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DXに失敗しないために企業や自治体が取り組むべきことをご紹介

公開日:2023.12.25

更新日:2024.01.29

企業の課題

テクノロジーの発展や世界情勢の変化などに伴い、事業方針にも柔軟性が求められています。こうした状況に対応するために推奨されている取り組みがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXとはデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革することを意味します。

多くの企業がDX化に向けて取り組んでいますが、失敗するケースも少なくありません。特に、自治体のDX化は民間企業と比較して遅れているのが現状です。なぜ自治体のDX化は失敗しやすいのか、その原因や失敗しないための取り組みについてご紹介します。DX推進を検討している方はぜひご一読ください。

多くの企業や自治体がDXに失敗・苦戦している

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、事業方針のデジタル化を考える企業が徐々に増えています。株式会社東京商工リサーチが実施した「中小企業のデジタル化と情報資産の活用に関するアンケート」では、新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年の時点で、事業方針におけるデジタル化の優先順位が高いと考えている企業が9.1%だったのに対し、2021年の時点では20.9%、さらに収束後を想定した場合の優先順位は25.1%という結果が出ています。

デジタル化を重要視する考えが高まる中、スムーズに取り組めている企業は依然として少ないのが現状です。一般社団法人日本情報システムユーザー協会(JUAS)が行った「企業IT動向調査報告書2023」によると、DXの必要性を理解している企業が7割を占めているのに対し、実際に成果が出ていると回答した企業は1割未満に留まっています。

また、2023年4月に総務省がまとめた「?治体DX・情報化推進概要」では、地方公共団体における行政手続きのオンライン化について、2022年度の段階で申請・届出など?続きに関するシステムを導入した市区町村は全体の75.8%という結果でした。比較的高い導入率であり、都道府県単位では調査を実施したすべての団体が導入しています。

しかし、オンライン利用実績を見ると「図書館の図書貸出予約など」「?化・スポーツ施設などの利?予約」などが大半を占めており、「要介護・要?援認定の申請」「建築確認」「駐?の許可の申請」などの手続きに関するオンライン化は、ほとんどの自治体で利用に至っていません。特に介護や子育て、被災者?援関係の利用実績は低い傾向にあります。

DX推進の重要性と2025年の崖

この先、日本企業がDX推進に向けた取り組みを実施しなかった場合、2025年以降に発生する経済損失は年間最大12兆円にも上るといわれています。これが、経済産業省によって提示された「2025年の崖」であり、自治体も例外ではありません。

DXが推進される一方で、複雑化や老朽化、ブラックボックス化しやすい従来のシステムを活用し続けている企業や自治体は多いでしょう。今後、より一層多くのデータを取り扱うことが予想される中、古いシステムを通してデータを活用し事業を続けることは困難です。また、システムの運用や保守を担う人材が不足し、業務基盤を維持していくことも難しくなるでしょう。その他、セキュリティ問題や災害によるシステムトラブルなどのリスクが高まる可能性もあります。

IT市場が大きく変化する中で、企業の成長だけでなく日本経済を円滑に回していくためにも、DXは非常に重要なポイントです。

参考出典: 経済産業省|DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

なぜ日本ではDXが進まないのか?DXが失敗する6つの原因

スイスのビジネススクールIMDが2022年に発表した「世界デジタル競争力ランキング」において、対象63ヶ国のうち日本は29位でした。これは2017年以来の最低ランクであり、日本におけるDXの進捗具合は世界と比較しても遅いことが分かります。

日本でDXが進まない主な理由として挙げられるのが以下の6つです。それぞれの原因について解説します。

組織のトップがDXの目的を理解していない

DXが進まない大きな原因の一つが組織の上に立つ層の理解度です。DXが推奨されているからという理由だけで取り組んでも、目的を理解していなければ的確な施策が立てられません。また、DX化に向けて新しいシステムを取り入れただけでは、思うように活用できず失敗に終わる場合もあるでしょう。

DXを進める目的は、単純に業務を効率化するだけではありません。古い体制を刷新し、IT化する社会を踏まえて組織全体を変革することが目的です。組織をまとめる立場にある役職者はなぜDXを推進するのかを理解した上で、結果的にどのようなメリットが得られるのかを社員に説明する必要があります。

