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中小企業が採用を成功させる6つのポイントを徹底解説

公開日:2023.03.29

更新日:2026.02.13

企業の課題

中小企業は、日本国内の企業数の99%以上を占め、全体の雇用の約7割を担う重要な存在です。しかし大企業に比べて知名度や採用予算などのリソースが少なく、認知・採用の麺で不利になりやすいのが現状です。 そのため、中小企業が優秀な人材を確保し、企業を継続的に成長させるための戦略を見直すことは急務といえます。
少子高齢化により労働人口そのものが減少しているなか、売り手市場はまだまだ続き、求職者の企業選択肢は増えています。このような環境では、やみくもに求人を出すだけでは思うように応募数が伸びないことも珍しくありません。そこで、いかに自社の魅力を的確に発信し、より自社にマッチした候補者を採用できるかがポイントとなります。

本記事では中小企業の人材採用の現状や課題を考察し、採用を成功させるためのポイントや人材の定着率を上げる方法についてご紹介します。

有効求人倍率と人材採用の現状

人材採用の現状を考える上で、重要な指標となるのは有効求人倍率です。求職者1人あたりに対して何件の求人があるかを示したもので、有効求人倍率が高いほど、採用競争が激化していると言えます。
2025年(令和7年)10月の有効求人倍率は全国平均で1.18倍ですが、この数字は中小企業の採用現場の実感とは必ずしも一致しません。特に中小企業では、介護・建設・運輸・宿泊・飲食・IT分野などで高倍率が続き、慢性的な人手不足が深刻化しています。

引用:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年10月分)について

中小企業を取り巻く採用市場と採用環境

中小企業は大企業と比べて、賃金や認知度、採用力で不利になりやすく、求人を出しても応募が集まりにくい、あるいは必要なスキルを持つ人材が確保できないという課題に直面しています。地域や職種による二極化も顕著で、地方のサービス業や現場職では特に採用難が慢性化しています。

2024年版中小企業白書によると、中小企業の採用は全体平均と比べて非常に厳しい状況にあります。特に「人材の確保」とは中小企業の経営課題として最も深刻であり、中小企業の約5割が「最も優先度が高い経営課題」として挙げ、約7割の中小企業が「中核人材が不足している」と回答しています。これは大企業と比べて高い割合です。 中小企業の経営上の問題点として「求人難」が深刻化していることは明らかです。要回復を受けて中小企業の売上げが回復基調にある一方で、人手不足感は徐々に強まっていることが分かります。

出典:中小企業庁|2024年版「中小企業白書」 第1節 人材の確保

中途採用市場の最新動向

以下の図は、直近3年間で中途採用を行った企業が、中途採用に感じている課題を見たものですが、これを見ると、「応募が少ない」と回答する企業の割合が6割超と他の項目と比較しても群を抜いて高くなっていることがわかります。

このように中途採用市場では、即戦力人材の争奪戦が激化しています。特にDX・IT・専門職分野では経験者の採用が難しく、未経験者を受け入れて育成する体制がないと採用計画が遅延しがちです。中小企業は、求人票に「Must(必須)」と「Want(歓迎)」要件を分けて記載し、入社後の育成計画やメンター制度、スキルアップ支援などを明示することで、幅広い層からの応募を促すことができます。また、リファラル採用やスカウト、地場メディアとデジタル媒体の併用など、多様化するチャネルを使いこなすことも必要です。

出典:中小企業庁|2024年版「中小企業白書」 第1節 人材の確保

新卒市場の最新動向

新卒採用では、採用活動の早期化やインターンシップの通年化、オンライン選考の普及など、採用手法が多様化しています。
直近3年間で新卒採用を行った企業が、新卒採用に感じている課題を見ると、中途採用と同様に「応募が少ない」という回答の割合が最も高いことが分かります。また、中途採用比較して「育成に時間がかかる」、「指導する人材の不足」など育成負担についての回答割合が特に高くなっています。

一方、学生側は大企業志向が根強いものの、はたらき方やキャリア形成に対する価値観の多様化が進んでいます。中小企業は知名度やブランド力で不利になりがちですが、独自の技術や地域貢献、成長機会、柔軟なはたらき方などを訴求することで、一定の学生層から支持を得ることができます。求人票には初任給やモデル年収、育成計画、福利厚生などを明示し、学生が将来像を具体的に描けるような情報発信が重要です。

