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リモートワークとは?導入するメリットや留意点について解説
公開日:2025.02.13
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リモートワークは、ICT(情報通信技術)の普及や働き方改革の推進により、多くの企業で導入が進んでいます。
社員がオフィス以外の場所で業務を遂行することで、通勤時間の削減といった社員にとってのメリットが生まれます。また、企業にとっては、社員にはたらきやすい環境を提供できることや、固定費の削減、優秀な人材の定着といったメリットがあります。
本記事では、リモートワークの概要と、企業が導入するメリット、導入する際のポイントや注意点について詳しく解説します。
目次
リモートワークとは
リモートワークとは、ICTを活用し、オフィス以外の場所ではたらく、柔軟なはたらき方のことです。場所や時間の制約から解放され、効率的な業務遂行とライフ・ワーク・バランスの向上を実現できます。
主な形態は以下の3つに分類されます。
- 在宅勤務:自宅を就業場所とするはたらき方
- モバイルワーク:特定の施設に縛られず、いつでもどこでも仕事ができるはたらき方
- 施設利用型勤務:サテライトオフィスやテレワークセンター、スポットオフィスなどの施設を活用するはたらき方
また、実施頻度により、以下の2つのスタイルがあります。
- 常時リモートワーク:すべての勤務をリモートで行うスタイル
- 随時リモートワーク(=ハイブリッドワーク):週1~2日、月数回、または1日の一部だけリモートワークを行い、オフィス勤務と組み合わせるスタイル
このように、リモートワークは業務形態やライフスタイルに応じて、柔軟に活用されています。
テレワークとの違い
テレワークとリモートワークは、どちらもオフィス以外ではたらくことを指し、近年ではほぼ同義語として使われています。
総務省はテレワークを「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟なはたらき方」と定義しており、公的機関では「テレワーク」という用語が使用される傾向にあります。
とはいえ、実務上両者の違いを厳密に区別することは少なく、どちらの言葉を使用しても問題ないと考えられます。
ハイブリッドワークとの違い
ハイブリッドワークとは、リモートワークとオフィス勤務を組み合わせたはたらき方のことです。
リモートワークが遠隔での業務遂行に特化しているのに対し、ハイブリッドワークはオフィスとリモートの両方のメリットを活かすことを目的としています。
具体的には、「週2日はオフィスに出勤」「育児や介護など、出社が難しい日はリモートワークを選択」といった形で、社員の事情や業務内容に応じて柔軟なはたらき方を選択できます。
ハイブリッドワークについてはこちらで詳しく記載していますので、あわせてご参照ください。
>>ハイブリッドワークとは?メリットや導入する際のポイントを解説
リモートワークが必要とされている背景
近年、働き方改革やデジタル化が推進され、リモートワークは急速に普及しています。政府も、ICTを活用した柔軟なはたらき方を推進し、都市部への一極集中を解消することによって、地方創生や経済活性化を目指しています。
その代表例が内閣官房の「デジタル田園都市国家構想」です。デジタル技術を活用し、地域社会の課題解決と地方からの成長を促すこの構想において、リモートワークは重要な役割を担っています。
企業側も、優秀な人材を獲得するために、リモートワークを導入するケースが増えています。

※引用:パーソル総合研究所|第九回・テレワークに関する調査
パーソル総合研究所の「第九回・テレワークに関する調査」(2024年7月)によると、リモートワーク実施率は22.6%と前年同期比で微増しており、実施者の80.9%が継続を希望しているとわかりました。
このように、政府の政策、企業の戦略、そして社員のニーズが重なり合い、リモートワークの普及はさらに加速していくと考えられます。
企業がリモートワークを導入するメリット
リモートワークの導入は企業に多くの利点をもたらします。主なメリットは以下の通りです。
固定費の削減
