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経理の人材派遣で業務効率化!人材派遣会社の選び方や活用事例をご紹介
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経理業務は会社経営において非常に重要ですが、専門知識が求められるため、適切な人材を見つけることは容易ではありません。
繁忙期や急な欠員の発生、あるいは会計制度や税制の変更への対応など、専門知識を要する業務に対応できる人材の不足は、多くの企業にとって大きな課題となっています。
これらの課題に対処する手段として、人材派遣を活用すれば、採用コストの削減、専門性の高い人材への業務の依頼など、さまざまメリットが期待できます。
本記事では、経理業務の人材派遣を検討している企業のご担当の方に向けて、人材派遣のメリットや活用事例、人材派遣会社の選び方について詳しく解説します。
人材不足時代に経理業務を支える「人材派遣」という選択肢
少子高齢化やはたらき方の多様化の影響で、経理部門の人材不足は深刻な問題となっており、多くの企業が次のような課題に直面しています。
- ベテラン経理担当者が退職してから後任が見つからない
- 産休や退職で人員が不足し既存社員への負担が増大している
- 経理業務が複雑化し残業が常態化している
- 決算の早期化が求められているが対応する人材が不足
- 経理担当者の採用コストが増加している
経理職の人材が不足している理由の一つに、法改正や新制度への対応があります。インボイス制度や電子帳簿保存法の導入により、あらたな知識やスキルの習得、業務フローの見直しなどが求められ、経理担当者の負担が増加しています。
また、企業の規模によって必要とされるスキルや業務範囲が異なることも、人材の充足を難しくしています。
例えば、中小企業では広範囲の業務に対応できるジェネラリストが求められる一方で、上場企業では特定分野に精通したスペシャリストが必要とされるなど、適切な人材を見つけることが困難になっています。
これらの課題を解決する手段として、企業が人材派遣を活用すれば、繁忙期や決算期など、人手不足が生じやすい時期に、経理業務に精通した派遣社員に業務を依頼できるため、業務の効率化や負担軽減を図り、スムーズに業務を進められます。
インボイス制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>改めて確認したいインボイス制度・企業に与える影響を解説
経理の人材派遣の仕組み

経理の人材派遣とは、企業が特定の期間に、必要なスキルを持つ経理人材を人材派遣会社から派遣してもらい、業務を遂行してもらう仕組みのことです。
派遣社員を雇用するのは人材派遣会社であり、企業は派遣社員と直接雇用契約は結びません。そのため、給与や社会保険、福利厚生などの管理は人材派遣会社が行い、企業は派遣料金を支払い、経理人材を受け入れます。
派遣形態の種類
経理人材の派遣には、以下の3つの形態があります。
- 有期雇用派遣
- 無期雇用派遣
- 紹介予定派遣
依頼したい業務内容や派遣期間などに応じて、最適な派遣形態を選択しましょう。
有期雇用派遣(登録型派遣)
有期雇用派遣は、経理人材が人材派遣会社に登録して雇用関係を結び、人材派遣会社から紹介された企業で業務を行います。この雇用契約は有期契約であり、同一の組織単位で最長3年までと定められています。
企業が短期的な経理業務のサポートを必要とする場合、登録型派遣が最も適しているでしょう。例えば、決算期や突発的な業務が発生したときに、必要なスキルを持つ経理人材に業務を依頼できます。
有期雇用派遣についてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
>>
有期雇用派遣とは?無期雇用派遣との違いを分かりやすく解説
無期雇用派遣(常用型派遣)
無期雇用派遣は、経理人材が人材派遣会社と無期雇用契約を結び、企業に派遣される形態です。
人材派遣会社が経理人材を無期雇用しているため、登録型派遣の「3年ルール(同一の組織単位で最長3年まで)」は適用されません。そのため、経理人材は同じ部署で長期間にわたってはたらくことができます。
無期雇用派遣についてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
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無期雇用派遣とは?活用するメリットや留意点についてご紹介
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、経理人材の直接雇用を前提とした、最長6ヶ月派遣する仕組みのことです。派遣契約が満了するタイミングで双方に直接雇用の意思があるかを確認し、合意した場合、人材紹介に切り替え派遣先企業の直接雇用となります。
この形態では、直接雇用する際に紹介手数料がかかりますが、実際の業務を通じて経理人材のスキルや適性を確認できるため、ミスマッチを防ぎ、適切な人材を採用できるというメリットがあります。
直接雇用を検討しているものの、経理人材がなかなか見つからない企業は、紹介予定派遣を検討してみましょう。
