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派遣法の指揮命令者とは?役割や選び方について分かりやすく解説
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派遣スタッフを受け入れる際に、自社で選任する必要がある役割の一つが、指揮命令者です。指揮命令者は、派遣スタッフに対して業務の指示を行う重要な役割を担います。
- 指揮命令者とは
- 指揮命令者の役割
本記事では、選任時のポイントや選任の条件はあるのか、などの疑問について解説します。指揮命令者について理解を深めましょう。
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指揮命令者とは
指揮命令者とは、派遣先企業において派遣スタッフに業務指示を出す社員のことです。必要な資格や特別な条件などはありません。指揮命令者は派遣スタッフの直属の上司にあたり、派遣先企業における勤怠管理・就労環境の確認なども担当することになります。
派遣先責任者との違い
指揮命令者と混同しやすい役割に派遣先責任者がありますが、この2つの役割は異なります。指揮命令者は業務の管理・指示をする業務上の上長の役割、派遣先責任者は派遣スタッフの受け入れ時の事務的な手続きや職場環境の整備を担い、派遣元との連絡調整や派遣スタッフの苦情対応などの窓口を担当します。
派遣先責任者の役割
労働者派遣法第41条に基づき、派遣スタッフが業務を円滑に進めることができるように管理する者として選任される方を指します。選任しない場合、労働者派遣法に抵触し、30万円以下の罰金に処せられる場合があるので、留意が必要です。
具体的に派遣先責任者の役割について、以下の8つがあります。
- 労働者派遣契約が遵守できているかの確認
- 適用される労働関係法令や締結した労働者派遣契約の内容などを周知
- 派遣受入期間の管理
- 派遣先管理台帳の管理
- 派遣スタッフからの苦情処理
- 派遣先均衡待遇確保の管理
- 安全衛生の管理
- 教育訓練の実施
派遣先責任者を専任することで、人材派遣の活用を円滑に進めることはもちろん、派遣スタッフがはたらきやすい環境づくりにも関係するので、必ず派遣先責任者は専任するようにしましょう。
派遣先責任者について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
>>派遣先責任者とは?選任方法やよくあるご質問について解説
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指揮命令者の役割
業務上の上司となる指揮命令者には、派遣スタッフが円滑に業務を行う上で、いくつかの役割があります。どのようなものがあるのか詳しく解説します。
派遣スタッフへの業務の指示出し・指導
指揮命令者は、派遣スタッフが日々行う業務に関して業務指示を行います。また、派遣契約で定めていない業務を行うことは法律で禁じられているため、派遣契約の範囲内での業務指示が出せているか確認し、他の社員にも業務範囲を周知します。
勤怠の管理
勤怠の管理も指揮命令者の役割の一つです。就労時間内に完了するように業務内容を調整する、契約通りの休憩や休日がとれているか確認する、など勤怠の管理も指揮命令者の役割となり、派遣先企業の協力、管理が必要です。
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就業環境の整理
派遣スタッフの作業スペースの確保、パソコンなどの備品の利用環境を整え、業務に適した空調、室内の明るさなど、自社社員と同様の環境が整備されているか確認しましょう。更衣室(ロッカー)やリフレッシュルームなどの福利厚生施設も、自社社員と同様に利用ができるようにします。
派遣先企業の就業環境に関することは、こちらの記事でも解説しています。
>>派遣スタッフへの残業指示は可能?36協定を理解する説
>>【企業向け】派遣スタッフの有給休暇の条件やルール、日数について
指揮命令者の選び方
派遣スタッフの受け入れが決定したら、指揮命令者を選任します。指揮命令者はどのような基準で選任すべきか選び方のポイントをご紹介します。
派遣スタッフと同一の部署に所属している
業務の内容を把握し、適切な指示を出し、時に優先順位をつける必要があります。そのため、同一の部署ではたらく社員が指揮命令者に適しています。
業務内容を理解している
同一の部署であっても、派遣スタッフの業務内容を把握できていないと業務の指示が出せず、派遣スタッフからの相談も受けられません。そのため、派遣スタッフに依頼する業務内容を正確に理解していることは必須です。
