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【採用戦略の決定版】人材獲得競争を勝ち抜くための体系的アプローチ
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少子高齢化と労働人口の減少が進む現代において、優秀な人材の確保は企業成長の生命線となっています。
実際、「応募者が集まらない」「採用コストが高すぎる」といった課題に頭を悩ませている企業も少なくありません。
そこで本記事では、最適な採用戦略を構築するための体系的なアプローチを、基本から実践方法に至るまで、具体的な活用事例を交えながら分かりやすく解説します。今こそ、戦略的な採用活動で優秀な人材を獲得し、企業の未来を切り開きましょう。
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目次
採用戦略とは?
採用戦略とは、企業が求める人材を効率的に獲得するための、計画や施策のことです。中長期的な経営計画や事業計画に基づいて策定され、求人広告の展開から新入社員のオンボーディングや定着支援まで、広範囲にわたる活動を含みます。
効果的な採用戦略を立てることで、企業は採用コストの削減、早期離職の防止、さらには組織文化と目標にマッチする人材の確保を実現し、結果として組織全体のパフォーマンス向上につなげられます。
採用戦略が注目されている背景
近年の採用市場は、少子高齢化やはたらき方の多様化、さらにはデジタル技術の進展により、人材の獲得競争が一段と厳しくなっています。その要因として、主に以下の点が挙げられます。
総人口の減少と就業者数の増加


※引用:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2035」
パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2035」によると、2023年に1億2,435万人だった人口は2035年には1億1,664万人へと減少し、65歳以上の人口比率は29%から32%へ上昇すると予測されています。
一方、2023年に6,747万人だった就業者数は、2035年には7,122万人へ増加すると見込まれています。これは、シニアや女性、外国人など、それまで十分に労働市場へ参画していなかった多様な人材があらたに加わることで、労働市場を支える役割を担うためです。
こうした状況下では、企業は従来以上に幅広い人材層に対応できる採用体制を整え、受け入れの仕組みや環境を戦略的に見直す必要に迫られます。
1人あたりの労働時間の減少

※引用:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2035」
同調査によると、一人あたりの年間労働時間は、2023年の1,850時間から、2035年には1,687時間まで減少する見込みです。
働き方改革が進む中で、ワーク・ライフ・バランスを重視する風潮も広がっていることから、長時間労働に依存するモデルでは生産性を維持しにくくなっています。
そのため、企業は社員の長時間労働に頼った運営から脱却し、限られた労働時間の中で、採用数の確保と生産性向上を両立することが求められています。
採用戦略で得られる効果
変化の激しい現代の労働市場において、適切な採用戦略は、企業の競争力を高め、優秀な人材を安定的に確保するために不可欠です。具体的には、以下の効果が期待できます。
- 採用コストの削減:効率的な採用手法の選定とプロセスの最適化により、無駄なコストを削減できます。
- 採用ミスマッチの低減:自社にマッチした人材を採用するとともに、早期離職を防ぎます。
- 優秀な人材の確保:魅力的な採用ブランディングにより、優秀な人材からの応募を増やし、他社と差別化できます。
- 社員エンゲージメントの向上:入社後のオンボーディングやキャリア支援の充実により、定着率とモチベーションを高めます。
- 企業の競争力強化:優秀な人材の獲得は、イノベーションを促進し、企業の競争力強化に直結します。
このように、採用戦略は企業が持続的に成長し、競争優位性を確立するために不可欠です。
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採用戦略の基本要素
効果的な採用活動を実現するためには、以下の基本要素を押さえた戦略立案が重要です。
ターゲット人材の定義
