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経理アウトソーシングで代替可能な業務は?人材派遣との違いもご紹介
公開日:2025.06.30
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人員が少ない、業務が忙しいといった背景から社内のリソースを経理業務に割けない場合は、人材派遣やアウトソーシングを活用するのも選択肢の一つです。記帳業務や給与計算といった日常的な業務を外部に委託することでさまざまなメリットが得られます。今回は、「そもそも経理アウトソーシングとは」といった基礎知識から委託可能な業務、費用相場やメリット、活用時の注意点などについて分かりやすく説明します
経理の人材派遣については、こちらで詳しくご紹介しています。
>>経理の人材派遣で業務効率化!人材派遣会社の選び方や活用事例をご紹介
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目次
経理アウトソーシングとは
経理アウトソーシングとは、経理業務を外部企業に委託することを指します。特に経理部門の人員が少ない、経理部門がなく他の部門の社員や経営者が経理を担っている中小企業が活用しているケースも多いようです。
アウトソーシングについては、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>【分かりやすく解説】アウトソーシングとは?活用方法と派遣との違い
経理アウトソーシングの依頼方法
まずは経理アウトソーシングをサービス提供している事業者を探します。経理代行会社や人材派遣会社、税理士事務所、会計事務所などが主な委託先となります。「経理アウトソーシング」や「経理代行」というキーワードでインターネット検索すると、さまざまな事業者が出てきます。税理士事務所や会計事務所では、「経理アウトソーシング」と打ち出していなくても、経理業務を受託しているケースもあります。
人材派遣の依頼方法
一方、人材派遣は基本的に人材派遣会社に依頼することになります。人材派遣会社は派遣社員が自社に派遣されるサービスのため、自社があるエリアに対応しているかどうかも確認する必要があります。
人材派遣を依頼する方法については、こちらで詳しくご紹介しています。
>>人材派遣を依頼する方法とは?流れやポイントをご紹介
経理アウトソーシングには2種類の形態がある
経理アウトソーシングには、「オンサイト」と「オフサイト」という2種類の形態があります。それぞれ詳しくみていきます。
オンサイト
オンサイトとは、経理アウトソーシング事業者の経理スタッフがクライアント社内に常駐して経理業務を遂行する形態のことを指します。「お客さま先常駐」「常駐型」とも呼ばれます。
自社内で経理担当者が業務を遂行するため、以下のようなメリットがあります。
- コミュニケーションが取りやすい
- 業務の進捗状況を確認しやすい
- 情報漏えいのリスクが少ない
オフサイト
オフサイトは、経理スタッフが経理アウトソーシング事業者の事務所でクライアントの経理業務を遂行する形態です。クライアントと経理スタッフは、電話やメールなどで連絡を取り合います。「委託事業者所有オフィス」とも呼ばれます。
オフサイトには、自社が自然災害や事故などの影響で稼働できない状態に陥ってもデータが消失するリスクが低く、経理業務を進めることができるといったメリットがあります。一方で、経理スタッフが社内にいないためコミュニケーションが取りにくい、進捗状況を確認しづらいといった面もあります。
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経理アウトソーシングで委託可能な業務
経理の人材派遣やアウトソーシングでは、経理部門が行う日常的な業務を外部に委託したり、派遣社員に依頼することが可能です。経理アウトソーシングでは主に「販売管理」「購買管理」「固定資産台管理帳作成」「財務諸表作成」という4つの業務に対応しています。
販売管理
販売活動の過程で発生するお金の流れを管理します。具体的には、顧客に対して発行する請求書、領収書の作成や発送、入金消込などの業務を代行します。
購買管理
設備や資材、備品などの購買時に発生するお金の流れを管理する業務です。受け取った納品書や請求書の管理、代金の支払い処理などを行います。
固定資産管理台帳作成
固定資産管理台帳とは会社の固定資産(土地や建物、車両、設備など)の情報を管理するための書類のことで、税務申告の際にも必要になります。台帳の作成や内容の確認、固定資産の利用状況のチェックなどを行います。
財務諸表作成
財務諸表は企業の業績や財務状況が記された書類で、企業の利害関係者(株主や社債権者、金融機関、取引先など)に経営状況を報告する際に用いられます。経理アウトソーシングを利用すれば、財務諸表の作成を依頼することも可能です。
人材派遣で依頼できる経理業務
