行うという意識で声かけをすると、ポジティブに言い換えられます。
例えば、「グラフの文字が小さくて読みにくいよ」という声かけよりも、「グラフの文字をもっと大きくすると読みやすくなるよ」と言い換えた方がポジティブな印象になります。
声かけの効果を高めるためのポイント
声かけの効果を高めるためには、言い換えテクニックだけでなく、量と質の両面を意識することが重要です。押さえておきたいポイントは次の通りです。
声かけの頻度を戦略的に増やす
コミュニケーションのきっかけを増やすために、声かけの頻度を増やすことを意識しましょう。
以下は、声かけの頻度によるメリット・デメリットの比較です。
声かけの頻度 | メリット | デメリット |
---|---|---|
多い | 心理的安全性・エンゲージメント向上 問題の早期発見・素早い軌道修正が可能 |
情報過多で形骸化・時間コスト増 表面的なやり取りになる危険性 |
少ない | 集中時間を確保しやすい 最低限の情報共有で誤解を防止 |
孤立感・疎外感が生まれやすい モチベーション低下・離職リスク増 |
例えば、始業時と終業時に欠かさず挨拶をしたり、業績や仕事の内容について毎日ひと言でも話をしたりすることが重要です。また、細かな点であっても褒める、小さな変化についてフィードバックすることを意識すると、声かけの頻度を増やすことができます。
ただし、質を伴わない単なる声かけの頻度の増加は逆効果になりかねません。相手の状況やニーズを踏まえ、具体的なフィードバックを心掛けましょう。
言い換えのバリエーションを増やす
単に同じ内容の声かけを繰り返すだけでは、頻度が増えても機械的な印象になってしまう場合があります。そのため、さまざまなバリエーションに言い換えることがおすすめです。
例えば、相手を褒めるための声かけは、「You」と「I」という2つのスタンスで言い換えができます。
「You」のスタンスとは相手を主体にした表現で、「よくやったね」や「やればできるじゃないか」などが該当します。
一方、「I」のスタンスは自分がどう思ったかを伝えるもので、「あなたが頑張っている姿を見ていると、自分もやる気が出る」や「先日の粘り強い交渉には、自分も驚かされたよ」などの表現です。
一般的には「You」のスタンスでの声かけが多いため、適度に「I」のスタンスで言い換えると声かけのバリエーションが増やせます。
また、相手を認める内容の声かけでは、次の3種類を使い分けることが効果的です。
相手のモチベーションを上げる3つの承認
種類 | 内容 |
---|---|
結果承認 | 「頑張ったね」など、過去に行ったことに対して、その価値を認める。 |
行動承認 | 「よくやっているね」など、現在行っていることに対して、その価値を認める。 |
存在承認 | 「いつもありがとう」など、存在そのものを認める。 |
※参考:占部正尚著/日本実業出版社|『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』
適切なタイミングで声かけをする
声かけをするタイミングも、コミュニケーションを円滑化するために重要なポイントです。
例えば、目標達成の直前でもうひと頑張りが必要なときや、部下や同僚が助けを必要としている場面などが、声かけをするべきタイミングです。
また、他の人から表立って評価されていないような陰の努力に気付いたときにも、声かけをすることによって相手のモチベーションを高められます。
声かけに関するよくある質問
ここでは、声かけに関するよくある質問をまとめました。
Q1.オンラインでも効果的に声かけできますか?
ポイントを押さえればオフラインに劣らない効果が得られます。チャットでは「即レス → 結論 → 理由 → 感謝」の順で100〜150文字以内を目安にメッセージを送ると、読みやすく好印象です。
ビデオ会議ではカメラをオンにしてアイコンタクトを取り、相手の発言には適度なうなずきやリアクションを添えましょう。
加えて、定例の前後に30秒ほど雑談タイムを設けると心理的距離が縮まり、声かけの効果が高まります。
Q2.毎日声かけすると逆効果になりませんか?
量だけ増やしても内容がワンパターンだと形骸化しますが、承認の種類を意図的にローテーションすれば逆効果になる心配はほぼありません。
具体的には「結果承認(成果を褒める)→ 行動承認(過程を褒める)→ 存在承認(人柄を認める)」の順で3日サイクルを意識するとマンネリを防げます。
さらに「観察 → 共感 → 声かけ」のリズムを意識し、相手が求めるタイミングで具体的フィードバックを届けることが大切です。
Q3.NGワードや避ける表現は?
「でも」「どうせ」「できない」といった否定語はやる気をそぐため避けましょう。代わりに「まずは〜してみよう」「今は〜に集中しよう」など肯定形で提案するのがポイントです。
また、「なぜできないの?」のような詰問調は防御反応を招きます。How(どうすれば)や What(何が必要か)を使い、建設的な次のステップを提示すると前向きな対話につながります。
最も簡単で効果的なのは、毎朝の挨拶に名前を添えることです。例えば、「おはようございます、山田さん!」というように、名前を呼びかけるよう意識してみてください。名前を呼ばれると人は承認欲求が満たされ、親近感が高まります。 声かけを日常業務に組み込む仕組み化がポイントです。例として、チャットツールで個別のチャンネルやスレッドを作り、メンバーが気づいた強みや貢献を1日1回投稿するルールを設定します。
声かけのメリットは、ごく短いやり取りの中で互いの気持ちが感じられることにあります。仕事が忙しくて時間がないから言葉を交わさないのではなく、時間がないからこそ声かけを積極的に行うことが重要です。 日々の状況の変化を職場のメンバーが感じ、仕事への意識を共有していくためにも、声かけが欠かせません。今回ご紹介した言い換えの方法や、声かけの質と頻度を高めるポイントを参考に、コミュニケーションの円滑化に取り組んでみてはいかがでしょうか。 HRナレッジライン編集部 HRナレッジライン編集部は、2022年に発足したパーソルテンプスタッフの編集チームです。人材派遣や労働関連の法律、企業の人事課題に関する記事の企画・執筆・監修を通じて、法人のお客さまに向け、現場目線で分かりやすく正確な情報を発信しています。 編集部には、法人のお客さまへ人材活用のご提案を行う営業や、派遣社員へお仕事をご紹介するコーディネーターなど経験した、人材ビジネスに精通したメンバーが在籍しています。また、キャリア支援の実務経験・専門資格を持つメンバーもおり、多様な視点から人と組織に関する課題に向き合っています。 法務監修や社内確認体制のもと、正確な情報を分かりやすくお伝えすることを大切にしながら、多くの読者に支持される存在を目指し発信を続けてまいります。Q4.声かけが苦手な人の第一歩は?
慣れてきたら「昨日の報告書、とても分かりやすかったです」など具体的に褒める一言を追加し、小さな成功体験を積み重ねると自然に声かけの幅が広がります。Q5.社内で声かけ文化を根付かせるには?
ゲーム感覚でバッジやスタンプを付与すると参加率が上がり、3ヶ月ほどで心理的安全性スコアの向上が期待できます。
また、マネジャーが定例会議や1on1ミーティングで「最近どのようなフィードバックを受けましたか?」と尋ねると、声かけ文化が定着しやすくなります。人事担当者必見!
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