採用難易度が高く
人材不足が課題であった外為業務
解決に導いた「採用・育成・定着」の3つの取り組み

株式会社みずほ銀行

活用前
専門知識が求められる外為事務業務において安定的な人材確保が必要。
経験者採用だけでは充足が困難な一方、未経験者では業務難易度が高く、
活躍が難しい状況のなか、人材確保に向けた早急な解決が求められていた。
活用後
採用・育成・定着の3つのポイントにおいて自社視点だけでなく、
パーソルテンプスタッフからの客観的な視点を交えて見直しを行い、
派遣スタッフが主力となり活躍できる組織体制を構築した。

目次

01企業紹介・事業紹介

三大メガバンクの一つとして知られる株式会社みずほ銀行(以下、みずほ銀行)において、外為取引に伴う事務を担当しているのが外為事務部。同部は、海外送金事務を扱う外為事務第一部と、主に貿易事務を扱う外為事務第二部で構成されています。

外為事務は、当然ながら国によって対応方法が異なりますし、海外の法規制や制度改正、地政学リスクなどの影響を受けることも少なくありません。そのため、業務の難易度が高く、外部環境の変化に伴い、期限内での突発的な対応に人員体制強化の必要が迫られることがしばしばあります。

このように、常に変化と隣り合わせのなかで、柔軟な対応が求められる外為事務第一部と外為事務第二部が、どのような組織づくり、組織運営を行っているのかについてお話を伺いました。

02人材について抱えていた課題

外為業務の集約で見えてきた人材活用の課題

佐藤様:みずほ銀行では20215月、店舗における外為業務の見直しを行い、取り扱い店舗を限定しています。これにより外為業務を担う店舗での業務量が急増し、店舗だけでは対応が困難になったことを受け、事務センターへ業務を集約しました。

事務センターでの業務集約にあたっては、新たに人員の強化が必要となりますが、数少ない金融業界の経験者を採用することは容易ではありません。また、外為業務は専門的な知識が求められ、業務の習得にも時間を要するため、未経験の方が即戦力で活躍することが難しく、安定的な人材の確保に課題がありました。

これらの課題の解決にあたりパーソルテンプスタッフに派遣スタッフの活用という切り口で、採用から定着に至るまで人員強化に向けた協力をいただくことになりました。

徹底的な業務理解から始まる 課題解決への第一歩

パーソルテンプスタッフ 須川(以下 須川):私が担当させていただくことになったのは2022年10月です。2023年の外為業務の事務センターへの業務集約にあたり、派遣スタッフの活用について佐藤様とお話させていただきました。私自身、金融事業部で経験を積んできましたが、外為について詳しいわけではありませんでした。佐藤様から「外為についての知識を深めていただければ、業務の切り分け方や派遣スタッフに必要なスキルのレベル感、適切な条件などいろいろな観点でより深い相談ができそうですね」とのお言葉をいただいたので、根ほり葉ほり、何度も質問させていただきながら外為業務について知見を深めることに努めました。

佐藤様:須川さんが所属されているメジャーフィナンシャルソリューションオフィスは、金融専門の部署だけあって金融労働市場の最新情報も伝えてくれましたし、募集に際しても表面的な要綱や条件だけではなく、詳細な業務内容について深く聞いてくれたので、当初から安心感がありました。

須川:パーソルテンプスタッフとしても、業務内容を把握できていればスタッフへの仕事紹介を担うコーディネーターに説明をする際にも目線合わせがしやすく、マッチングにも活かされたと思います。

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03課題解決へ:①採用体制・採用方針の見直し

たった一人の採用窓口から複数メンバーでの採用チームへ

佐藤様:当時は、私が現場の業務をみながら、外為事務全ての採用を一人で担当していました。しかし、徐々に一人では回らなくなり、場当たり的に他のメンバーに採用タスクを渡していました。ただ、そうするとあらかじめ採用の目線を合わせることをしていないので、パーソルテンプスタッフ含む人材サービス企業とのコミュニケーションも人によって言っていることが違うというようなことが起こってしまっていたのです。

