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短期・短時間の人材派遣で繁忙期を乗り切る!派遣先企業のための活用ガイド
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変化の激しいビジネス環境において、多くの企業が人材不足や業務量の変動に頭を悩ませています。
「繁忙期や急な欠員に対応できない」
「あたらしいプロジェクトを立ち上げたいが、人材の採用が難しい」
このような課題を抱える派遣先企業は少なくないでしょう。
そこで今回は、短期・短時間の人材派遣のメリットや活用事例、導入手順をご紹介します。繁忙期を乗り切り、ビジネスチャンスを最大限に活かすためのヒントとして、ぜひご参考にしてください。
短期・短時間の人材派遣とは
短期・短時間の人材派遣とは、文字通り、限られた期間や時間での就業を前提とした人材派遣サービスです。
例えば、1ヶ月限定のプロジェクトや繁忙期の一時的な人員の増強、特定の曜日のみの勤務、あるいは1日3~4時間程度の短時間勤務などが該当します。
必要なときに必要なスキルを持つ人材に業務を依頼できるため、派遣先企業のニーズに応じて柔軟な人員配置を実現できます。
短期・短時間の人材派遣が注目されている理由
短期・短時間の人材派遣が注目を集める背景には、日本の労働市場が直面する課題とはたらき方の変化があります。
少子高齢化により人材不足が深刻化する中、人材派遣は必要なときに、必要なスキルを持つ人材を必要な期間活用できるというメリットがあります。
また、経済の不確実性が高まる中で、業務量の変動に柔軟に対応できる体制を構築する必要があります。短期・短時間の人材派遣は、特に季節的な需要や突発的なプロジェクトを抱える派遣先企業にとって重要な選択肢となっています。
こうした背景から、短期・短時間の人材派遣は、今後ますますその需要が高まることが予測されます。
直接雇用(アルバイト・パートタイム)との比較
以下は、短期・短時間の人材派遣と直接雇用を比較した表です。
項目 | 短期・短時間の人材派遣 | 直接雇用 (アルバイト・パートタイム) |
---|---|---|
採用コスト | 人材派遣会社が負担 | 雇用元企業が負担 |
スキルレベル | 比較的高い | さまざま(教育が必要な場合も) |
労務管理 | 人材派遣会社が対応 | 雇用元企業がすべて対応 |
契約の柔軟性 | 高い(派遣期間の調整が可能) | 比較的低い(解雇規制あり) |
短期・短時間の人材派遣は、契約の柔軟性が高く、突発的なニーズにも対応しやすいという点で、多くの派遣先企業にとって有用な選択肢です。
派遣先企業が短期・短時間の人材派遣を活用するメリット
短期・短時間の人材派遣の活用には、以下のようなメリットがあります。
- 採用コストの削減
- 労務管理の軽減
- 柔軟な人員調整の実現
- 代替要員の確保
それぞれについて説明します。
1.採用コストの削減
派遣社員の採用活動はすべて人材派遣会社が担当するため、派遣先企業は求人広告の出稿、応募者への対応、面接の実施など、採用活動にかかる時間や労力を大幅に削減できます。
さらに、派遣先企業は労働時間に応じた派遣料金を支払う仕組みのため、人件費を明確に把握できる他、予算計画を立てやすくなります。
人材派遣料金の仕組みや内訳、料金相場を知る方法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>【分かりやすく解説】人材派遣の料金や内訳、マージン率について
2.労務管理の軽減
派遣社員は人材派遣会社に雇用されているため、給与計算や社会保険手続き、年末調整などの労務管理を軽減できます。
また、人材派遣会社は労働法規に関する専門知識に精通しているため、労務リスクを低減できるというメリットもあります。
3.柔軟な人員調整の実現
季節変動の影響を受けやすい業種では、繁忙期に短期・短時間の人材派遣を活用することにより、業務を平準化し、社員の負担を軽減できます。
また、特定のプロジェクトでは、進捗状況に応じて即戦力となる派遣社員に業務を依頼できるため、効率的な人員管理が可能です。
4.代替要員の確保
社員が産休・育休、介護などの理由で休職する際、短期・短時間の人材派遣を活用すれば、迅速に代替要員を確保できます。
これにより、既存社員の業務負担が軽減される他、休職した社員がスムーズに復帰できるように支援する体制も整うでしょう。結果として、業務の継続性が確保されるだけでなく、組織全体のワーク・ライフ・バランスの向上も期待されます。
短期・短時間の人材派遣の活用事例