自社が求める人物像を明確にするため、必要なスキル・経験・志向性を詳細に定義します。理想の人材像を具体化するためにペルソナを設定すると効果的です。ペルソナとは、氏名や年齢、ライフスタイル、価値観などを詳細まで設定した具体的な人物像を指します。
選考プロセスの設計
応募から内定までの流れを明確に設計し、各ステップで応募者を適切に評価しながら、同時に企業の魅力を伝えるプロセスを構築します。
例えば、以下の流れが考えられます。
- 書類選考
- 一時面接(人事)
- 二次面接(現場マネージャー)
- 最終面接(役員)
各選考段階での評価基準を明確化し、面接官へのトレーニングを実施することで、公平で一貫性のある選考が可能となります。
カジュアル面談や企業説明会を積極的に実施し、応募者の企業理解と志望度を高める取り組みも効果的です。
採用ブランディング
企業の魅力や特徴を明確化し、求職者に効果的に伝えることで、優秀な人材からの応募を促進します。
採用チャネルの選定
ターゲット人材に効率的にアプローチするため、求人媒体・人材紹介会社・ダイレクトリクルーティング・リファラル採用など、職種・採用人数・予算・緊急度を考慮して適切なチャネルを選択します。
成果測定と改善
応募数、選考通過率、内定承諾率、入社後定着率などの指標(KPI:Key Performance Indicator)を設定し、定期的に分析することで、採用プロセスの課題を特定し、効果的な改善策を実施します。
具体的な採用KPIの設定方法や活用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>採用KPI設定の5ステップ|人事担当者が知っておくべき指標と活用法
オンボーディング
採用した人材が早期に活躍し、組織に定着するよう、入社前から入社後にかけて体系的な支援プログラムを提供します。これにより、新入社員の不安を軽減し、組織への帰属意識とエンゲージメントを高めます。
採用戦略を成功させる5つのポイント
効果的かつ持続可能な採用戦略を構築し、運用するためには、自社の採用課題の分析や最新の採用トレンドの導入など工夫が必要です。ここでは、採用戦略を成功させるポイントを紹介します。
1.内部分析の徹底
自社の企業理念や事業戦略、組織文化に基づいて現状の採用課題を分析します。求める人材のスキルセットや人物像、さらに自社で活躍している社員の特性を明確にすることで、より的確な採用戦略を設計できます。
【施策例】
- 社員満足度調査:自社の魅力や課題を可視化し、採用活動や組織改善に活かします。
- 離職理由分析:社員が退職に至った原因を分析し、採用戦略の見直しだけでなく組織改善にも反映させます。
- ハイパフォーマー分析:自社で成果を上げている社員の共通点を洗い出し、求める人材像を明確にします。
2.採用トレンドの選定・導入
自社の採用課題やターゲット人材に合わせて、最新の採用手法やツール(例:SNS採用、AI、データ分析)を適切に選定し、導入します。単にトレンドを追うのではなく、費用対効果を見極め、自社に最適なものを活用することが重要です。
【施策例】
- 採用活動の効率化:AIを活用した選考ツールを導入し、書類選考や面接日程の調整などを自動化します。
- オンライン採用の強化:オンライン面接やWEB会社説明会など、デジタルツールを積極的に活用し、時間や場所にとらわれない採用活動を展開します。
3.ターゲット人材の接点強化
企業の事業内容、ビジョン、社風などを求職者に直接伝えるため、求職者との接点を多様化し、関係性を強化します。
【施策例】
- インターンシップ:学生に就業体験の機会を提供し、企業理解を深めてもらうと同時に、優秀な人材の早期発掘につなげます。
- カジュアル面談:選考よりも気軽な雰囲気で、求職者と相互理解を深めます。
- イベント開催:エンジニア志望の学生向けに座談会を開催するなど、ターゲット人材に合わせたイベントを通じて、企業の魅力を発信します。
4.経営層のコミットメントと現場の巻き込み
採用活動は全社的な取り組みであり、経営層の積極的な関与と現場の協力が不可欠です。採用目標の共有やリソースの確保、現場との連携強化など、全社一丸となって取り組む体制を構築します。
【施策例】
- 経営層による発信:経営層が採用の重要性を社内外に発信し、必要な予算や人員を確保します。
- 現場マネージャーの協力:現場マネージャーを採用戦略のプロセスに巻き込み、求める人材像の明確化や選考プロセスへの協力を促します。
