RPAの活用で各部署の業務効率化に大きく貢献。既存業務そのものを減らし、新たな業務に取り組める環境を生み出す

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

活用前
各部署で発生する業務を自動化して、効率化を図りたいが
RPA開発経験者が社内におらず、各部署へのRPA導入が進まない
活用後
各部署へのRPA知見を持つ派遣スタッフの配置により
現場の状況に合わせた業務改善を推進
業務自動化を進めるイメージが社員に共有でき、社内の意識改革に貢献

目次

01企業紹介・事業紹介

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、自動車などの事故や火災といった不測の事態によって起こる損害に対し、保険金を支払う保険事業を展開しています。事故のあとの保険から事故を起こさない保険へ、さらにその先へ、データ・デジタルの活用により保険を新たな価値提供にシフトし、お客さま・地域・社会とともに、さまざまな課題を解決し、よりよい社会・地域を実現していく取り組みを行っています。

具体的には、自然災害による被災建物棟数をリアルタイムで予測し地図上に表示する世界初のウェブサイトの開設や、車載搭載器とスマートフォンアプリを活用し安全運転のアドバイスを行うだけでなく運転スコアに応じて保険料が変わる仕組みを構築しました。また、走行データから安全運転につながるデジタルマップを作成するなど、目覚ましいデジタルの進化とともに事故を起こさない取り組みを通して、地域や社会に貢献しています。

今回は、社内のさまざまな業務改善の企画を立案、その後のフォローまで行う業務プロセス改革部 企画グループ課長補佐 吉田聖子様に、社内の業務効率化に向けてRPAの開発および運用のために「RPAアソシエイツ *1」をご活用された背景や、その効果についてお話を伺いました。

*1 RPAアソシエイツ
RPAやデジタルツール(Excelなど)の知識・スキルを持ったスタッフを派遣するサービスです。RPAなどの知識や現場業務に精通した派遣スタッフが、現場に寄り添った業務効率化の取り組みを通して、業務改善に貢献します。

02「RPAアソシエイツ」活用の背景

社員だけでは業務効率化が進まず、業務時間の削減や新規業務への取り組みが難しい状況であった

吉田様: 私が所属する業務プロセス改革部は、業務効率化に資する新しいデジタルツールを導入し、デジタルを活用しながら既存業務のプロセス改革を行っています。業務改革を実現した例として、本社の経理部門が担当する「保険料精算業務」などの基幹業務では、UiPath(R) *2 というRPAツールを導入し業務自動化を実現した実績があります。しかし、「費用がかかってしまうこと」「開発の難易度が高いこと」から各部署で発生する個々の業務に対する業務改善に対してUiPath(R)を導入することは難しいと考えていました。そこでライセンスコストが抑えられ、プログラミングを意識せずに使えるように作られたノーコードツールであるMicrosoft社のPower Automate Desktop(以降、PADと表記)を導入し、活用浸透を模索していました。社内の状況としては、PADの推進に向けて社員が学べるコンテンツを準備しましたが、コンテンツの活用は一部テクノロジーに興味のある社員に留まっており、通常業務を抱えたなかで新規ツールの習得と開発を行うのはまだまだこれからという状況でした。

一方で本社部門においては、要員数に対して業務量が大きく、業務効率化の推進は待ったなしの状況にあり、各部を支援する必要がありました。スピード感をもってPADの浸透を進めるため、「PADの開発スキルを持った外部の人を本社部門に配置し、業務を自動化する」と同時に「一緒に開発をしながらその開発スキルを社員に共有し開発人材に育成する」という施策を行うこととしました。

当初の想定では、Excelなどの一般的なOAスキルをもつ人材を派遣してもらい、当社にてPADの教育を行った後、「PADの開発スキルを持った人」として本社部門に配置することを考えていましたが、パーソルテンプスタッフさんより、RPAの運用や業務改善に対応する「RPAアソシエイツ」というサービスをご提案いただきました。「RPAアソシエイツ」では、PADによる業務自動化ができるとのことでしたので、ご依頼することにしました。

*2 UiPath(R)
※ UiPathはUiPath社の米国およびその他の国における商標です。

03「RPAアソシエイツ」活用の決め手

業務効率化を一緒に進められるパートナーを見つけることができました

吉田様:本社部門の多くの業務に対してPAD導入を進め、業務効率化の実績と開発者を増やしたいと考えていました。パーソルテンプスタッフさんには、RPA開発ができる人材の派遣を依頼し、業務効率化を加速させたいことをお伝えしました。

