
飲食業界大手が迎えた変革期。
社員への思いと人的資本投資の具体に迫る
株式会社松屋フーズホールディングス
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目次
01企業紹介・事業紹介
「みんなの食卓でありたい。」のブランドスローガンを掲げ、多様な飲食事業を展開する株式会社松屋フーズホールディングス(以下、松屋フーズHD)。中でも、牛めしでお馴染みの「松屋」は恐らく誰もが一度は見聞きしたことのある、多くの人に親しまれている飲食店です。すでに多くの支持を受けている松屋フーズHDですが、商品開発の歩みは止まることなく、2週間に1度は新メニューが登場します。その背景には、みんなの食卓でありたいという日常生活を支える食のインフラとしてとしての存在であると同時に、「お客さまに新しさやワクワクを届けたい」という企業としての熱いメッセージが込められています。
今回は、常に前進し続ける松屋フーズHDの戦略人事への取り組み、また、それを支えるパーソルテンプスタッフの存在について人事部長の別役(べつやく)様にお話を伺いました。

02何からどう変革を仕掛けるか。パーソルテンプスタッフとの対話から生まれたアクションプラン
「経営理念以外は変えてもいい」トップの思いと高まる社内の挑戦ボルテージ
別役様:パーソルテンプスタッフとのお付き合いは、過去に本社で人材不足になった際、派遣スタッフを紹介していただいたことをきっかけに始まりました。当初は派遣サービスのみのお付き合いでしたが、後の世界的パンデミックによる飲食業界への打撃を機に派遣サービスに留まらない、組織や人事課題といったことも会話に登場するようになりました。
担当の栗川さんが、パーソルテンプスタッフのサービス提供という観点だけでなく、パーソルグループとして当時の当社に何が必要で、何ができるかを真剣に考え向き合ってくれていたからこそ、こういった会話が広がったのでしょうね。
当社としても変革が必要とされるさなか、経営トップからの「経営理念以外は変えてもいい」という熱いメッセージも相まって、社内の変革に向けた挑戦のボルテージは最高潮でした。しかし、何からどう動くか・・が模索状態でしたので、会話を通して、客観的に課題と優先順序を整理し、スピーディーに提案に落とし込んで下さることで、取り組むことが見えやすくアクションイメージが湧きました。提案内容はさることながら、タイミング的にも大変フィットしていて非常に助かりました。
お客さまの課題解決のカギは伴走者としての「徹底した企業理解」
パーソルテンプスタッフ 佐々木(以下 佐々木):栗川の所属する「戦略営業課」は、時代とともに企業の抱える課題が複雑化する昨今、この先もお客さまのニーズに応え続けていくために、従来の人材派遣やアウトソーシングサービスの提案だけでなく、お客さまの課題にそって柔軟な提案ができる必要があるとの考えから2020年8月に発足した組織です。
パーソルグループには約150社のグループ企業があり、各社が提供できるソリューションやサービスの数は多岐にわたります。これはすなわちお客さまの課題に対してそれだけ柔軟に対応できるということ。この強みを最大限に活かすには、何よりもお客さまと対峙する、私たち戦略営業課がどれだけ深くお客さまのことを理解するかにかかっているといっても過言ではありません。そういった観点からもお客さまの人事・組織課題に寄り添い、伴走するパートナーとしてどうあるべきかを常に意識してお客さまと向き合うよう、メンバーにはいつも伝えています。
そんな中で、今回、まさに変革の時期を迎えていた松屋フーズHD様にご提案の機会をいただけたのは私たちにとっても非常に大きな糧となりました。