人材派遣で依頼できる経理業務は多岐にわたります。経理アウトソーシングで対応する業務に関しても人材派遣で対応することが可能です。また、その他に伝票処理・請求書発行・入金管理・決算業務・税務申告なども幅広く対応可能です。
経理をアウトソーシングする4つのメリット
ここまで経理アウトソーシングの概要や依頼できる業務内容についてみてきました。ここからは、経理業務をアウトソーシングすることで企業が得られる以下の4つのメリットについてご紹介します。
- 人手不足の解消
- 本業に集中できる
- 不正の防止
- コストの削減
人手不足の解消
まず挙げられるのが人手不足の解消です。記帳業務や給与・賞与計算、決算申告には膨大な工数を要します。もともと経理や総務部門の人員が少ない、あるいは退職や休暇などで人員が減少している場合、これらの経理業務は大きな負担となります。
人材をあらたに採用して経理担当者を増員するにしても、時間とコストがかかります。他部署から社員を異動させると、今度はその部門が人手不足に陥る可能性があります。経理アウトソーシングで足りない人員を補うことで、人手不足を解消することができます。
コア業務に集中できる
記帳業務や給与・賞与計算はどうしても利益にはつながりにくい仕事です。経理業務の一部を外部委託することで、月次の決済や財務会計、IPO(新規株式公開)などの重要な業務にリソースを割くことができます。小口の管理やその他の業務においても精度を向上させることが可能です。
社員が数人の会社、あるいは経営者が一人で運営されている会社では、経理業務で社内の貴重なリソースが割かれるのは大きな損失につながります。
経理業務をアウトソーシングすれば、中核となる社員や経営者が本業や付加価値が高い業務に集中することができるようになります。費用はかかりますが、リソースを本業に割くことで、コスト以上の利益が得られる可能性もあります。
不正の防止
不正経理を防止するという目的で経理業務をアウトソーシングしている企業もあります。経理部門は金銭を扱う部署だけあって不正が発生するリスクがあり、経理担当者が横領するケースや、経営者の指示で脱税や粉飾決算が行われることもあります。
経理アウトソーシング事業者という第三者が経理業務を担当することで、透明性が高い経理業務や経営の実現につながります。
コストの削減
経理アウトソーシングを活用することでコスト削減につながる可能性もあります。例えば、記帳代行と給与計算のために正社員やパート社員を雇うとなると、人件費がかかります。業務量にもよりますが、経理アウトソーシング事業者に費用を払って代行してもらった方がコストを抑えられる可能性があります。
また、経理業務に従事していた社員にあらたな業務を任せることで、利益向上にもつながります。
経理アウトソーシングを活用する上での注意点
上記のようにさまざまなメリットがある経理アウトソーシングですが、活用する際にはいくつか注意点があります。それぞれご紹介します。
情報漏えいのリスクがある
経理業務をアウトソーシングする際には、委託先に会計データや領収書、伝票などの書類を渡さなければなりません。しかし、データや書類を送信したり渡したりする過程で情報漏えいのリスクが高くなります。委託先のセキュリティ体制が 脆弱 なために情報が漏れたり、担当者が悪意を持っていて意図的に漏らすリスクもゼロではありません。一旦情報が漏れたら顧客や社員が損害を被ることで会社の信用を損なうおそれもあります。
経理アウトソーシングを活用する際には信頼がおける事業者を選び、セキュリティ対策についても確認しておくことが大切です。
社内にノウハウが蓄積されにくい
経理業務を外部に委託することで、社内にノウハウが蓄積しないという問題が生じることがあります。特に経理アウトソーシングを活用してからしばらく期間が経過して、それまで経理業務を担当していた経理スタッフが退職すると、社内に実務が分かる人がいなくなってしまいます。再び経理業務を内製化する場合、あたらしい担当者は一から経理業務を習得しなければなりません。
経理業務を外部に任せる場合でも、社内にマニュアルを残しておく、業務の手順を確認しておくなどの対策をとる必要があります。
コストが増加する可能性がある
経理アウトソーシングを活用するメリットとしてコストダウンを挙げましたが、場合によってはコストが増加することもあります。
例えば業務量が少ないのであれば現状のまま社内で対応した方がよいケースもあります。すでに顧問税理士がいて、税理士事務所が記帳代行サービスを提供しているのにもかかわらず、別の事業者に依頼してしまうことで、コストがかかる可能性があります。
社内で対応する場合、税理士事務所に依頼する場合、経理アウトソーシングを活用する場合で、それぞれどれくらいコストがかかるのかを試算してみましょう。事前に相場を把握しておくことが大切です。
経理アウトソーシングと人材派遣の違い
アウトソーシングと人材派遣の大きな違いは契約形態です。人材派遣の場合は、人材派遣会社と派遣先企業が「労働派者遣契約」を締結します。人材派遣会社が雇用している派遣スタッフを自社で就業させることができます。
一方でアウトソーシングは、自社と受託会社で「業務委託契約(請負・委任・準委任)」を締結します。受託会社に納品物の制作または業務の遂行を一任することができます。