組織内でDXを推進するビジョン・目的が明確になっていない

DXを推進するためのビジョンや目的が定まっていない点も、失敗する原因の一つです。DXの大きな目的は組織全体の変革ですが、そのために解決するべき課題は状況によって異なります。DXを進めても、課題改善につながる取り組みでなければ思うような成果は得られないでしょう。

例えば、「コミュニケーション不足」や「業務効率が悪い」など組織が抱える課題を洗い出し、解決に向けた具体的な施策を検討することが大切です。

DX人材が不足している

DX推進に向けたビジョンや目的を経営層が理解しておくことは重要ですが、実際に現場で対応する人材が不足していてはスムーズに実行できません。デジタルに関する知識やスキルがあり、経験値の高い人材が不可欠です。

しかし、どの業界においてもデジタル技術に長けた人材が不足している状況にあります。内閣官房が2022年12月23日に閣議決定した「デジタル田園都市国家構想総合戦略」では、デジタル社会を推進するために必要な人材を330万人と推計しています。しかし、2022年時点における情報処理・通信技術者の数は100万人です。こうした現状を受けて、2024年度末までに年間45万人のデジタル人材を育成する体制を構築し、2026年度末までには2022年との差分である230万人の育成を政府全体で実現するという目標を掲げています。

また、すでにデジタルに長けた人材を雇用していながら、そのポテンシャルを雇用側が活用しきれていないケースも少なくありません。現場を担う人材のスキルを把握し適したポジションに再配置することで、DXを推進しやすくなります。

企業におけるデジタル人材不足の解決方法については、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>デジタル人材の不足を解決する方法|採用・育成以外の選択肢も解説

DX推進に向けたインフラ・環境が整っていない

組織内のインフラや環境整備が遅れていては思うようにDXを進められません。例えばDXを実現するためにはデジタル化や自動化への切り替えが必要ですが、いまだに紙媒体での作業がベースとなっている企業や自治体は多いでしょう。スムーズにDXを推進するためには、ペーパレス化から取り組む必要があります。

また、いわゆる「レガシーシステム」と呼ばれる古いシステムは、最新のツールやテクノロジーと互換性がなくセキュリティに問題がある可能性が高いため、DX推進には適していません。その他、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを管理施設内に設置して運用するオンプレミス型がほとんどでしたが、円滑な情報共有や生産性を考慮するとクラウド型へ移行することも重要です。

既存システムの刷新に対する抵抗がある

DXを推進するには、既存のシステムを刷新する必要があります。しかし、デジタルに苦手意識を持つ人材の中には、新しいシステムの運用に抵抗を感じる方もいるでしょう。現場の意見を無視して無理にDXを進めれば、ますます不満が出る可能性があります。

DXの推進は組織の成長において重要な取り組みですが、現場の意見を放置したまま進めるのは現実的ではありません。現場を担う人材が納得した上で新しいシステムを運用できるように、丁寧にサポートする必要があります。

DXへの投資資金が十分に確保できていない

DX化を進めるには、その分資金も必要です。投資資金が十分に確保できていない状態では、システムの構築や環境整備が整わず、中途半端な取り組みとなってしまいます。

また、多額の資金を費やしてDXを進めたのにもかかわらず、思うような成果が出なかったというケースも少なくありません。費用対効果を十分に得るためにも事前に必要資金を算出し、計画的に進めることが大切です。

DX活用で失敗しないために取り組むべきこと

DX活用で失敗しないために取り組むべきこと

DX活用で失敗しないためには、以下の6つの取り組みを実行することが大切です。それぞれの取り組みについて解説します。

組織のトップが主体的に取り組む

DXは、組織全体の風土や体質を変革することを目的としており、組織の上に立つ層が主体的に取り組む必要があります。組織によってはDX推進を牽引する部署を立ち上げることもありますが、あくまでもビジョンや目標、予算に関する権限を持つのは経営層です。

DXを成功させるには現場を担う人材が一丸となって取り組む必要があり、トップのリーダーシップが必要となります。まずは、組織を取りまとめる側がDXの本来の目的を理解した上で、取り組みに対して積極的に関与することが大切です。

DX推進のビジョンや目的を明確化・共有する

現場を担う人材の中には、デジタルを活用した新しい仕事の進め方に抵抗を示す方もいるでしょう。しかし、DXは現場の理解を得た上で進めることが大切で、変化に順応できるような環境づくりが求められます。