事務センターでの人員強化を進めるにあたっては、スキルや適性のバランスがとれるように、各現場の管理責任者だけに任せるのではなく、採用と育成を担当するチームをそれぞれ編成し、現在はチーム内で横串で方針を固めています。私一人で対応していたものを複数のメンバーで同じ目線で共有できるようになった点はよい方向への変化だったと思っています。


自社だけでは気づけなかった 客観的な採用目線と求職者目線での職場見学

佐藤様:実務経験者だけを募集してもなかなか集まらないという課題に対して、須川さんからは間口を広げてみてはどうかというご意見がありました。銀行経験者を募集するにしても、フルタイムにこだわるのではなく出勤日数や勤務時間などを柔軟に考えたり、接客業務や入力業務ならそうしたスキルを持った未経験者も検討したりといったアイデアをいただきました。

栗原様:私は採用チームに所属しており、パーソルテンプスタッフからの連絡窓口を担当しています。須川さんのご意見を参考に募集の間口を広げ、各職場の人事管理者にも情報を共有するようにしました。

佐々木様:募集を担当する栗原からの連携を受け、職場見学からは私が担当しています。職場見学は、執務フロアだけでなく、食堂や休憩スペースなど、従業員満足度に関連する場所も必ず見てもらうようにしています。細かい話でいうと、銀行業務ではエプロンを着用することが多いのですが、このエプロンの置き場なども丁寧に説明して、派遣スタッフがはたらく日常を自分でイメージしやすいよう配慮しています。

関様:私も佐々木と共に、職場見学を対応していますが、実際に食事や休憩についての派遣スタッフからの関心は高いので、ご質問があればなるべく詳しくお答えするようにしています。

パーソルテンプスタッフ 橋本(以下 橋本):私は採用チーム組成後の2023年秋から参画しています。私が加わった時点で、採用方針やフロー、部署ごとの必要な人材像がしっかり固まっており、私は勤務の開始日や職場見学の日時などを栗原様と相談しながらスムーズに募集を進めることができました。 職場をしっかり見学させていただくことは当社にとっても大変ありがたいと思っています。金融機関はセキュリティの関係で職場を見学できないケースもありますが、みずほ銀行様の場合はセキュリティに配慮しながら食堂や休憩スペースも含めて見学させていただいています。複数の派遣先を検討していたスタッフが、職場を丁寧に見て雰囲気をつかめたことを理由に決めたケースも多いですし、職場環境に関して就業後のギャップがないという声も多く聞いています。

04課題解決へ:②育成・職場環境づくり

派遣スタッフ向けの導入研修や勉強会で
知識の向上と横のつながりをつくる

吉永様:採用チームの取り組みと並行して、育成チームでは、教育と環境づくりの両面から派遣スタッフのサポートを行っています。派遣スタッフの就業にあたっては、教育体制が最初の懸念点になると認識しているので、そこはしっかり対応できるようにと考えています。

真壁様:教育面では、一般行員も派遣スタッフも必ず一律で着任時研修を受けていただく体制を整えています。2023年度からキャリア採用者に対して実施しているプログラムがあるのですが、2024年度からはこれを派遣スタッフ向けにアレンジしました。みずほ銀行ではたらくうえで必要な心構えに加え、銀行はお客さま個人情報を扱っているため、情報の守り方や事務を行ううえでのルールなどについて、最初にこと細かく知っておいていただくことが狙いです。

例えば、書類を廃棄する際は一人ではなく必ず複数で確認するといったことやSNSの使い方についてのソーシャルメディアガイドラインなど、かなり細かいところまで規定があるので、銀行業務が初めての方には驚かれます。また、派遣スタッフのなかには銀行経験者もいますが、結婚や育児でブランクがあった方などは改めて再認識できてよかったとの声もいただいています。

