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無期雇用派遣とは?活用するメリットや留意点についてご紹介

公開日:2025.06.30

人事ナレッジ

無期雇用派遣とは、派遣社員と人材派遣会社が期間の定めがない雇用契約を結ぶはたらき方のことです。人材派遣は、有期雇用派遣(登録型派遣)と無期雇用派遣(常用型派遣)の2種類に分けられ、契約の期間や給与が支払われる仕組みなどが異なります。

この記事では、無期雇用派遣と有期雇用派遣、正社員との違いや、無期転換が可能な条件、無期雇用派遣を活用するメリットや留意点などについて解説します。

無期雇用派遣とは

無期雇用派遣とは、人材派遣会社と派遣社員の間で期間の定めがない雇用契約を締結する仕組みです。雇用主は人材派遣会社となり、人材派遣会社から賃金が支払われます。そして、人材派遣会社は派遣先企業と労働者派遣契約を結び、派遣社員を派遣します。派遣社員への指揮命令を行うのは、就業先である派遣先企業です。

人材派遣とは

人材派遣会社と無期雇用派遣契約を締結している派遣社員は、派遣先企業での就業期間が終了した場合でも、人材派遣会社との雇用関係が継続します。

自社で雇用している社員との違い

無期雇用派遣社員と自社で雇用している正社員は、雇用主が異なります。無期雇用派遣社員は、正社員と異なり派遣先企業には雇用されていません。派遣社員が無期雇用契約を締結しているのは人材派遣会社との間で、派遣先企業である自社とは契約していません。つまり無期雇用派遣における雇用主は人材派遣会社です。

また、はたらく期間にも違いがあります。無期雇用派遣では有期雇用派遣のような個人単位の期間制限がないため、派遣先企業で長く受け入れることもできます。

そのため、派遣先企業において正社員と同じように業務上の経験を積むことが可能です。派遣先企業は、無期雇用派遣社員の昇給や昇格、賞与を自社で考える必要はありません。人材派遣会社が業務のレベルや技量などによって昇給制度を導入している場合は、無期雇用派遣社員の給与が上がるケースもあります。有期雇用派遣とは異なり、ようやく仕事を覚えて職場環境にも慣れたときに職場を去らなくてもよいことは、企業と派遣社員双方にとって大きなメリットだといえます。

有期雇用派遣(登録型派遣)との違い

有期雇用派遣とは、人材派遣会社に登録した派遣社員が、期間をあらかじめ決めて派遣先企業ではたらく形態です。有期雇用派遣は登録型派遣とも呼ばれます。

有期雇用派遣と無期雇用派遣との違いは、人材派遣会社と派遣社員が結ぶ契約の種類です。有期雇用派遣の場合、人材派遣会社と派遣社員は有期雇用契約を締結します。一方、無期雇用契約では、人材派遣会社と派遣社員が結ぶのは無期雇用契約です。

無期雇用派遣の派遣社員は、派遣先企業で就業していない期間は次の就業先が決まるまで待機するか、次の就業に向けての研修などを受講します。また、派遣されていない期間にも給与、あるいは休業手当が人材派遣会社から支払われます。

【有期雇用派遣と無期雇用派遣、正社員との違い】

有期雇用派遣 無期雇用派遣 正社員
契約の期間 有期契約 無期契約 無期契約
雇用主 人材派遣会社 人材派遣会社 自社
雇用期間 派遣先での就業期間 無期限 無期限
給与の支払い 派遣先での就業期間のみ人材派遣会社から支払われる 派遣先での就業期間にかかわらず人材派遣会社から支払われる 自社が支払う
給与や福利厚生など 人材派遣会社の規則が適用される 人材派遣会社の規則が適用される 自社の規則が適用される
はたらき方 登録後、派遣期間だけ人材派遣会社の派遣社員として就業する 人材派遣会社の採用選考を経て、人材派遣会社の派遣社員として入社する 採用選考を経て、正社員として入社する

無期転換が可能な条件について

無期転換とは、有期労働契約から無期雇用契約に変更できるルールのことです。2012年の労働契約法改正で、無期転換のルールが規定されました。

派遣社員をはじめ、パートタイマーや契約社員など有期労働契約ではたらく方は、条件を満たしていれば無期雇用契約への転換が可能です。

直接雇用しているパートタイマーや契約社員などから申し込みがあった場合には、自社が無期雇用転換することになります。一方、派遣社員の場合は雇用主が人材派遣会社であるため、派遣社員が無期雇用転換を希望する際は人材派遣会社に申し込みをします。