リモートワークを導入すると、オフィススペースを効率的に見直し、企業はオフィス賃料、水道光熱費、通信費などの固定費を大幅に削減できます。また、縮小したスペースを休憩ラウンジや集中ブースに転換することにより、有効活用できます。
特に地代が高い都市部で事業を展開する企業にとって、オフィス規模の見直しによる経費削減は、経営の持続可能性を高める重要な施策となるでしょう。
企業におけるコストの種類やコスト削減で得られるメリット、具体的な施策については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>コスト削減とは?発生するコストごとに具体的な施策をご紹介
多様な選考・採用機会の拡大
リモートワークにより、社員の居住地を制限しない採用が可能となり、地理的な制約がなくなります。その結果、人材を採用できる地域の範囲が大幅に広がり、従来のオフィス勤務では難しかった優秀な人材を全国や海外からも探せるようになります。
また、多様なはたらき方を取り入れると、年齢、性別、国籍、障害の有無に関わらず、より幅広い層にアプローチできます。企業は多様な経験や専門知識を持つ人材を採用できるようになり、組織の競争力を高めることにもつながるでしょう。
中小企業が採用を成功させるためのポイントや人材の定着率を上げる方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>中小企業が採用を成功させるポイントを徹底解説
社員満足度と定着率の向上
リモートワークは、社員が自分のライフスタイルに合わせてはたらく場所を自由に選択できる環境を提供します。通勤ラッシュやオフィスでの人間関係といった従来のストレス要因を軽減できる点が大きなメリットです。
さらに、家族との時間や趣味に使える時間が増えることにより、ワーク・ライフ・バランスが改善します。企業がこうした柔軟なはたらき方を提供することは、社員の満足度やエンゲージメントを高めるだけでなく、定着率向上や優秀な人材の流出防止にもつながるのです。
ワーク・ライフ・バランスの定義や企業が取り組むメリット、導入時の留意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>ワーク・ライフ・バランスとは?概要や取り組み時の留意点について解説
事業継続性の強化
リモートワークは、企業の事業継続計画(BCP)の重要な要素としても機能します。
自然災害や感染症の流行など、予期せぬ事態が発生した場合でも、社員が自宅やサテライトオフィスで業務を継続できる体制があれば、事業への影響を最小限に抑えられるでしょう。
このような体制は、変化に柔軟に対応できる企業を構築し、危機に対する回復力を高める効果があります。
BCP対策の概要や目的、策定の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>BCP対策(事業継続計画)とは?目的や策定の流れを解説
リモートワークを導入する際の留意点
リモートワークを円滑に進めるためには、事前にさまざまな課題を認識し、適切な対策を講じることが重要です。
コミュニケーションの課題
リモートワークでは、雑談や立ち話といった気軽なコミュニケーションの機会が減少するため、情報共有の不足から認識のズレやミスが発生しやすくなります。特に、自発的な会話やアイデア交換が求められる業種では、創造性やイノベーションが低下する可能性が懸念されます。
さらに、同僚との交流機会が減るため、社員が孤独感や孤立感を抱きやすくなり、モチベーションの低下やメンタルヘルスへの悪影響につながる恐れもあるでしょう。
【主な対応策】
- 適切なコミュニケーションツールの活用
- オンライン会議の効果的な運営(例:議題の明確化、発言しやすい雰囲気づくりなど)
- 定期的なミーティングやチームビルディングによる社員間交流の促進
労務管理の課題
リモートワークでは社員の勤務実態が把握しづらく、特にオフィス勤務とリモートワークの社員を同時に管理する場合は、労務管理の負担が増加します。
評価制度における公平性の確保も重要な課題です。従来の評価制度をそのまま適用した場合、オフィス勤務とリモートワークの特性の違いが適切に反映されず、リモートワーク社員が不利な評価を受ける可能性があります。
【主な対応策】