出典:中小企業庁|2024年版「中小企業白書」 第1節 人材の確保

求職者の仕事選びの価値観の変化

求職者の仕事選びの価値観は大きく変化しています。給与や安定性だけでなく、はたらき方の柔軟性、ワークライフバランス、成長機会、職場環境、福利厚生、地域貢献など、非金銭的な要素が重視されるようになっています。特に若年層や女性、シニア層では、週4日正社員や短時間正社員、リモートワーク、資格取得支援、社宅・送迎など、多様なはたらき方や支援制度が応募の決め手となるケースが増えています。中小企業は、こうした価値観の変化を的確に捉え、自社の強みや魅力を積極的に発信することが重要です。

中小企業の採用課題

前述の通り、有効求人倍率は依然と高い水準のため、中小企業の採用活動は非常に厳しい状況です。実際に人材が採用できずに悩まれている経営者、人事担当者も少なくないかと思います。ここからは中小企業の人材確保に関する課題について見ていきます。

求職者の応募が集まらない

中小企業は大企業と比較すると知名度やブランド力が低く、求職者の選択肢から外されやすい傾向があり、求人を出しても求職者からの応募がないケースも多く見られます。特に若年層や新卒市場では「大企業志向」が根強く、企業規模や安定性が重視されるため、中小企業は応募者確保に苦戦しています。加えて、SNSやWebサイトなどの情報発信力が弱い場合、企業の魅力が十分に伝わらず、応募につながりにくい状況です。

求める人材を採用できない

応募があっても、必要なスキルや経験を持った人材の採用が難しい状況が続いています。DX・IT・専門職分野では即戦力人材の争奪戦が激化し、経験者は大企業に流れる傾向が強まっています。また、求人票に求める人物像や育成計画などを明示できていない場合、ミスマッチが発生しやすくなります。中小企業は採用活動に割ける時間やノウハウが限られているため、戦略的な情報発信や育成体制の整備が急務となっています。

応募が多過ぎても対応しきれない

競争力の高い事業や独自の技術を持つ中小企業では、求人戦略が成功し、応募が殺到するケースもあります。しかし、人的リソースが限られているため、書類選考や面接対応に追われ、コア業務に支障が出ることも少なくありません。選考プロセスの効率化や、採用担当者の育成・分担が課題となっています。

採用に十分なコストをかけられない

求人広告費や人材紹介会社への手数料、採用専用Webサイトの制作費など、採用活動には多くのコストがかかります。中小企業では、予算が限られていることで十分な投資ができず、 採用活動自体が停滞するケースもあります。最近ではSNSやリファラル採用など、低コストで効果的な手法の活用が進んでいますが、戦略的な予算配分が求められます。

採用活動に適した担当者がいない

中小企業では採用活動に割ける人的リソースが限られており、総務や経理、営業担当者が採用業務を兼務したり、経営者自身が採用活動を担ったりするケースが多く見られます。採用ノウハウの蓄積や担当者の育成が進んでいない場合、選考の質やスピードが低下し、優秀な人材の獲得が難しくなります。

内定辞退者が多い

複数企業への応募が一般化したことで、内定を出しても大企業や待遇の良い企業に流れてしまうケースが増えています。特に経験や実績が豊富な人材ほど選択肢が多く、内定辞退のリスクが高まっています。選考スピードの向上や、企業の魅力・強みの明確化が重要です。

定着せず早期退職してしまう

採用した人材が早期に退職してしまうケースも少なくありません。終身雇用の考え方が薄れ、転職が一般化した現代では、定着率の向上が大きな課題です。ミスマッチの防止や、はたらきやすい環境づくり、評価制度・福利厚生の充実が求められます。

中小企業が採用を成功させる6つのポイント

以上のように、中小企業の採用活動においてはさまざまな課題があります。厳しい状況の中でも自社に合った人材を確保するために、以下の6つのポイントを意識してみましょう。

企業の魅力を明確にする

知名度やブランド力で劣る中小企業でも、独自の技術や地域貢献、柔軟なはたらき方などの強みを明確に打ち出すことで、求職者の関心を引くことができます。SNSやWebサイトを活用し、企業の魅力を積極的に発信しましょう。

企業全体で採用活動に取り組む

経営者や人事担当者だけでなく、現場部門や社員全体が採用活動に関与することで、より自社に合った人材の採用につながります。社員紹介制度(リファラル)や面接への現場担当者の参加など、全社的な協力体制が重要です。