まずは、なぜDXを進めるのか具体的なビジョンや目的を明確にし、全体に共有することが重要です。組織を変えるにはテクノロジーも重要ですが、それを活用する従業員のエンゲージメントが下がるとスムーズな改革が望めません。現場の声に寄り添って進めることでエンゲージメントの向上にもつながります。当事者意識も芽生えるため、互いに協力してDXを推進するようになるでしょう。

従業員エンゲージメントを向上させる方法については、こちらの記事で詳しくご説明しています。
>>従業員エンゲージメントを向上させる方法とは?メリットと測定指標

DX人材をアウトソーシングする

DXの成功にはデジタルに長けた人材が必要です。しかし、デジタル人材の不足は日本全体の課題であり、採用や育成に悩む組織は多いでしょう。こうした課題の解決策として、アウトソーシングの活用が挙げられます。

パーソルテンプスタッフでは、アウトソーシングによるDX支援が可能です。事前に業務調査した上で企業や自治体の課題に見合った施策をご提案するため、効率よくDXを推進できます。

例えば、各種手続きのお問い合わせにおけるチャットボットの活用や、手続き後の事務作業を一括処理するサポートなども対応しており、業務効率化はもちろん顧客の利便性向上も期待できます。

インフラ整備やDX推進部門の設立など組織体制を整える

DXを成功させるには、膨大なデータを自由に活用・展開できるインフラ整備が必要です。サーバーを設置して運用するオンプレミス型はセキュリティ面に強い反面、カスタマイズしづらくDXには適していませんでした。

一方、インターネットを介したクラウドサービスは課題解決につながる機能を選択でき、より効果的に運用することが可能です。また、インターネット環境があればいつでもアクセスできるため、情報共有の効率化などDXの推進に役立ちます。

その他、各部門からデジタルに長けた人材を集めたDX推進部門を立ち上げると、部門を介した横のつながりが生まれて現場の意見も取り入れやすくなるでしょう。

組織内でDXマインドを醸成する

DXの成功に必要な要素はハードやソフト、スキルだけではありません。何より大切だとされているのが組織内におけるDXマインドの醸成です。

まずは組織のトップ、現場を担う人材共に現状を変えたいという強い意志が求められます。加えて、環境や仕事の進め方が大きく変化するため、あらたな発想を受け入れる柔軟性も必要です。

しかし、意識の改革はすぐに実現するものではありません。例えば、デジタルを苦手とする従業員の意識を無理に変えようとすれば、ストレスや不満が生まれて従業員エンゲージメントが下がるでしょう。組織全体の意識を統一するためには、DXの重要性を定期的に伝えながら従業員のDXマインドを自然に育てることが大切です。

DXへの投資資金を確保する

DXを進めるには課題に適したシステムやツールの活用、デジタル人材の採用などにコストがかかります。投資資金が確保できなければ、途中でDXを諦めざるを得ないことも考えられるでしょう。

投資資金不足を解決する方法の一つが補助金の活用です。国や地方自治体などが支援する補助金をうまく活用すれば、コスト面の負担を軽減できます。

また、スモールステップから始めて段階的にDXを進めていくのも方法の一つです。無理に多額の投資をするのではなく、経営・運営状況に見合った進め方を検討するとよいでしょう。

DX推進はパーソルテンプスタッフへご相談ください

テクノロジーが進化して市場ニーズも多様化する中、DX推進は企業や自治体が避けて通れない課題です。まずは課題を洗い出し、状況に合う施策を立てることが大切です。デジタル人材不足で思うようにDXが進められない場合には、アウトソーシングを活用するとよいでしょう。

パーソルテンプスタッフでは、アウトソーシングによるDX推進の支援が可能です。また、官庁や地方公共団体における窓口業務や書類手続き、電話対応などさまざまな業務にも対応しており、多くのお客さまにご利用いただいています。住民にとって身近な存在である行政サービスのDX化は、行政の効率化と住民の利便性向上を図る上で重要です。パーソルテンプスタッフのアウトソーシングは多数の実績があり、人とテクノロジーの最適化にお役立ていただけます。

DX推進に関する課題解決に向けてアウトソーシングの活用をご検討中の方は、ぜひパーソルテンプスタッフへご相談ください。

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