- 定期的なミーティング:人事担当者と現場との定期的なミーティングを実施し、進捗状況の共有や課題解決を図ります。
5.長期的な視点での関係構築
すぐに転職を考えていない潜在層にもアプローチし、継続的にコミュニケーションを取り続けることで、将来の採用候補者として関係性を構築します。
【施策例】
- タレントプールの構築・活用:過去に選考で出会った優秀な人材や、イベント参加者などをタレントプール(人材データベース)に登録し、定期的に情報発信を行います。
- リファラル採用の促進:社員に知人や友人を紹介してもらうリファラル採用を推進します。社員の紹介で優秀な人材を採用できた場合は、インセンティブを支給する制度を設けることも効果的です。
採用戦略の導入ステップ
効果的な採用戦略を策定し、実行するためには、以下のステップで進めることが重要です。
STEP0:経営戦略・事業戦略との整合性確認
採用戦略を策定する前に、経営戦略や事業戦略と整合しているかを確認します。必要な人材が事業計画達成のためにどう貢献するかを明確化し、採用戦略が経営目標を支えるものであることを確認することが重要です。
例えば、新規事業を立ち上げる計画がある場合、その事業に必要なスキルや経験を持つ人材を採用します。また、海外展開を計画している場合、語学力や海外勤務経験を持つ人材を確保します。
STEP1:現状分析と目標設定
自社の採用状況(応募数・採用数・選考プロセス・採用コストなど)を分析し、課題を特定します。その上で、事業計画に基づく短期・中期・長期の採用目標(採用人数・求める人物像・入社時期など)を設定します。
例えば、応募数が少ない場合、求人広告の改善やあらたな採用チャネルの検討が必要です。選考通過率が低い場合、選考プロセスや基準の見直しを行います。
また、採用目標では「どの時期までに、どのような人材を何人採用するか」を具体的に設定します。
STEP2:採用計画の策定
STEP1で設定した目標に基づき、ターゲット人材、採用チャネル、採用スケジュール、予算などを具体化した詳細な採用計画を作成します。
例えば、「経験3年以上のJavaエンジニア」をターゲットに設定した場合、エンジニア向け求人媒体やダイレクトリクルーティングサービスを活用すると効果的です。また、採用スケジュールを事業計画に合わせて設定し、必要な人材を必要なタイミングで確保できるように計画します。
STEP3:採用体制の構築
採用計画を実行するための体制を整備します。採用チームの編成、役割分担の明確化、関係部門との連携強化などを行い、効率的で効果的な採用活動を支える環境を構築しましょう。
例えば、採用戦略の立案・求人広告の作成・応募者対応・面接・定者フォローなどの役割を採用チーム内で分担します。また、現場部門と連携し、求める人材像の共有や選考プロセスの協力体制を強化するのも効果的です。
STEP4:採用計画の実行
策定した採用計画に基づき、具体的な採用活動を実行します。求人情報の掲載・応募者対応・会社説明会の実施・書類選考・面接・内定者フォローまで、採用プロセス全体を管理します。
例えば、会社説明会を実施して自社の魅力を伝えたり、書類選考や面接、適性検査を通じて応募者を評価したりすると効果的です。内定者にはフォローアップを通じて入社意欲を高めるようはたらきかけます。
STEP5:採用課題の発見・改善
採用活動の成果を定量的・定性的に測定し、課題を分析して改善につなげます。KPIに基づいた効果測定を行い、採用プロセスや選考基準の見直しを実施します。また、応募者や内定者、社員からのフィードバックを収集し、継続的な改善を図りましょう。
例えば、応募数が少ない場合は求人広告の内容や媒体を見直し、内定辞退が多い場合は内定者へのフォローアップを強化します。また、入社後アンケートやパフォーマンスレビューを実施し、採用活動の改善につなげます。
STEP6:採用ブランディングの強化
中長期的な視点で企業の魅力やはたらく環境を発信し、採用ブランドを強化します。企業理念や事業戦略に基づく採用ブランドコンセプトを明確化し、採用サイト・SNS・イベントなどを活用して一貫性のある情報発信を行います。
例えば、採用サイトに社員インタビューやプロジェクト紹介、福利厚生の情報を掲載して企業の雰囲気やはたらくメリットを伝えます。また、SNSで社内の様子やイベント情報を発信し、求職者に親近感を持ってもらいます。
採用戦略の成功事例|リファラル採用で応募数9倍を実現