パーソルテンプスタッフ 栗川(以下 栗川):松屋フーズHD様は、私が戦略営業課として初めて担当させていただいたお客さまで、当初はなにより、お客さまを知ることを心がけていました。当たり前のことですが、会社のこと、業界のこと、商品のことなど、ひとつひとつ情報を集め、お客さまの声を聞き正しく深く理解するよう努めていました。
お客さまへの提案に際しては、こうして積み重ねた情報をベースに仮説を立て、その仮説の検証をお客さまとの対話を通して重ね、ブラッシュアップしていきました。また、対話を通して仮説のすり合わせをすることで、外からでは見えなかった事情や現場の課題などを知り、より松屋フーズHD様の状況にフィットした提案につなげることができたと考えています。
こうした検討や提案を重ねていく中で、今回、松屋フーズHD様に導入していただいた2つの事例について次項でご紹介します。
03[事例1] 新しい社内コミュニケーション手法の導入。社員の会社理解を深め、強固な組織へ
別役様:当時の人事課題のひとつに若年層の定着率改善というものがありました。
組織ですので当然人の入れ替わりはありますが、全体の状況をみたときに比較的若年層の社員の入れ替わりが多い傾向があり、組織構造を最適化するためにもまずはここから着手することにしました。
背景を探っていく中で、ひとつの傾向として会社や組織、描けるキャリアをよく知らないまま、入社後とのギャップを感じて離脱するケースがあり、これは非常にもったいないと感じていました。よくよく知ればご自身のやりたいこと、描くキャリアの実現ができる環境があるのであればこれを正しく伝えることからだと。もともと社内コミュニケーションは当社の強みでしたが、コロナ禍影響で少し希薄になっていた時期だったこともあり、まずは上司が部下の個性や状態を理解し、個々にあったケアやコミュニケーションがとれる仕組みづくりをしていこうということで導入を決めたのが「The 1on1(※1)」です。
*1 パーソルキャリアが提供する「The 1on1」
「状態把握・学び・実践」を繰り返し循環させる貴社専用の管理職育成プログラムです。上司の部下支援力をアップデートします。離職防止や自律型人材の育成に活用いただけます。研修提供終了日:2025年3月31日(月)・サービス提供終了日:2025年6月30日(月)
栗川:「The 1on1」は、上司と部下の対話にシステムの力を加えることで上司のマネジメント力を引き上げることを目指したシステムソリューションです。
このシステムを十分に活用していただくためにも、単なるシステムの提供だけでなく、並行してそれを活用していく管理職の方々への研修も必要と考え、研修も併せて導入いただきました。特に、研修についてはその場限りとならないよう、正しく浸透継続させていくにはどのような形がベストかを考え、松屋フーズHD様の実態にフィットしたカスタマイズに力を入れています。
具体的には、受講者となる管理職の方々が自分ごととして捉えられるよう、なるべくリアルなワークショップを多く取り入れた点です。研修内の用語も一般的な言葉を使用するのではなく、社内用語を駆使してより日常・リアルに沿った状態でのワーク形式としています。上司・部下の対話を想定したロールプレイングではその様子を動画で撮影し会話の流れ、自身の対話の特徴などをあとから振り返ることができるようにしているところもひとつのポイントです。
縦のコミュニケーション変化がもたらす組織の未来
別役様:成果は明らかでした。すでに約120名が受講していますが、上司視点では部下一人ひとりの個性や適性を把握できるようになったので的確な指導ができますし、部下視点から見ればキャリアも含めて上司に相談できる環境が確保されました。
杓子定規な研修ではなく、当社の勤務形態や内部の状況を把握したうえで、受講者が自分ごととして吸収できるような研修プログラムにカスタマイズしてくれたおかげで、上司教育の継続化や習慣化のめどが立ち、人事部として、とてもありがたい成果となりました。この新たな縦のコミュニケーションが循環することで、人材の定着率も高まり、より多くの社員が組織でより活躍していく未来が描けるようになっていくと感じています。
研修当日は、栗川さんもサポートとして協力してくださり、研修の様子などを見ながら、これを通してさらに当社への理解を深め、ネクストアクションとして何が必要か?を考え、また一歩先を照らす提案につなげてくれています。こういった姿勢も私たちとしては大変心強いですね。

