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サテライトオフィスとは?はたらき方の多様化を支えるメリットをご紹介

公開日:2024.06.14

更新日:2025.04.11

企業の課題

働き方改革や新型コロナウイルス感染症の影響で、はたらき方の多様化が浸透し、リモートワークも定着してきました。リモートワークを行う一つの方法として、自宅以外の場所を提供する、それが「サテライトオフィス」です。サテライトオフィスは、導入する企業とはたらく社員へのメリットはもちろん、開設した地域にもよい影響を与えることが期待されます。サテライトオフィスが広まっている背景や、メリットと留意点、導入事例などを解説します。

サテライトオフィスとは

サテライトオフィスとは、企業や団体の本社などの拠点から離れたオフィスを指します。衛星(サテライト)のように拠点から離れている場所という意味を持ちます。

働き方改革やはたらき方の多様化が進むと、テレワークが各社に浸透するようになり、オフィスのあり方を見直す企業が増えたといわれます。サテライトオフィスは、オフィスでもなく、自宅でもない、「第3のワークプレイス」として、注目されるようになっています。

支社や支店との違い

支社や支店は、企業の主要な業務を担当し、そのエリアでの市場開拓などを目的としています。一方、サテライトオフィスは、社員のはたらきやすさ向上の目的で設置され、特定のプロジェクトやチーム、リモートワーカーに向けた拠点です。

サテライトオフィスの種類

自社の業務内容や社員のニーズに合わせて、最適なサテライトオフィスの形態を検討することが重要です。サテライトオフィスの種類は、「都市型」「郊外型」「地方型」の3つに分けられます。それぞれの違いはどこにあるのか解説します。

都市型サテライトオフィス

都市部に設置されるサテライトオフィスです。交通アクセスがよく、ビジネスネットワークやクライアントとの接触が重要な営業活動中の外出先の業務拠点として活用することができます。外出先からオフィスまで移動する時間を短縮できるため、業務の効率化に役立ちます。

郊外型サテライトオフィス

ベッドタウンの駅周辺に設置されるサテライトオフィスです。主に都市部に本社がある企業が社員の「職住近接」のため設置する場合が多いといえます。通勤時間の短縮や、育児・介護と仕事との両立のサポートをし、社員の多様なはたらき方を実現します。

地方型サテライトオフィス

都市部に本社がある企業が、地方に設置するサテライトオフィスです。国が地方創生やオフィス分散化を呼びかけ、地方におけるサテライトオフィス開設・誘致に取り組んでいます。地方の雇用促進、地方への円滑な情報提供、都市部への機能一極化による災害リスク回避などを目的として設置されています。

サテライトオフィスが注目されている背景

企業が続々とテレワークを導入する中で、その定着を目的とした取り組みの一つがサテライトオフィスです。社員のワークライフバランスの実現をサポートしたいと考える企業が、サテライトオフィスの設置を検討したり、実際に導入したりしています。

現在の住まいからサテライトオフィスに出勤して業務を行い、通勤時間を短縮するという使い方はもちろん、地方に設置したサテライトオフィスの近くに社員が移住するという選択肢もあります。サテライトオフィスは、企業の働き方改革を進めるための、有効な手段の一つと言えるでしょう。

はたらき方の多様化

育児や介護、家庭の事情で、フルタイムではたらけない社員や、フリーランスや業務委託など、それぞれの事情やライフスタイルに合ったはたらき方を求める動きが出てきています。リモートワークなどの普及などはたらき方が多様化しており、ニーズに応えるかたちでサテライトオフィスが広まっていると言えます。

ダイバーシティについては、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>ダイバーシティとは?必要性や取り組み事例などをご紹介

新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大も、サテライトオフィスの拡大に大きな影響を与えたと考えられます。いわゆる「密」になる状態を避けるためや、自宅でリモートワークをするスペースがない社員のはたらく場所の確保が急きょ必要となりました。

人材確保競争の激化

社員にとって、サテライトオフィスがあることは魅力の一つとなりえます。柔軟なはたらき方が実際にできることや、それに取り組んでいる企業の姿勢は、他社との差別化の要因になるでしょう。サテライトオフィスの導入は、人材を引き寄せる手段の一つとして注目されています。

地域社会への貢献

地方へのサテライトオフィスの設置は、地域社会にも大きく貢献します。地域社会との連携を強化し、地元の経済に貢献する手段としても、サテライトオフィスの導入は有効と考えられています。企業が地域に拠点を構えることで、地元の雇用やビジネス活動の促進が期待されるのです。

サテライトオフィスを導入するメリット

サテライトオフィスは企業にとって、柔軟性の向上、効率性アップ、社員の満足度向上など、さまざまな利点をもたらします。

生産性の向上

社員の通勤時間を削減することは、生産性向上に寄与するでしょう。本来、移動や通勤時間に割いていた時間で業務を行うことが可能です。さらに通勤時間が短縮されるだけではなく、通勤ストレスが軽減し、はたらきやすさ向上にもつながります。

生産性の向上については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>生産性向上の重要性とは?目的や具体的な施策、助成金制度を徹底解説

