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コスト削減とは?発生するコストごとに具体的な施策をご紹介

公開日:2022.12.16

更新日:2024.03.28

企業の課題

コスト削減に取り組むことで、利益率の向上や経営資源の選択と集中ができるなど、さまざまな効果を得ることができます。

しかし、コスト削減といっても何を削減すればいいのか、どのように進めればいいのかなど、悩みや疑問をお持ちの方も多いでしょう。

本記事では、企業におけるコストの種類や、コスト削減で得られるメリット、コストごとの具体的な施策、注意点などについて詳しく解説します。

企業におけるコストの種類と内訳

企業におけるコストとは、業務を遂行する上で発生する人件費や光熱費などのさまざまな費用のことを指します。コストには、大きく分けて「固定費」と「変動費」の2種類があります。固定費と変動費は以下の表のように分類されます。

固定費の例 変動費の例
  • 人件費
  • オフィス賃料
  • 保険料
  • 水道光熱費
  • 広告宣伝費
  • 通信費
  • 消耗品費
  • 輸送費
  • 原材料費
  • 外注費

固定費

固定費とは、売上げの増減にかかわらず発生する費用を指します。例えばオフィスの賃料は、売上げがなくても、オフィスを借りていれば発生するコストのため固定費に分類されます。固定費はオフィス賃料以外にも、人件費、保険料、通信費などが挙げられます。

変動費

変動費とは、売上げや生産量の増減に比例して変動する費用のことを指します。例えば、商品をつくるための原材料費や商品を運ぶための輸送費などが変動費に分類されます。

コスト削減で得られる効果

コスト削減をすることで得られる効果は、以下の3つがあります。

  • 利益率の向上
  • 業務効率化
  • 経営資源の最適化

この章では、3つの効果について詳しく解説します。

利益率の向上

「利益=売上―コスト」のため、コスト削減は利益を増やすことにつながります。利益率の向上は、銀行から融資を受けやすくなったり、株主からの評価が上がる可能性があります。コスト削減以外にも、売上げを増やすことも利益率の向上につながります。しかし、外的な要因に左右されやすいため、利益を向上させたい場合は、売上げを増やす施策と合わせてコストを削減する施策の検討も求められます。

業務効率化

コスト削減のために業務内容の見直しも行います。例えば、慢性的に残業が発生している部門の業務フローの改善や、無駄な業務の削減などに取り組みます。その結果、コスト削減だけではなく業務効率化も促進されます。

業務効率化については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>業務効率化とは?手順と成功のポイント、注意点、活用ツールを解説

経営資源の最適化

コスト削減を行うことで、捻出できた資金を新規事業に投入したり、設備を新調するための費用として活用することができます。経営資源の最適化ができれば、競争力の強化や持続的に成長し続けられる体制づくりが可能となります。

コスト削減を実現する具体的な施策

この章では、コストの中でも大きな割合を占める4種類のコストについて、具体的な施策を交えて解説します。

  • 業務コスト
  • オフィスコスト
  • 採用・教育コスト
  • エネルギーコスト

それぞれのコストの概要と、具体的な施策を解説します。

業務コスト

業務コストには、社員の給与や残業代、出張にかかる費用などが挙げられます。業務コストの削減には、以下のような施策が考えられます。

  • 業務の無駄を省き効率化する
  • ツールやシステムの導入で出張(外出)の機会を削減する

業務の効率化は、業務の無駄を省き社員の負担が減るだけではなく、残業代の削減にもつながります。またWEB会議システムを活用することで、出張または外出の機会を抑えることができ、移動費用や宿泊費用などの出張費用も削減できます。

オフィスコスト

オフィスの賃料、複合機のリース代金、備品の購入代金などがオフィスコストとなります。オフィスコストの削減には、以下3つの施策が効果的です。

  • テレワークの導入
  • ペーパーレス化の推進
  • 通信費などの定期的な見直し

テレワークを導入することで出社人数を抑え、出社人数に見合ったオフィスへ変更すれば、オフィス賃料の削減が可能です。また、ペーパーレス化を導入できれば、複合機のリース代やトナー代金の削減、書類管理にかかわる業務コストも抑えられます。

通信費などの固定費は定期的に見直し、最適なプランに切り替えることで、費用を抑えられる場合もあります。

採用・教育コスト

社員を採用する場合、採用コストと教育コストの2つのコストが発生します。採用コストは、求人サイトへの掲載料、人材紹介会社への紹介料などがあります。教育コストは、採用した社員の研修費用などがあります。採用・教育コストの削減には、以下のような施策例が挙げられます。