04[事例2] 健康は全ての原点。多忙な環境だからこその人的資本投資
別役様:人的資本経営を進めるうえで重要な健康経営に関しても、パーソルテンプスタッフから的確なご提案をいただきました。
当社の人事ポリシーは、フェアであることと、人と組織がWin-Winであることです。これは、従業員が生き生きと働いてこそ企業運営もうまくいくという考えがもとになっています。
また、労働人口が減少する中、従業員に長く働いてもらうことも重要ですし、将来的にはシニアの活躍も期待される中で、健康へのケアは全ての基本であると考えています。こうした問題意識を背景に、当社では2023年秋に健康経営を宣言しました。
当社は飲食業なので、お客さまに提供するものは、社員自身ももちろん試食しなくてはなりませんので、当然食べる機会・量が多くなりがちです。また、働き方においても、深夜営業によって勤務時間が不規則になることがあります。これまでは、サービスの特性上、仕方ない・・と考えていた部分もありましたが、コロナ禍などを経て、本当にそれでよいのか?と立ち止まっていたタイミングで、栗川さんから健康経営を推進するための具体的な提案をいただきました。タイミングとしても非常に絶妙で驚きましたが、それだけよく当社や業界の動きをよく読み取ってくださっているということだと思います。
栗川:私からご提案したのは、パーソルビジネスプロセスデザインが提供している「ヘルスケアサービス(※2)」です。パーソルビジネスプロセスデザインに松屋フーズHD様の現状を伝え、どんな支援ができるのか、その結果どのような成果が上がるのかを綿密に検討したうえでご提案しました。導入に際しては、一気に全てを始めるという進め方ではなく、松屋フーズHD様の各部門の方々の状況、考え方などを踏まえながら、どのような導入の仕方が最善かを模索し、段階を経た導入・浸透を心がけました。
*2 パーソルビジネスプロセスデザインが提供する「ヘルスケアサービス」
特定保健指導サービス、健康診断支援サービス、健康経営コンサルティングサービス等。ヘルスケア領域における多様なソリューションのこと。
別役様:健康経営はスタートしたばかりなので、成果は今後に期待しているところですが、導入について柔軟な提案をいただいたのもポイントだったと思います。さらに、人事の考えを社内で実現する過程もサポートしていただけるので、本音ベースで相談できるのもありがたく感じています。導入に際しても、大上段で最初から一気に進めるのが難しい状況などを加味して、こういうステップでやったらどうか?と、社内での案を通すプロセスも事例を教えてくれるなど細かい部分まで配慮いただけた点も大きく評価しています。
05パーソルテンプスタッフへの期待
外国人活用の進化や、科学的人事にも挑戦
別役様:栗川さんからは、当社の課題を的確に把握したうえで提案していただけるので満足度は高いです。
約150社ものグループ企業がありながら、組織が縦割りでなくしっかりと連携がとれているため、スピード感もありますし、複数社が商談に同席されるときでも、事前の情報共有がしっかりなされているため提案にブレがありません。これも窓口を担う戦略営業課のハンドリングが的確だからだと感じています。
今後、パーソルテンプスタッフのサポートで期待しているのが、外国人活用とAIを活用した科学的人事です。
外国人活用については、当社は店舗スタッフを確保するために以前からダイバーシティ採用を先行させてきました。そういう意味では、外国人もシニアも女性も採用や育成の仕組みはすでに整っています。ただ、外国人の場合は、生活のサポートや育成後の定着も含めてスキーム化し、採用から活躍までのフェーズを一気通貫で考える必要があります。このスキーム化を進めるうえで、ロードマップの作成やフェーズごとの施策の整理など、パーソルテンプスタッフとグループ会社のパーソルグローバルワークフォースにお手伝いをいただいているところです。
AIを活用した科学的人事は、これまで経験や勘に頼ってきた人材配置にAIを取り入れる試みです。最終的な判断は人が行いますが、適材適所の精度を高めることで、当社のポリシーであるフェアな人事に近づけたいという狙いがあります。
佐々木:科学的人事で提案しているのは、パーソルグループが投資をしている企業で提供しているソリューションです。正式にはパーソルグループではないのですが、最も重要なのはお客さまの課題を解決することなので、パーソルグループの内外を問わず連携し、最適な提案ができるよう心がけています。
別役様:そうした柔軟な対応が戦略営業課の魅力なので、今後も当社の課題に踏み込んだ提案やサポートを期待しています。

06営業担当者からのコメント
栗川:松屋フーズHD様を担当するようになり、人事部の皆さまと接する中で、「フェアであること」「人と組織がWin-Winであること」というポリシーを本気で実現されようとしているのを感じます。別役様も、人事を通して会社の未来を良くするにはどうすればいいか、従業員が長く生き生きと活躍するにはどうしたらいいかを常に考えていらっしゃるので、ちょっとした雑談をする中でもそうした思いがあふれています。
その思いを形にすることに貢献するのが、私たち戦略営業課のミッションですし、やりがいでもあると思っています。また、私自身、松屋フーズHD様を担当する前から、一消費者として松屋を利用しています。飲食業界が変革期を迎えている中、パーソルグループの窓口として、そして松屋ファンとして、別役様をはじめ松屋フーズHD人事部の皆さまの思いを実現するエンジンを提供できればと考えています。
(営業担当:営業推進本部 ビジネスパートナー部 戦略営業課 栗川 成美)

左から、パーソルテンプスタッフ戦略営業課 佐々木、松屋フーズHD 別役様、パーソルテンプスタッフ戦略営業課 栗川
07株式会社松屋フーズホールディングス様の最新情報がわかる!
※写真は株式会社松屋フーズホールディングスの許可を得て撮影しています。
※2024年8月時点の取材にもとづき掲載しています。
取材協力

株式会社松屋フーズホールディングス
人事部長
別役 建治様
大手小売会社、外資系人事コンサルティング会社を経て2002年(株)松屋フーズ(※)に入社、人事部着任。人事制度・評価制度設計、制度運営、要員計画、人材配置、昇降格等の人事企画・人事政策業務及び労務政策業務を主管し、人材開発、福利厚生など人事関連全般を管轄する。会社の成長戦略・事業展開にリンクした「戦略人事」を志向中で、AIを活用したタレントマネジメントにも取り組み中。
(※ 現 松屋フーズホールディングス)
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