パーソルテンプスタッフ 小野田(以下 小野田):最初にご依頼をいただいた時は「PADを使って業務を自動化することを検討しているので、それができそうな派遣スタッフを数十名規模で派遣していただくことは可能ですか?」という大枠のご相談をいただきました。詳細をお伺いしていくと、PADの導入で業務自動化を図りたい部署が約30部署あることがわかり、「各部署に人材を派遣するにあたり、どのようなスキルセットの人材を、どのような配置にすることで業務効率化につなげられるか、成果を出せるか」ということも考え、最善の提案内容を考えました。私たちの「RPAアソシエイツ」という事業は、事務スキルを持つ当社の派遣スタッフを育成して、RPAの知見を持ち効率化が実現できる人材として派遣します。事業を開始してから4年以上の実績があり、PADは新しいツールではありましたが昨年からその研修も実施しており、これまでのノウハウを生かして、目標達成のためのご支援が可能であると考えました。

吉田様:パーソルテンプスタッフさん以外にも複数社ご相談していましたが、その多くは「一般的な事務経験が豊富な人材をご紹介するが、PADの知識習得のための研修は自社(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の社内)で行う必要がある」といったものでした。しかしパーソルテンプスタッフさんは、「業務自動化に向けたチーム体制構築から、派遣スタッフに対するPADに関する研修対応、PADによる実開発およびその運用まで一気通貫で対応する」といったご提案があり非常に驚きました。まさに、「一緒に業務改善を進められるパートナーを見つけた!」と思い、即決で依頼させていただくことにしました。

04「RPAアソシエイツ」利用開始に向けて

派遣スタッフの就業開始時期を分散することで、各部署の状況をみながら対応できるのが安心でした

吉田様:各部署に1名ずつ外部人材を配置し、業務効率化を進めることを検討していました。約30部署への配置を予定していましたが、さすがに一度に30名は業務への影響が見込まれるため、10部署ずつ3回にわけて順次スタッフの就業を開始するご提案を受けました。現場としてもここまで大人数の派遣スタッフを受け入れることは初めてであったため、状況をみながら進められることができ安心でした。

小野田:「RPAアソシエイツ」で、今までWinActor(R) *3 やUiPath(R)による業務改善の実績はありましたが、PAD導入による業務自動化を約30名の派遣スタッフで一気に進めるというのは新たなチャレンジでした。就業いただく派遣スタッフには、就業開始前にパーソルテンプスタッフ内でオリエンテーションを行い、自己紹介や就業部署のミッションを共有しました。また、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様の業務や自動化への取り組みにあわせて研修プログラムを作成し実施することで、業務効率化の推進ができるように対応しました。

*3 WinActor(R)
WinActorはNTTアドバンステクノロジの登録商標です。

05就業スタッフの業務について

派遣スタッフと社員の連携により、実業務におけるPAD活用のイメージを持つことができました

吉田様:派遣スタッフの方々には、1部署に1名就業いただきました。派遣スタッフから、就業先部署の社員に「PAD開発候補業務のヒアリング」を行っていただき、PAD開発による自動化を進めてもらいました。PADそのものの説明だけでなくどのように動くのか実際の画面を共有いただいて活用イメージを具体化することができ、自動化を実現することができました。たとえば社内基幹システムから複数のデータをダウンロードし、突合・編集する業務があります。PADを利用することで、ダウンロード作業といった繰り返し業務の自動化と、突合対応時に不備があった際には通知があがりすぐ検知できるようにするなど業務効率化につなげています。

ほかにも、「人事業務で月末の勤怠申請が未了の社員に対しアラートを出す」といった対応も、全国各地にいる社員全員分の対応が必要ですが、自動化できたことで本社部門担当者の業務時間を圧縮することができました。

06就業スタッフと社員とのコミュニケーション

「RPAアソシエイツ」の存在によって、「業務改善」が社員にとって身近になりました

吉田様:プロジェクト体制としては、私が所属する業務プロセス改革部が全体を取りまとめ、各部署から「推進担当」を選出してもらいました。パーソルテンプスタッフさんからは、大村さんにプロジェクトのPMO的な立ち位置として参画いただき、各部署には派遣スタッフの方々に就業いただきました。派遣スタッフの方は、5名程度でチームを構成し、チームリーダーを割り当てて情報の連携を促進できるよう体制を構築しました。また、週次でプロジェクトミーティングを実施し、開発進捗状況や運営面の課題解決などを行い円滑に進めることができました。派遣スタッフからの連絡窓口を当社の平岡に集約し、相談やコンディションの確認を行っていました。平岡から「派遣スタッフの皆さんは、何事にも能動的に対応されていて、コミュニケーション能力も高い」という報告を受けていました。実際、スタッフ同士でも積極的にコミュニケーションをとっておられる様子を何度も伺いましたし、質問事項についても、一度確認した内容は自主的にスタッフ同士で共有してくださっていました。その結果、何度も同じ回答をするといったことはなく、とても助かっていました。