短期・短時間の人材派遣は、さまざまな業界や状況で効果的に活用されています。以下に、具体的な活用事例をご紹介します。
事例1:営業事務:季節需要による繁忙期対応
ある家電メーカーでは、気候変動の影響でエアコンなどの製品の受注が例年以上に増加していました。工場への発注や納期調整、納期に関する問い合わせ対応に追われ、営業担当者は本来の営業活動に集中できない状況に陥っていたのです。
そこで、繁忙期限定で派遣社員に営業事務を依頼し、分業体制を構築しました。受注から発注・納品までの期間を短縮することに成功し、既存顧客からの追加注文や新規顧客からの受注にもスムーズに対応できました。
事例2:総務の採用が難航するポジションで短時間勤務の派遣社員を採用
ある会計事務所では、総務担当社員の退職に伴い後任を探していましたが、採用が難航し既存社員の負担が増加。早急に後任を採用する必要に迫られていました。
そこで、勤務日数や時間を柔軟に設定し、人材要件のハードルを下げることで、会計事務所での勤務経験がある派遣社員(週5日・10時~16時)を受け入れました。
派遣社員は実務経験者であったため、業務をスムーズに遂行しました。このように、派遣社員の受け入れは、採用難の課題を解消するとともに、既存社員の負担軽減にもつながります。
事例3:事務職の産休・育休期間限定で経験がある派遣社員を採用
ある機械メーカーの経理部門で、経理担当社員が産休・育休を取得することになりました。しかし、社内に経理に精通した人材がおらず、新たな人材を育成する時間的余裕もありませんでした。
そこで、経理経験のある派遣社員に月次・年次決算などの専門的な業務を依頼し、伝票起票・整理といった比較的簡単な業務は既存社員が担当する体制を構築しました。
派遣社員は即戦力の代替要員として活躍し、経理担当社員が復帰後も時短勤務をサポートするなど、スムーズな業務遂行を実現しました。
短期・短時間の人材派遣の導入手順
ここでは、短期・短時間の人材派遣を導入するための基本的なプロセスを解説します。
ステップ1.ニーズの明確化
短期・短時間の人材派遣の導入を検討する際は、まず以下の点を明確にしましょう。
- なぜ人材が必要なのか(依頼背景)
- 必要な人材のスキルや経験
- 業務内容と期間
- 勤務時間や曜日
これらを明確にしておくと、人材派遣会社に具体的な要求ができます。また、その後の業務遂行もスムーズになり、派遣社員にとってもはたらきやすい環境を提供できます。
人材派遣を依頼する流れについてはこちらで詳しく解説しています。ご参照ください。
>>人材派遣を依頼する方法とは?流れやポイントをご紹介
ステップ2.人材派遣会社の選定
次に、人材派遣会社を選定します。短期・短時間の人材派遣に精通した人材派遣会社を選ぶポイントは以下の3つです。
総合型の人材派遣会社
人材派遣会社には、総合型と特化型があります。総合型は幅広い業種に対応しており、大手企業に多く見られます。事務・販売・製造など多様な領域をカバーし、登録スタッフも多いのが特徴です。
一方、特化型は特定分野に特化しており、中小企業や大手企業の子会社に多く見られます。特化型の場合、短期・短時間の人材派遣に対応していない場合もあるため留意が必要です。
迅速に派遣社員に業務を依頼したい場合は、まずは総合型の人材派遣会社に人材の紹介を依頼してみましょう。
コンプライアンス体制
人材派遣会社のコンプライアンス体制を確認することが重要です。
労働者派遣事業者としての事業資格がある証として、「派」で始まる許可番号をホームページや契約書で確認できます。さらに、優良派遣事業者認定制度における認定企業は、法令遵守と労働者待遇改善への取り組みを示す指標となります。
サポート体制の充実度
人材派遣会社による派遣社員への充実したサポートは、就業後のトラブルやモチベーション低下のリスクを大幅に軽減する上で非常に重要です。
専任担当者の有無や相談窓口の設置など、派遣社員へのサポート体制を確認することにより、派遣社員が安心して業務に取り組める環境を整えられます。
ステップ3.派遣契約締結、派遣社員の決定
人材派遣会社から自社のニーズに合う派遣社員の紹介を受けます。派遣社員の希望があれば、職場見学を実施する場合もあります。
初回の派遣受入れ時には、人材派遣会社と「労働者派遣基本契約」を締結します。この契約では、派遣料金、守秘義務、損害賠償など、共通の契約条件を定めます。
その後、個別の「労働者派遣契約」を結び、業務内容・就業場所・指揮命令者・派遣期間などの具体的な条件を取り決めます。
派遣契約の流れについてはこちらで詳しく解説しています。ご参照ください。
>>派遣契約の流れを3つのステップに分けて徹底解説