指揮命令者が気を付けるポイント
派遣スタッフが業務を行う上で、指揮命令者が気を付けることにはどのようなことがあるでしょうか。派遣スタッフがよりはたらきやすくなるためのポイントや、法律上気を付けなければならないポイントをおさえましょう。
派遣スタッフの受け入れ体制を整理する
部署の中で、どのような業務をしてもらうか、その業務はどのようなフローで誰が担当するのかを整理します。業務で関係する社員にも派遣スタッフの業務範囲を確認・周知し、就業が開始してから混乱が生じないよう、受け入れ体制を整理するようにしましょう。
派遣スタッフの受け入れや派遣先に求められることについては、こちらの記事でも解説しています。
>>派遣スタッフの受け入れとは?初日に必要な準備や留意点について
>>派遣先に求められることとは?派遣先が知っておくべきことを解説
誰が指揮命令者か周知しておく
派遣スタッフが就業を開始するにあたって、自社社員へ誰が指揮命令者であるかを周知しておくことが必要です。自社社員が派遣スタッフの業務のことで相談や依頼がある際に、指揮命令者が誰であるかが分からないと業務がスムーズに進みません。
派遣契約内容に沿った業務の指示をする
派遣先企業は派遣契約を締結する時点で、人材派遣会社と派遣スタッフに依頼する業務範囲を話し合います。派遣先企業が派遣スタッフに対して、契約外の業務を指示することはできません。あらかじめ派遣元との間で締結する労働者派遣契約に定める必要があります。
派遣スタッフと直接契約の話はしない
派遣スタッフに関する契約の話は、派遣スタッフに直接話さず、必ず派遣元に確認・依頼するようにしてください。給与や契約の更新に関して、雇用元ではない派遣先企業が派遣スタッフに確認することは、派遣先と派遣スタッフの間に雇用関係があると誤解される恐れがあります。
指揮命令者に関するよくあるご質問
指揮命令者を選定する際の、「この場合はどうなるの?」という、よくあるご質問にまとめて回答します。
Q.指揮命令者を選任できない時の対処法はありますか?
A. 派遣先は必ず指揮命令者を選任する必要があります。
労働者派遣法において、指揮命令者の選任は必須です。派遣スタッフへ業務の指示ができる社員の選任が必要となります。
同一の部署内やオフィス内で選任することが難しい場合は、居場所が明確で、派遣スタッフからの業務に関する相談や指示が対応可能であれば、別の場所に勤務している社員も含めて選任可能です。
Q.指揮命令者は正社員でなくても可能ですか?
A. 可能です。
指揮命令者が正社員かどうかということは、選任の条件ではありません。ただし、派遣先に直接雇用されていない派遣スタッフや委託先の社員などを指揮命令者に選任することはできません。
Q.指揮命令者は他の役割と兼任できますか?
A. 兼任可能な役割もあります。
指揮命令者と派遣先責任者は兼任することが可能です。一方、苦情処理担当者と指揮命令者は別の社員が望ましいです。なぜなら指揮命令者は派遣スタッフとの関わりが多い役割のため、苦情の対象になってしまう可能性が考えられ、当事者とは別の客観的な立場で対応できる社員の選定が望ましいといえます。
Q.指揮命令者は派遣スタッフの就業場所に常駐する必要がありますか?
A. 常駐する必要はありません。
常駐していた方が、派遣スタッフからの質問や相談にタイムリーに答えられるというメリットがあるため、常駐が望ましいといえますが、選任条件として常駐は必須ではありません。
Q.指揮命令者は変更できますか?
A. 可能です。
変更する際には速やかに派遣先責任者に連絡し、人材派遣会社や派遣スタッフにも共有するようにしましょう。派遣スタッフにかかわる各書類に指揮命令者の氏名の記載があるため、書類の変更も必要です。
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指揮命令者の役割や定義について理解する
指揮命令者の役割や定義について解説しました。指揮命令者は派遣スタッフが業務を行う上で不可欠な存在であるため、事前に選任し、受け入れの準備を進めてください。指揮命令者に選任された社員は自身の役割や気を付けなければならないことなどを十分に理解し、また自身が指揮命令者であることを社内関係者と派遣元へ周知し、業務をスムーズに行えるようにしましょう。人材派遣サービスの利用を検討している方は、ぜひパーソルテンプスタッフにお気軽にご相談ください。
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