採用の時期を変える

採用活動の時期を工夫することで、ライバル企業との差別化が可能です。特に中途採用では、年間を通じて柔軟に採用活動を展開することで、求職者の動きが活発な時期以外にも優秀な人材を確保できる可能性があります。

ダイレクトソーシングを活用する

企業が求職者に直接アプローチするダイレクトソーシングは、企業の魅力や熱意を伝えやすく、自社に合った人材の採用につながりやすい手法です。一般的な採用活動は応募してきた求職者を選考するという「守り」の側面が強いですが、ダイレクトソーシングは「攻め」の採用活動です。求人メディアや人材紹介会社を活用し、積極的な採用活動を展開しましょう。

SNSやWebサイトを有効活用する

求職者は求人情報だけでなく、企業のSNSやWebサイトもチェックしています。事業内容や職場の雰囲気、はたらき方などを積極的に発信することは、応募者の増加につながります。採用専門のSNSアカウントやWebサイトの開設も有効です。

採用エリアを広げる

近隣だけでなく、広域に採用エリアを拡大することで、通勤距離や移住をいとわない求職者からの応募が期待できます。Uターン・Iターン希望者や移住希望者へのアプローチも有効です。

採用後の定着率を上げる方法

採用はもちろん、企業にとっては定着率の向上も大きな課題です。前述の通り、やっとの思いで人材を採用しても、すぐに辞めてしまうというケースも少なくありません。そうなれば、採用活動のやり直しとなってしまいます。

ここからは定着率を上げるためのポイントを4つご紹介します。

ミスマッチを防ぐ

離職が発生する大きな要因は「ミスマッチ」です。実際の待遇や業務内容、職場の雰囲気が求職者のイメージしていたものと乖離を起こすことで、離職につながってしまいます。ミスマッチを防ぐためには、労働条件や担当してもらう業務についてしっかり求職者とすり合わせることが重要です。

面接の他に配属予定部署の社員や管理者との面談、企業見学の機会を設ける、本採用の前に試用期間を設ける、インターンシップを実施するといった方法で、求職者の理解が深まり、ミスマッチによる離職が防げる可能性が高まります。

また、紹介予定派遣という、直接雇用を見据えて一定期間(最長6ヶ月)派遣スタッフとして受け入れ、派遣期間終了後に直接雇用に切り替えることができるサービスもあります。
派遣期間中に能力・適性の見極めが可能なため、採用におけるミスマッチを抑制できます。

紹介予定派遣の詳細については、こちらをご覧ください。

はたらきやすい環境づくりをする

特に近年では仕事だけでなくプライベートも充実させたいという価値観が高まっています。「働き方改革」という言葉も浸透し、求職者は待遇や業務内容だけでなく「はたらきやすさ」にも重点をおいて企業を選びます。

長時間労働や休日出勤の削減、有給取得の奨励、出産休暇や育児休暇などの休暇制度の充実、ハラスメントが起きない環境づくりなど、はたらきやすい環境を整備することで、離職を防ぐことができます。はたらきやすい企業になれば、社員のモチベーションも上がって生産性の向上にもつながります。

評価制度を整える

評価制度の不公正さも定着率が低い一因の可能性があります。「頑張っていても報われない」「成果を出していても給料が上がらない」と社員が感じるとモチベーションが低下して離職につながります。

公平性が高い評価制度を設け、「企業はどのように評価しているか」「どう報いるか」を明確にし、実際に昇給や昇進に反映させることが大切です。

福利厚生を充実させる

求職者にとっては給料や労働環境に加え、福利厚生も大きな関心事です。休暇制度や手当の支給、保養施設や社員旅行、割引サービスなど、企業によってさまざまで、福利厚生が転職市場を勝ち抜く差別化要因の一つとも言えます。

例えば家賃補助や住宅手当などの福利厚生を採用すれば遠方からの応募者が増え、教育制度を充実させればモチベーションが高い人材が集まる可能性があります。福利厚生についても戦略的に検討することが必要です。

中小企業が採用を成功させるポイントを押さえる

大企業に比べると中小企業はどうしても採用面で不利になることがありますが、独自の強みがある企業には応募者が集まります。

採用活用をする際には、自社の魅力を余すことなく求職者に伝えましょう。同時に、しっかりと強みをつくっていくことが大切です。

採用活動に向けた取り組みは、今いる社員の満足度向上にもつながります。自社の採用のあり方をあらためて振り返り、ポイントを押さえ戦略を立てていきましょう。

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監修者

HRナレッジライン編集部

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