さらに、頻繁な法改正に適正に対応するため、行員も派遣スタッフも含めた法令の勉強会を毎月実施してアップデートに努めています。

須川:金融業界未経験のスタッフにとっては、規定の細かさに驚きはあるものの、最初に作法をしっかり学べるので共通言語として役立ったとの声を聞いています。また、就業が始まるタイミングでの研修は一緒に受ける人がいることで横のつながりもでき知識的な学び以外の効果もあるようです。

05課題解決へ:③定着率向上に向けた職場環境づくり

就業スタッフの声をタイムリーに就業環境に反映
パーソルテンプスタッフと採用チームとの連携スキーム

須川:私たちのミッションはスタッフの就業決定がゴールではなく、きちんと定着し、就業先で活躍してもらうことです。そのためにも、就業中の派遣スタッフとは定期的に面談を行い、そこで出てきた意見は育成チームや各現場の管理者にフィードバックしていますが、みずほ銀行様はそのフィードバックに対して柔軟に対応いただいていると感じています。

吉永様:環境づくりの面では、私たちだけでは気づかなかった派遣スタッフからの意見やお困りごとなど、須川さんからタイムリーに連携・相談をいただけるので、参考にしながら私たちのなかでもいろいろな取り組みを行っています。そのひとつに、集合研修があります。経歴や年齢が異なる人が一緒に研修を受けることで同期意識が生まれますし、派遣スタッフを対象にしたアンケートでも、別部署に配属された後も連絡を取り合えるような横のつながりを持てたといったポジティブな回答が多く見られました。
また、派遣スタッフの皆さんはさまざまな企業、業界での就業経験をお持ちなので、知見や情報を伺って環境づくりに役立てられる点も助かっています。当行ではペーパーレス化を進めていますが、銀行はどうしても紙の文化が根強く残っています。こうしたときに他業界での就業経験のある派遣スタッフの皆さんが積極的にけん引してくれました。また、外為事務第二部の資本貿易チームに商社出身の派遣スタッフが配属された際は、どのようなデータを蓄積しておくべきかアドバイスをいただき参考になったという例もあります。

須川:同期意識を持てるよう配慮いただいたり、コミュニケーションがしっかりできていることは、確実に派遣スタッフの安定就業につながっていると実感していますし、派遣元の立場としても非常にありがたいです。

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06課題解決への取り組みが実を結んだ新サービスの運用体制

テレビ電話を活用した新しい窓口サービスの導入
主軸となり支えるのは派遣スタッフの力

佐藤様:店舗での外為業務の見直しと事務センターへの業務集約により、新たにスタートしたのが、RTS(リモート・テラー・システム)というプラットフォームを活用したテレビ電話窓口です。初めての取り組みなので、最初はノウハウが不足していましたが、行員が経験を積み知見ができたことで軌道に乗り、サービスの拡大に伴って派遣スタッフの配置を増やしている状況です。

吉永様:現在はテレビ電話窓口の7割を派遣スタッフに担当していただいています。事務回りの手順などは派遣スタッフだけでも対応できるようになり、解決できないことがあれば行員が対応するという仕組みも固まってきています。 また、テレビ電話窓口スタッフで毎日の朝礼を行い、派遣スタッフがお客さまと実際に接するなかで得た学びを全体共有したり、管理者から注意事項や変更点を伝えたりと、双方向のコミュニケーションがうまく機能しています。

須川:テレビ電話窓口の派遣スタッフからは、お客さまの海外送金がうまくいって感謝されたことがやりがいにつながっているという声も聞いています。また、派遣スタッフにかなりの部分まで任されていることやチームが協力して取り組んでいることで、強い一体感があるとの声もありました。

吉永様:金融経験があるに越したことはないのですが、須川さんから「テレビ電話窓口はお客さまとのコミュニケーション能力が重要なので、接客業経験者に間口を広げてはどうでしょうか」と言っていただいたことが的確だったと思います。

07今後の展望

はたらく全スタッフが仲間として共に成長することで
お客さまによりよいサービスの提供を目指す

佐藤様:私たちの目標は、行員も派遣スタッフも同じ目線を持ってお客さまによりよいサービスを提供することです。そのために、例えば、はたらく皆さんの声を拾って改善に役立てようと四半期ごとにアンケートを実施したり、横のつながりを醸成するための社内イベントを企画したりしています。今後も外為事務第一部と外為事務第二部ではたらく全スタッフが価値観を共有できるよう環境を整えていきたいと思います。