以下の条件・ケースであれば、無期転換が可能となります。

  • 有期労働契約期間が通算5年を超えて更新された場合
  • 有期労働契約の更新が1回以上ある
  • 有期労働契約を結んでいる

それぞれについて詳しく解説していきます。

有期労働契約期間が通算5年を超えて更新された場合

派遣社員として同一の使用者との間で、通算5年を超えて繰り返し更新されている場合には、無期転換ルールが適用されます。派遣社員側から人材派遣会社に無期転換の申し込みがあった場合には、断ることはできません。労働契約法によって、必ず受け入れなければならないことになっています。

例えば、契約期間が1年間と定められていた場合には、5回目すなわち5年たったときに無期転換に申し込む権利が発生します。

有期労働契約の更新が1回以上ある

同一の使用者との間で契約の更新回数が1回以上あることも、無期転換ルールが適用される条件となります。

有期労働契約を結んでいる

上記の無期転換ルールが適用される派遣社員は、人材派遣会社との有期労働契約の期間中であることが条件となります。

※参照:無期転換ルールについて(厚生労働省)

さらに、派遣先企業は最初から有期雇用派遣ではなく無期雇用派遣として受け入れることもできます。こちらは、有期雇用契約ではたらく方の雇い止めの不安を軽減するために設けられました。

無期雇用派遣が注目されている理由

将来に向けて深刻な労働力不足が問題となっている今、企業は人材採用に苦心しています。そんな中、無期雇用派遣は、はたらく方と企業側の双方にメリットがある方法として注目を集めています。

無期雇用派遣を活用する2つのメリット

派遣先企業では、無期雇用派遣社員を受け入れることで、以下のようなメリットが得られます。

  • 受け入れ期間の制限がない
  • 引継ぎや教育の機会が少なくなる

それぞれを詳しく解説していきます。

受け入れ期間の制限がない

派遣先企業で有期雇用派遣の派遣社員を受け入れる場合、派遣先企業の同一の事業所において継続して派遣社員を受け入れることができる期間は原則3年までです。派遣先企業が3年を超えて派遣社員を受け入れようとする場合は、抵触日の1ヶ月前までに派遣先事業所の過半数労働組合などから意見聴取を行う必要があります。

一方、派遣先企業で無期雇用派遣社員のみを受け入れた場合には、派遣の期間制限の対象外となり、3年を超えての受け入れが可能です。

引継ぎや教育にかかる工数が少なくなる

有期雇用派遣の場合、派遣先企業が派遣社員を受け入れられる期間が原則3年と定められているため、3年を超えると後任の派遣社員を再度教育する必要があります。

一方、無期雇用派遣では派遣社員が長期的に就業できる可能性があり、有期雇用派遣を活用する場合と比べて引継ぎや教育の工数が少なく抑えられることがメリットです。

無期雇用派遣を活用する際の留意点

無期雇用派遣を活用する際は、派遣先企業での就労が長く続くとは限らない点に留意する必要があります。
無期雇用派遣では派遣社員の受け入れ期間に制限がないものの、必ずしも派遣先企業での就労が長く続くとは限りません。何らかの事情により、別の派遣先企業への異動などを希望される可能性もあります。

無期雇用派遣の活用で派遣先企業が対応すべきこと

無期雇用派遣を活用する派遣先企業では、長期的な視点で計画を立てることが重要です。無期雇用派遣の派遣社員に任せる業務内容やポジションなどを適切に検討する必要があります。

また、有期雇用派遣の派遣社員を受け入れる場合と同様に、はたらきやすい環境づくりや社内への周知などの準備も必要です。スムーズに就業を開始できるように、業務マニュアルの整備や指揮命令系統の明確化などを行いましょう。

無期雇用派遣についてよくある質問

ここでは、無期雇用派遣についてよくある質問と回答をご紹介します。

Q1.無期雇用派遣から正社員への登用は可能?

人材派遣会社および派遣社員の同意があれば、無期雇用派遣から派遣先企業の正社員としての登用はできます。正社員への登用を検討している場合は、人材派遣会社に相談してみましょう。

Q2.部署異動があった場合も無期転換ルールは適用される?

無期転換申込権は同一の人材派遣会社で通算して5年を超えて勤務した場合に発生するため、途中で部署異動があった場合にも無期転換ルールは適用されます。

Q3.無期雇用派遣で適用される就業規則は?

無期雇用派遣では、派遣社員に対して雇用元である人材派遣会社の就業規則が適用されます。

無期雇用派遣のメリットや留意点を理解した上で活用しよう

無期雇用派遣では、人材派遣会社と派遣社員が期間に定めのない雇用契約を結びます。派遣可能期間が制限される有期雇用派遣と比べて長く派遣社員を受け入れられることが、無期雇用派遣のメリットです。

パーソルテンプスタッフでは、無期雇用派遣をはじめとした各種サービスをご提供しています。人材派遣の活用をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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