人材派遣は「労働力の確保」、アウトソーシングは依頼した業務の「遂行・納品」
人材派遣の利用目的は「労働力の確保」です。人材派遣は主に、急に発生した業務への対応や繁忙期の限定的な活用、産育休・介護休などの代替要員補充などのシーンで活用されることが多いです。
一方で、アウトソーシングの利用目的は依頼した業務の「遂行・納品」です。自社にノウハウがなく、製品やサービスなどの提供が難しい場合や定型化された業務を一括で外部に委託したい場合などに適しています。
人材派遣は「自社」、業務委託は「受託会社」が業務指示をする
人材派遣の場合、派遣社員は基本的に派遣先企業で業務を行います。その際の派遣社員への業務指示は、派遣先企業が直接行います。そのため、頻繁なルール変更やイレギュラーが多い業務では、柔軟に派遣社員と連携することができる人材派遣が適しています。
一方でアウトソーシングの場合は、受託会社へ納品物の制作または業務の遂行を一任します。受託会社が就業している業務スタッフへ業務指示を行い、自社で直接指示することができません。
人材派遣とアウトソーシング(業務委託)の違いについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
>>人材派遣と業務委託の違いとは?それぞれの特徴とメリット、活用方法を紹介
経理アウトソーシングを選ぶ際のポイント
近年、多くの事業者が経理アウトソーシングサービスを提供しているため、委託先の判断に悩む方もいらっしゃるでしょう。ここからは、委託業者の選定基準として重要となるポイントを3つご紹介します。
委託可能な業務の種類や範囲
経理アウトソーシングサービスを選ぶ際は業務内容や業務範囲を確認し、自社が依頼したい業務に対応しているかを必ずチェックしてください。
経理と一口に言っても会計、税務、給与計算など業務内容は幅広く、事業者によって対応できる業務内容や業務範囲は大きく異なります。経理アウトソーシングサービスを検討する際は、自社でどの業務が負担になっているかなどを検証し、依頼したい内容をまとめることが重要です。その上で、依頼したい業務に対応している事業者を選ぶとよいでしょう。
アウトソーシング費用
経理アウトソーシングを依頼したら、コスト削減につながるかを検証しましょう。
- 経理部門業務をアウトソーシングすることで、社員一人当たりの工数がどの程度削減できるのか
- 結果として部門の生産性はどれほどの向上が見込めるのか
- 副次的な効果は得られそうか(従業員エンゲージメントの向上など)
このようにアウトソーシングによる業務改善を図るうえで、適切にコストメリットを確認することがおすすめです。
アウトソーシング費用が安ければよい、というわけではありません。極端に安い場合は「求めている成果が得られない」「対応スピードや情報セキュリティ面などで不安がある」などのリスクが挙げられます。一方で専門性の高い事業者は、経理業務を適切に受託運用するため、導入時にクライアントの業務整理を行うことが特徴的です。受託運用を無機質にこなすのではなく、より生産的に運用するための改善案を「受託しながらレポート・提案」結果的に格安のアウトソーサーとは一線を画す費用感覚になることが多いので、サービス内容と費用のバランスが取れているか慎重に見極めてから、外注先を選定しましょう。
セキュリティ対策の充実度
経理アウトソーシングの外注先を選定する際に最も大事なポイントは、セキュリティ対策の充実度です。
経理業務をアウトソーシングすることは、社内の売上や顧客情報などさまざまな機密情報を第三者である事業者に開示するということです。セキュリティレベルが低い事業者を選ぶと情報漏えいを招く可能性が高まるため、セキュリティ水準は極めて重要なポイントとなります。
具体的には、アウトソーシング担当者のセキュリティ教育は十分に行き届いているか、データを監視する仕組みはあるか、データや帳票の受け渡し時に適切な暗号化やセキュリティ対応が講じられているかなどを確認しておきましょう。
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経理アウトソーシングを選択肢として取り入れる
記帳業務、給与・賞与計算、決算申告といった経理業務は、外部に委託することが可能です。経理アウトソーシングを活用することで、人手不足を解消できる、本業に集中できる、不正を防止できる、コストを抑えられるなど、さまざまなメリットが得られます。
社内のリソースが足りない、経理業務が社員の負担になっている、人件費がかかっているのに利益が上がらないといった課題、経理アウトソーシングなども選択肢として取り入れてみてはいかがでしょうか。
経理アウトソーシングの導入や人材派遣との比較でお困りのことやご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
人材に関するお困りごとはお気軽にご相談ください
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