パーソルテンプスタッフ株式会社は、2018年よりリファラル採用を本格的に導入しています。その結果、6年間で応募者数が9倍に増加、さらに内定承諾率は平均80%以上(2023年度は100%)を達成しました。
この成功を支えたのは、以下の3つの施策です。
施策1.社内向け特設ページの開設
社内イントラネットに、リファラル採用専用ページを開設しました。制度の詳細・利用ガイド・操作マニュアルを網羅的に説明した内容となっています。また実際にリファラル採用を活用した社員のインタビューを掲載し制度理解を促進しました。結果として、採用に関する問い合わせ件数が大幅に増加しています。
施策2.インセンティブキャンペーンの実施
紹介者にインセンティブを支給するキャンペーンを経て、正式に人事制度化しています。この施策は、応募数と内定者数の大幅な増加に大きく貢献しました。
施策3.積極的な社内周知活動
社内説明会や朝会で、制度について丁寧に説明を行いました。さらに、その場でシステムへのログインを促すなど、具体的な行動喚起も行っています。これにより、個別の問い合わせや実際の紹介数増加につながりました。
施策の結果、リファラル採用で入社した社員が半年以内に知人を紹介するケースも発生しています。
採用戦略の活用例
ここからは、具体的な採用戦略の活用例を紹介します。
1.リファラル採用の積極活用で採用コスト削減と早期離職防止を実現
リファラル採用は、採用コストの削減と早期離職の防止に有効な手法です。社員が自社の文化、価値観、業務内容、求める人物像を深く理解している上で、友人や知人の中から自社に合う人材を見極めて紹介することで、高いマッチ度が期待できます。
しかし、制度を導入するだけでは十分な効果を発揮しません。リファラル採用の効果を最大化するには、まず社員に制度を周知徹底し、理解と協力を得る「認知」段階が重要です。社内報やイントラネットなどで定期的に情報を発信し、社員に関心を持ってもらいましょう。
次に、リファラル採用への協力を呼びかけ、自社への貢献機会であることをアピールする「動機付け」を行います。インセンティブの提供も有効ですが、それ以上に、社員が自発的に紹介したくなる企業文化の醸成が重要です。
そして、社員が友人・知人を簡単に紹介できる、シンプルで分かりやすいプロセスを構築する「行動」段階へと進みます。「友人に迷惑がかかるかもしれない」といった心理的障壁を取り除くため、制度の利用を推奨し、相談しやすい雰囲気を作ることも大切です。
最後に、リファラル採用で入社した社員の活躍事例や紹介した社員の声を社内で共有し、成功体験を広める「伝播」の段階です。これらの取り組みを継続的に行うことで、リファラル採用が社内に浸透し、定着する文化を醸成します。
2.SNS活用で若年層へのリーチと採用ブランディングを強化
若年層にアプローチする効果的な方法の一つとして、SNSを活用した情報発信が挙げられます。
LINEやInstagram、X(旧Twitter)などで企業の最新情報、社内イベントの様子、社員の声などを発信することで、企業文化や仕事のやりがいをより具体的に伝えられ、入社意欲を高められるでしょう。
また、継続的な情報発信は採用ブランディングの強化にも効果的です。求職者に企業のリアルな姿を伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎ、長期的な活躍を期待できる人材の獲得にもつながります。
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採用戦略を成功させるために
採用戦略は、単に採用手法を選ぶことではなく、経営戦略や事業戦略との整合性を取り、長期的な視点で人材の育成・定着まで見据えた包括的な取り組みです。
自社の強み・弱みの分析、採用計画の策定、適切な採用チャネルの選定とブランディング、そして継続的な改善と見直し。これらを意識して実行することで、競合他社との差別化を図り、必要な人材を安定的に確保できるでしょう。
また、効果的な採用戦略を推進するためには、信頼できる外部パートナーの活用も有効な手段です。
パーソルテンプスタッフの人材紹介サービスでは、企業のニーズや課題を的確に把握し、最適な人材をご提案いたします。自社の採用力強化をお考えの企業のご担当の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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