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【ナレッジコラム】
成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方 vol.001
成長する企業に中長期で人事組織戦略が必要な理由

公開日:2023.06.12

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【ナレッジコラム】 成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方 vol.001 成長する企業に中長期で人事組織戦略が必要な理由

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

さまざまなHRエキスパートによるナレッジをお伝えするコンテンツ『ナレッジコラム』。
株式会社RECOMO 代表取締役CEOの橋本 祐造氏による「人事組織戦略」についてのメッセージを6回連載でお届けします。

成長する企業に中長期で人事組織戦略が必要な理由

1. 「魚も会社も頭から腐る」という格言

いきなりですがビジネス上でよく言われる格言があります。それは「魚も会社も頭から腐る」というもので、魚は血の巡りが悪くなる(なくなる)ことで体が腐っていくことを表しており、これは人が集まる会社・組織でも起きうる事象です。会社・組織で言うなら経営陣、管理職、メンバーでの血の巡りとは、対話・コミュニケーションを指します。適切なタイミング、適切な量で、各階層で対話がされていない会社・組織は、文字通り「頭から腐る」現象になり、時間の経過と共に組織は崩壊していってしまいます。こうした状況にならないために、経営者や管理職、人事責任者は人事組織戦略で何を捉えて、どう考え行動していけばよいのか、こちらの連載コラムにてお伝えしていきます。

2. 成長する企業の経営者を想像してみる

最初に質問です。あなたが思う「成長する企業の経営者」とは、どのような人を指すのか、少し想像してみてください。身近の経営者、本やメディアなどを通して知った経営者でもよいです。ご自身が「この企業は成長する」と思う経営者のイメージはいかがでしょうか。次々に身の回りで起こる課題や悩みを解決すべく、経営者が右往左往しながら社内を駆け回っている姿でしょうか。おそらく、あなたが想像した「成長する企業の経営者」はそうではなかったはずです。きっと会社全体の現状と未来に向けた確固たるビジョンを持っていることでしょう。そのビジョンを実現するための事業や組織、企業文化を形作るために、目先の状態より中長期のありたい姿を経営者が描き、社内外で伝え回って仲間やファンを集めていること。また描いた理念やビジョンを軸に、仲間やファンが自律的に動き回っている状態になっていること。「成長する企業の経営者」で想像した姿は、きっとこのようなものだったのではないでしょうか。

3. 経営資源の各項目の関係性

一般に企業の経営資源として「人・物・お金・情報」の4つが存在すると言われています。もちろん重要性は各項目ともにどれも最大に高くなります。ただ、これら4つの関係性を見てみると、別の角度からそれぞれの経営資源を捉えることもできます。それは、人以外の物、お金、情報は、すべて「人」が生み出し動かしているものであることです。物の戦略も、経理財務の戦略も、IT(DX)の戦略も、経営陣が率先して策定し、企業の価値を上げるために実行するケースをよく見ます。ただ、各戦略も、各項目も、中心で動かす「人」については戦略というより、「採用計画・人員計画」などの計画レベルに終始している企業を多く見ます。実は各項目の核となるものであるにも関わらず、現在から未来へ、中長期の人事戦略が立てられていないこと、また戦略があったとしても、その時々の状況に合わせて行き当りばったりで戦略がコロコロ変わるものだったりします。

4. VUCA時代だからこそ、未来をありたい姿に変えられる

今の時代は変動性、不確実性が高く、複雑で曖昧である「VUCAの時代」とよく言われます。私たちも日頃から経営者の方とお話をする中で、「変化スピードがあまりに早いので、先の未来の状態は考えても意味がなく、考えないようにしている」と思考を止めてしまう方もいるほどです。確かに社会情勢を見ても、予想もしなかったような事象・出来事が毎日起きていて、少し先の状態ですら見えにくくなっている事実はあります。ただ、先が見えにくくなっていることと、自分から「見に行かない」のとでは、大きな違いが出ます。変化スピードは確かに早まっていても、先の未来の状態を最初からイメージできていた人など、そもそもいません。むしろ逆で、変化スピードが大きくなっているからこそ、自分から「未来をありたい姿に変えられる」、こういう未来にする、と決めることができます。自分から「見に行く」ことで思いが生まれて、それが理念やビジョンにつながっていきます。むしろVUCAの時代だからこそできること、決められる範囲が多くなっています。

※ Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく変転する予測困難な状況を意味する。

5. 経営の視野・視座・視点

前述した通り、経営資源の中で「人」の役割は大きなものになってきています。それなのに、経営者も人事担当もなぜか実務面の戦術や計画のことばかりに目が向いていることが多くあります。本来は「成長する企業の経営者」として、経営資源の根幹になる「人」の戦略に着目して、中長期の人事組織戦略の策定・実行の重要性が最大に高い状態になるはずです。そのためには、常日頃から経営陣はもちろん、チームや組織をマネジメントする管理職も、「経営の視野・視座・視点」の力を磨いておく必要があります。まず、視野の広さが重要です。経営が1年先までしか見ていなければ、現場では今日、明日の話がメインになります。経営は最低でも3年、できれば5年、10年先のありたい状態を描いて、発信するようになっていることが理想です。次に、経営の視座は高さについて指し、経営が最も現場に近い場所でお客さまの声を聞くのは重要なことです。ただ、経営者が経営の視座を持って、大局的に物事を捉え、中長期で戦略を立てることは必要不可欠です。最後に、経営の視点の多さも重要な要素の一つです。起きる事象を多面的に捉えた上で、自分たちの理念やビジョンから丁寧に考えてみることで、適切な戦略を策定・実行することができます。

Profile

RECOMO 橋本 祐造 氏

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局。営業職として約3年間従事。その後、人事コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社でグループ人事部にて採用担当・フォロー担当を行う。以来、複数の会社で人材採用の戦略・方針・実行および人材育成プログラムの策定に携わる。2019年4月に株式会社RECOMOを創業。理念・パーパスは「人の可能性・価値が最大に広がる社会を創ること」。経営者と二人三脚になって、未来のありたい姿を実現するための人事・組織戦略を構築、実行体制の整備を行う。

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