吉永様:事務センターを拡充したことで、今後も派遣スタッフの活用は必須です。お客さまのために何ができるかを考えるうえで、行員も派遣スタッフも違いはありません。一緒に仲間として成長できればと思っているので、パーソルテンプスタッフには引き続きご協力いただければと思います。

佐々木様:パーソルテンプスタッフには、今後もマーケットの情報や業界事例などの情報をいただきたいと思っています。また、新しいことにチャレンジする意欲があるスタッフをご紹介いただけることを期待しています。

栗原様:私たち銀行員はどうしても狭い世界で仕事をしているので、経験豊富な派遣スタッフの皆さんの存在は、部内の活性化という点で貴重です。今後も仲間として、一緒にみずほ銀行を盛り立てていただければと思います。

真壁様:派遣スタッフの皆さんから、今まで他社ではたらくなかで当社の着任時研修のような丁寧なプログラムは見たことがないと言っていただいています。私自身、最初に意識合わせができるこうした研修の重要性を認識していますし、幸い派遣スタッフの皆さんにもご評価いただいているので、今後も研修内容を改善拡充していければと思っています。

08営業担当者からのコメント

須川:みずほ銀行様は、派遣スタッフの声に耳を傾ける文化がありますし、分からないことがあれば丁寧に教えてもらえる環境が整っている印象があり、派遣スタッフを大切にしていただけていると日々実感しています。実際、派遣スタッフからもこのような職場ではたらくことができてよかったという声も聞いています。 商社で貿易関係の業務経験がある派遣スタッフと話す機会が最近ありましたが、銀行ではたらいたことが成長につながり、今後のキャリアプランを考えるうえでも貴重な経験になっているとのことで、充実した日々を送っているようでした。引き続き人材課題の解決につながるご支援をしていきたいと思います。

橋本:1年ほど担当させていただくなかで、安定した業務を展開されているという印象を持っています。先日、みずほ銀行様ではたらき始めたばかりの派遣スタッフと会う機会があったのですが、こんなに丁寧に研修してもらった職場はこれまでなかったとのことでした。私自身、今日、皆さんの話を伺って、改めて採用や育成にこんなにきめ細かく取り組まれていると知ることができたので、自信を持って派遣スタッフに伝えていきたいと考えています。

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(営業担当:ソリューション事業本部 金融事業部 メジャーフィナンシャルソリューションオフィス クライアントサービス担当 橋本 桃佳、同オフィス スタッフアドバイザー 須川 明子)

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前列左から、株式会社みずほ銀行 真壁様、関様、吉永様、栗原様
後列左から、パーソルテンプスタッフ 橋本、株式会社みずほ銀行 佐々木様、佐藤様、パーソルテンプスタッフ 須川

09株式会社みずほ銀行の最新情報がわかる!

※写真は株式会社みずほ銀行の許可を得て撮影しています。
※2024年12月時点の取材にもとづき掲載しています。

取材協力

株式会社みずほ銀行
外為事務第二部 総務電信チーム
次長
吉永 あずさ 様

2002年入社。外為センター/外為事務部にて、輸入・輸出・被仕向送金業務を担当。
2021年より管理マネジメント業務等、2023年より部内人材育成や他部からの研修受入れを対応。

株式会社みずほ銀行
外為事務第二部 総務電信チーム
業務一課 課長
佐々木 亮 様

1993年入社。営業店を経て、2021年外為事務部にて総務業務を担当。
2024年より外為事務部内における採用担当。

株式会社みずほ銀行
外為事務第一部 被仕向送金第二チーム
業務三課 管理主任
真壁 陽子 様

1997年入社。営業店を経て、2012年より外為事務部にて外為事務全般を担当。
2023年より外為事務部内における初期教育を担当。

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