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【ナレッジコラム】
成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方vol.006
成長する企業の人事評価と企業文化

公開日:2024.02.13

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【ナレッジコラム】 成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方vol.006 成長する企業の人事評価と企業文化

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

さまざまなHRエキスパートによるナレッジをお伝えするコンテンツ『ナレッジコラム』。
株式会社RECOMO 代表取締役CEOの橋本 祐造氏による「人事組織戦略」についてのメッセージを6回連載でお届けします。

成長する企業の人事評価と企業文化

成長企業の経営における人材の重要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速に伴い、IT人材やデータサイエンティストといったデジタル人材への獲得競争が企業間で激化しています。一方で、リモートワークの定着により人材市場が多様化、グローバル化しつつあり、競合他社、外資系企業との人材獲得競争も一段と厳しさを増しています。

成長著しいスタートアップ・ベンチャー各社は、こうしたデジタル人材やグローバル人材の採用に力を入れており、大手企業も事業拡大に伴う人材不足への対応が急務となっています。好景気と人手不足が重なる中、成長企業にとって最大の経営課題が「人材の確保と定着」であることは間違いないと言えます。

しかし他方で、事業拡大に伴う組織の肥大化は、コミュニケーションコストの高騰や業務プロセスの非効率化というあらたな課題も生み出します。このような課題にどう対処していくかで企業競争力の優劣を大きく左右するため、そこで重要な役割を担うのが人事評価と企業文化です。

成長に応じた人事評価の戦略的構築

人事評価は、個々の従業員の仕事ぶりや成果を判断するための基準として設定されます。評価結果は賃金や昇進といったインセンティブに直結する一方、企業文化や理念の共有を後押しする効果もあります。

成長企業では業績重視の結果主義的な評価基準を設けるケースが多くみられます。しかし、協調性や創造性といった定性評価の側面も軽視はできません。業績とともにこれらを加味した「マトリックス型人事評価」を導入する動きが注目されており、営業成績とともに育成研修への参加度やプロジェクト遂行能力を評価軸に加えることで、自社の企業文化や理念を体現した人材育成が可能になります。

企業文化醸成のための人事施策

企業文化醸成のための人事施策もまた重要です。採用時のトレーニングや階層別研修を通じて、企業理念とビジョンの伝達・共有をすること、また社内にコミュニケーションツールを設置して自由な意見交換を促したり、新入社員と役員が直接対話できる懇談会を定期的に開くことも効果的です。

加えて、社内コミュニケーション活性化のため、全社会や交流会だけでなく、趣味活動のサークル支援など、社員同士が気軽に交流できる機会を多角的に設けることも有効な施策です。これによって社員間の人的ネットワークが構築され、仕事上の情報共有も活発になります。また、社員が自主的に関わる活動を支援すること自体が、自主性重視の企業文化醸成につながっていくでしょう。

ただし、こうした施策が単なる形式主義化することのないよう、常に見直しと改善を怠らないことがポイントです。時代に合わせた最適化を図りながら、リーダーが自ら模範を示すことで、闊達かったつで理念支配の強い組織を築いていくことができます。

人事評価と企業文化で強固な組織を

これまで見てきたように、現在の市場では激化する人材獲得競争下にあり、成長企業にとって人事評価と企業文化は戦略的に活用し得る組織力の源泉であると言えます。業績中心と協調性・創造性を適切に組み合わせた人事評価、そして自主性尊重のもとで理念浸透を図る企業文化が相まって、強固な組織基盤が構築されます。

事業を持続的に拡大していくために必要なのは、単に組織を量的に成長させることではありません。むしろ社員一人ひとりの能力と才能を最大限に発揮させ、イノベーションを効率良く生み出すことができる「強い組織」を理念から構築することが肝要であり、その鍵を握るのが人事評価と企業文化です。成長企業にとって、こうした戦略的な活用が成功の分岐点となると言えるでしょう。

企業が成長しつづけていくために必要不可欠である人事組織戦略。これらを分解し、採用から育成、評価それぞれを最大化させていくためのナレッジを6回連載でお届けしました。時代の変化にあわせ、日々アップデートしつづけなければならない人事組織戦略において、皆さまのヒントになれば幸いです。連載のバックナンバーもぜひご覧ください。

▼バックナンバーはこちら
vol.001:成長する企業に中長期で人事組織戦略が必要な理由
vol.002:“理念”から丁寧に組織づくりする重要性
vol.003:中長期の人事組織戦略を作るコツ
vol.004:経営幹部の採用とオンボーディング
vol.005:成長する企業が実践する人材育成の4つのポイント

Profile

RECOMO 橋本 祐造 氏

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局。営業職として約3年間従事。その後、人事コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社でグループ人事部にて採用担当・フォロー担当を行う。以来、複数の会社で人材採用の戦略・方針・実行および人材育成プログラムの策定に携わる。2019年4月に株式会社RECOMOを創業。理念・パーパスは「人の可能性・価値が最大に広がる社会を創ること」。経営者と二人三脚になって、未来のありたい姿を実現するための人事・組織戦略を構築、実行体制の整備を行う。

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