- 勤怠管理ツールの導入
- 勤務時間のルールの明確化
- 公平な評価基準の見直し(例:成果ベースの評価制度導入など)
パーソルグループでは、ホワイトなはたらき方を実現する労務管理ツール「MITERAS」を提供しています。 詳細はこちらをご覧ください。
セキュリティの課題
社外からのアクセス増加により、セキュリティリスクも高まります。特に、公共のフリーWi-Fiを利用する際は、ウイルス感染や不正アクセスによる情報漏洩の危険性が大きくなるでしょう。
また、社員が私物のパソコンやスマートフォンを業務に使用する場合、適切なセキュリティ対策が施されていないと、さらにリスクが増大します。
【主な対応策】
- VPN(仮想プライベートネットワーク)や多要素認証の導入
- 公共Wi-Fi使用のルール策定
- 社員教育を通じたセキュリティ意識の向上
リモートワークを導入するときのポイント
リモートワークを導入するときのポイントは以下の通りです。
ルールとガイドラインの策定
リモートワークを成功させるには、明確なルールとガイドラインの整備が不可欠です。整備するルールは、労働時間・情報セキュリティ・コミュニケーションなど多岐にわたります。
項目 | 詳細 |
---|---|
勤務時間と休憩時間の設定 |
|
コミュニケーションの頻度と方法 |
|
セキュリティポリシー |
|
業務報告の方法と頻度 |
|
テレビ会議・音声通話のマナー |
|
これらのルールを明確にすることにより、社員の不安や混乱を解消できます。
リモートワークに最適なツールの選択
リモートワークを効果的に実施するには、業務内容を精査し、必要な機能を備えた適切なツールを選択することが重要です。
ツール | 機能概要 |
---|---|
コミュニケーションツール | ビデオ会議、チャット、ファイル・画面共有 |
プロジェクト管理ツール | タスク管理、進捗追跡(ガントチャート・カンバンボード) |
勤怠管理ツール | 労働時間記録、休暇申請・承認プロセスの自動化 |
デザインツール | デザイン作業、共同編集、プロトタイピング |
セキュリティツール | 安全なリモートアクセス、多要素認証 |
これらのツールを効果的に組み合わせることにより、円滑なリモートワークを実施できるようになります。
社員が自律的に業務を遂行できる環境整備
社員があたらしいはたらき方に適応し、自律的に業務を進められるようにするためには、個々の能力や状況に応じた支援と環境整備が欠かせません。業務効率を高めるツールやインフラの導入はもちろん、社員一人ひとりが安心してはたらける心理的安全性の確保や、スキル向上のための継続的なサポートも重要です。
ツール導入支援
リモートワークへのスムーズな移行と生産性の維持・向上には、ツールの導入だけでなく、社員がそれらを使いこなせるよう、継続的なトレーニングとサポートが不可欠です。
施策1.オンライン学習環境の整備
オンラインチュートリアルや動画教材、FAQ、マニュアルなどを整備し、社員がいつでも必要な情報にアクセスできる環境を構築します。
施策2.メンター制度の導入
チーム内で指導やメンター制度を導入し、経験豊富な社員が新しいツールに不慣れな社員をサポートする体制を構築します。
施策3.定期的な研修・ワークショップの開催
ツールの使い方だけでなく、リモートワークにおける効果的な活用方法、トラブルシューティングなどを共有する研修やワークショップを定期的に開催します。
チームワーク構築
社員が顔を合わせる機会が減るため、エンゲージメントや帰属意識を高めるために、意識的にチームワークを構築します。
施策1.オンラインでの交流機会の創出
バーチャルチームビルディングイベントやオンラインでの懇親会、雑談スペースなどを設け、オンラインでの交流機会を積極的に創出します。
施策2.コミュニケーションツールの効果的な活用
コミュニケーションツールを効果的に活用し、社員間の情報共有やコミュニケーションを円滑に行えるようにします。
施策3.目標の共有と一体感の醸成
定期的なオンラインミーティングや目標達成に向けた進捗共有などを通して、社員の意識統一を図ります。
チームビルディングの目的やメリット、実践方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>チームビルディングの目的とポイント、具体的な手法をご紹介
