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【ナレッジコラム】
成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方vol.005
成長する企業の人材育成を考える

公開日:2023.12.11

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【ナレッジコラム】 成長する企業に求められる中長期の人事組織戦略の重要性、作り方、活かし方vol.005 成長する企業の人材育成を考える

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

さまざまなHRエキスパートによるナレッジをお伝えするコンテンツ『ナレッジコラム』。
株式会社RECOMO 代表取締役CEOの橋本 祐造氏による「人事組織戦略」についてのメッセージを6回連載でお届けします。

成長する企業が実践する人材育成の4つのポイント

経営者が企業の人材育成の戦略を考えることは、成長戦略を実現する上で欠かすことのできない要素です。しかし、人材育成には多くの課題や困難があります。どのような人材を育てるべきか、どのように育てるべきか、どのように評価するべきかなど、会社の状況や置かれた環境次第でさまざまな判断が求められます。ここでは、成長する企業が実践している人材育成の4つのポイントをご紹介します。

1. 理念から、丁寧に人事ポリシー・育成方針を考える

人材育成において最も重要なことは、企業の理念やビジョンに基づいて、人事ポリシーや育成方針を策定することです。理念やビジョンは、「自分たちは何者なのか?」「自分たちはどこに向かっているのか?」「自分たちはどうありたいのか?」という本質的な問いに対して、企業が何を目指し、何を大切にするかを示すものです。そのため、理念やビジョンに沿った人材育成を行うことで、社員の行動や価値観が統一され、組織の一体感が高まり、方向性が明確になります。最初の段階で人事ポリシーや育成方針が固まっていない中で人材育成の戦略を考えると、「他社でこんなことをやっていてうまくいっているから」と他社事例の施策部分だけを参考にして「やること」だけが決まっていきます。一見すると形が整ってよいように思えますが、続ければ続けるほど会社の理念、ビジョンが描く「ありたい姿」から離れていき、自分たちらしさを見失い、人材の気持ちも併せて離れていくことになります。

2. 理想の人物像を定義する

人材育成において次に重要なことは、企業が求める理想の人物像を定義することです。理想の人物像とは、企業が将来的に目指す「ありたい姿・状態」を実現するために必要となる人材の能力やスキル、態度や姿勢などを具体的に示したものです。理想の人物像を定義することで、社員は自分がどのような人材になるべきか明確に知ることができます。また、企業は理想の人物像に沿った採用や評価、教育や研修などを行うことができます。例えば、「事業をグローバルに展開する」という理想の姿・状態を掲げている企業があったとして、単に経営者が思いを発信しているだけでは実現するはずもありません。求められる人材の能力やスキルをいくつかに分解していくようにします。「顧客志向」「グローバル志向」「チームワーク」「変革力」「リーダーシップ」など。これらのいくつか、もしくはすべてを兼ね備えているのが理想の人物像と定義するなら、既存の人材や採用基準と照らし合わせて、不足している部分を補っていく必要があります。

3. 事実ベースで現状把握する

人材育成においてさらに重要なことは、事実ベースで現状を把握することです。事実ベースとは、客観的なデータや証拠に基づいて判断することを指します。事実ベースで現状を把握することで、社員の能力やスキル、パフォーマンスや成果などを正確に評価することができます。また、人材育成における課題や改善点、優先順位などを明らかにすることも可能です。これはさまざまな企業で頻繁に起きることですが、マネージャーなどの管理層からみた人材や仕事に対する評価基準、判断軸が社内でバラバラになっているため、評価された部分だけをみても部下の現状を事実ベースで判断することはできません。個別に面談をすることで状況を確認したり、周囲から情報を聞いておくことで社員の能力やスキル、パフォーマンスや成果など、全体観を持って把握することができます。

4. 育成戦略の優先順位付けをする

人材育成において最後に重要なことは、育成戦略の優先順位付けをすることです。育成戦略とは、企業が目指す理想の人物像に近づくために行う教育や研修などの具体的な取り組みです。育成戦略の優先順位付けとは、育成戦略の中で最も重要かつ効果的なものを選ぶことです。そうすることで、社員は自分がどのような教育や研修を受けるべきか明確に知ることができ、企業は人材育成における投資効果やROI(投資利益率)を高めることができます。企業が考える理想の人物像に近づいて欲しい、という企業側の思いはありつつも、根本的には自身が考える理想の人物像に近づくために努力したい、という思いを反映させる形にすることが、育成戦略を進める上で最も重要なことになります。

人材育成は、企業が目指す理想の人物像に近づくために行われるべきです。そのためには、理念から丁寧に人事ポリシー、育成方針を考える、理想の人物像を定義すること、事実ベースで現状把握をすること、そして育成戦略の優先順位付けをすることが大切です。これらのポイントを実践することで、社員は自ら学び続ける能力や問題解決能力を身に付け、企業の成長に貢献できる人材へと成長していくでしょう。

RECOMO橋本 祐造 氏

株式会社RECOMO 代表取締役CEO
橋本 祐造 氏

1978年生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、NHKに入局。営業職として約3年間従事。その後、人事コンサルティング会社を経て、GMOインターネット株式会社でグループ人事部にて採用担当・フォロー担当を行う。以来、複数の会社で人材採用の戦略・方針・実行および人材育成プログラムの策定に携わる。2019年4月に株式会社RECOMOを創業。理念・パーパスは「人の可能性・価値が最大に広がる社会を創ること」。経営者と二人三脚になって、未来のありたい姿を実現するための人事・組織戦略を構築、実行体制の整備を行う。

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