ステップ4.派遣社員の就業開始
派遣社員の就業開始にあたり、以下の準備を行うことにより、スムーズな受け入れが可能となります。
- 派遣社員受け入れの旨を事前に関係する部署に伝える
- 必要な機器や文具などの備品は用意しておく
- 社内設備や社内ルールのオリエンテーションの流れを確認しておく
これらの準備を整えておくと、派遣社員が安心して業務を開始できる環境を提供できます。
派遣社員の受け入れについてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>派遣スタッフの受け入れとは?初日に必要な準備や留意点について
短期・短時間の人材派遣の留意点
短期・短時間の人材派遣を活用する際には、以下の3点に留意が必要です。
派遣社員に業務内容を明確に伝える
業務内容が複雑であったり、勤務時間が限られていたりする場合、派遣社員に対して業務内容や職務範囲を明確に伝えることが非常に重要です。
業務内容を十分に理解していないと、期待通りの成果が得られないだけでなく、業務効率の低下やミスの発生、さらには職場環境の悪化につながる可能性も懸念されます。
派遣社員を受け入れる際には、業務内容・職務範囲・担当者などを丁寧に説明し、派遣社員からも質問しやすい環境を整えることが求められます。
派遣先企業の責任・法的義務とリスクを把握する
派遣先企業が派遣社員を受け入れる際には、労働者派遣法に定められたさまざまな責任や義務、リスクが生じます。
リスクを低減するために、以下の責任や法的義務を確認しておくことが重要です。
- 労働者派遣法の遵守
- 就業条件の明示
- 安全衛生管理
- 差別的取扱いの禁止
- ハラスメント防止
- 個人情報の保護
これらの責任や義務を怠ると、業務の円滑な遂行が阻害されるだけでなく、法令違反により派遣先企業が罰せられる可能性もあります。
派遣先企業側も労働者派遣法を十分に理解し、適切な対応を心がけることが大切です。
派遣先に求められることについてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>派遣先に求められることとは?派遣先が知っておくべきことを解説
「日雇い派遣」について理解する
日雇い派遣の定義を理解し、日雇い派遣が認められた職種以外の日雇い派遣をしないように留意しましょう。
日雇い派遣とは、「31日未満の派遣期間」の仕事のことを指します。契約期間が31日以上であれば、1ヶ月間に1日の勤務でも、人材派遣会社との契約が31日以上なら日雇い派遣には該当しません。
2012年の労働法改正により、日雇い派遣は原則禁止となりましたが、例外として認められる条件があります。例外となるのは以下の職種です。
【専門性が高く、短期的な業務に適した一部の職種】
- 情報処理システム開発関係
- 機械設計関係
- 機器操作関係
- 通訳、翻訳、速記関係
- 秘書関係
- 調査関係
- 財務関係
- 貿易関係
- デモンストレーション関係
- 添乗関係
- 受付・案内関係
- 研究開発関係
- 事業の実施体制の企画、立案関係
- 書籍などの制作・編集関係
- 広告デザイン関係
- OAインストラクション関係
- セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係
また、労働者保護の観点から以下のケースも日雇いが認められます。この場合、職種に制限はありません。
- 60歳以上の方
- 雇用保険の適用を受けない学生
- 年収500万円以上の方(副業としてはたらく場合)
- 世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない方
日雇派遣についてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>日雇派遣は原則禁止?例外となる条件、メリットや留意点を徹底解説
短期・短時間の人材派遣で人材不足を解消し、業務効率をアップしよう
短期・短時間の人材派遣サービスは、派遣先企業の繁忙期や一時的な人材不足に迅速かつ柔軟に対応できる選択肢です。
必要な期間だけ即戦力となる派遣社員に業務を依頼できるため、採用のコストや労務管理の負担軽減を実現できます。
人材派遣会社であるパーソルテンプスタッフは、「時短・短期」を専門で対応する部署を設けています。
派遣先企業が直面する採用難や業務の波動に合わせて、午前中のみ、月初のみなど柔軟なはたらき方で対応可能な派遣社員を紹介し、業務の円滑化とコスト管理をサポートします。
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