メンタルヘルス対策
社員一人ひとりが、心身ともに健康で、活き活きとはたらけるように、多角的なメンタルヘルスサポートに取り組みます。
施策1.定期的な面談の実施
社員一人ひとりの状況を把握し、孤独感や孤立感の兆候を早期に発見します。
施策2.メンタルヘルス相談窓口の設置
相談しやすい雰囲気づくりを心がけ、プライバシー保護を徹底することにより、利用のハードルを下げます。
施策3.オンラインカウンセリングなどの提供
必要に応じて、オンラインカウンセリングやストレスマネジメントプログラムなどを提供します。
リモートワークで人材派遣を導入するなら
リモートワークの活用を検討する派遣先企業は増加していますが、同時にさまざまな課題や不安に直面しているのも事実です。
「リモートワークに適した人材を見つけられるか」「業務をスムーズに進められるか」といった不安を抱えている派遣先企業も多いのではないでしょうか。
そこで、社員の柔軟なはたらき方を実現しながら、即戦力となる人材に仕事を依頼できる、リモートワークに特化した人材派遣の活用が注目されています。
人材派遣を活用することにより、以下のようなメリットがあります。
- 即戦力人材の受け入れが可能
- 柔軟な人員計画の実現
- 受け入れコストの削減
詳しく見ていきましょう。
即戦力人材の受け入れが可能
人材派遣会社には、さまざまなスキルや経験を持つ人材が多数登録しています。近年では、リモートワークでの業務経験者やリモートワーク希望者も増加しており、派遣先企業のニーズに合わせて迅速に活躍できる人材を紹介できます。
派遣先企業が初めてリモートワークでの人材派遣サービスを活用する場合、遠隔での派遣スタッフへの業務指示やコミュニケーション方法に不安を感じる場合があります。
一方、リモートワークに精通した派遣社員は、リモート環境での業務遂行に慣れているため、ツールやコミュニケーション方法の教育時間を最小限に抑え、高い生産性を維持できます。
柔軟な人員計画の実現
リモートワーク導入初期や新プロジェクト立ち上げ時は、業務量や必要な人員数を正確に予測することが難しいものです。
このような状況において、人材派遣サービスの活用は効果的な解決策となります。必要なスキルと経験を持つ人材に、必要な期間だけ業務を依頼できるため、業務量の変動に合わせて柔軟な人員計画を立てられます。
受け入れコストの削減
リモートワークの人材派遣を活用すると、従来の出社型と比べて、オフィス関連コストを大幅に削減できます。
従来のオフィス勤務では、派遣社員一人ひとりにデスク、椅子、OA機器などの備品が必要でした。人数が増えれば広いオフィススペースが必要となり、家賃や光熱費も増大します。リモートワークで派遣社員を受け入れる場合、これらのコストを抑えられます。
業務用パソコンなどの機器については、派遣先企業からの支給、派遣社員の私物利用、または人材派遣会社からのレンタルが可能です。
パーソルテンプスタッフでは、ノートパソコン、モバイルWi-Fi、労務管理ツールなどの貸し出しサービスを提供しています。
在宅派遣りもーとテンプの詳細は以下をご覧ください。
▼在宅派遣 りもーとテンプ

在宅勤務に必要な機器の貸し出しから労務管理までサポート
リモートワークで効率化と生産性向上を図ろう
リモートワークの導入により、企業は柔軟なはたらき方を実現し、社員の満足度向上と業務効率化を同時に達成できます。
さらに、人材派遣を活用すれば、リモートワークに対応した即戦力人材に業務を依頼でき、業務量の変動に応じた柔軟な人員計画が立てられます。
パーソルテンプスタッフは、豊富な人材データベースと長年の実績を誇る人材派遣会社です。リモートワークに精通した人材を厳選し、企業のニーズに最適な派遣社員をスピーディーに紹介します。
また、必要な設備の準備やセキュリティ対策も万全です。機密情報保護のための研修や、安全なシステム環境の構築など、企業が安心して業務を委託できる体制を整えています。
即戦力となる派遣社員をリモートワークで受け入れることによって、場所や機材の準備の手間を省きつつ、生産性の向上を図ることができます。
人材に関するお困りごとはお気軽にご相談ください
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