紹介予定派遣についてはこちらで詳しく記載しています。ご参照ください。
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紹介予定派遣とは?仕組みやメリット、通常の派遣との違いまで解説
経理業務の人材派遣とアウトソーシングの違い
企業が経理業務を外部に委託する方法として、人材派遣とアウトソーシング、2つの選択肢があります。どちらも外部に業務を依頼する点では共通していますが、その仕組みや契約形態に違いがあります。
項目 | 人材派遣 | アウトソーシング(業務委託) |
---|---|---|
契約形態 | 企業と人材派遣会社との間で労働者派遣契約を締結 | アウトソーシング企業と業務委託契約を締結 |
指揮命令 | 企業の担当者が直接指示 | アウトソーシング企業が業務遂行を管理 |
業務内容 | 特定の経理業務の遂行 | 経理業務全体または一部をアウトソーシング |
責任範囲 | 業務遂行に対する責任 | 業務結果や成果物に対する責任 |
費用 | 派遣料金を支払う | 請負代金を支払う |
人材派遣は、企業の担当者が派遣社員に直接指示を出し、業務の進行をリアルタイムで調整できる点が大きな強みです。
また、派遣料金が事前に明確に定められているため、コストの予測や管理がしやすく、費用対効果の高い選択肢となります。
一方、アウトソーシングは、業務の遂行をアウトソーシング企業が担うため、細かい業務の調整はできません。しかし、企業側の負担を大幅に軽減できます。
どちらにもメリットがあるため、企業のニーズや状況に合わせて最適な選択をしましょう。
人材派遣と業務委託の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>>人材派遣と業務委託の違いとは?それぞれの特徴とメリット、活用方法を紹介
経理業務における人材派遣のメリット
経理業務で人材不足が生じた際に人材派遣を活用すると、企業は以下3つのメリットを得られます。
- 必要なタイミングで経理人材に業務を依頼
- 専門性の高い経理人材に業務を依頼
- 採用・労務管理コストを軽減
それぞれについて説明します。
必要なタイミングで経理人材に業務を依頼
繁忙期や決算期に加え、急に繁忙になる場面は少なくありません。人材派遣を活用すれば、必要なスキルを持つ経理人材に、必要な期間だけ業務を依頼できます。
例えば、請求書処理や経費精算など定型業務を担当してもらうことにより、社員は専門性の高い業務に集中できます。また、産休・育休社員の欠員補充として、数ヶ月間だけ経理人材の派遣を依頼することも可能です。
専門性の高い経理人材に業務を依頼
経理業務には、税務処理や財務管理など、高度な専門知識が求められる場面が多く存在します。企業の担当者だけでは対応が難しい、専門性の高い業務も少なくありません。
人材派遣会社には、各分野に精通した経験豊富な経理人材が多数登録されており、企業のニーズに合わせて最適なスキルを持つ人材を紹介してもらえます。
例えば、予算編成や財務分析、連結決算、税務監査対応など、その時々で必要な専門知識を持つ人材に業務を依頼できれば、業務の効率化と質の向上が期待できます。
採用・労務管理コストを軽減
人材派遣では、人材派遣会社が経理人材の採用から給与支払い、社会保険手続き、健康診断までを行うため、自社で採用する場合に比べて、採用コストや労務管理の負担を大幅に軽減できます。
具体的には、求人広告の掲載費用や面接にかかる人件費の削減、従業員数増加に伴う社会保険料負担の軽減などを実現できます。このように、人材派遣を活用することにより、人件費を適正化できます。
人材派遣の料金の内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>
人材派遣のマージン率と計算方法とは?人材派遣会社選びのポイントも解説
経理の人材派遣会社を選ぶポイント
経理の人材派遣会社を選定する際のポイントは以下の通りです。
- 法令を遵守しているか
- スキルアップ支援の充実度
それぞれについて説明します。
法令を遵守しているか
人材派遣会社がコンプライアンスを重視した運営を行っているか、以下の項目を中心に確認しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
労働者派遣事業の許可番号取得 | 厚生労働省からの許可取得を確認する |
優良派遣事業者認定制度登録 | 厚生労働省基準を満たし、信頼性が高いことを示す認定制度に登録されているか確認する |
過去の労働トラブル | トラブルの有無や再発防止策を確認する |
秘密保持に関する規定 | 労働者派遣契約の秘密保持規定を確認する |
経理業務は、企業の財務情報や個人情報など、機密性の高い情報を取り扱います。そのため、人材派遣会社が労働者派遣法などの法令を遵守していることが重要です。
スキルアップ支援の充実度
人材派遣会社によって、派遣社員に対するスキルアップ支援の内容は異なります。
経理は専門職であり、継続的なスキルアップが求められます。そのため、人材派遣会社が派遣社員の研修を充実させているかを確認することが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