コスト削減

オフィス賃料などのコスト削減にも貢献します。一般的にオフィスの賃料は、都市部に比べると郊外や地方が割安です。このため、都市部のオフィスの見直しをすることにより都市部で使用する賃料を削減し、より賃料の安価な地方や郊外にサテライトオフィスを設けて、固定費削減が期待できます。その他にも、サテライトオフィス導入によって、社員の交通費や残業代などの人件費を削減することも可能でしょう。

コスト削減については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>コスト削減とは?発生するコストごとに具体的な施策をご紹介

離職の防止・人材の確保

サテライトオフィスの導入により、これまで育児・介護などの理由で退職・休職しなければならなかった社員の離職を防止できます。さらに「職住近接」の実現により、人材の流出を防ぐことにもつながります。その他、通勤ストレスの軽減、通勤時間の削減、柔軟な労働条件の享受などは、社員にとっても大きな魅力です。また、これまで採用が難しかった地方の人材を確保することも可能になります。企業と社員双方にとっても、はたらき続けるための有効な手段と言えます。

地域との連携・ブランド強化

サテライトオフィスを設置した地域の、認知度向上なども期待できます。地域社会への貢献や連携活動は、当該企業へのポジティブなイメージを構築し、地元の人材が企業に対して興味を抱くきっかけにもなるため、地域にとっても企業にとってもメリットがあると言えます。

BCP(事業継続計画)対策の強化

拠点を複数持つことや地域を分散することは、災害時や緊急時のBCP(事業継続計画)の一環にもなります。一つの拠点で災害などが発生し業務が行えなくなった場合も、他拠点を活用できるため、業務の停止などを最小限に抑えることができます。

BCPについては、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>BCP対策(事業継続計画)とは?目的や策定の流れを解説

サテライトオフィスを導入する際の留意点と対策

サテライトオフィスを導入し活用する際には、どのようなことが留意点として挙げられるのでしょうか。主な留意点とその対策について解説します。

対面でのコミュニケーションが減少する

リモートワークを導入すると、対面でのコミュニケーションが減少する可能性があります。円滑なコミュニケーションを確保するため、適切なコミュニケーションツールやルールを導入することが有効です。定期的なオフサイトミーティング、社内イベントや交流プログラムの実施を行うようにしましょう。

業務の効率性を維持する必要がある

サテライトオフィスでは作業環境の差異、情報の不透明性やタスク管理の難しさなどの留意点も発生します。これが業務効率の低下や、モチベーションの低下につながる可能性もあります。対策としては、組織やチーム内で業務がどのように行われているかなどの透明性の確保、タスク管理ツールの導入、進捗モニタリングの徹底、業務プロセスのデジタル化などが挙げられます。サテライトオフィスを適切に運営しないと、かえって非効率になる場合も考えられます。あらかじめどのような対策を取るべきか検討することが必要です。

業務効率化については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>業務効率化とは?手順と成功のポイント、注意点、活用ツールを解説

セキュリティの強化が必要になる

本社や支社と同様、セキュリティの管理も徹底する必要があります。サテライトオフィス導入前に、セキュリティトレーニングの実施、デバイス管理ポリシーの策定など、セキュリティポリシーの徹底と監査の実施する必要があるでしょう。データ保護やネットワークセキュリティをきちんと管理し、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが重要です。

サテライトオフィスの導入事例

サテライトオフィスを導入した事例にはどのようなものがあるのでしょうか。事例をご紹介します。

渋谷区に官民連携のオープンイノベーション拠点を開設した事例

「Shibuya Inclusion Base Jinnan」は、パーソルテンプスタッフや渋谷区を含む共同運営企業6者が開設したスタートアップのオープンイノベーション拠点です。この拠点は官民連携によるスタートアップのオープンイノベーション拠点として共同運営企業6者で連携して運用をすることで、より多様なチャレンジが生まれることを目的として誕生しました。

共同運営企業および共同運営企業が選出するスタートアップの担当者もサテライトオフィスとして利用することができます。多様な業種にまたがる共同運営企業同士の連携および新規事業創造、スタートアップと共同運営企業の連携による新規事業開発、スタートアップ同士の連携の促進をし、この拠点での日常の気軽なコミュニケーションを通じた新規事業創造などをめざしています。

渋谷区に官民連携のオープンイノベーション拠点を開設した事例について、詳しくはこちらでご覧ください。

サテライトオフィスを導入するメリットや留意点について知る

サテライトオフィスは、コストの削減や人材の流出防止、生産性の向上といった大きなメリットがある一方で、当然オフィス環境を作って終わりではなく、運用を続けていくための管理をする必要があることも理解した上で導入するようにしましょう。対面でのコミュニケーション不足も課題となるため、サテライトオフィスでのコミュニケーションを高める工夫も必要です。

また、パーソルテンプスタッフでは、派遣スタッフが在宅勤務に必要なノートパソコンやWi-Fiなどの機器の貸し出しや、労務管理ツールも合わせて提供する在宅派遣のサービス「りもーとテンプ」を行っています。在宅勤務のため通勤時間を気にせず、より多くのスタッフの中から求めるスキルのスタッフをご紹介できますのでご気軽にご相談ください。

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