スタッフの皆さんに、「困りごとはないですか?」と声をかけると、「RPAアソシエイツのスタッフ同士でコミュニケーションがとりやすく、開発が進まないなど困ったことがあっても相談しながら進められています」といった前向きなお話がでることが多く、チーム体制がコミュニケーション活性につながったと感じています。当社社員にも話を聞くと、「実際にPADでできることを何ができるかを目の前で見せてもらえるので、業務自動化のイメージが湧きました」という意見がありました。将来的には、社員が各自でPAD開発を進めていくことを目指していますが、現段階では開発に伴走してくださる「RPAアソシエイツ」の存在が必要だと思いました。

07「RPAアソシエイツ」活用における効果

PAD開発が進む状況が社内に伝わったことで、本社部門の利用者は600人を超えました

吉田様:短期間で開発に集中して携わっていただいたことで、250を超える業務に対してPAD導入の開発が完了しました。現在、実際に本社部門で600人が業務でPADを活用しています。業務プロセス改革部では、プロジェクト開始当初に目標として削減する業務時間を設定していましたが、PADで自動化をしたことで達成することができました。「RPAアソシエイツ」の派遣スタッフの方々が当社社員と一緒にPADによる自動化を進めていただいたことで、PADの業務への活用イメージがつくとともにPADの内容理解につながりました。その結果、専門的な知識・経験がなくても習得できるということが社員にも浸透し、意識改革ができました。プロジェクト終了後も、業務プロセス改革部ではPADの活用状況をモニタリングし今後も支援していきたいと考えています。これまで人材派遣をお願いする際は「人手不足の状況であれば、人材を増やして対応する」という考えが一般的でしたが、「RPAアソシエイツ」というサービスであれば、「業務そのものを効率化してくれる人材の活用で、既存業務を圧縮し人手不足の状況が解消できる。さらに、効率性があがれば社員人数を増やすことなく、新たな業務にチャレンジできる」と感じました。社内の各業務に対して寄り添っていただき、業務自動化の支援をしていただいたことに感謝しています。

※左から パーソルテンプスタッフ RPA営業推進課/大村(本プロジェクト PMO)、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社/竹内様・吉田様・中島様・平岡様、パーソルテンプスタッフ RPA営業推進課/小野田(マネージャー/事業責任者)

08事業責任者からのコメント

小野田:初回の打ち合わせ時に、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様が取り組まれることの重要性を認識し、全力でご支援したいと思いました。そして、これは派遣先であるあいおいニッセイ同和損害保険株式会社様にとってデジタル業務改革であり、スタッフの方にとってもスキルとキャリアの実績となり、当社にとっても新しい形の派遣活用のご支援事例になる、三者にとって新しい取り組みだと考えました。 「チーム派遣体制を組んでPAD開発を進めること」「PADの技術支援もパーソルでバックアップすること」「お客さまと密に連携し成果創出に向けた体制をとること」「派遣スタッフにリーダーの役割をもつ人材を配置すること」など成果創出をするためのプラン検討を進めました。「RPAアソシエイツ」ではスタッフ向けにRPAの研修を準備しており、PADに関するプログラムを追加することで、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様のご要望にお応えできる状況でした。最終的に工数削減や業務圧縮はもちろんのこと、「社員の方々がPADを各自で開発できる環境構築の一助となれたこと」「PAD導入により業務自動化が進む様子を直接社員の方々にお見せし、イメージをもっていただくことで業務効率化はもちろん、社員の方々の意識改革までできたこと」をうれしく思っています。

09あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様の最新情報がわかる!

※写真はあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の許可を得て撮影しています。
※2023年9月時点の取材にもとづき掲載しています。

取材協力

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部 企画グループ
課長補佐 吉田 聖子様

2003年あいおいニッセイ同和損害保険会社に入社。経理部で保険料精算業務等を担当し、経理業務にRPAを導入する業務変革プロジェクトに参画後、業務プロセス改革部に異動。
現在は、社員一人一人がデジタルツールを活用し自律的かつ持続的な業務変革を実現することをミッションに、Power Automate Desktopや生成AIの社内活用推進の施策を行う。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部 企画グループ
主任 平岡 宏史様

マンション管理会社を経て2020年あいおいニッセイ同和損害保険株式会社に入社。
D365/PowerAppsアプリの運用業務を担当し、その後企画グループに異動。
現在はPower Automate Desktopの開発時の問い合わせサポートや業務プロセス改善提案に取り組む。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
業務プロセス改革部 企画グループ
竹内 純子様

旅行会社を経て2020年あいおいニッセイ同和損害保険株式会社に入社。
部内の管理業務とPower Automate Desktop活用推進施策の事務や研修サポートを担当。
社内各地で自発的に開催される勉強会資料や事例を共有するプラットフォームの管理を担う。

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