専門スキル研修 | 経理や財務に特化した専門知識や技術(会計ソフト、税務知識、財務分析など)を習得する研修 |
キャリア形成支援 | 派遣社員がキャリアプランを明確にし、目標に向かって計画的にスキルを向上させるサポート |
ビジネススキル研修 | コミュニケーション、ビジネスマナー、問題解決能力などの基本的なビジネススキルを磨く研修 |
オンライン研修の提供 | 自宅や勤務先で柔軟に学習できるオンライン研修プログラム |
これらのサポート体制が充実している人材派遣会社は、派遣社員の成長を促進し、企業のニーズに合致する人材を提案してくれる可能性が高いといえるでしょう。
人材派遣会社が派遣社員に提供する具体的なサポートや研修内容について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
>>
キャリアサポート・研修|派遣の求人検索・人材派遣会社はテンプスタッフ
企業が経理の人材派遣を活用する際の注意点
企業が経理の人材派遣を活用する場合、労働者派遣法に基づくさまざまな責任や義務が生じます。
派遣先企業として特に注意すべき点は以下の通りです。
項目 | 説明 |
---|---|
労働者派遣法の遵守 | 法で定められた事項を遵守し、違法な派遣契約を避ける |
就業条件の明示 | 派遣社員の就業条件を明確にし、人材派遣会社と合意する |
安全衛生管理 | 派遣社員の安全と健康を守るため、適切な労働環境を提供する |
不合理な待遇差の禁止 | 派遣社員と正社員との間で不合理な待遇差を設けてはならない |
ハラスメント防止 | ハラスメントを防ぐための対策を講じる |
個人情報の保護 | 派遣社員の個人情報を適切に管理する |
これらの法規制を遵守せずに派遣社員を受け入れてしまうと、法的責任を問われる可能性があります。
さらに、企業の評判低下やブランド毀損、顧客離れ、採用活動への悪影響など、事業全体に深刻なダメージを与える恐れがあります。そのため、企業は自社の責任、法的義務、およびリスクを社員に周知し、適切な対策を実施することが不可欠です。
経理の人材派遣活用事例
ここでは、無期雇用派遣と紹介予定派遣を活用した経理人材の導入事例をご紹介します。
事例1:社員の産休・育休期間限定で経験者に業務を依頼
無期雇用派遣の経理の人材派遣の活用事例です。
導入前の課題
ある機械メーカーで、経理担当社員が産休・育休を取得することになりました。しかし、社内に経理経験者がおらず、あらたな人材の育成・教育に時間を要する状況でした。
休暇取得までの短期間で経理業務を一から習得することは困難であり、担当者不在による業務への影響が懸念されていました。
人材派遣による解決策
産休・育休取得社員の業務をカバーするため、人材派遣会社に決算業務経験者を依頼しました。その結果、即戦力となる派遣社員を受け入れることができました。
経理知識が不要な伝票起票・整理などの業務は既存の社員が担当し、請求書の会計処理、勘定科目の管理、月次・年次決算など専門性の高い業務は派遣社員が担当する体制を構築しました。
導入後の成果
即戦力の派遣社員に業務を任せたことによって、社内での教育や引継ぎの負担を最小限に抑え、休暇に入る社員からの業務引継ぎをスムーズに行うことができました。
また、専門知識が不要な業務を他の社員に振り分け、休暇から復帰した社員の時短勤務にも対応できる体制を整えられています。
事例2:パフォーマンスの高い経理人材を正社員として採用
登録型派遣から紹介予定派遣へ切り替えた活用事例です。
導入前の課題
あるITサービス企業では、創業間もないため、備品管理、給与計算、日次・年次決算などのバックオフィス業務を社員1人で担当していました。
しかし、企業の急成長に伴い業務量が増加し、社員の残業が常態化。1人でのバックオフィス業務対応が限界に達したため、経理業務を任せられる人材の早期受け入れが急務となりました。
人材派遣による解決策
社内リソースの不足と、年次決算対応の必要性から、経理経験の豊富な派遣社員を人材派遣会社に依頼しました。
派遣社員の就業開始後は、定期的なフォローを行い、経理担当として派遣期間の3年間を安定的に就業しました。
導入後の成果
派遣社員が経理業務を専任で行うことによって、業務量が適正化され、社員の負担が軽減されました。
派遣社員は即戦力として活躍し、スキルの高さと3年間のはたらきぶりが評価され、企業と派遣スタッフの両者合意の上で人材紹介に契約を変更し、正社員として採用することになりました。
経理の人材派遣で業務効率化を実現しよう
経理業務において人材派遣を活用することは、繁忙期や決算期など人手不足を感じた際に、専門的なスキルや経験を持つ人材に業務を依頼できるというメリットがあります。
人材派遣会社に経理人材を依頼する際は、登録スタッフ数、法令遵守の徹底、スキルアップ支援の内容などを比較し、自社のニーズに合った会社を選ぶようにしましょう。
パーソルテンプスタッフでは、記帳代行、決算業務、財務分析、税務申告など、幅広い経理業務に対応しています。
経理実務に精通したスペシャリスト人材を多数擁し、創業当初から蓄積した独自のノウハウと最新情報をもとに、お客さまのニーズに合わせた最適な人材をご提案します。
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