  • 採用業務を効率化する
  • 採用する手法を見直す
  • 社員の定着率を上げる

採用代行などを活用し採用業務を効率化することで、採用にかかわる社員の負担を軽減しつつ、採用にかかっていた人件費の削減にもつながります。また、外部企業のノウハウを取り入れることができるため、コスト削減と併せて採用力を強化したい場合に適しています。

採用手法の見直しも採用コストの削減に効果的です。掲載料を抑えられる求人サイトへの掲載に切り替えたり、社員の紹介で人材を採用する「リファラル採用」を取り入れることで、採用コストの削減が可能です。

さらに、社員の定着率を上げることは、社員の退職に伴う新たな人材の採用・教育にかかる工数やコストが減り、教育機会の最適化につながります。人の入れ替わりが激しい場合、中長期的なキャリアプランを見据えた研修や人材配置ができず、社員のパフォーマンス向上につなげることができません。定着率が上がることで、最適なタイミングで必要な研修や業務の割り振りが行えます。

定着率を上げるためには、社員が働きやすい制度や環境づくりをすることなども必要です。

採用コストについては、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>採用コストとは?相場や削減方法について徹底解説

エネルギーコスト

エネルギーコストとは、主にオフィスや工場などで発生する水道光熱費のことを指します。以下は、エネルギーコストの削減例です。

  • テレワークを推奨する
  • 企業全体で省エネ製品を導入する
  • エアコンの設定温度を変更する

テレワークを推奨することで、出社人数を減らせるためオフィスの水道光熱費の削減につながります。また、オフィスや工場の照明・機器などをエネルギー効率のよい省エネ製品に変更したり、エアコンの温度を調整したりすることも効果的です。エアコンの温度を管理する場合は、社員が体調不良や集中力の低下を招かないように配慮する必要があります。

コスト削減に取り組む際の注意点

コスト削減のために過度な施策をしてしまうと、生産性や品質、社員のモチベーションの低下など、さまざまな方面に悪影響を与えてしまうリスクがあります。コスト削減をする際は、以下の3点に注意した上で取り組むことが重要です。

  • 生産性が下がらないか
  • 品質が下がらないか
  • モチベーションが下がらないか

生産性が下がらないか

生産性を下げてしまうコスト削減には、下記のような例が挙げられます。

  • 研究費用の削減
  • パソコンや設備のスペックを下げる
  • 設備や機械のメンテナンス費用の削減

上記のようなコスト削減は、作業に時間がかかったり、故障してしまう可能性があります。また、研究費用の削減は、競合他社との差別化ができず企業の成長を阻害してしまうリスクがあります。

コスト削減も大切ですが、中長期的にどのような影響があるのかを考慮した上で具体的な施策を選ぶとよいでしょう。

生産性向上については、こちらの記事でさらに詳しくご説明しています。
>>生産性向上の重要性とは?目的や具体的な施策、助成金制度を徹底解説

品質が下がらないか

品質低下につながるコスト削減として、下記のような例が挙げられます。

  • 原材料の質を下げる
  • 生産工程の過度な簡略化

上記のようなコスト削減を行うと、仕様通りに完成しない、ミスに気付きにくくなるなど、結果的に品質管理にかかる工数が増える可能性があります。品質の低下は、自社の信用を著しく下げてしまうリスクもあるので、コスト削減を行う前にどのような影響があるか十分に考慮しましょう。

モチベーションが下がらないか

モチベーションを下げてしまうコスト削減には、下記のような例が挙げられます。

  • 教育費の削減
  • 福利厚生費の削減
  • 大幅な人件費削減

社員のモチベーションが下がってしまうと、離職につながることも考えられます。そのため、人材に直結するようなコスト削減は特に注意が必要です。

コスト削減は働きやすい企業づくりにもつながる

コスト削減は、企業の利益率の向上や削減したコストを強化したい事業に投資することで、経営資源の最適化につながり企業価値を創出できるなど、さまざまな効果が得られます。コスト削減の具体的な施策には、業務効率化や社員の定着率を向上させる施策などがあり、コスト削減を通して働きやすい組織づくりにもつながります。

ただし、過度なコスト削減は社員のモチベーションや生産性、品質を下げる可能性があります。コスト削減に取り組む際は、注意点も理解した上で施策を検討しましょう。

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